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「ジャニー喜多川性加害問題」の版間の差分

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== 報道 ==
== 報道 ==
=== ジャニーズ事務所によるメディアへの圧力 ===
「[[ジャニーズ事務所#メディアへの圧力および利益共同体の忖度疑惑]]」も参照の事。

ジャニーズ事務所は長年にわたりマスメディアと強いつながりを持ち、同社や所属アーティスト、喜多川に関する好意的な報道を大々的に行い、イメージや売り上げを損なうと思われる報道を減らすよう仕向けてきたという疑惑がある<ref name="variety 2019-07-18">{{cite news | author=[[:en:Mark Schilling|Mark Schilling]] | url=https://variety.com/2019/film/asia/johnny-kitagawa-power-abuse-japanese-media-omerta-1203271575/ | title=Johnny Kitagawa: Power, Abuse, and the Japanese Media Omerta | work=[[Variety (magazine)|Variety]] | date=2019-07-18 | access-date=2019-07-29 | archive-date=July 27, 2019 | archive-url=https://web.archive.org/web/20190727145434/https://variety.com/2019/film/asia/johnny-kitagawa-power-abuse-japanese-media-omerta-1203271575/ | url-status=live }}</ref><ref name="japantimes 2019-07-10">{{cite news | first=Patrick | last=St. Michel | url=https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/07/10/entertainment-news/johnny-kitagawa-mogul-defined-controlled-japans-entertainment-industry/#.XfZcDetS9_o | title=Johnny Kitagawa: The mogul who defined and controlled Japan's entertainment industry | work=[[The Japan Times]] | date=2019-07-10 | accessdate=2021-05-10 | archive-date=May 11, 2021 | archive-url=https://web.archive.org/web/20210511090157/https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/07/10/entertainment-news/johnny-kitagawa-mogul-defined-controlled-japans-entertainment-industry/#.XfZcDetS9_o | url-status=live }}</ref>。圧力を受けた編集者・ジャーナリストの証言もあり、元木昌彦が1981年4月30日号『現代』で喜多川の性的嗜好を取り上げた「アイドル育成で評判の喜多川姉弟の異能」という特集記事を掲載し、これに対しジャニーズ事務所が「今後、[[講談社]]には一切うちのタレントを出さない」と通告し、講談社は元木を同誌の担当から外すことでジャニーズ事務所側と手打ちとしたと述べている<ref name="元木">{{Cite web|和書|title=ジャニーズの暗部に触れないメディアの罪 少年たちへの"性的虐待"という事実|url=https://president.jp/articles/-/29399|author=元木昌彦|website=PRESIDENT Online|date=2019-7-23|access-date=2023-06-05}}</ref>。

ジャニーズ事務所では莫大な売り上げが見込める所属タレントの公式カレンダーを各出版社に発売させており、これがジャニーズ事務所から各出版社に回される「カレンダー利権」と呼ばれている<ref name="日刊サイゾー20191024"/><ref name="利権">{{Cite web|和書|title=勢力衰えるジャニーズがカレンダー利権を濫用!? BTSネガキャンの懸賞金に?|url=https://www.cyzo.com/2021/02/post_268319_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2021-02-17|access-date=2023-06-05}}</ref>。ジャニーズ事務所は、カレンダー利権を各出版社に与えることで、関係を強固なものにし、スキャンダルを握りつぶしたり、ライバルタレントに不利な記事を書かせるなど、報道を左右することが可能であったともいわれる<ref name="日刊サイゾー20191024">{{Cite web|和書|title=ジャニーズ公式カレンダーによる出版社への影響力は衰退!? 週刊誌のスクープ抑制効果は消滅へ|author= |url=https://www.cyzo.com/2019/10/post_219908_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2019-10-24|access-date=2023-06-05}}</ref><ref name="利権"/>。伊藤喜之の主張によると、2023年8月時点でジャニーズタレントのカレンダーを発売しているのは、確認できた限りで講談社、[[新潮社]]、[[小学館]]、[[主婦と生活社]]、[[光文社]]、[[マガジンハウス]]、[[集英社]]、[[ワン・パブリッシング]](前身は学研プラスのメディアビジネス部門)、[[ワニブックス]]で、内スキャンダルやゴシップを扱う週刊誌をもつ出版社は講談社(週刊現代、FRIDAY)、新潮社(週刊新潮)、小学館(週刊ポスト、女性セブン)、主婦と生活社(週刊女性)、光文社(FLASH、女性自身)である<ref name="伊藤"/>。これらの週刊誌は出版社がカレンダー利権の恩恵を受けているため、ジャニーズのスキャンダルは事実上書けないと言われており{{efn|このうち主婦と生活社は、2021年にジャニーズカレンダーの販売を開始するまではジャニーズ事務所と「犬猿の仲」とされ、『週刊女性』でジャニーズ関連のスキャンダルを報道していた。関係が変わった後も、主婦と生活社が発行する芸能雑誌『[[JUNON]]』には、ジャニーズ事務所所属タレントは一切掲載されていない<ref>{{Cite web|和書|title=風間俊介が“反ジャニーズ”だった『週刊女性』で撮り下ろし&表紙の衝撃! ネット時代に抗えない事務所の苦肉か|url=https://www.cyzo.com/2021/01/post_266457_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2021-01-28|access-date=2023-09-07}}</ref>。}}、長年喜多川の性加害を追いかける「[[週刊文春]]」を発行する[[文藝春秋]]は、ジャニーズタレントのカレンダーの発売は行っていない<ref name="伊藤"/>。

伊藤の主張によれば、2008年7月の[[講談社]]「[[週刊現代]]」でのジャニーズ人気タレントの大麻吸引疑惑報道にも事務所から激しい圧力があったが、2023年5月のBBCの告発ドキュメンタリー番組放送の後も講談社の「[[FRIDAY (雑誌)|FRIDAY]]」がBBC報道を追いかけたことに対し、事務所が出版社に圧力をかけ、講談社の女性誌でのジャニーズタレントの表紙の仕事を引き上げたと述べている<ref name="伊藤">{{Cite web|和書|author=伊藤喜之|url=https://slownews.com/n/n85e4b7dd1a1b |title=BBC「性加害報道」後もジャニーズが講談社にかけてきた「圧力」 |website=Slow News |publisher= |language= |date=2023.8.22 |accessdate= 2023.8.29|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230822162923/https://slownews.com/n/n85e4b7dd1a1b |archivedate=2023.8.22 |deadlinkdate=}}</ref>。


=== 日本メディアへの批判 ===
=== 日本メディアへの批判 ===

2024年7月2日 (火) 03:48時点における版

ジャニー喜多川 > ジャニー喜多川性加害問題
ジャニーズ事務所 > ジャニー喜多川性加害問題
SMILE-UP. > ジャニー喜多川性加害問題
喜多川が創設し、長年に渡って社長を務めたジャニーズ事務所の本社ビル(2023年10月6日の社名ロゴ撤去前[1]

ジャニー喜多川による性加害問題(ジャニーきたがわによるせいかがいもんだい)は、2023年令和5年)に表面化した、日本の大手芸能事務所ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)の創設者・ジャニー喜多川が行った性加害問題。喜多川は同事務所に所属する男性タレントを主な性的対象として、抗拒不能な状況を利用して長期的かつ常習的に性的虐待児童性的虐待)を行っていたとされる。

当記事では被害者による証言、関連する報道、民事裁判政治司法などについても扱う。

概要

ジャニーズ事務所の創設者で、社長であったジャニー喜多川はジャニーズ事務所設立前の1950年代以降、ジャニーズ事務所では1970年代前半から2010年代半ばまでの間、長期間・広範にわたって多数のジャニーズJr.に対して性加害を繰り返したとされている。

ジャニーズ事務所の依頼を受けた再発防止特別チームが調査を実施し、2023年8月に報告書を提出し記者会見を行った。これを受けてジャニーズ事務所は同年9月、記者会見を行い喜多川の性加害の事実を初めて認め謝罪した[2]。ジャニーズ事務所は同年10月に名称を株式会社SMILE-UP.(スマイルアップ)に変更した。SMILE-UP.は被害者のケア・補償を行い、これが終わり次第廃業するとしている[3]

経緯(2022年まで)

一部出版社による告発

この問題は、日本の一部出版社でのみ扱われ、例として、下記のような一部週刊誌で報じられた。

またデータハウス(1988年以降)や鹿砦社(1996年以降)により元所属タレントによる告発本(いわゆる暴露本)が出版されたが、むしろ筆者や出版社をゴシップで金儲けを企む輩との見方を強め[誰?]、芸能界ではこれをタブー視したため一部の報道に留まっていた[7][8]

1964年の裁判

1964年には、ジャニーズ事務所が芸能学校「新芸能学院」と授業料の支払いと喜多川による生徒への猥褻行為を巡って裁判となり、その際に喜多川による性的虐待については当時、「ジャニーズ」(グループ名)はどうなるのか等と一部の週刊誌で記事化され、公になったが当時は同性愛へのタブー視と重なり、あまり表沙汰にならなかった[7][9]

法廷では、中谷良ら人気グループとなっていたジャニーズの4人が出廷し原告弁護士から性的虐待の有無について確認され否定しているが、中谷良が後の告発本で喜多川に「それが自分たちにとって最高の手段であるのだ」と説き伏せられ、決められた通りにした答弁であり、その後「あの証言は偽りで、性的虐待はあった」と語った[9]

その結果、東京地裁は「証拠がない」として性加害を認定しなかった[10]

元ジャニーズによる告発本(1988年 - 2005年)

下記のような、事務所に所属したタレントらにより事務所の内情を取り上げたいわゆる「暴露本」が出版された。

噂の眞相の特集記事(1988年 - 1989年)

1988年(昭和63年) - 1989年(昭和64年/平成元年)にかけて、噂の眞相が特集記事としてこの問題を数回取り上げた。

週刊文春の特集記事と民事訴訟(1999年 - 2004年)

1999年(平成11年)、週刊文春がジャニーズ事務所に関する特集記事『ホモセクハラ追及キャンペーン[5]』を掲載し、喜多川が所属タレントに対して「わいせつ行為」「ホモ・セクハラ行為」を行い、事務所では未成年所属タレントの喫煙などがあると報道した。

週刊文春は取材対象に対して20時間以上のインタビューを行い、重要な点には複数の取材対象に様々な角度から質問を行い確認している[14]。一連の特集記事では、10名以上の少年および事務所OBが、1960年代から90年代にかけての出来事について取材に応じて語っている[14]。記事では、インタビューを受けたジャニーズ事務所に所属していた少年たちが、主に喜多川の自宅(通称「合宿所」)で、夜ベッドで寝ている際に「わいせつ行為」や「ホモ・セクハラ行為」を受けていたことが語られていた[14]。また喜多川は京都大阪に出張した際に宿泊するホテルでも、関西ジャニーズJr. の少年らを泊まらせて同様の行為をおこなっていたと述べられていた[14]。同誌によると、一連の特集で取材に応じたすべての少年が、「親には絶対に言えません」と話したという[15]

同誌は喜多川が少年たちの夢への思いを利用して自らの欲望を満たしていると非難し、こうした行為が東京都や大阪府の青少年健全育成条例に抵触するおそれがあると指摘した[14](2017年の法改正で強制性交等罪が新設されるまで、強姦罪の被害者として認められるのは女性に限られていた[14][16]。タレント事務所の社長が、それに抵抗することが困難な所属タレントに対して圧倒的な力関係を背景に性交を迫っても、暴行や脅迫を用いたとはいえず強姦罪強制わいせつ罪として処罰することはできなかった[16]。また日本の性交同意年齢は、2023年7月13日に16歳に引き上げられるまで、明治時代から13歳のままであったため、13歳以上であれば「抵抗が著しく困難になるほどの暴行または脅迫があったこと」が証明できなければ、強制性交等罪や強制わいせつ罪は成立しなかった[17]。そのため、法律違反ではなく条例違反を指摘する形となっている)。

これらの記事は、衆議院特別委員会でも取り上げられた[5][18]。週刊文春の報道に対し、ジャニーズ事務所・喜多川は記事が名誉毀損であるとして文春に対し、1億円あまりの損害賠償を要求する民事訴訟を起こした[6]

裁判で問題になった記事

出典:[14]

掲載順 タイトル 掲載号 記事内容
1 フォーリーブス青山孝 衝撃の告発 芸能界のモンスター「ジャニーズ事務所」の非道 TVも新聞も絶対報じない 1999年10月28日号 フォーリーブスへの冷遇
2 「芸能界のモンスター」追及第2弾 ジャニーズの少年たちが耐える「おぞましい」環境 元メンバーが告発 1999年11月4日号 ジャニー喜多川による性加害、ジャニーズJr.の飲酒喫煙、学校に行けないスケジュールを課している
3 「芸能界のモンスター」追及第3弾 ジャニーズの少年たちが「悪魔の館」合宿所で強いられる〝行為〟 1999年11月11日号 ジャニー喜多川による性加害
4 追及キャンペーン4 マスコミはなぜ恐れるのか テレビ局が封印したジャニーズの少年たち 集団万引き事件 1999年11月18日号 ジャニーズ事務所によるジャニーズJr.の万引行為の隠蔽、マスメディアのジャニーズ事務所への恐れ・追従
5 芸能界のモンスター 追及第5弾 ジャニー喜多川は関西の少年たちを「ホテル」に呼び出す 1999年11月25日号 ジャニー喜多川による性加害、関西出身のジャニーズJr.たちの給与面などにおける冷遇
6 芸能界のモンスター 追及第6弾 ジャニーズOBが決起 ホモセクハラの「犠牲者」たち 1999年12月2日号 ジャニー喜多川による性加害、所属タレントの冷遇
7 芸能界のモンスター 追及第7弾 ジャニー喜多川「絶体絶命」 小誌だけが知っている 1999年12月9日号 ジャニー喜多川による性加害
8 芸能界のモンスター 追及第8弾 ジャニーズ人気スターの「恋人」が脅された! 1999年12月16日号 ファンを無視したファンクラブ運営

