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「守り人シリーズ」の版間の差分

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Akatsuki444 (会話 | 投稿記録)
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蘭秋 (会話 | 投稿記録)
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* ISBN 978-4037500801 (2008年7月、軽装版)
* ISBN 978-4037500801 (2008年7月、軽装版)


タルシュ帝国と交戦状態にあるサンガルは、勝てないと知り降伏、新ヨゴを罠にかけようとする。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、祖父のトーサ(海軍大提督)を、罠と知りながら敵地に送り込んだ父帝に激怒し、トーサと共に行くことになってしまう。そして予想通りサンガルに拿捕され、虜囚となってしまい、トーサは自殺してしまう。虜囚となったチャグムは狩人であるジンや数名の海士と共に逃亡をはかるが肩に銛を受け、タルシュ軍に捕まる。そしてタルシュ帝国に連れて行かれ
タルシュ帝国と交戦状態にあるサンガルは、勝てないと知り降伏、新ヨゴを罠にかけようとする。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、祖父のトーサ(海軍大提督)を、罠と知りながら敵地に送り込んだ父帝に激怒し、トーサと共に行くことになってしまう。そして予想通りサンガルに拿捕され、虜囚となってしまい、トーサは自殺してしまう。虜囚となったチャグムは狩人であるジンや数名の海士と共に逃亡をはかるが肩に銛を受け、タルシュ軍に捕まタルシュ帝国に連れて行かれてしまう


=== 天と地の守り人 ===
=== 天と地の守り人 ===

2009年2月8日 (日) 10:53時点における版

守り人シリーズ(全10巻)
ジャンル ファンタジー
小説:精霊の守り人
著者 上橋菜穂子
出版社 偕成社
発売日 1996年7月 - 2007年2月
ラジオドラマ:精霊の守り人
演出 真銅健嗣
放送局 NHK-FM
番組 青春アドベンチャー
発表期間 2006年8月7日 - 18日
収録時間 15分
話数 10話
ラジオドラマ:闇の守り人
発表期間 2007年4月16日 - 27日
その他 同上
アニメ:精霊の守り人
原作 上橋菜穂子
監督 神山健治
脚本 神山健治菅正太郎
櫻井圭記岡田俊平檜垣亮
キャラクターデザイン 麻生我等
アニメーション制作 Production I.G
製作 「精霊の守り人」製作委員会
放送局 NHK-BS2
放送期間 2007年4月7日 - 2007年9月29日
話数 26
漫画:精霊の守り人
作者 藤原カムイ
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 月刊少年ガンガン
レーベル ガンガンコミックス
発表期間 2007年4月号 - 2008年8月号
巻数 全3巻
全1巻(愛蔵版)
漫画:ジン〜アニメ精霊の守り人外伝〜
原作・原案など 中江美紀
作画 麻生我等
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 ヤングガンガン
レーベル ヤングガンガンコミックス
発表期間 2008年9号 - 2008年17号
巻数 全1巻
テンプレート - ノート

守り人シリーズもりびとシリーズ)は、上橋菜穂子による異世界ファンタジー小説のシリーズ作品である。旅人シリーズを含む。全10巻。

概要

児童文学として出版されたが、ファンの年齢層は幅広い。短槍使いバルサが主人公の物語は題名に「 - の守り人」と付き、皇子チャグムが主人公の物語は題名に「〜の旅人」と付く。両物語は最終話(天と地の守り人)で合流する。

この物語の構想につき、作者は、レンタルビデオの洋画の予告編で見た、炎上するバスから子供を抱えたおばさんが脱出するシーンにあると述べた。

2006年8月から、NHK-FM青春アドベンチャー」枠で『精霊の守り人』のラジオドラマが放送された。2007年4月より同作品の再放送と共に『闇の守り人』の放送もされた。

また、『精霊の守り人』はアニメ化された。詳細はテレビアニメを参照。

2007年3月より「月刊少年ガンガン」にて藤原カムイによる漫画版が連載し、コミック3巻にて連載完了した。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


世界観

この作品の世界には、目に見える人間の世界(サグ)と目に見えない精霊の世界(ナユグ)がある。この二つの世界は同じ時、同じ場所に重なって存在する。呪術師は呪術によってナユグを見たりそこの生き物と話したりできる。また、ごく一部の人間(主に子供)は、呪術を用いなくてもナユグが見えることがある。まれにサグとナユグの交わる場所があり、カンバルの山の底、青霧山脈の谷間などがそうである。物語に主に登場する国は、新ヨゴ皇国、カンバル王国、サンガル王国、ロタ王国の 4 国だが、後半になると海の向こうの大国であるタルシュ帝国およびそれに征服された枝国(属国)も登場する。言語は国によって異なり、国によって宗教も異なる。

