「ベーパーロック現象」の版間の差分
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これは、自動車のフットブレーキの殆どに採用される[[油圧|油圧式]]ブレーキに特徴的な現象で、ブレーキ装置が過熱により、内部の[[制動力]]を伝達する[[油]]が蒸発し気泡が発生することで、ブレーキが殆ど利かなくなるものである。 |
これは、自動車のフットブレーキの殆どに採用される[[油圧|油圧式]]ブレーキに特徴的な現象で、ブレーキ装置が過熱により、内部の[[制動力]]を伝達する[[油]]が蒸発し気泡が発生することで、ブレーキが殆ど利かなくなるものである。 |
2005年2月17日 (木) 08:34時点における版
ヴェイパーロック現象(vapour lock)とは、自動車のフットブレーキが、過熱により油圧系統内部に生じた気泡(=vapour)のために利かなくなることをいう。しばしば「ペーパーロック」と誤記される。
これは、自動車のフットブレーキの殆どに採用される油圧式ブレーキに特徴的な現象で、ブレーキ装置が過熱により、内部の制動力を伝達する油が蒸発し気泡が発生することで、ブレーキが殆ど利かなくなるものである。
主に、長い下り坂でのフットブレーキの使用過多により発生し、エンジンブレーキによる制動を効果的に使用することで予防できる。マニュアル(MT)車では、アクセルを緩めることで自然に制動力が発生するために起こり難いが、オートマチック(AT)車では、アクセルを緩めても速度により自動的に変速が起きるために発生し易い。しかしながら、スイッチによりオーバードライブへの変速を阻止する、セレクタを「ドライブ」(D)から、より低い「セカンド」(2)や「ロー」(L)などのポジションへ合わせる、などにより、エンジンブレーキを発生させることは可能である。
気泡が発生するとブレーキが利かなくなる根源的な原因は、気体の「等温下では圧力に比例して体積が縮む」という性質にある。即ち、ペダルを踏みフットブレーキを作動させても、その力がブレーキの油圧系統内部の気泡を潰す仕事へと回り、自動車の制動に回らなくなるというのが、物理学的な説明である。このような気体の性質については、状態方程式で表すことができ、このベーパーロック現象は、理想気体に近い状態での状態方程式の振る舞いをあらわす良い例である。理想気体における状態方程式は、高校物理で学習する範囲である。即ち、高校物理の知識があれば、この現象を説明することができる。
ベーパーロックが起こったときの、現実的な対応方法は、
などがあり、最終手段としては、道路沿いに設置されている待避所へ突入させるなどの物理的な方法により自動車を停止させる。