2002年(平成14年)3月27日の一審判決では、記事で証言した少年2人も出廷したものの東京地裁は文春側に880万円の損害賠償を命じた。そのため、文春側はこれを不服として東京高裁に控訴した[19]。地裁は少年らの供述の信用性を認めず、週刊文春が一審で敗訴した際には日本のテレビや新聞などメディアは大きく取り上げた[6]

二審で裁判所は、「これらの少年らの一審原告喜多川のセクハラ行為の態様及びその時の状況に関する供述内容はおおむね一致するものであり、かつ具体的である」として少年達の供述の信用性を評価し、一方、喜多川の反論の曖昧さを指摘しており、喜多川は「彼たちはうその証言をしたということを、僕は明確には言い難いです」と、少年達の証言が虚偽ではないと間接的に認める証言も残している[14]。裁判では、性加害行為を告発した元ジャニーズの著作が証拠の一部として参照され、裁判官によって言及された[14]

2003年(平成15年)7月15日の二審判決では、「ジャニーが少年らに対しセクハラ行為をしたとの証人少年A、同少年Bの各証言(一審と共に法廷で証言)はこれを信用することができ、これらの証拠によりジャニーが、少年達が逆らえばステージの立ち位置が悪くなったりデビューできなくなるという抗拒不能[注釈 1]な状態にあるのに乗じ、セクハラ行為をしているとの本件記事は、その重要な部分について真実であることの証明があったものというべきである[19]」と一部について真実相当性を認定した。損害賠償額は一審の850万円から120万円に大幅に減額されたが、この判決は日本ではほとんど報道されなかった。アメリカの法学者・社会学者のマーク・D・ウェスト英語版 は「喜多川は敗訴したが、マスコミがほぼ報道しなかったことで、スキャンダル争いに勝利した」と述べている[20]

裁判の論点と裁判所の判断

出典:[14]

記事内容 真実性・相当性
喜多川が自社に所属する少年たちに対し、自分に逆らえばステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなるという抗拒不能な状況にあるのに乗じ、「わいせつ行為」「ホモ・セクハラ行為」(今でいう性加害行為)をした。 認める
自社に所属する少年らに対し、合宿所と呼ばれる喜多川の自宅等で、日常的に飲酒、喫煙をさせた。 認めない
ジャニーズ事務所がジャニーズJr.による万引行為を隠蔽した。 認めない
ジャニーズ事務所がフォーリーブスを冷遇した。 認めない
ジャニーズ事務所が所属タレントを冷遇した。 認めない
ジャニーズ事務所が所属する少年らに対し、学校に行けないスケジュールを課した。 認める
ジャニーズ事務所が関西出身のジャニーズJr.の少年たちを給与面などにおいて冷遇した。 認める
ジャニーズ事務所がファンを無視したファンクラブ運営を行った。 認める
マスメディアがジャニーズ事務所を恐れ、追従した。 認める

ジャニーズ事務所・喜多川側は損害賠償額を不服として最高裁に上告したが、2004年(平成16年)2月24日に最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は喜多川の上告を棄却した。文藝春秋が賠償を一定額命じられた一方で、ジャニーズ事務所所属タレントに対する喜多川のわいせつ行為についての文藝春秋記事の重要部分を真実と認める判決が確定した(賠償額は高裁判決の通り120万円)[21][6]

海外の報道(2000年)

1999年の『週刊文春』による告発キャンペーンを受けて、『ニューヨークタイムズ』『ガーディアン』が性加害疑惑について報じた。 ニューヨークタイムズは週刊文春とジャニーズの裁判が行われた後の2000年1月に初めて性加害問題を報じた[22]

ジャニー喜多川の死(2019年)

2019年7月9日、喜多川が87歳で死去した。大規模な「お別れの会」が開催され、多くの関係者やファンらが参列した[23]。性加害問題の被害者とされる元ジャニーズJr.や、当事者の会のメンバーらも、多数これに参加した。当時の安倍晋三内閣総理大臣もその業績を称賛し、人徳を讃える弔電を送った[24]

週刊文春の報道(2019年)

2019年7月25日号
「本誌しか書けない稀代のプロデューサーの光と影 ジャニー喜多川審美眼と『性的虐待』」と題し、元ジャニーズの新たな証言を報じた[25]

海外の報道(2019年)

イギリスの『BBCニュース』は過去、事務所に所属していた少年たちから性的虐待(グルーミング)の告発が繰り返されたと掲載した。なお、日本のTV等の大手メディアではタブー視され報じられないことについても掲載した[26][27]

フランスAFPも、ジャニーズ事務所に集まった少年たちを虐待していたという疑惑も浮上したと報じている[28]

アメリカニューヨーク・タイムズでは、少年たちへの性的虐待を認定した東京高裁判決にも触れている[29]

元ジャニーズの証言(2021年)

2021年1月2日には、前田航気(元7MEN 侍)が海外向けエンタメニュースサイト「ARAMA!JAPAN」でのインタビューで喜多川の性的虐待に触れた[30][31]

性的虐待の問題化 (2023年〜)

BBCの長編ドキュメンタリー(2023年)

映像外部リンク
全編を視聴
BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」【日本語字幕つき】 - BBC News Japan公式YouTube

イギリスBBCは、英国アカデミー賞・英国王立テレビ協会賞を受賞したジャーナリストのモビーン・アザールがリポーターを務める、喜多川の性加害を題材とした長編ドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダルドイツ語版』を、イギリス時間で2023年3月7日午後9時(日本時間の3月8日午前6時)からBBC Twoで放送した[32][33]。喜多川の性加害の被害者である元ジャニーズJr.へのインタビューや、ジャニーズ事務所への直接取材が断られる様子などが放映された。

日本でも、イギリスでの放送後の3月8日の昼頃にYouTubeのBBC News Japan公式チャンネルで3分37秒間の日本語字幕付きのダイジェスト動画を公開[動画 1]。3月18日には『BBCワールドニュース』が『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』の日本語題で午後6時10分から50分間放送[32][34]。6月17日には、テレビ放送ではカットされた約5分間の内容と放送後の動向報道をエンディングにテロップで付け加えた、日本語字幕付きの本編動画が上記YouTubeチャンネルで無料公開された[35]

「週刊文春」の報道(2023年)

2023年3月23日号の週刊文春は、BBCの報道とは別に新たな元ジャニーズJr.の性被害を報じた。文春によると、当時13歳だった少年が喜多川からの性被害に遭ったと語った[36]

BBCに取材協力している週刊文春は、『BBCワールドニュース』で放送されるのを機に同誌が過去に報じた喜多川の性加害の記事を再公開した[37]

2023年3月30日号の週刊文春では、新たな元ジャニーズJr.の性被害を報じた。90年代にジャニーズJr.だった、2023年現在30代の男性が文春の取材に協力した[38]

2023年4月6日号の週刊文春では、元ジュニアで6人目の被害告白が掲載された[39]

週刊文春のウェブサイトと2023年4月20日号にカウアンと同世代の20代後半で、カウアンと酷似した体験を告白する8人目の証言者(D)の証言が掲載された[40]

元ジャニーズJr.の実名での記者会見(2023年)

2023年4月12日、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトが日本外国特派員協会で記者会見を行いジャニーズ事務所に所属していた15歳から退所まで、喜多川から計15-20回の性暴力を受けたと公表した[41][動画 2]

再発防止特別チームによる調査報告

2023年8月29日、「外部の専門家による再発防止特別チーム」による調査報告書が、ジャニーズ事務所に提出された[42]

補償問題

旧ジャニーズ側が「被害者救済委員会」を設置。元裁判官の弁護士3名により、ジャニーズ所属者の被害状況を聞き取りを行い、個別に賠償査定して和解手続きを行うこととなった。

この委員会は裁判官も務めたこともある3人の弁護士、森倫洋(現AI-EI法律事務所 代表パートナー・元西村あさひ法律事務所パートナー)、定塚誠(現 AI-EI法律事務所・顧問弁護士)および杉原麗(現 霞総合法律事務所パートナー)で構成されている[43][44][45]。この3人で独立性を維持して運営と判断が行われるとしている[46]

しかしながら、顧問弁護士の木目田裕をはじめ、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの山田将之、被害者救済委員会の森と西村あさひ法律事務所系の関与が過ぎるとの批判がある[47]

なお、森倫洋は西村あさひ法律事務所所属の2014年、 日本弁護士連合会より、「自己が関係をしている訴訟の第1審判決について、自ら及び同僚弁護士が記載した同判決への批評記事を、出版社に働き掛けて匿名または編集部名義で法律雑誌に掲載させ、あたかも第三者が記載した批評記事であるかのように偽って記事を掲載させるとともに、同記事を同訴訟における控訴状に引用して、裁判官にあたかも第三者が記載した批評記事であることを前提とした主張立証活動をしようとした。」として懲戒処分を受けている[48]


被害者救済委員会の設置を受け、橋田康が中心となり35人が交渉。この中で橋田は和解案を受け入れることを表明[49]。その後、旧ジャニーズ側は11月30日までに和解が得られた、橋田を含む23人への補償金の支払いを終えたと発表した[50]

日時 窓口への
申告者
補償内容の
通知者
補償内容の
合意者
補償金の
支払済数
補償なし
の通知
備考
2023年11月22日 834人 --- --- --- ---
2023年12月1日 --- --- 30人 23人 --- 橋田康らが合意。
2023年12月28日 907人 163人 126人 115人 ---
2024年1月15日 939人 183人 156人 125人 ---
2024年1月31日 948人 242人 190人 170人 --- 土田一徳らが合意。
2024年2月29日 964人 325人 286人 249人 43人
2024年3月29日 973人 413人 356人 324人 --- 約200人から返信なし[51]
2024年4月15日 981人 434人 377人 354人 93人
2024年4月30日 985人 454人 399人 374人 93人
2024年5月15日 989人 478人 424人 395人 93人

報道

日本メディアへの批判

この喜多川による未成年の所属タレントへの性的虐待は、ハーヴェイ・ワインスタイン(立場を利用し多くの女性に性暴力を行った大物映画プロデューサー)やジミー・サヴィル(死後に性加害問題が発覚したテレビ司会者)らの歴史的な性加害事件と比較されうるものだが[52]、BBCのモビーン・アザール記者もワインスタインやR・ケリー(多くの少女や若い女性をグルーミングして性的虐待を行った大物R&Bシンガーソングライター・プロデューサー)の事件との明らかな違いは、日本のメディアの大部分が報道しないという判断を下したことであると指摘している[33]。アメリカの法学者・社会学者のマーク・D・ウェスト英語版 は日本でマイケル・ジャクソンの小児性愛裁判が大々的に報道されたことからわかるように、日本のマスコミが小児性愛をタブーとしていたわけではなく、誰もが知る喜多川のスキャンダルという主題は確実にニュース価値があったが、それでも報道されなかったと指摘している[20]。当時日本のマスコミが大々的に報道したのは、稲垣吾郎の不祥事であった[20]

弁護士ドットコムニュースの取材に対して、週刊文春の加藤晃彦編集長が「メディア各社がジャニーズ事務所と『利益共同体』となり、関係を重んじている」ことが、同誌の性的虐待の報道を他のメディアが無視し、報道を行わなかったことに関係しているのではないかと述べている[53][注釈 2]

2005年にニューヨーク・タイムズオブザーバーなどの世界各国のメディアでも週刊文春との裁判結果が取り上げられ、喜多川の性加害問題をタブー視して一切報道しない日本のテレビや新聞の異常さが指摘された[54]

2023年3月17日、モビーン・アザール記者が日本外国特派員協会のZoom会見で、「SNS上では大きな反響があったが大手メディアの反応は静かだ」と大手メディアがジャニーズに忖度し取り上げず沈黙していることを批判した[55]

ジャーナリストの中村竜太郎も、「国内では過去を検証することなく、ジャニー氏の功績を礼賛する向きもあり、まるで独裁国家のようである。誤解なきよう説明すると、評価を求めているのではなく、単純におかしいと思うのだ。それを言及すると業界内で“村八分”、“危険人物”扱いが待っていた」と述べ、BBCの質問に対し「1999年以来、私は、日本のメディアにずっと絶望しきっています」と答えた[7]。2022年11月に出版された『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』で中村は「悲観的ではあるが、これまでのことを現実的に捉えると、このBBC報道が日本で大きく取り上げられることはまずないだろう。」とコメントしている。

PRESIDENT Onlineも、テレビなどの大手メディアが報じないことを問題視する記事を掲載している[56]

大手広告代理店の博報堂も、同社が発行する雑誌『広告』文化特集号(2023年3月31日)の記事で喜多川の性的虐待問題をいったん取り上げたが、博報堂広報室長がジャニーズはビジネスパートナーという理由で、「博報堂広報室長の判断により」の文言と共に一部の表現を削除をしたと表明している[57][58]

2023年5月11日、TBSテレビnews23』が問題被害者の証言などを詳細に放送した。メインキャスターの小川彩佳 (元テレビ朝日アナウンサー) が顔出し・実名で証言した元所属タレントらの勇気に敬意を表し、「果たして、報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも私達の番組ではお伝えしてこなかったという現状があります。その中で、このカウアンさんの発言は非常に重く、この言葉には向き合わなければならないと感じています」と語った[59]