あらすじ

精霊の守り人

短槍使いの女バルサは、青弓川に流された新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムを救う。彼はその身に、この世(サグ)と重なって存在する異世界(ナユグ)の水の精霊ニュンガ・ロ・イム〈水の守り手〉の卵を宿していた。チャグムの母、二ノ妃は、バルサにチャグムを連れて逃げるよう依頼する。新ヨゴの建国伝説では初代皇帝トルガルが水妖を退治したとされ、水妖に宿られたチャグムを、皇国の威信を守るため父帝が秘密裏に殺そうとしているのだ。同時に、チャグムは、ニュンガ・ロ・イムの卵を食らうナユグの怪物ラルンガからも命を狙われていた。チャグムを連れて宮から脱出したバルサは、卵がチャグムの体を離れる夏至まで、幼馴染の呪術師タンダやその師匠のトロガイと共にチャグムと暮らし始める。バルサもかつて幼い命を奪われかけ、父の親友で短槍の達人ジグロに助けられて故郷カンバルを離れた経験があった。そのころ星読博士のシュガは、チャグムに宿った卵の精霊がかつてトルガルが倒したとされる水妖と同じだと考え、過去の記録を調べはじめる。そこでシュガは、トルガルの伝説が歪曲されたものであるということと、本当はニュンガ・ロ・イムが雨を降らせて作物を助ける存在だということを知る。

闇の守り人

チャグムの護衛を無事に終えたバルサは、ジグロの供養のため自らの故郷のカンバル王国に向かう。バルサが幼い頃、王の主治医であったバルサの父親は王弟ログサムにおどされて王を毒殺させられた。口封じに自分共々バルサが殺されるのを恐れた彼は、親友で100年に1人と言われる天才短槍使いジグロにバルサをつれて逃げるように頼んだ。それ以後バルサはログサムが死ぬまでジグロと共に逃げ、短槍を習い、生き抜いてきた。その後ジグロが死に、用心棒となったバルサは、チャグムの護衛を終えて自らの過去を清算しようと思い立ったのだった。しかしカンバルに帰ってみると、ジグロは王即位の儀式に使う国宝の金の輪を盗んだ謀反人の汚名を着せられていた。黒い闇に包まれたカンバルをバルサが救う。

夢の守り人

バルサの幼馴染、タンダの師匠トロガイはかつて、農民の女としての、先の見えた鬱屈とした人生に絶望していた。そんな時、夢の中の美しい湖畔の宮殿で、彼女は一人の男と恋に落ち、子を産み落とした。バルサは、人攫いたちに追われていた旅の歌い手、ユグノを救う。彼は、リー<木霊>たちに愛された、リー・トゥ・ルエン<木霊の想い人>だった。一方、第一皇子の死により皇太子となっていたチャグムは憂鬱だった。タンダやバルサなどに出会い、民衆の暖かさを知ってしまった彼が宮の暮らしを喜ぶはずはなく、ましてや、一度は自分を殺めようとした帝を尊敬出来る訳もなかった。毎日不満を漏らすチャグムにシュガはつい、密かに自分が街におりてトロガイに呪術を習っていることを話してしまう。一気に懐かしさが増した彼は、その夜、夢の中で聞こえる声に惹かれ目覚めなくなってしまう。そのころ、皇子を亡くしたばかりの一ノ妃など目覚めなくなった者は他にもいた。タンダの兄の娘カヤもその一人であった。カヤを助けようと一人で呪術を行い、敵の罠にはまってしまうタンダ。肉体をすべて「花」に乗っ取られつつも、なんとか心を乗っ取られるのを防いだタンダは夢の中でチャグムを見つける。

虚空の旅人

新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは隣国のサンガル王国の〈新王即位ノ儀〉に出席するため、相談役のシュガを伴い望光の都〈サンガル・ヤシーラ〉にはいる。そこでサンガルの開放的な国の様子に魅了される。だが、このサンガル王国を支配しようとするタルシュ帝国からの密使、南のヨゴ人の呪術師が〈ナユーグル・ライタの目〉となった少女の体を使い、チャグムと親しくなったサンガルの第二王子、タルサン王子に呪いをかけ、次代の王となるカルナン王子に重傷を負わせる。チャグムは呪術師の陰謀を洗い出そうとする。

