「チンチラ」の版間の差分
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穏やかな性質で、よほど怯えさせない限り、人間を怪我させるほどに強く噛みつくことはほとんどない(指や肌への甘噛みをさかんに繰り返すことはある)が、チンチラ同士では命に関わるほどの喧嘩をする場合があり、複数匹を同時飼育する際には注意が必要。<ref name="book">リチャード・ゴリス「ザ・チンチラ」他、飼育書での指摘多数</ref> |
穏やかな性質で、よほど怯えさせない限り、人間を怪我させるほどに強く噛みつくことはほとんどない(指や肌への甘噛みをさかんに繰り返すことはある)が、チンチラ同士では命に関わるほどの喧嘩をする場合があり、複数匹を同時飼育する際には注意が必要。<ref name="book">リチャード・ゴリス「ザ・チンチラ」他、飼育書での指摘多数</ref> |
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正しく飼育された健康なチンチラは10~15年、 |
正しく飼育された健康なチンチラは10~15年、長ければ20年ほども生きるために、猫・犬を飼う覚悟で飼わなければならない。<ref>動物雑誌「アニファ」(スタジオ・エス刊)2008年11月号の記事によれば、リチャード・ゴリス飼育下のチンチラの一匹は25歳半まで生きたとされている</ref> |
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チンチラはめったに病気をしないが、いざ病気となった際にチンチラを診察することができる獣医師は多くなく、事前に探しておかなければ断られることもある。<ref name="book"/> |
チンチラはめったに病気をしないが、いざ病気となった際にチンチラを診察することができる獣医師は多くなく、事前に探しておかなければ断られることもある。<ref name="book"/> |
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2008年11月10日 (月) 20:29時点における版
?チンチラ | ||||||||
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チンチラ |
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分類 | ||||||||
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目 : | ネズミ目(齧歯目) Rodentia | |||||||
亜目 : | ヤマアラシ亜目 Hystricognathi | |||||||
上科 : | テンジクネズミ上科 Caviomorpha | |||||||
科 : | チンチラ科 Chinchillidae | |||||||
属 : | チンチラ属 Chinchilla |
学名 Chinchilla lanigera 和名 チンチラ 英名 Chinchilla
チンチラはチンチラ科に属する齧歯類で、チンチラ属 (Chinchilla) またはその1種 C. lanigera を指す。原産は南アメリカのアンデス山脈である。
18世紀から20世紀初頭にかけて毛皮用として珍重されたばかりに乱獲され絶滅寸前にまで個体数が減少したが、現在はワシントン条約付属書Ⅰ(citesⅠ)絶滅のおそれのある種としてチンチラ属全種が厳重に保護されている。これにより学術目的以外の野生個体の輸出入は禁止されている。 現在、日本においてペットとして飼育されているものは、研究目的によって輸入された個体を永代繁殖して、それがブリーダーに渡り繁殖されたものである。
体長は25 cm~35 cmで、体重は400 g~600 gである。寿命は10年から15年で、性成熟は生後4ヶ月~6ヶ月頃。1度に生まれる子供の数は1~4匹。
チンチラの種類
広義のチンチラである Chinchilla には、C. brevicaudata、C. lanigera、C. costina の3種が属する。うち、ペット化されているのは一般にC. lanigeraである。