2023年5月17日放送のNHK総合『クローズアップ現代』の「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」において、ジャーナリストの松谷創一郎が「今回も民放を含めてNHKも報道がかなり抑制的。こういうことが一番大きな問題ではないか」「今も抑制的であるということは、ある種の“共犯関係”ではないかという風に思ってます」と共犯性を指摘し、厳しく批判した[60]

プチ鹿島も文春オンラインで朝日新聞は自社の記者による検証企画も行っておらず、「朝日新聞はジャニーズ問題の検証を『外部発注』にズラしているようにも見える。重要なのはこの20年だけではない。この数カ月だけでもそう」であり、論説委員の個人コラムで済む問題ではないと表面的な対応を批判している[61]

海外メディアは、日本メディアの対応について冷淡な論調で報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は裁判の結果が出た当時の報道で、日本のメディアがこれを報道しなかったこと、被害をったえる暴露本にも注目していないことを指摘している[20]。日本社会についてジャパン・タイムズ紙などに寄稿してきたフィル・ブレイザーが「喜多川の犯罪を問わずにきたことを謝罪するメディアもあるだろうが、業界全体のなれ合い体質は変わるまい。(中略)このスキャンダルで(ジャニーズ事務所が)ダメージを受けるとは思わない」と日本メディアの忖度システムは今後も変わらないだろうと評している[62]。ジャーナリスト、聖心女子大学のデービッド・マクニール教授がニューズウィーク日本版で、「主要メディアはいまだにスキャンダルの全容解明に踏み込まず、多くのファンの『裏切られた』という思いに応えようともしていない」「今日でもテレビ各局のプロデューサーは、喜多川氏のマンションで何が行われていたかを追及しようとしない」「日本の業界の認識の甘さは目に余る」と日本のメディアを痛烈に批判している[62]

国内のメディアでもこの問題を取り上げているものもあり、日刊ゲンダイではジャニーズ性加害問題当事者の会代表の平本淳也の意見を取り上げ、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会メンバーの調査来日に対して「国連の作業部会メンバーはジャニーズのみならず、日本芸能界に依然としてはびこるハラスメントにもメスを入れるという。芸能事務所、それと結託するメディア、さらに広告、政界まで利権でつながる闇の構図を浮き彫りにして欲しい。そして長年の膿を出し切る機会になることを期待する声なき声は、実際のところ、関係者の中にも少なくないのだ」としている[63]

2023年9月9日、TBSテレビの安住紳一郎アナウンサーも自身がメインキャスターを務める『情報7daysニュースキャスター』の中で、この問題におけるマスコミ側の責任についての反省を語った。安住アナは、性加害を認定した04年の最高裁判決が当時の一般紙の新聞でも小さな扱いだったことに加え、「TBSも当時、この結果を報じていません」と報告した。なぜ報じなかったか、という点について安住アナが独自に周辺のマスコミ関係者に聞いた見解として、「当時は捜査当局も動いていないし、これほど大きな事件であるという認識がなく、法律上も強制性交の被害者は女性に限定している時代で、ただの芸能ニュースのひとつだろうと考えて、ニュースとして取り上げないという認識の人が多かった」と語った。BBCが性加害についてドキュメンタリーを放送したのが3月18日でありながら、同番組で初めて取り上げたのが一か月以上経過した4月22日であったことを「私の感覚では(放送するのが)2週、遅かった気がします。4月8日、15日にも放送するチャンスがあったと思います。これは三谷さんも『今週、放送しないんですか?』と打ち合わせで話したと思います」と同番組レギュラーの三谷幸喜(脚本家)が打ち合わせの場で「放送しないんですか?」と聞いていたことを明かした。「ただし、この時点では事務所側が、性加害があったことを認めてはおらず、さらに自分たちが取材している問題ではないので、これは取り扱いに注意が必要という判断。それが大手芸能事務所に対する忖度ではないかというご指摘があると思いますが、その側面は十分にあると思います」と率直に話していった。結びに自身が著名人をインタビューする際、事務所などからNG質問などが存在することを告白し、「これは嫌われても聞かなければならない時は、自分で考えてそのような(あえて質問する)手段を取る。しかし、今回はそのケースに当たるのに、私含めて放送局で働く人間たちがことの重大さを分かっていなかった」と反省を口にしている。「東山新社長の言う、マスコミとの対話、正直に話すことをこれからも心掛けて変えていく努力をしていきます」と覚悟を語った[64]

9月7日の会見とそれを受けてのテレビ局各社のコメント

2023年9月7日、ジャニーズ事務所側の記者会見が行われ、NHKと、民放5大ネットワーク(日本テレビテレビ朝日TBSテレビテレビ東京フジテレビ)のうち4局の合わせて5局が生中継を行った[65]。テレビ東京は地上波では生中継を行わなかったが、同局のニュースサイトにて生配信を実施した[65][66]。さらにはニコニコ動画を主宰するドワンゴサイバーエージェント傘下のAbemaNewsヤフーグループのTHE PAGEなどもニコニコ生放送[67]ABEMA[68]YouTube Live[69]にてライブストリーミング配信も行われた。

会見後、テレビ6局がそれぞれコメントを発表した[70]

日本放送協会(NHK)

ジャニーズ事務所は、故ジャニー喜多川氏が性加害を行っていたと認めました。未成年者に対する悪質な性加害が、長期間にわたって取引企業で行われていたことを深刻に受け止めています。

ジャニーズ事務所の再発防止特別チームの調査報告書では、『マスメディアからの批判を受けることがないことから、ジャニーズ事務所が自浄能力を発揮することもなく隠蔽体質を強化し、その結果、被害が拡大した』などと指摘しています。 この問題をめぐっては、これまでも週刊誌等でたびたび報じられ、性加害の事実を認定した東京高等裁判所の判決が2004年に確定するなどしましたが、NHKは、当時、この問題について認識が薄く、その後も、取材を深めてニュースや番組で取り上げることはありませんでした。 多くの未成年者が被害にあう中で、メディアとしての役割を十分に果たしていなかったと自省しています。より深く真実に迫ろうとする姿勢を改めて徹底し、取材や番組制作に取り組んでまいります。

ジャニーズ事務所に所属するタレントの起用についても見直すべきだとのご指摘を受けています。 NHKでは、出演者の起用については、番組の内容や演出に合わせて、ふさわしい人を選定してきましたが、今後は、所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して、出演者の起用を検討したいと考えております。 ジャニーズ事務所に対しては、今後の被害者救済や再発防止の取り組みについてNHKとして改めて詳しく説明を求め、その後も実施状況を注意深く確認してまいります。

放送業界で人権尊重の考えがより浸透するよう、公共メディア・NHKとして、取り組みをさらに徹底してまいります。

[71]

日本テレビ放送網

本日、ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏による所属タレントらへの性加害の事実を認め謝罪し、被害者への補償や救済、東山紀之氏を代表取締役社長としたことを公表しました。

日本テレビはジャニーズ事務所に対し、被害者の救済と再発防止に徹底して取り組むよう求めるとともに適切な対話を続け、人権を尊重した企業活動に努めてまいります。

日本テレビは、ジャニーズ事務所の再発防止特別チームが調査報告書で『マスメディアが正面から取り上げてこなかった』などと指摘したことを重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります。

なお、日本テレビは会見で示された対応、方針をふまえて、現時点でジャニーズ事務所所属タレントの番組出演について変更する予定はございません。今後も視聴者の皆様の期待を裏切らない番組を制作してまいります。

テレビ朝日

ジャニーズ事務所から、性加害問題について記者会見を開き、藤島ジュリー社長の辞任と東山紀之さんの社長就任という新しい体制などが発表されました。

その内容は、性加害の事実を正式に認めて謝罪し、再発防止策や被害者救済策に取り組む姿勢を明らかにしたもので、再発防止特別チームの提言を真摯に受け止めたものだと考えております。性加害は許されるものではなく、今後ジャニーズ事務所が新体制のもと、それらの施策に真摯に取り組み、社会の信頼を取り戻せるのかを注視してまいります。 また、ジャニーズ事務所所属タレントの出演につきましては、タレント自身に問題があるとは考えておりません。これまで通り番組の企画内容などを踏まえ、ご出演頂きたいと考えております。

性加害問題については、メディアの姿勢も問われています。テレビ朝日としては、被害者の方々、再発防止特別チームの報告書、視聴者の皆様からのご意見、ご指摘を重く受け止め、今後の放送に生かすとともに、人権尊重を明確に掲げて事業活動を行ってまいります。

TBSテレビ

本日、ジャニーズ事務所が記者会見を行い、故・ジャニー喜多川氏による長期間にわたる未成年者への性加害を認め謝罪しました。また社長を交代し新たな体制の下で、被害者への補償や救済に真摯に取り組むことを表明しました。

TBSテレビは、ひきつづきジャニーズ事務所に対して、被害者の救済と人権侵害の再発防止を要望していくとともに、事務所がどう着実に進めていくのかを今後も注視しながら、適切に対処してまいります。

TBSグループは人権を尊重する取り組みに、より一層努めてまいる所存です。

テレビ東京

ジャニーズ事務所は本日の記者会見で、再発防止特別チームの報告と提言を受け、元社長であるジャニー喜多川氏の性加害を全面的に認め被害者の救済措置をとるとともに、再発防止策を徹底する方針や社長の交代を発表しました。 テレビ東京は、同事務所が改革に乗り出す重要な一歩であると受け止めています。ただ経営ガバナンスの強化など、残された課題は多く、今後も人権デューデリジェンスの考え方に基づき、取引先としての対話を通じて、状況の改善を働きかけていく所存です。10月からの新しい体制が真のガバナンス機能を持つものになるよう、重大な関心をもって見守ります。

フジテレビジョン

ジャニーズ事務所が、創業者の性加害の事実を認め、新たな体制を公表しました。フジテレビは、ジャニーズ事務所が新体制のもと、被害者救済・再発防止を、実効性を伴って実施していくよう注視してまいります。 性加害が決して許されないことは当然です。当社は、先日の「外部専門家による再発防止特別チーム」調査報告書に記されたマスメディアに対するご指摘を真摯に受け止め、全てのステークホルダーとともに人権尊重を徹底し、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です。

一回目の記者会見後の各社の動き

民放のキー局と呼ばれる在京テレビ局各社は、事務所に対し要望書を提出したり口頭での要望をしたことを明かしている。TBSテレビが「被害者への救済補償や人権侵害の防止策などを速やかに決定すること」など4項目を、文書で要望したことを同社の佐々木卓社長が20日の定例記者会見で明らかにした。担当役員が9月13日に、東山紀之社長へ提出したという[72]。日本テレビが被害者との対話を踏まえた実効性のある救済制度、適切な補償の実施のほか、再発防止や所属タレントが活動しやすい環境整備に向けた組織の見直しとマネジメントを要望した文書を20日付で社長の東山に提出、さらに日本テレビの石澤顕社長は「日本テレビとしては社名の変更、補償、マネジメントの組織の分離を再考するよう口頭で申し入れました」という[73]。テレビ朝日の篠塚浩社長は要望書こそ出さなかったものの被害者への謝罪や補償、再発防止策の徹底を行うとともに、社名変更を検討するよう申し入れたことを明らかにした[74]。テレビ東京の石川一郎社長は、14日に直接文書で社名変更を要請したことを明らかにした。これまでにも同様の要請をしていたといい、本件に関して4回にわたって申し入れをしていたことを語った[75]。その上でテレビ東京としてジャニーズ事務所に所属するタレントの新たな番組起用をすでにとり止めていることを明らかにした[76]。フジテレビの港浩一社長も、事務所側に社名変更や被害者救済とマネジメントの会社の分離を検討すべきと14日に口頭で直接申し入れたと明らかにした[77]

NHKの稲葉会長は性加害問題を受け、NHKとしてジャニーズ事務所に対し被害者への補償や再発防止の取り組みを、適切かつ迅速に行うよう要請したとした上で事務所に所属するタレントの新規の出演依頼は、被害者への補償や再発防止の取り組みが着実に実施されることが確認されるまで当面行わないことを決めた[78]

民間放送各社が加盟する日本民間放送連盟(民放連)の遠藤龍之介会長(フジテレビジョン・副社長)は「(ジャニーズ事務所が設けた外部専門家チームから)『マスメディアの沈黙』と指摘されたことは重く受け止めます」と述べた。外部専門家チームが公表した報告書によると、性加害問題は、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、多くのマスメディアは正面から取り上げてこなかった。これについて「今回の事案のような人権侵害は許されない。過去に(創業者の)ジャニー喜多川氏が行った数々の行為が重大な人権侵害だという認識を、民放を含む多くのメディアが十分に持てなかったことは事実で、反省しなければならない」と反省の弁を述べるとともに、民放連として「人権に関する基本姿勢を改めて確認し、アップグレードしないといけない」と話した。民放各社による性加害問題についての報道姿勢や所属タレントの起用については「それぞれの社が顧みるべきだと思います」とし、所属タレント出演CMの放送についても「各社が広告主の意向を尊重して対応すること」と話すにとどめた[79]

2度目の会見(10月2日)とそれを受けての各社のコメント

一回目の会見同様、NHKと民放5大ネットワークのうち、テレビ東京を除く4局が会見の模様を生中継[80]。前回同様、会見を受けテレビ各局はコメントを発表した[81]

NHK

: きょうの記者会見で示された方針も含め、今後も事務所側とのやりとりを継続し、被害者への補償と再発防止に向けた取り組みが着実に実施されているか確認してまいります。