神の守り人

秋ごとの「ヨゴの草市」に行くタンダにつきあって、ロタ王国との国境に近い宿場町を訪れたバルサは、そこで人買いに連れられた兄妹に出会う。彼らはロタでは忌み嫌われる〈タルの民〉の子供だった。偶然にもバルサたちと同じ宿に泊まった人買いたちは、目に見えぬ何者かにのどを切り裂かれて死に、兄チキサもバルサも傷を負うが、妹アスラは無傷で気絶していた。さらに宿で火事が起こり、バルサはさらわれかけたアスラを救うが、タンダとチキサはとらわれる。兄妹を追っているのは、タンダの知り合いでロタの呪術師スファルとその娘シハナだった。はるか昔、タルの民の娘が、血を好む残酷な鬼神タルハマヤを宿してサーダ・タルハマヤとなり、全ロタ人を恐怖の圧政で支配したこと、そして幾百年を経た今、その恐ろしき神が少女アスラを通り道として束の間現われたことを、スファルはタンダに語る。ゆえにアスラは消されねばならないのだと。だがサーダ・タルハマヤの再臨を望む者たちもまた、ロタ王国に網をめぐらしていた。

蒼路の旅人

タルシュ帝国と交戦状態にあるサンガルは、勝てないと知り降伏、新ヨゴを罠にかけようとする。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、祖父のトーサ(海軍大提督)を、罠と知りながら敵地に送り込んだ父帝に激怒し、トーサと共に行くことになってしまう。そして予想通りサンガルに拿捕され、虜囚となってしまい、トーサは自殺してしまう。虜囚となったチャグムは狩人であるジンや数名の海士と共に逃亡をはかるが肩に銛を受け、タルシュ軍に捕まりタルシュ帝国に連れて行かれてしまう。

天と地の守り人

迫り来るタルシュ帝国の脅威に新ヨゴ皇国は鎖国をおこなう。新ヨゴへの出入りが禁じられて帰国入国ができなくなった人々の国境破りを世話していたバルサは、自分のことを探していた元・新ヨゴ海軍の上級海士に出会う。彼に託されていたジンの手紙で、バルサは、公式には死んだとされているチャグムの生存と、目的を知る。大国タルシュの侵攻に対抗するため、たった一人でロタ王国に同盟を求めに行ったというチャグムを心配し、バルサは彼の行方を追う。

流れ行く者

王の奸計により父を殺された少女バルサと暗殺者の魔の手から親友の娘バルサを救ったがゆえに反逆者の汚名を着ることになったジグロ。ふたりは故国を捨て酒場や隊商の用心棒をしながら執拗な追ってをかわし流れあるく。その時々にであった人々もまたそれぞれに過去を持つ流れ行く者たちであった。番外編にあたる守り人短編集。全4話収録。

収録作品

  • 浮き籾
  • ラフラ<賭事師> ISBN 978-4791701629ユリイカ 2007年6月号収録)
    • 13歳のバルサは、ロタ王国の酒場で、ススット(サイコロを使う遊戯)をする老ラフラ(賭事師)のアズノと知り合う。アズノは、氏族長の重臣ターカヌと 50 年に及ぶ長いススットの勝負を続けていた。そして老いたターカヌに代わり勝負を継いだ孫のサロームと、公開で勝負の決着を付けることになる。
  • 流れ行く者
  • 寒のふるまい

年表

以下に各作品におけるバルサとチャグムの年齢を示す。なお、守り人の世界では数え年である[1]

バルサ チャグム 季節 作品
30 11 精霊の守り人 開始
31 12 精霊の守り人 終了
闇の守り人 開始
32 13 闇の守り人 終了
夢の守り人
神の守り人 開始
33 14 新春 虚空の旅人
神の守り人 終了
34 15 蒼路の旅人 開始
35 16 蒼路の旅人 終了
天と地の守り人 開始
36 17 天と地の守り人 本編終了
37 18 天と地の守り人 後日譚