近縁種
同科別属にヴィスカーチャ、ヤマヴィスカーチャがいる。チンチラネズミは別科である。
毛皮
チンチラの毛は刺し毛(ガードヘア)が退化し、また綿毛(アンダーコート)の密度が高いため柔らかく手触りが良く、保温性に優れている。 一方で刺し毛の退化により非常にデリケートな為、長持ちはせず、取り扱いにも注意が必要である。
チンチラの毛の密度は他に並ぶものがないほどに緻密であり、ひとつの毛穴から一本の刺し毛と、50~100本もの綿毛が生える。 刺し毛は綿毛の直立を支え、これが前述の手触りの良さと保温性を生む。
上記の性質からチンチラの毛皮は高級毛皮製品の材料として広く知られ、現在も珍重されているが、個体あたりから得られる毛皮の量は多くなく、一つの製品を作るためには相当数の毛皮が必要とされる。
ペットとしてのチンチラ
大きな声では鳴かず、きれい好きで体臭・糞尿の臭いもほとんどない。 丸い容姿は可愛らしく、与えられた餌を器用に手で持って齧るなど、仕草に愛嬌があり、ユーモラス。
警戒心が強いが好奇心も旺盛なため、チンチラは人に馴れやすく、抱っこもたやすい。 頭もよく、わずかな訓練で簡単に手乗り・肩乗りをしつけることができる。 ただし人に馴れやすくはあるものの、大抵は気まぐれな性格であり、犬や猫のように飼い主に懐くとは限らない。
穏やかな性質で、よほど怯えさせない限り、人間を怪我させるほどに強く噛みつくことはほとんどない(指や肌への甘噛みをさかんに繰り返すことはある)が、チンチラ同士では命に関わるほどの喧嘩をする場合があり、複数匹を同時飼育する際には注意が必要。[1]
正しく飼育された健康なチンチラは10~15年、長ければ20年ほども生きるために、猫・犬を飼う覚悟で飼わなければならない。[2] チンチラはめったに病気をしないが、いざ病気となった際にチンチラを診察することができる獣医師は多くなく、事前に探しておかなければ断られることもある。[1]
飼育環境
湿気と温度変化に弱く、チンチラにとって毒となるような野草であっても無警戒に口にすることがあるため、屋内飼育が基本とされる。
しかしチンチラは運動能力が高く、体長20cmほどのチンチラであっても、走る速度は人間の歩く速度よりはるかに速い。 加えて成長したチンチラのジャンプは高さ1m前後にも達するため、狭いケージに囲っての飼育には向かない。 ケージ内だけではチンチラが必要とする運動量をまかなえないと感じるなら、飼い主の生活する室内にチンチラを放して散歩させることができるが、木製やプラスチック製の家具、本、壁紙、電気のコード類を好んで齧り破壊するため、注意と(高価な家具や電化製品が破壊されても構わないという)覚悟がいる。 ケージ内に回し車(チンチラの背骨に負担をかけないよう、直径三十センチ以上のものが望ましい)や齧り木を取り付けることで、チンチラのストレスをある程度解消してやることができる。
複数のチンチラを同時に飼育する場合、特に複数のオスを同時に飼育する場合は、チンチラ同士の喧嘩を警戒する必要がある。 喧嘩の程度や頻度は予想がつかないため、一匹につきひとつのケージを用意し、普段はそれぞれの個体を別のケージに分けて飼育するのが望ましい。同性の親子や、仲のよいオスメスのカップルは、喧嘩することなく一つのケージで暮らすことができる場合もあるが、怪我や病気の際の隔離、連続妊娠(チンチラは出産と同時に妊娠可能であるため、出産の前後はオスメスのペアを別にしないと、出産で体力の落ちたメスが間断なく妊娠してしまう危険がある)の回避のためなどには、やはり個別のケージが必要となる。[1]
基本的には夜行性であり、就寝中もわずかな物音で目を覚ますため、昼間は静かな環境が必要。一方、夜は活発に活動する(中には飼い主の生活サイクルに合わせて活動するチンチラもいるようだ)。 睡眠時間は一日十二時間ほどにもなる[3]が、短いサイクルでの睡眠と覚醒を繰り返し、完全に安心しきっている環境以外では、熟睡することはあまりない。
体毛にはラノリンが分泌されるので、それを落とすために定期的な砂浴びが必要である。放置すると毛が固まってヘアーボールを作り、皮膚疾患や毛を飲み込んでの毛球症の原因となる。[1]