日本テレビ

:本日、ジャニーズ事務所が会見を開き事務所の新体制について説明を行い、 今後の救済策などの取り組みについて公表しました。 公表された内容には日本テレビが申し入れていた「事務所の名称変更」「補償とマネジメントの組織の分離」「被害者との直接かつ十分な対話を踏まえた実効的な救済制度および適切な補償の実施」「再発防止策の実施および公表」などの内容が含まれており、一定の前進があったと受け止めております。 日本テレビはその取り組みが早急かつ確実に実施されるようジャニーズ事務所と適切な対話を続け、進捗を注視してまいります。 また、所属タレントの新規の起用については、本日表明された対策が確実に実施されているか見極め、適切に判断してまいります。

テレビ朝日

: ジャニーズ事務所が、今後の事務所の在り方や再発防止策などに関する記者会見を開き、現在のジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP.」に変更して被害者の方々への補償・救済業務に専念し、補償が終了次第、廃業することや、新会社を設立することなどが発表されました。また、藤島ジュリー景子氏は新会社の役員に就任せず、株式も保有しないことも明らかにしています。テレビ朝日としては、「SMILE-UP.」が被害者の補償・救済を速やかに、かつ誠実に実施するよう求めて参ります。新会社は、エージェント契約を軸とした新しい形態になりますが、特に、若年層の育成の過程において万全のケアを行って欲しいのと同時に、人権侵害に関わる問題が再発しないよう最善の努力を傾注して頂きたいと要望します。 なお、新会社に属するタレントの起用につきましては、企画内容などを踏まえ総合的に判断していくという方針に変わりはありません。

TBS

: ジャニーズ事務所は、本日、記者会見を行い、ジャニー喜多川氏との決別を図る組織の見直しや人権方針の策定、被害者救済の進捗状況などを発表しました。これは、ジャニーズ事務所が被害者の救済・補償や人権侵害の防止に具体的に取り組み始めたことを示すもので、改革の緒についたものと受け止めています。TBSは先日行ったジャニーズ事務所への要望に基づき、今後も定期的な対話を通じて、被害者の救済や二度と人権侵害を起こさないよう組織体制の構築をより具体的に進めるよう促して参ります。

テレビ東京

: ジャニーズ事務所は本日、記者会見を開き、ジャニー喜多川元社長による所属タレントらへの性加害問題について、経営ガバナンスの強化策や再発防止策、被害者への補償に対する考え方などを改めて発表しました。
ジャニーズ事務所の発表内容は、経営ガバナンス強化や被害者救済の早期実施などを求めたテレビ東京ホールディングスの申し入れに沿った内容であり、解体的な出直しに向けて一定の前進はあったと受け止めています。ただ、発表内容については不明確な事項が多いため、ジャニーズ事務所に事実関係を確認したうえで、今後の当社の方針を決めたいと考えています。

フジテレビ

: ジャニーズ事務所が会見を開き、社名変更を含む今後の会社運営、被害者への補償・救済などの方針を発表しました。当社は、このたび示された方針が速やかに実行されていくよう求めてまいります。ただ、具体的にはまだ詳細が不明な部分もあり、引き続きジャニーズ事務所の対応を注視してまいります。キャスティングに関しては、被害者への対応が着実に実施されていることを確認しながら適切に判断してまいります。改めてこの問題に対する当社の認識は不足していたと反省しており、企業として、また報道機関として、今回のジャニーズ事務所の件への対応を含め、あらゆる人権尊重のための責任を果たしていく所存です。

2度目の会見後の各社の動き(10月2日以降)

2度目の会見以降、各テレビ局において、旧ジャニーズ事務所との関係について検証番組を相次いで放送するようになる。

日本テレビは10月4日放送の『news every.』の中で、この問題に対する検証および社内調査の結果を公表した。今回の調査のポイントは、①週刊文春のジャニー喜多川の「セクハラ」キャンペーン報道と一連の裁判を日本テレビがどう伝えてきたのか、②ジャニーズ事務所と日本テレビとの関わりについて、③イギリスBBC報道以降の日本テレビの対応について、以上の3点。検証方法として過去の番組の録画などを確認するとともに、20年以上過去にさかのぼり、報道局の記者やジャニーズ事務所と向き合っていた番組担当者、各部署の幹部らから幅広くヒアリングを行った[82]

TBSテレビは、10月7日放送の『報道特集』において、報道番組やワイドショー番組に携わった経験者及び旧ジャニーズ事務所に関わった事のある現役局員ならびにOBからの聞き取り調査の結果を報告。10月10日、同局の安住紳一郎アナウンサーは自身がメインキャスターを務める番組の中で、TBSは全社を対象とした社内調査を進めていることを報告した上で、更なる事実報告の場を設けることも示唆している。その後、11月26日放送の「TBSレビュー[注釈 3]において、TBSテレビ及びTBSラジオを含むTBSグループ全社対象の社内調査の結果を報告した。なお、TBSホールディングス・TBSテレビ・TBSラジオの3社の公式サイトには「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査委員会による報告書」の全文が掲載されている[83]

この他、10月21日にフジテレビ、10月26日にテレビ東京、11月12日にテレビ朝日が、それぞれ社内調査の結果を報告する番組を放送した。

特集番組

イギリス

  • 2023年3月「Predator: The Secret Scandal of J-Pop(邦題:J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」:BBC(イギリス公共放送)。喜多川の児童性的虐待疑惑を追うドキュメンタリー番組[84][動画 3]

日本

  • クローズアップ現代NHK
    • 2023年5月「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」 - 喜多川の児童性的虐待疑惑を追う日本では初めての番組[85]
    • 2023年9月「“ジャニーズ性加害”とメディア 被害にどう向き合うのか」[86]
  • 報道特集TBS
    • 2023年6月「検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任」[87]
    • 2023年8月「「当時しゃべってはいけない風潮あった」70年前の“ジャニー氏性加害”を告白」[88]
    • 2023年9月「ジャニー氏の性加害を認定」[89]
    • 2023年10月「ジャニーズ事務所とテレビ局 番組制作の現場で何があったのか」[90]

所属タレントの反応

一回目の会見~二度目の会見前

2023年9月7日の記者会見当日、日本テレビ系の報道番組『news zero』が放送され、同番組でキャスターを担当する櫻井翔)に対し、メインキャスターの有働由美子がインタビューした映像が放送された。櫻井は会見に対し、「今までの価値観を完全に否定して、全く違う組織になっていくんだというような、強い決意を感じました」と述べ、性加害については「実態というところに関しては、把握し切れていないのが正直なところ。噂という点では耳にしたことはありました」と話した。事務所に対しては、「二度とこうした不祥事が起こらないような環境づくりの徹底を求めたいと思います」とコメントした[91]

同日、毎日放送よんチャンTV』に出演した小山慶一郎NEWS)が「何より一番大きかったのは、うちの事務所が性加害を認めたこと」「ここから具体的に補償や賠償の話がより進んでいく、被害にあわれた方への対応が迅速になっていくと信じています」とコメントした[92]

同日夜、木村拓哉(元SMAP)が自身のInstagramにて 「show must go on!」との文章を投稿した。これは、喜多川が演出する舞台で使用されていた言葉である[93]。しかし、これを受けてSNS上では、「何を考えてるのか」「ジャニーの性加害を肯定し、なおかつ隠蔽に加担してるようなもの」「ジャニーのおかげで地位と権力を得られた恩義があるとはいえ、あまりにも非常識過ぎる」等の批判的な意見が多数見受けられた。それを鑑みてかどうかは不明だが、投稿は9日昼までに削除された[94]

同月8日、TBS系CBCテレビ制作)の『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』に出演した河合郁人A.B.C-Z)が喜多川に対して、「許したくもない、許せない気持ち」とコメントし、事務所の名称については、「“ジャニーズ”という文字を見るだけで不快に思ったり、フラッシュバックしてしまう方がいるんです」「僕個人の中では、変えた方がいいのではないかと思います」と述べた[95]。その後9月22日にゴゴスマに出演した際、東山と橋田が面会したことを受けて、「まずは所属事務所のタレントではなく、被害者の方を第一に考えた動きを。橋田さんも言ってましたけど、まだまだ始まってないですけど、対話する環境を整えないといけないと思っています」とコメントした[96]

同日、毎日放送の『よんチャンTV』に出演した中間淳太ジャニーズWEST)が東山が社長に就任したことについて 、「まずは新体制、新社長について、僕は最初に東山さんが新社長になられると聞いた時にすごく驚いた。というのも外部の人間を雇用するべきだと思っていた。親族経営が問題点の1つであったということから、親族ではないものの身内は身内。そこでちゃんと上手くやれるのかなっていう疑問点。多分、被害者の皆様もお持ちじゃないかなと思う。その点に関しては僕はすごいモヤモヤする気持ちは正直ある」と1人の人間としての思いを語った。その上で「ただ、所属タレントとして東山さんを知っているので、東山さんは本当にステージを愛している方。生涯現役で行きたい人なんやろなって、同じ仕事をしてる人からしたら一目瞭然。そんな方が第一線から退いて、社長業に専念する覚悟は相当なものなんだなって所属タレントとしては言えるので、覚悟はあるんだなって感るんです」と所属タレントとしての思いも述べた。また自身の意見として、「やっぱり思うことはすごくたくさんありますし、まだ自分の中にもモヤがかかっていて、1人の人間として捉えたことと、所属タレントとして捉えたこと。意見っていうのがある意味、自分の中でアンビバレントみたいな感じで、相反してる部分がすごいあるんです」と述べた[97]。翌9日に出演した朝日放送テレビ教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』では、事務所の名称について「僕個人としては、1人の人間としては変えるべきだと思います。ジャニーズという名前を見ただけでフラッシュバックする方もすごくいると思うんです」「ジャニーズWESTの名前がなくなる覚悟もできていると思います」とコメントした[98]。またグループについては『よんちゃんTV』にて、「(ジャニーズWESTとしては)10年やり続けた誇りもありますし、どこのグループにも負けないエンタメ性があると自負している。その自信が根底にあるから、社名が変わろうと、もしかしたら事務所が解体しようと、変わらずに応援してくださるみなさんに、自分たちができることを届けて、生きるパワーを送れたらなと思って頑張り続けます」と述べた[99]。9月29日に『よんちゃんTV』に出演した際、「冒頭で(性加害問題で仕事にも影響が出て)なんでこんな思いをしないといけないんだという気持ちになっているんですが、それ以上に被害者はもっと悲しい思いをしている。やっぱり、フラッシュバックする人も絶対居ると思うんです」と述べた上で、グループ名「ジャニーズWEST」を、変えたくない部分は正直ありつつも、事務所との話し合いを行ない、メンバー全員の総意を持ってグループ名を変えるつもりであることを述べた[100]

同日8日、堂本光一KinKi Kids)が有料会員サイト『Johnny's web』にて、「自分の知っているジャニーさんと違いがありすぎて何が真実でどう受け止めればいいのか、とても難しく感じていました。彼の裏の顔を信じたくない気持ちも正直あります」「実際に被害に遭われた方の事を考えると、その方たちの人生やこれまで感じてきた恐怖、それは想像を絶するものだと思います。恩師だった彼への自分の思いも改めなければならないですね」とつづった[101][102]。その後、自身のInstagramに投稿したジャニー喜多川の肖像画とみられる写真を、全て削除した事が発覚した[103]

同月9日、城島茂TOKIO)が自身がメインパーソナリティーを担当するテレビ朝日系『週刊ニュースリーダー』で、喜多川に対し「いろいろなものを頂きましたが、こんな負の遺産をどうしてくれるんだという思いは正直あります」と述べた[95]。一方で、東山新体制等今後について「後に残った人間、東山新社長の体制で対応していくとは思うんですが、自分たちが何ができるかですが、いきなりは難しいと思います」と自身の考えを表明した。「会見の内容については腑に落ちない意見もたくさんあるとは思う。被害に遭われた方にとっては何十年も我慢されて、今も傷が癒えない方がたくさんいらっしゃると思う。まずは第一歩を踏み出したという意味では、今後、どうなっていくか、自分自身も含めて頑張っていかなければいけないと思っています」と述べた[104]

同月10日、中丸雄一KAT-TUN)が日本テレビ系『シューイチ』に出演した際、東山新体制の人事について「被害に遭われた方のことに全ての労力と時間を注ぎ込むという意味では、2人の起用は妥当なのでは」との見解を示した。「東山さんが権力を使って、私利私欲でかじ取りをすることはまずあり得ない」と新社長への信頼感をのぞかせつつも、「万が一のことを考えて権力は分散させるべきです。外部の方であるのか法律に詳しい方であるのか、フラットな方を布陣に入れて運営させていくのがベスト」「絶対に東山さんと対等に会話ができる人でないと、最低条件としてダメですね」との意見を述べた。またジャニーズの屋号存続には「明らかに変えていくのが妥当な道」と指摘し「あえていばらの道を選んだ」と発言[105]。また、17日に同番組に出演した際に「補償に対しての土台が完成しつつあるのは、少し安ど感はある」、(救済委員会)の人選に関しては、「知見があって経験も豊富でお金の事に対しても物差しがある方だと思うので多くの方の結論が導き出されるといいなという期待は持っている」と述べた[106]。また「最低条件として個人情報の保護を徹底しないとまずい。ただ、電話や対面は嫌と言う人もいると思うので、こうしたホームページでのやり方は最善策だと思う」との見解を示した[107]

同日、舞台『DREAM BOYS』に出演する森本慎太郎SixTONES)が舞台初日に行われた記者会見上で「会見は見ましたし、すごく複雑なところはあります。新体制ジャニーズとして、先がどうなっていくかはまだよくわかってないところも正直ありますが、できることはしたいなと思っています」と述べた。また主演の渡辺翔太Snow Man)は、「もちろん事務所の記者会見も拝見して、本当にすごく事務所が大きな転換期を迎えている最中に、初日を迎える。でも、こういった状況の中で、お客さんは変わらず帝国劇場に足を運んでくださるというところに、本当に感謝しないといけないと思っています。お客さんに楽しんで、笑顔になっていただく。それが僕たちが今できる最善の務めかなと思いますし、笑顔でお客さんを楽しませて、結果でまた新たな未来を構築できればと思います」と述べた[108]

同月11日、日本テレビの『ZIP!』に出演した風間俊介が「周りの方々が『お前らは変わってない。まだ変われていない』、そう言われたとしても、被害者の方をまず第一に考えるべきと私は考えております」「事務所がこの先、変わっていった、新たに生まれ変わったと皆さんに認めていただきたい、認めていただくべく動くっていうのは、その先にあるものですから」と述べた[109][110]。また、「その上で少し懸念していることがある」と切り出し、「性加害問題は本来、被害者のプライバシー。他者の関心が注がれている中で本当に正しい話し合いができるのかどうか、そこを心配している。まだ被害に遭って訴えられていない人たち、その人たちが話しやすかったり、話そうと思える体制を、早くうちの事務所は整えるべきだと私自身は考えています」と述べた[110]

同11日と同月16日、ABCテレビの『おはよう朝日です』に出演した福本大晴Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)も、記者会見に対する意見を求められた際、「イエスかノーではなく、繊細な問題なので、しっかり意見に耳を傾けて説明責任を果たしてほしいですね」「この騒動の中、僕たちから離れずずっと応援してくださっているファンの方々に本当に申し訳ない気持ちと。それ以上に、本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、僕たちはその応援に応えたいと思っている」「事務所に所属するタレントとして、これからできることは前に進むことしかできない」「心の底から、曇りなく笑顔にさせることができるように、本当に頑張っていきたいと思います」と述べた[111]。なお、記者会見が行われる前の同月2日の同番組内では「今後、ジュリーさんが辞任するしないにかかわらず、被害者の方とは生涯向き合ってほしいなと思いますし、辞任したとしても逃げる辞任でなく向き合う辞任であってほしいなと個人的には思うんです」と述べた[112]。10月2日に同番組に出演の際には、「ずっと前から思っていたんですが、(名称は)変えたほうがいいと思っています。被害者と向き合うことを第一に考えた時に、やっぱり僕たちの名前を背負って頑張る以上、自分たちの名前が広がれば広がるほど不幸になるような人がいるっていうのは悔しい思いがあります」と名称変更についての意見を述べた上で「とはいえ、僕は関西ジャニーズJr.に伝統と誇りを持っています。これは名前に持っているのではなくて、先輩が教えてくれたものを後輩に伝える、先輩から後輩へのつながりだったり、関西であまり全国に出られないところをファンの方が応援してくださったりとか、そういう人とのつながりというところに、関西ジャニーズJr.で良かったなと思うことが多い。だから、別に名前が変わっても、僕のその思いは変わらないですし、僕たちがエンタメを届けていきたいという気持ちは変わらないです」と述べた。

同月16日、岡本健一(元男闘呼組)が自身のInstagramのストーリーにて、「約4時間もの時間を使った先日のジャニーズ事務所の会見が 世間で言うところの失敗に終わったと目にしたのですが だとしたら それはマスコミの方々との対話が成り立っていなかったからなのではと 思ったりしました」と投稿した。その後、ストーリーにて「最初に声明を述べた後に先ずはそのことについて語り合う 一方的ではなく噂話や憶測でもなくお互いが自分自身の心の中から出てくる言葉で会話が出来ていればこれからの未来に これからの子供達の身を守るための対話が成立していたのかもしれません」「これからも信頼できる人達との対話で個人的な思いを尊重しあい、共有してから被害を受けた方々との時間が少しずつ作られていくのだと思います」「お互いに自分とは違う人間同士のことですから、時間がかかる場合もあるだろうし、それほど時間を使わずに納得することもあるかもしれませんが、大切なところはあえて報道されないのかもしれません。あえて伝えることはないのかもしれません」と、自身の思いを投稿した[113]

同月16日、読売テレビの『あさパラS』に出演した佐野晶哉(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)がジャニーズ所属タレントの広告起用見送りが相次いでいる現状について、「7年ほど前にジャニーズ事務所に入って『この事務所で努力してデビューしたら、こういった華々しいCMができるんや』と思って、Aえ!groupを5年前に組んで頑張ってきてるので『ジャニーズ事務所所属のタレントは起用しません』って言ってる企業もいらっしゃって、本当に悔しさしかないです。早く信頼回復をしてほしいです」と語った[114]

二度目の会見以降

10月2日、日本テレビ系の『NEWS ZERO』に出演した櫻井翔)が会見をすべて見たとした上で、会見前にメンバー5人揃って説明を受けたと発言。「自由度が増えたり、選択肢が増えたりという一方で責任も大きくなっていくんだろうなというふうに感じている。ポジティブな面もあると同時に、新たな形ですので不安を感じるという面もきょう現在は両方あると感じています」、「全ての可能性をテーブルに乗せてじっくり考えていかなきゃならないなと考えているんです。ここ最近、メンバーと密に連絡を取っているので、メンバーと相談しながら5人で考えていけたらなあと思っています」と発言した。また名称変更については、「何よりも被害者の方のことを考えれば、ジャニーズという名前との決別は絶対に必要だろうなと考えていました。会社を廃業するということのインパクトはあったんですが、以前、再発防止チームが提言された『解体的な出直し』、加えて性加害は絶対に許さないということ、そのこと思えば廃業の他の選択肢はなかったかなというふうに感じております」と述べた上で、「焦りの中にいるというか“遅いな”とか、後手後手だなというふうに感じていました。社名の変更だったり、マネジメント会社を設立する。エージェント会社との分離という話も、前回の会見でも批判を受けてから、今日の発表になったような印象受けております。一方で今日発表した案があるのであれば、もう少し早く発表できなかったのかという思いも正直ある。加えて補償についてはスピード感、しっかり向き合って何より早く対応することが必要と思うのと同時に、今まだ声上げられない人もいらっしゃるので、相談窓口の門戸は長く開けておくこと必要なのかなと感じています」と事務所の対応の遅さを指摘する場面もあった[115]

同日、日本テレビ系『午前0時の森』に出演した村上信五関ジャニ∞)が生出演の場でグループ名の名称変更について、「我々メンバーだけで話してたら、らちがアカン。来年20周年、20年付き合ってる(名前)。公募じゃないけど僕らでこんな感じと言わずに、ファンに相談するかたちにしたいです。」と述べた。また今後の会社との契約の形が決まっていないことから「やりかたとして関ジャニ∞はやめないといけないですが、活動はやめない」、「エージェント契約、どういう形になるかわかってないんで、こっちから交渉はしたい。やめるっていうのはない」と述べた。またTOBEへの合流については「俺らは絶対にありません。TOBEはないです。多分ですけど、向こうも嫌がるでしょ。オレを預かるの。こんなタイプ。タッキー、TOBE行ってからオレに何のオファーもないです」と、TOBEへの合流は無いと断言した[116][117]

同月3日、ジャニーズWESTが自身のファンクラブサイトを通じ、グループへの意見や希望するグループ名を書き込める欄の開設を予定しているとみられる動画を投稿した[118]

同日、河合郁人A.B.C-Z)が朝日放送テレビのニュース情報番組『newsおかえり』に生出演し、新会社とのエージェント契約について「僕の場合は12月に脱退するので、その後にどうなるのか。話し合いながら決めていきたいと思います」としたが、「もしかしたら『株式会社河合郁人』になるかもしれないですけど」と冗談交じりに新会社に“所属”することを表明した。また、ジャニーズが社名を変更して被害者救済のための補償会社として再出発する方針を発表したことについては、「今まで以上に、被害に遭われた方との対話やケアに集中できる場所ができたというのは、良かったなと思います。それをしっかりお伝えできたのは良かったですね」とコメントした[119]

堂本光一KinKi Kids)が2023年12月18日に自身のInstagramのストーリーに、堂本主演舞台の共演者である子役の小野桜介のInstagramに対して誹謗中傷のコメントがあったことに触れ、同時に「話は派生しますが 今起きてる問題だって 元々心に傷を負ってるのにそこに攻撃的な言葉を投げるのは どうであれ絶対に許されない。」投稿し、本性加害においてSNS上にて誹謗中傷をする人達へ苦言を呈した[120]

二回目の会見後の所属グループ、タレントの動向

  • 岡田准一(元V6) - 2023年11月30日をもって退所。理由は、性加害の問題に起因していると事務所側が説明した[121][122]
  • 関ジャニ∞ - グループ名の変更を決定。ファンクラブを通じてグループ名を募集し、その後メンバーによってグループ名を決定し[116][123]、2024年2月4日にFCサイトにてグループ名を『SUPER EIGHT』にすることを報告した[124]
  • Hey! Say! JUMP - グループ名はそのまま継続するが、デビュー曲『Ultra Music Power』は歌詞に「J Johnny’s」という掛け声がある為、今後一切歌わないこととした[125]。それに伴い、YouTubeの公式チャンネルにアップされている同曲のライブ映像等は、10月16日23時59分をもって公開終了となった[126]
  • ジャニーズWEST - メンバー全員の総意を持ってグループ名を変更することを決定[100]。ファンクラブを通じ、グループ名に限らずファンからの声(メッセージ)を送ってもらえるサイトを作り、その意見を基にグループ名を決定する報告をし[127]、2023年10月18日に公式YouTubeチャンネルにてグループ名を『WEST.』にすることを報告した[128]
  • Sexy Zone - 現在のグループ名では一連の騒動の前から海外で活動しづらいことがあったため、グループ名を変更予定。グループ名の変更は、メンバーは4年ほど前から検討していたという[129][130]。なお、新グループ名は2024年4月1日に発表される予定[131]。また、3月31日のグループ名変更と同時に中島健人のグループ脱退も発表された[132]
  • 二宮和也) - 10月24日付でSMILE-UP.を退所し、独立して個人で活動することを明らかにした。ただし、現在活動休止中である嵐が今後再度活動する場合には活動に参加する意向を示した。このような決断に至った経緯として、「1回目の事務所の会見以降に活動に多くの影響が起き始め、怖くなった」と明かした[133]。11月7日、新会社「オフィスにの」を設立したことを公式X(旧Twitter)にて報告した[134][135]

退所したタレントの反応

おりも政夫
2023年5月20日、おりも政夫(元フォーリーブス)が取材で「これはナーバスな問題です。僕は新たなことを言って騒ぎを大きくするつもりはないし、どちらの擁護、弁護をするつもりもない。ただ、傷ついてしまった人たち、僕を育ててくれたジャニーズ事務所の状況、何よりファンの方々が心配です」と話した後、「性加害は許されないことだし、被害に遭ったことを話されている方々のケアはとても大事。ただ、コーちゃん(北公次)は、亡くなる直前まで『ジャニーさんに謝りに行きたい』と言っていた。そして、僕も含めて被害に遭ってない人たちも多くいるわけで、ジャニーズのOBや現役を変な目で見ないでほしいです」と答えた[136]
近藤真彦
近藤真彦も、2023年5月19日の取材で14日に公開された事務所の藤島ジュリー景子社長の動画を「ちょっとしか見ていない」と述べた上で、「言いにくいが、うそはだめだな。こうなったら正直にすべてをしっかり話さないと世の中の人が許さないと思う。知ってた、知らなかったではなく、知っているでしょ。隠し事なし、うそはなしで、しっかりと正面を切って正々堂々と話をしてもらえれば。そうじゃないと納得しない人が多いと思う。僕はもう外に出た人間なのでこれ以上は言えませんが」と語った[137]。その後7月20日に先の発言について、「反響はすごかった。あの時は自分の正直な気持ちを口にしただけ。でも、正解が分かるのは5年後じゃないかな。今は正解は分からないよ」と語った[138]。またその後9月19日の取材で改めて聞かれた際は、「色々と聞かれると思い考えたが、今のところはお話できません。またいつかお話しすることがあると思います。今のところ、そのお話は遠慮させてください」と話すにとどめた[138]。12月23日にマカオで行われたコンサートの記者会見で、引退を表明している東山に対し「(事務所の)長男が継がないといけないルールはないはず。少し背負い過ぎじゃないかな。ファンのことを考えたら、いつの日か復帰してもらいたいですね。」と述べた[139]
田原俊彦
2023年6月12日、田原俊彦が取材で「話したくない。だって、ジャニーズを辞めて30年だよ。そんな人間が言っちゃ、ダメでしょ」と答えた[140]。その後インタビューを受けた際ジャニーについて触れ、「ジャニーさんには迷惑をかけっぱなしでした。ジャニーさんはすごくいい人で、いつからああいうふうになったのか分からないけど、僕たちが出会ったころは事務所自体が倒れそうなぐらい、しんどい時期だったんです。ジャニーさんは僕がレッスンのときには走ってお弁当を持ってきてくれたり、(姉で副社長だった)メリーさんも僕たちの衣装を作ってくれたりしました。僕は事務所がゼロの時代から始まった人間なんです。僕がジャニーズを卒業したのが平成6年。そこから何かが変わったということもあるのでは、と思います。自分の育った事務所からジャニーズという名前がなくなったのは、残念でもあります。」と答えた[141]
田口淳之介
2023年8月10日、田口淳之介(元KAT-TUN)がインタビューで性加害について質問された際、「凄いセンシティブな話題ですし、内部の人間が言うのならわかるけれど、僕みたいな部外者が口を出すようなことではない。僕はノーコメントを貫き通したいと思います」と答えた[142]
高橋和也
2023年5月25日、男闘呼組のライブツアーの愛知公演にて高橋和也が「いま、ジャニーズ事務所がたいへんなことになっているが、俺たちは昔、ジャニーズだったことに誇りを持っている。俺たちの名前『男闘呼組』をくれたのもジャニーズ。いろいろなことを言う人たちがいるけど、それで傷ついている人間もいる。俺たちはこれからもジャニーズを応援するし、みんなにも応援してほしい」とステージ上から観客に語った[143]
植草克秀
2023年9月22日、植草克秀少年隊)が取材で「ジャニーズ事務所が性加害を認めた一方で、所属タレントが一緒のイメージにされるのはかわいそう。彼らにも生活があるし、本当に頑張ってきた人たち」「会社の上の人間たちは、事務所に愛情を持って残っている子たちを大事にして」と述べた。また、メンバーの東山には「生きている限りは夢を諦めることはしなくていいと思う。何かやりたいこと、希望があれば、そんなに幸せなことってない。そこに対して夢を持つことが、僕らがやってきた仕事じゃないかな」と述べた[144]
郷ひろみ
2023年10月9日、郷ひろみがイベントを開催した際のインタビューで本件について質問を受けたが、「そうですね。50年前近く前のことなので、お話できることが何もない、という思いです」と述べた[145]
錦織一清
錦織一清(少年隊)も自身が演出する舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』の取材の際、本件について「会社にいた人間として性加害は残念。今(性加害を)けしからんと思っている人たちと一緒になって言える立場じゃない。(事務所やジャニーを)悪く言って(世間に)認めてもらおうとも思わない」、「ジャニーさんも、つかさんも恩師であるという事実は曲げられない。お許しいただけるのなら、もらった良いものだけは継いでいきたい。僕はやれることがこれしかないので。でも理解してもらうために時間がかかることは分かっているんです」と答えた。また独立を決意した二宮には、「あの形は僕も(在籍時に)事務所に提案していました。二宮くんもいろいろ考えていたんじゃないかな」と述べ、また東山には「意を決したと思う。追い込まれていたんじゃないかな」と述べた[146]
ひかる一平
ひかる一平も取材を受けた際に性加害について、「僕は何かを発言できる立場ではない、と思っています。僕に言えることは、被害者の心のケアをきちんとしてほしい、ということ。そして、大手事務所だからではなく、才能があって努力した人が、オーディションで選抜されるクリーンな世界であってほしい、と願っています」と述べた[147]
赤西仁・錦戸亮
直接言及している内容ではないが、赤西仁(元KAT-TUN)が自身のThreads(スレッズ)に「ジャニーズに戻ってみたいと本気で思っている」「本当だよ」と心境を綴った[148]。なお、錦戸亮(元関ジャニ∞NEWS)が自身のX(旧Twitter)に「まぁ言えることは一つ。組織が好きっていうのが入り口だった人は違うかも知らんけど、自分が好きになった人は今日も明日も好きでいていいんじゃないかなと」「胸張ってそう思ってもらえないんなら、それはただのこっちの力不足だ。さて、明日も頑張ります」と投稿した[149][150]