乾燥した環境を好み、飼育時の温度は18℃から23℃程度が適しているとされる。 温度管理は重要で、高温に弱く、26℃を超えたあたりから熱射病にかかる危険が発生する。 その一方で低温にも弱く、冷房の風が直接あたるような寒すぎる環境では肺炎にかかる危険があり、ともに致命的。[1][4]
餌
餌にはチモシーなどのイネ科の牧草を主食として、アルファルファやチンチラ用に調合されたペレット類を副食として与える。 粗食によく耐える生態であり、成長期と妊娠中を除けば、高カロリー高栄養な餌を与える必要はほとんどない。
チンチラには胆嚢が無く、脂肪の分解能力に劣る。このため、高脂質な場合が多いウサギ、モルモット、ハムスター用の餌などは代用にならない。
また、ウサギ同様切歯も臼歯も生涯伸び続けるので、牧草のように歯を使い、量を摂取できる餌(飲み下すまでに十分な咀嚼の必要な餌)を主食としないと、#不正咬合のリスクが高まる。
おやつ
一般に知られる齧歯類の食の好みとは異なり、チンチラは生の野菜や果物に興味を示さない場合が多く、通常与える餌としてはあまり向かないが、乾燥させたものは概ね喜んで食べるため、これらを少量「おやつ」として与えることができる。
必要性の是非はともかく、チンチラは甘いものが大好きである。 人間用に加糖や調理されていない(油や塩分、他添加物を避ける意味がある)、ごく少量のドライフルーツ類(マンゴー、パイン、バナナ、レーズンなどが定番として知られる)を「おやつ」として与えることは、チンチラのしつけや、コミュニケーションを取るための手段として利用できる。
しかし、チンチラは容易に偏食するので、嗜好性の高い「おやつ」を与え過ぎると、普通の餌をあまり食べなくなってしまうようになる(つまりは間接的に不正咬合発症のリスクを増やすことになる)ほか、栄養の偏りによる脂肪肝をはじめとする内臓疾患や、極端な例では甘いおやつの与え過ぎが歯のう食(虫歯)を引き起こす原因となることもある。
代表的な疾病
不正咬合
不正咬合の発症は、主に普段の食事内容が原因と考えられている。 小動物の不正咬合は治療が難しく、摂食障害や口内にできてしまった傷からの感染症に発展する、命に関わる深刻な病気だが、発覚した時点ではほとんど取り返しがつかない状態まで進行してしまっている場合が多いため、日々の観察と食事の管理は非常に重要である。[1][5]
運よく程度の軽い初期のうちに発見できた場合は、食事療法での回復も期待できるが、重篤な場合は歯を削ったり、抜歯するなどの外科的な処置が必要となる。これらの処置はチンチラにとって大きなストレスであり、成功率も高くはない上、成功して以降も大抵は定期的に歯を削り続ける必要があるため、チンチラだけでなく飼い主にとっても非常な負担となる。
関連項目
外部リンク
脚注
- ^ a b c d e f リチャード・ゴリス「ザ・チンチラ」他、飼育書での指摘多数
- ^ 動物雑誌「アニファ」(スタジオ・エス刊)2008年11月号の記事によれば、リチャード・ゴリス飼育下のチンチラの一匹は25歳半まで生きたとされている
- ^ Bioscience Series「睡眠」、井上昌次郎著より
- ^ 適温については諸説あるが、いずれにしても夏は高温多湿、冬は氷点下まで気温が下がることのある日本の気候の下での飼育には、冷暖房の適切な使用が必須と考えられている
- ^ なお、食生活に問題がなくとも、先天的に不正咬合を発症しやすいチンチラがいることが報告されており、性質が遺伝すると考えられているため、そのようなチンチラは繁殖させないことが推奨される
参考文献
- David Alderton「Chinchillas」AnimalPlanet、2007年
- 「Chinchillas」Barron's Educational Series,Inc、1999年(原題「Chinchillas」Gräfe und Unzer Verlag GmbH,Munich、1997年、ドイツ)
- Lani Ritchey「The Joy of Chinchillas」Chinchilla Lovers Association、1997年
- リチャード・ゴリス「ザ・チンチラ」誠文堂新光社、2002年