企業・官公庁等の反応

ジャニーズ所属タレントを広告媒体で起用していた企業の一部は、問題を受けて出演タレントの契約解除や、広告起用の見送りを検討または決定している。そして一部企業は企業のニュースリリースなどで発表している。企業のジャニーズ採用の見送りが連鎖していく様子は「見送りドミノ[151]「見直しドミノ」[152]と称された。なお、起用を見送った企業の多くは見送る期間を「今後の事務所による改善・救済・対策等が行われる事が確認できるまでの間」としており、後に起用を再開した企業も現れている。

起用を見送った企業

東京海上日動火災保険
嵐の相葉雅紀をCMに起用していたが、問題を受けてジャニーズとの出演契約を更新しないことを決定し相葉の契約解除も検討している[153]
日本航空
嵐の櫻井翔と松本潤の契約は継続しているものの、適切な対応が取られることを確認するまでの間、所属タレントの広告起用を見送る方針を明らかにしている[154]
アサヒグループホールディングス
傘下のアサヒビールアサヒ飲料岡田准一[注釈 4]生田斗真ら計23人を起用しており、途中で契約解除はしないものの満了をもって終了とし、明確な被害者救済と抜本的な組織運営の是正が認められない以上は今後、所属タレントを起用しない方針を明らかにしている[155][156]。朝日新聞の取材に対しアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長は「契約更新を行わないと表明したことで、ジャニーズ事務所がこれから被害者の救済と是正に本気になって取り組んでいただけるという効果があるだろう」「マーケティングに影響がないとはいえませんが、代替策を考えます。人権を損なってまで必要な売り上げは1円たりともありません」などと意見を述べている[157]
キリンホールディングス
具体策を公表・実行し、明確な人権方針のもと企業としてのガバナンスを発揮している状態になるまでは現在、起用しているタレントの契約満了をもって今後は所属タレントを起用しない方針を表明している[158]。その後2024年3月7日に声明を発表し、昨年9月に決定した方針に変更はないとしつつも、「一方で、 この問題に直接関与のないタレントに活躍の機会が与えられないことは、タレントの人権を尊重する観点で悪い影響が生じてしまうことも懸念しています」と説明し、SMILE-UP.およびSTARTO ENTERTAINMENTの2社が関与しない形でSnow Man目黒蓮との直接契約を発表した(昨年6月から起用されている「キリン 午後の紅茶」の広告への起用は継続し、発売予定の「キリンビール新商品」への広告起用も予定されている)[159]
日産自動車
人権尊重の方針に反するため、所属タレントを広告や販促で新しく起用しない方針を決めた。ただし、2020年から起用している木村拓哉のCMについては、契約期間満了時点で改めて判断するとした[160]
日本生命保険
かつては所属タレントを広告に起用したことがあったが、所属タレントを今後新たに起用しない方針を取材に対して明らかにした[151]
サントリーホールディングス
SixTONES松村北斗をウェブ広告等に起用しているが、契約終了次第、松村の起用を取りやめ被害者の救済策や再発防止策が十分であるとの納得いく説明があるまでは事務所との新たな契約を結ばないことを表明している[161]経済同友会の代表幹事である新浪剛史社長は「ジャニーズのタレントを起用することは、子供への虐待を認めることで、国際的に非難の的になる」との見解を述べている[162]
第一三共ヘルスケア
嵐の松本潤を広告に起用しているが、秋から放送予定だった松本のCMを取りやめ、十分な対応が取られるまで新たな契約や契約更新もしないことを明らかにした。なお、グループ会社のアイムが販売している化粧品「ブライトエイジ」のプロモーションに生田斗真が起用しているが、こちらも同様に取りやめる[163][164]
日本マクドナルド
木村拓哉を広告に起用しているが、いかなる人権侵害も許容することはできないとして広告の契約期間が満了した後は契約を更新しない方針を明らかにした[164]
花王
グループ会社カネボウ化粧品Sexy Zone中島健人をCMに起用するなど動画広告を含めて複数起用しているが、人権方針に反するとして所属タレントを起用している現行の広告を可及的速やかに中止することを発表した。中島の今後の契約については、事務所の改革や再発防止の取り組みを確認した上で判断する[165]
伊藤ハム
嵐の二宮和也をソーセージのCMに起用しているが、人権を尊重しておりあらゆるハラスメントを許容しておらず事務所が発表した内容を検討した結果、契約の満了をもって更新を見送ることを決めた[166]
トリドールホールディングス
同社運営の丸亀製麺のコラボ商品開発や企業広告などでTOKIOを起用していたが、事務所の取り組み状況を注視し適切な対応がとられるまで今後の所属タレントの起用を見送る方針を示した[167]。その後、2024年4月に起用再開となった[168]
サッポロホールディングス
TOKIOの松岡昌宏[注釈 5]を北海道限定商品「サッポロクラシック[169]のCMに起用しているが、事務所に対して被害者救済や是正を書面で求めており、対応がない限りは所属タレントとの契約を更新しないことを明らかにした[170]。前述のCMは、広告契約を残したまま9月15日をもって停止する[171]
モスフードサービス
上記の記者会見後、人権尊重の取り組みを推進しいかなる性加害についても許されないとしながらも13日からSnow Manラウール渡辺翔太の2人を起用したCMを放送することを発表していた[172]。だが展開を始めた13日の午後、明確な被害者救済と再発防止の取り組みが認められない以上は所属タレントの契約を今後継続しないことを決め、展開中のCMや広告についても速やかに変更することを発表した[173]
明治
嵐の相葉雅紀を広告に起用しているが、対応状況を注視して適切であると判断できるまで所属タレントを起用した広告契約を見送ることを明らかにした[174]
ジェーシービー
嵐の二宮和也をCMキャラクターに起用しているが、被害者の救済と再発防止の具体化や実行が確認されるまでは新たな広告での起用を見送ることを報告した[175]
カゴメ
Travis Japanを販売促進に起用しているが、いかなる種類のハラスメントも一切容認しないとし記者会見の内容などを社内で検討した結果、期間満了をもって更新しない予定である[176]
森永製菓
嵐の櫻井翔や関ジャニ∞を初めとした複数の所属タレントを広告に起用し、上記の記者会見後になにわ男子大西流星が出演の新CMを発表していたが問題の解決に向けた具体策の速やかな実行が確認できない限り契約満了後の更新は行わないことを明かした[177]。その後、2024年4月9日に「ハイチュウ」「ハイチュウプレミアム」の新CMになにわ男子が起用される事が発表された[178]
森永乳業
井ノ原快彦を広告に起用しているが、適切な対応がとられることを確認できなければ契約期間満了後は更新を行わないことを明かした[179]
東急不動産ホールディングスグループ
東急リバブルの広告に岡田准一[注釈 4]を起用しているが、再発防止策や被害者救済の実施状況が確認できるまでは新たな契約をしないことを明らかにした[179]
あいおいニッセイ同和損害保険
岡田准一[注釈 4]となにわ男子の西畑大吾の2人を広告に起用しているが、事務所が適切な対応を取らなければ契約は期間満了をもって更新はしないと発表した[179]。なお、現在展開している広告も中止することを明らかにしている[180]
佐川急便
嵐の松本潤を広告に起用しているが、契約の解除はしないものの媒体は屋外広告に限定し、上記の記者会見以降は松本の出演したCMを別のCMに差し替えている。契約更新については事務所の再発防止策と被害者の救済、ガバナンス体制の見直しを確認した上で更新を検討したいとした[181]
アフラック生命保険
がん保険のCMに嵐の櫻井翔を長年にわたり起用している。しかし今回の報道を受け、櫻井が出演のCMを他のタレントのCMに差し替えた。その上で「人権尊重は企業として当然の責務であり、いかなるハラスメントも認めない」「抜本的改革を実施するには不十分と受け止めざるを得ない」として契約見直しを表明した。今後について、ジャニーズ事務所との広告契約を解除した上で櫻井と事務所を通さない個人契約を結ぶことなどを検討している[182]
日清オイリオグループ
嵐の二宮和也、なにわ男子の西畑大吾の2人を広告に起用しているが事務所の企業体質が改善しない限り、期間満了をもって契約を更新しない予定と明言した[183]
ライオン
岡田准一[注釈 4]と嵐の相葉雅紀の2人を広告に起用しているが、所属タレントを起用したCMの放映を中止しその他の広告、販促物等の展開も可及的速やかに中止する。現在の契約は更新しないものの、今後新たに契約する場合は事務所を通さずに行うこと等について協議している[184]
バスクリン
SixTONESの髙地優吾を起用した新CMを発表していたが、タレント本人に問題はなくとも事務所の対応が不十分であると判断したため髙地のCMを見送り、契約は満了をもって終了すると発表した[185]。その後、2024年1月5日に「問題解決に向けて一定の前進がある」として見送りを撤回し、CMを放映することを発表した[186]
ブルボン
SixTONESの松村北斗を広告に起用しているが、事務所の補償対応などを見て判断し期間満了をもって松村との契約を終了すると明らかにした。なお、松村が出演するCMは5月中旬から放映を中止している[187]
大阪ガス
ジャニーズWESTのメンバーをCMに起用しているが、15日までにCMの放映を中止し当面、別のサービスのCMに切り替え、広告契約の更新は2023年度内に判断する方針である[188]
日本特殊陶業
岡田准一[注釈 4]をCMなどに起用しているが、事務所の一連の問題とそれに対する事務所の対応について検討した結果、現在の広告の使用を停止し期間満了をもって契約を更新しないと明らかにした[189]
コーセー
嵐の松本潤や関ジャニ∞(キャンジャニ∞)、Snow Manの目黒蓮を広告に起用し、子会社のアルビオンが新商品のアンバサダーにSnow Manの渡辺翔太を起用していたが、十分な改善が認められるまでは所属タレントの新たな契約や起用を見送ると発表した。契約タレントの情報を掲載する公式サイトの削除や販促物の撤去などは予定していないが、流通企業の意向などを踏まえ、適応に対応していく方針[190]。なお、この声明が発表される以前、上記の記者会見直後にはアルビオンの小林章一社長が自身のX(旧Twitter)アカウントで渡辺のアンバサダー就任に対する感謝や契約を継続する意思を示していた。しかし、のちにJ-CASTニュースの取材に対し広報担当者は「現在のアンバサダー契約は続けるものの、次回の更新の予定はありません」と回答していた[191]
朝日新聞社
タレントとの契約は事務所の人権に対する姿勢も考慮するとして、9月16日に所属タレントの新規契約については当面見合わせると発表した[192]
トヨタ自動車
過去に木村拓哉[193]と契約していたトヨタ自動車は9月19日、イギリスのBBCに対し「今後は所属タレントと契約する予定はございません」と話した[194][195]
セントラル警備保障
岡田准一[注釈 4]を2019年からCMに起用していたが、事務所の対応が確認できていないため9月17日以降はCMの放映を見送っている。岡田の契約については事務所の今後の対応を受け、判断するとしている[196]
久光製薬
嵐の二宮和也、ジャニーズWESTの重岡大毅、Snow Manの岩本照の3人を広告に起用していたが、事務所の対応が十分ではないと判断し現在の広告を順次やめ、対応が取られなければ現在の契約も期間満了をもって更新しないことを明らかにした[197]
バレーボールワールドカップ(フジテレビ)
1995年大会から実施されていたジャニーズ事務所属タレントの起用を見送った[198](上記の会見を受けてのものではなく、7月時点で決定済みだった方針)。
アパマンショップエイブルリクルート出光興産
出演タレントの契約解除や広告起用の見送りを決定したことを受けて、これらの企業ではジャニーズ事務所所属タレントが出演しているCM出稿を停止し同事務所所属タレントが出演していないCM、出光興産のようにジャニーズ事務所所属タレントの楽曲を使用していないCM、または公共広告ACジャパンなど)への差し替えを行っている[199]

この他にも、セブン&アイ・ホールディングスセブン-イレブン)やファミリーマートのようにジャニーズ事務所所属タレントを起用している商品の販売促進キャンペーン実施を急遽取り止めたケースも発生している[200][201][202]

起用を継続した企業

上記の対応が相次ぐ一方で「故ジャニー喜多川氏の問題。CMの放送中止などは考えていない」「タレントは被害者だ」との考えを示す企業もあり、対応が分かれている[153][203]

P&Gジャパン
生田斗真・Sexy zoneの菊池風磨を筆頭に4人の所属タレントを起用しているP&Gジャパンは会見を受けて、事務所に対し「被害者の救済や再発防止策に向けた具体的な行動計画を提示することを強く求めてまいります」とのコメントを出したものの、ジャニーズ事務所に所属するタレントのテレビCM起用に関しては、今すぐの取りやめはせず「一連の取り組みの内容及び成果に基づいて判断する」とした[204]
アキュラホーム
ハウスメーカー「AQ Group」を展開しているアキュラホームは、嵐の相葉雅紀を起用した新CMの放映を9月23日から開始した。相葉の起用は既に1月に決定され、ジャニーズ事務所との間で新規契約を締結済みであり、CMの撮影も会見前に完了していたが前出の会見では不十分と判断してCM放映を一旦保留としていた。だが、当事者の会がジャニーズ事務所所属タレントとの取引を即座に停止することを希望していないことや、国際連合が定めている『ビジネスと人権に関する指導原則』では契約解除などは最終手段として示されていることを踏まえて相葉のCMの放映を決断したとの声明を発表している[205][206][207]
全薬グループ
なにわ男子の大橋和也を起用している全薬グループは10月9日、大橋が出演している新CMの放映を開始した。その上で同社は公式サイトにて性加害問題について触れ、「世界中で起きていると思われる問題の一つと認識しており、そういった問題がない世の中であるのが望ましいと思っています。全ての人が性的、金銭的その他いかなる意味においても搾取されることなく、自由に自分らしさを表現できる社会の仕組みが構築されていくことを願っています」との声明を出した[208][209][210]
不二家
Snow Manをブランドキャラクターとして起用していた不二家は、「今後については、事務所の動向を注視し、しかるべき対応を検討する」としつつも、現段階では変更せず、起用を継続すると発表した[211]
ひらかたパーク(京阪ホールディングス)
岡田准一を長年起用していたひらかたパーク京阪ホールディングス)は、「性暴力は容認されない」としつつも、「枚方市出身で地元に貢献したいとご本人が引き受けてくれたという経緯があり、契約を継続していけないか検討している。」と発表があった[212]。その後、岡田が2023年11月30日をもって事務所を退所し独立する旨の発表を受け、契約を継続すると発表した[213]

日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長(住友化学代表取締役会長)も「人格侵害や犯罪行為は断じて許さないという企業の基本姿勢を内外に示すことは大変重要」としながらも、「日々研鑽を積んできたタレントの活躍の機会を奪うことは、それはそれで問題だ」と指摘している[214][215]

当事者の会も、「タレントにも人権はある。いささか性急すぎる」「タレントたちは全然悪くはないと思う。むしろ被害者側だ」とのコメントを述べている[216][217]

起用を見送った官公庁・自治体

農林水産省
TOKIOの城島茂[注釈 5]を障害者の農業への参加を促す「ノウフクアンバサダー」に任命しているが13日、事務所を訪問して説明を求めたものの事務所側から十分な説明が得られなかったため、城島のアンバサダーとしての活動を当面見合わせる方針を固めており[218]、新たな所属タレントの起用も行わない考えを示している。宮下一郎農林水産大臣(自由民主党長野県連会長)も「城島さんご自身の活動には大変感謝していますが、所属しているジャニーズ事務所の人権を尊重する姿勢やコンプライアンスの取り組みなどを十分確認する必要があります」と述べている[219]
東京都
9月時点で所属タレントとアンバサダーなどの契約はないものの、小池百合子東京都知事都民ファーストの会特別顧問)が本問題について「重大な人権侵害」と指摘し、コンプライアンスの問題を解決するまでは都として事務所と新たな契約を結ばない方針を明らかにした[220]。ただ、同事務所に所属する風間俊介がパラスポーツの振興とバリアフリー推進に向けた懇談会に参加していることについては元々ボランティアであり、契約関係にあるものではないと小池知事も説明しており、今後についても個人の承諾を得る形で関係を継続することに期待している旨を話している[221]
愛知県
大村秀章愛知県知事日本一愛知の会・元会長)も「国際世論は非常に厳しい」との認識を示し、事実関係の解明や被害者救済が終わるまで県としては所属タレントを起用しない方針を明らかにしたが、「タレントさんに罪はなく、彼らも被害者だと思います」と述べた。2022年度にはA.B.C-Z河合郁人を観光文化大使に起用していたが、今回の方針を受けて河合の過去の出演動画やホームページ上の写真の公開を停止した[222][223]

起用を継続した官公庁・自治体

警察庁
TOKIOの城島茂[注釈 5]を特殊詐欺防止の広報啓発活動に起用しているが、事務所ではなく城島個人にも依頼しているものであるため、対応を変更する予定はないとしている[224]
福島県
バーチャル組織「TOKIO課」[注釈 5]を設置している。「性加害は絶対にあってはならないですが、今後も活動していただけるのであればサポートしていきたいと思っております」として同組織を継続する方針を明かし、公開予定のCMも予定通り制作するとしている[225]
大阪観光局
大阪府大阪市などで作る公益財団法人。大阪観光シンボルキャラクターに関ジャニ∞を任命していることについて、吉村洋文大阪府知事日本維新の会共同代表)も起用継続の方針を示している[226]

政治家の反応

2000年

第147回国会

4月13日、衆議院議員(当時)の阪上善秀はこの問題を衆議院の「第147回国会青少年問題に関する特別委員会」で取り上げ、『週刊文春』の報道やヒアリングをもとに「ジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います」と警察庁法務省など関係省庁の局長らに質問を行った[227][228]。阪上は質問の中で、「先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられた」という話を息子から聞いた母親の手紙を紹介している[227][229]。政府参考人の黒澤正和警察庁生活安全局長も、飲酒と喫煙についてジャニーズ事務所に対して厳重注意を勧告したことを認めている[227]

阪上の「十二歳の少年がセクハラ行為を受けたという報道もありましたが、刑法によれば、十二歳以下の少年にわいせつな行為をした者は強制わいせつ罪にも問われると思いますが、いかがですか」という質問に対して、法務省の古田佑紀刑事局長が「一般論として申し上げますれば、刑法では、十三歳未満の少年についてわいせつな行為をしたときには、それ自体で強制わいせつ罪が成立することとされております」と回答した[227]

「条例違反や児童福祉法違反、強制わいせつ罪は、被害者からの訴えがなくても捜査の対象となると思いますが、いかがですか」という阪上の質問に対して古田刑事局長も「一般論を再び申し上げることになりますけれども、今御指摘のような犯罪につきまして、被害者からの被害申告あるいは告訴、このようなことが捜査を開始する要件とされているわけではないというふうに理解しております」と回答し、黒澤生活安全局長もこれに同意している[227]

阪上が国会でこのような質問を行ったのは一種の賭けであったが、元芸能記者で東京都目黒区議会議員(当時)の須藤甚一郎も主流メディアがこの問題で明らかになったことを報道するかわからない状況のためだと述べた。なお、当時喜多川と事務所は文藝春秋との係争中だった[230][228]

このように喜多川の性加害疑惑は国会でも議論されたが、これを機に警察の捜査が進むことはなかったと思われる[228]

2023年

第211回国会

5月31日、元ジャニーズJr.の二本樹顕理が国会内で立憲民主党のヒアリングに応じ、「(自分が事務所に)在籍していた1年半の間だけでも、入所時期の近いジャニーズJr.たち十数人の被害を耳にした」と証言した[231]

5月26日、立憲民主党が児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)の改正案を衆議院に提出し[232]、6月5日、元ジャニーズJr.が同法の改正を求める署名を6政党(自民党公明党・立憲民主党・日本維新の会国民民主党日本共産党) に提出した[233]が、成立は見送られた[234]

6月12日、岸田文雄内閣総理大臣は喜多川の性加害問題に関連し対策会議を開く方針を明らかにした[235]。第1回の会議は翌13日に開かれた[236]

閉会中

7月26日、政府は子どもや若者の性被害防止に向けた緊急対策を決定した。男性・男児に特化した相談窓口を9月にも新設することを盛り込み、保育所などでのわいせつ行為を含む虐待に通報を義務付ける児童福祉法改正も検討する。加害防止に向けては、経済的・社会的地位に基づく影響力を利用するなどの不同意性交等罪を規定した改正刑法の趣旨や内容を国民に広く周知するほか、子どもと接する仕事に就こうとする人には、性犯罪歴がないことを確認する仕組み「日本版DBS」の導入を検討する[237]

9月7日、松野官房長官は喜多川の性加害問題に関して「性別にかかわらず、どのような状況に置かれた子ども・若者であっても性被害に遭うことはあってはならない」と述べ、上記の緊急対策を実施する考えを示した。ジャニーズ事務所の記者会見に対しては、「個別事業者の対応にコメントは差し控えて参ります」と述べた[238]

その他の反応・出来事

CULEN、TOBEの反応

女性週刊誌の『女性セブン』はCULEN飯島三智社長[注釈 6]TOBE滝沢秀明社長[注釈 7]に対し、本件に関しての見解を求めた。質問は、以下の通り[239]

  1. ジャニーズ事務所が設置した再発防止特別チームの聞き取り調査にかかわっているか。
  2. ジャニー喜多川前社長のセクハラや性加害について認識していたか。
  3. 実際に現場を目にしたり、ジャニーズJr.やデビュー済みのタレントから被害相談を受けたことはあるか。
  4. 2003年に東京高裁でジャニー氏によるセクハラ被害報道の真実相当性が認められた事実を認識しているか。また、認識していた場合、問題があると考えていたか。
  5. ジャニー氏と直接、セクハラや性加害について、話し合ったことはあったか。
  6. 自身の監督・管理責任に問題はなかったか。

これに対し、CULENは顧問弁護士を通じ質問事項1、2、3、5に関しては「すべて該当することはありません。」、4「ご質問の意味がわかりません」、6「自身は役員ではなく、マネジメント室長という肩書のみでした」と回答した。尚、TOBEは「担当者よりご連絡させていただきます」との返事はあったが、期限までの回答は無かった[239]

滝沢社長は2023年12月22日、TOBEのタレント全員が出演するTOBEとして初コンサートとなる東京ドーム公演開催の記者会見にて、性加害について初めて言及した。滝沢社長は「自分ががコメントすることが正しいのか間違っているのか分からないですが、一個人の意見としては見守りたいです。新たなスタートを切るタイミングでもあると思う。やっぱり過去のタレントさんたちはすごく大事ですし、今もその気持ちは変わっていません。」と答えた。またTOBEタレントとの共演についても支障がないとしつつもこの問題はエンターテイメントには乗せない、と自身の見解を示した[240]

日本労働弁護団の反応

日本労働弁護団は当該問題を受け、2023年7月24日に緊急声明を出してジャニーズ問題をはじめとする芸能界の性被害・ハラスメント撲滅のための「法的な環境整備」が必要だと訴えた[241]。また芸能界を中心に表現活動をしている人向けに、LINE電話で無料相談を受け付ける期間限定の「芸能界ハラスメントホットライン」を開設した[241]

キャンセル・カルチャーの指摘

過去の不祥事を理由にジャニー喜多川やジャニーズ事務所を排斥しようとする動きは、キャンセル・カルチャーの一例であるとしばしば指摘されている[242][243][244]。評論家で漫画家の小林よしのりも、本問題を「史上最大のキャンセルカルチャー」と評している[242]

ニューヨーク在住ジャーナリストのシェリーめぐみは、ジャニーズ事務所が関ジャニ∞やジャニーズWEST、ジャニーズJr.などのグループ名や屋号を変更する決定をしたことについて、アメリカではハーヴェイ・ワインスタインの犯罪が発覚した後も、「1人の犯罪者のために皆が犠牲になるのはフェアではない」との考え方から、彼がプロデュースした作品が放映禁止・配信削除になっていないことを挙げた上で、名称等変更の前に犠牲者への償いが果たされるべきと考えるアメリカのZ世代には、ジャニーズ事務所の決定が臭いものに蓋をしたように見えていると述べている[245]

また一般にキャンセル・カルチャーの問題点として、法の不遡及の原則の無視・法治主義から逸脱が指摘されている[246]。今回も、ジャニーズ性加害問題当事者の会がジャニーズ事務所に対して「具体的な補償額についても法を越えた救済を図るよう求めます」と要望しており[247]、事務所側も消滅時効に関わらず法を超えた補償を行うと宣言した[248]。これについて小林は「法治主義の破壊」と表現した[244]

男性の性暴力被害への関心の高まり

ジャニー喜多川による性加害疑惑報道によって男性の性暴力被害に対する関心が高まっており[249]、元所属タレントが性被害を公表する姿に背中を押され、新聞に性被害の経験を掲載した男性もいる[250]

誹謗中傷・セカンドレイプ

ジャニーズ事務所所属のタレント・元所属タレントで、誰が性被害を受けていたのかを暴露しようとする動画が横行している。

ジャーナリストの松谷創一郎も「2023年6月初旬時点での実名・顔出しで声をあげた人々がSNSで苛烈な誹謗中傷を受け続けており、そのストレスは計り知れないもので将来的に大量の民事訴訟に発展しても不思議ではないほどだ」と述べた[251]。証言者の橋田康も朝日新聞のインタビューで、「自分と同じような被害者がもう出ないように」との思いで行った証言と、関係者への思いや現状との板挟みの苦しみ、SNS等で誹謗中傷を浴びせられて感じた辛い心境を答えており、インターネット上で、性被害という問題のセンシティブさ、そこに生身の人間の被害者がいるということが忘れられ、追い詰める風潮がある[252][動画 4]

『週刊文春』によると、自称ファンのアカウントによるSNSでの実名告発者への誹謗中傷は続いており、櫻井翔が2023年6月5日『news zero』(日テレ系)で「お伝えしたいことの一つは臆測で傷つく人がいるということ(中略)あらぬ臆測を呼ぶことは、何よりも避けなくてはいけない」とコメントしたことで、「臆測で現役タレントを傷つけているのは告発者だ」とSNSでの攻撃がヒートアップしている[253]。『週刊文春』は、カウアン・オカモトのインタビュー記事が文春オンラインに掲載された直後から、ジャニーズタレントのファンを自称するアカウントを中心にSNSでの誹謗中傷が始まったこと、5月16日に国会で行われたヒアリングにカウアンと橋田が参加すると、政治に働きかけたことを批判する声が増えていったこと、カウアンはパニック障害を再発し休養を余儀なくされたがそれでも実名告発者への誹謗中傷は加速し、さらに櫻井の6月5日『news zero』(日テレ系)でのコメントを受け、SNSでの攻撃がヒートアップしたことを報じている[253]

清水陽平弁護士も、「SNS上の〈嘘つき〉や〈枕営業〉などは名誉毀損に当たる可能性がある」「プロバイダ情報開示請求をして書き込んだ人を特定すれば、損害賠償請求が出来る」「内容により侮辱罪で告訴することも可能」「有罪になれば、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるでしょう」と指摘している[253]

ライターロマン優光も誹謗中傷はジャニーズファンだけではなく、左派やリベラルの支持するものならなんでも反対するような所謂「ネット右翼」層によるものも存在すると指摘している[254]。そうした右派保守系の界隈と、旧ジャニーズファン界隈が合体してしまうという珍しい現象も発生し、「反日団体や韓国北朝鮮に資金が流れる」などという根拠不明の陰謀論まで出てきているという[255]

なお、ジャニーズ事務所はこの問題は黙認していると指摘されている[253]。『週刊文春』はジャニーズ事務所に「ファンが告発者たちを攻撃していることについて対策の準備はあるのか、櫻井の“憶測”発言は事務所との相談の上だったのか」などを質問したが回答はなかった[253]

2023年10月2日、ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦が、同日行われた2回目の記者会見の冒頭で誹謗中傷が相次いでいることに触れた上で「被害に遭われた方は本当につらい思いをして、一人でずっと抱え込んだと思います。それがようやく声を上げられた、その勇気を無駄にしたくない。その勇気があったからこそ、この会社が大きく変わろうとする動きになった」として、この行為を止めるように呼び掛ける事態になった[256][257][258]

2023年9月22日、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」代表の平本淳也が神奈川県警察に被害相談した際、誹謗中傷が数万件にのぼることを明かした[259]。同年10月10日に平本は告訴状を提出し、県警は告訴状を受理した[260]

2023年11月14日、同年10月中旬に「性加害問題当事者の会」に所属していた40代の男性が大阪府箕面市の山中で遺体で発見されたことがメディアで報道された。男性はメディアに性被害を告発後、誹謗中傷を多数受けており、遺書のようなメモも発見され自殺とみられている[261]

ジャニーズファンの反応

告発本が相次いで発売された後、近年はジャニーズ事務所を辞めたタレントがこの問題に公に触れる機会はなく、ファンの間でもタブーとなっていた[262]

2021年には、元7MEN侍の前田航気がインタビューの中で喜多川のセクシャルハラスメントやジャニーズJr.と喜多川の性交があったことを語ると、SNSでは「なぜ話すのか?」といった否定的な反応や「グループの名前を汚さないでほしい」と言ったファンの声が見られた[262]。前田はインタビューの告知ツイートを削除し、インタビュー記事も当該部分がカットされた[262]。2023年のBBCによるドキュメンタリー番組の内容を紹介する日本語記事に対して、「なぜ今蒸し返すんだ」「ファンなら大体知っている」「それを承知で芸能界でいい思いしたのだから」「別に今さら」「芸能界ってそういうもの」といった、性的虐待問題を認識したうえで、報道することを否定するコメントが並んだ[263]

オーストラリアマッコーリー大学上級講師で、日本やアジアのアイドル文化を研究するトーマス・ボーディネットが「日本のファンの多くは『自分が推す(好きな)タレントには関係ない』とか『事務所を守らないと、推しの活躍を見られなくなってしまう』と考えているのかもしれません。売れなかったタレントが僻んで告発しているだけだ、と思っている人もいるのでしょう。ですが、ジャニー氏が人々に夢を与えてきたことと、若者を搾取してきたことは別の問題です。」と述べ、喜多川がやったことを放置し続ければ、「『権力者ならば、どんな罪を犯しても代償を払う必要はない』という誤ったメッセージを若者たちにも送ることになってしまいます」と、その問題を指摘している[263]

ジャーナリスト聖心女子大学デイビッド・マクニール教授もカウアン・オカモトの記者会見以来、ファンは「自分たちが愛し、共に育った家族みたいな会社は、もしかして根底から腐っていたのか?」という、苦しく不快な事実に直面せざるを得なくなったと述べている[62]

またジャーナリストの藤田直哉が朝日新聞で「当初は、性被害を告白した者に対するジャニーズファンたちのセカンドレイプと否認の書き込みがあちこちで目立っていた。いわく、彼は嘘をついている、お金目当て、成功しなかった嫉妬、自分の推しに迷惑をかけるな、ジャニーズを潰したいK-POP勢力の謀略だ、などなど。女性が性被害を告発した際に似たような反応をする男性はよく見かけてきたが、男性が被害者の場合は女性が同じようにするのだとはっきり見えてしまった。いわゆる『有害なファンダム(ファン集団)』が可視化してしまったのだと言える。」と、当初のファンの言動を批判している[264]。その中でも一部のファンは、女性の性被害の告発を「ナニカグループ」による陰謀と主張するゲームクリエイターの暇空茜と合流して陰謀論に傾倒した[265]

一方、ファンの中からは被害の訴えを無視せず、検証してほしいと事務所に働きかける行動も生じた。2023年5月12日、ジャニーズファンの有志らによる「PENLIGHT」が記者会見をし、1万6000人の署名が集まり、「ジャニーズ事務所で起きた性被害の検証」についてジャニーズ事務所側に郵送したと発表した。TBSではこの会見を地上波のニュース番組『Nスタ』『news23』で報じ、カウアンへのインタビューも放送した[266]

ジャニーズ事務所外での炎上

ジャニー喜多川の性的虐待疑惑に関して各媒体にて言及していた松尾潔も、それまで業務提携していたスマイルカンパニーから契約期間の途中で契約解除された。松尾は同社所属の山下達郎竹内まりやも同社の方針に賛意を示したと述べた[267][268]。山下は2023年7月9日に放送されたラジオ番組山下達郎のサンデー・ソングブック」内で、松尾の発信した内容を否定した[注釈 8][269][271]。あわせてラジオ内で「『忖度』あるいは『長いものに巻かれている』と、そのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっと、そういう方々には、私の音楽は不要でしょう」と山下は発言し締めくくり、SNS上ではこの発言に対する炎上が発生した[272]

インドネシア初代大統領スカルノの元第三夫人でタレントのデヴィ・スカルノ(日本名:根本七保子、通称:デヴィ夫人)は2023年7月18日、国連人事理事会による被害者への聞き取り調査の報道に対し喜多川の功績と人柄を称え、国連の調査に反発しTwitterで被害者を批判する自説を展開、被害を告発した元所属タレントの発言を「勇気ある告白」と述べ社名変更にも言及した東山を、恩を仇で返していると糾弾した[注釈 9]。このデヴィ夫人の人権意識の欠如した発言に批判が集まり、炎上状態となった[274][273][274]。カウアンは喜多川の功績が全て消えるわけではないが、子どもの対する性加害は卑劣な行為であると指摘しデヴィ夫人に冷静・慎重に発言をすることを求めるツイートを行った[275]国連特別報告者(現代的形態の奴隷制担当)の小保方智也も名指しはしないが、明らかにデヴィ夫人を批判する形で問題点を指摘するツイートを行った[注釈 10][276]。デヴィ夫人は同年10月10日に「過日 私はジャニー喜多川氏について庇護する発言をXに表明致しましたが、さまざまな報道で私の全く知らない喜多川氏の愚行を知り、驚きと共におぞましく感じました」と、それまでの発言を撤回し謝罪している[277]

ジャニーズ事務所マネージャーによる性的虐待疑惑

週刊文春は、2023年6月15日号でジャニーズ事務所では喜多川だけでなく男性マネージャーもタレントたちに性的虐待を加えていたとして加害を行ったマネージャー本人のインタビューを掲載した[278]。文春編集部は「事務所内での性加害が、常態化していた疑いを示すものである。」と評している[278]

2023年8月29日、外部の専門家による再発防止のための特別チームによる会見で喜多川による性加害以外に、事務所の社員による性加害があることを確認したと報告された[279]

外部リンク

国連ビジネスと人権の作業部会

国連ビジネスと人権の作業部会が2023年8月に行った報告。

外部専門家による再発防止特別チーム

外部専門家による再発防止特別チーム(林眞琴、飛鳥井望、齋藤梓)が2023年8月に行った会見。

本チームの調査報告書は下記である。なお、調査の必要上から性加害に関する詳細な表現がある。

脚注

注釈

  1. ^ 「抗拒不能」とは、被害者の抵抗が著しく困難な状態という意味であり、準強制性交(準強姦)や準強制わいせつは、抗拒不能か心神喪失でなければ罪は成立しないと解釈されている。
  2. ^ 「やはりジャニーズ事務所の影響力は非常に大きい。特にテレビ、そして本来であればテレビがやらないことは週刊誌など雑誌業界の出番なんですけど、(大手出版各社が)所属タレントのカレンダーを発売するなど、きっちり利益共同体ができあがっている。大手出版各社を事務所が押さえていたというのはやっぱり相当強かったんだろうと思います」[53]
  3. ^ 本来は関東地方のみで放送される番組だが、一部のJNN系列局でも順次遅れネットを実施。
  4. ^ a b c d e f なお、岡田は2023年10月2日に11月末をもってジャニーズ事務所を退所することを発表している。
  5. ^ a b c d TOKIOのメンバーはジャニーズ事務所の所属タレントではないが、関連会社の株式会社TOKIOに所属。
  6. ^ SMAPの元マネージャー
  7. ^ タッキー&翼のメンバーでジャニーズアイランド初代社長
  8. ^ 山下のラジオでの発言は次の通り。「ネット週刊誌の最大の関心事はですね、私がジャニーズ事務所への忖度があって、今回の一件もそれがあって関与したのではという、根拠のない臆測です。今の世の中は、なまじ黙っていると言ったもの勝ちで、どんどんどんどんウソの情報が拡散しますので、こちらからも思うところを、正直に率直に、お話しておく必要性を感じた次第であります」、「まずもって、私の事務所と松尾氏とはですね、彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので、雇用関係にあったわけではない。また、彼が所属アーティストであったわけではなく、解雇にはあたりません。弁護士同士の合意文章も存在しております。松尾氏との契約終了についてはですね、事務所の社長の判断に委ねる形で行われました。松尾氏と私は直接話をしておりませんし、私が社長に対して契約終了を促したこともありません。」、「性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許し難いことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。」[269][270]
  9. ^ デヴィ夫人は、喜多川の死後の告発は「死人に鞭打ちではないか。本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない」「昨今の流れは偉大なジャニー氏の慰霊に対する冒涜、日本の恥である」等とツイートした[273][274]
  10. ^ 「某有名人から最近出されたジャニーズ事務所の性加害疑惑関する発言に、深い懸念を表明します」「未成年で被害を受けたとされる方々に即時法的措置などを求めるのは、非現実的で人権を著しく侵害する発言と解釈されても仕方ありません」と指摘した[276]

出典

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参考文献

関連項目