登場人物

バルサ
「守り人シリーズ」の主人公。物語開始時は 30 歳。カンバル人。女性ながら「短槍使いのバルサ」の通り名を持つ凄腕の短槍使い。子どもの時に王の主治医だった父親が政権争いに巻きこまれ、バルサも口封じに殺されるところを、父の友人だったジグロに助けられてカンバル国外に逃亡する。諸国を逃亡中に彼女に武術の才能を見出したジグロに短槍を教え込まれる。ジグロが病気で死んだ後は彼に習った格闘や短槍の腕を活かして各地で用心棒稼業をしている。ジグロと共にトロガイの家に居候していたことがあったためタンダとは幼馴染で、槍の稽古で怪我をする度に彼の治療を受けていた。
チャグム
「旅人シリーズ」の主人公。物語開始時は 11 歳。新ヨゴ皇国の第二皇子だったが精霊の卵の事件の直後に第一皇子が死んだため皇太子となる。もともと気骨のある賢い少年であったが、数奇な経験による精神的成長を経て、若くして名君の器と言われる。たまにナユグが見え、タンダのおかげで少しだけ呪術も使える。一時宮を離れ庶民の暮らしに触れたため、民を思う気持が強い。父帝との間には消せないわだかまりと相容れない気質の違いが、越えられぬ壁となっている。異母の弟妹がいる。
トロガイ
当代一と言われる呪術師。物語開始時は約 70 歳。もの凄い気力・体力の持ち主であり、とてつもない火事場の馬鹿力を発揮する場面もある。先住民ヤクーの生まれであり、各地を放浪している。
タンダ
トロガイの弟子。薬草治療に長け、お人好しでのんびりとした性格。バルサを大事に思っている。幼い頃から、人の顔に死の影を見たり、魂を探す鳥が見えたりしたため、親兄弟にも変人扱いされていた。ヨゴとヤクーの混血(母方の祖母がヤクーで、いわゆるクオーター)。
ジグロ・ムサ
百年にひとりといわれた天才的な短槍使い。バルサの育ての親。ナグル王の武術指南役で、バルサの父カルナの親友。陰謀にまきこまれたカルナのたのみで、バルサの命をまもるためすべてを捨て、国を出て放浪。刺客として放たれたかつての友と戦うという苦しみを背負う。バルサとともにトロガイの小屋に身を寄せたことがある。
シュガ
新ヨゴ皇国の星読博士で聖導師見習い。チャグムの教育係も兼ね、宮廷内でチャグムが信頼を置く相手である。密かにトロガイからヤクーの呪術や世界観を学んでいる。
トーヤとサヤ
新ヨゴ皇国の市場の片隅で何でも屋を営む孤児たち。何でも屋の名の通り、客に頼まれたものは市場で何でも調達してくるのが職業。よく旅に出ているバルサとトロガイの橋渡し役を務めることが多い。2度目に登場したときには結婚していた。
アラユタン・ヒュウゴ
タルシュによって滅ぼされたヨゴ皇国の戦災孤児から身を起こし、現在はラウル王子の密偵をしている。若さに似合わぬ切れ者で、「蒼路の旅人」でチャグム誘拐を行なった人物。火事が苦手らしい。
作者は「蒼路の旅人」より前に、少年時代の彼を主人公とした「炎路の旅人」を出版する予定だった(今現在、出版予定は未定)。

主な登場国

新ヨゴ皇国
バルサ・トロガイ・チャグム・タンダ・シュガなど、物語中の中心人物ほぼ全員の住む国(バルサの場合は定住していないので最近生活している国)。モデルは日本。作中より約250年前に、海を隔てて南に位置する「ヨゴ皇国」から王位継承権争いを嫌い、海を渡って来たトルガルによって建国された移民国家。
最高権力者は帝(みかど)で、彼は3人の后をめとることができる。また、皇族は神の子孫と信じられており、その目には神通力が宿ると信仰されている(実際はそのような力は無い)。この国では、王位継承権を自分から破棄することはできず、継承権から逃れる方法は死ぬ(病死か事故死、またはそれに見せかけた暗殺)以外ほとんどない。
この国において最も特徴的な制度が、星読博士の制度である。この制度は、新ヨゴ建国を担った大聖導師カイナン・ナナイが作った制度で、星の位置や空の様子を見ることによって未来を占う、「天道」という学問を学ぶことに基づいた出世制度である(身分を問わず、広く才能のあるもののみを選び出す)。作中に出てくる人間でこれに関わる人間は、星読博士のシュガと聖導師ヒビ・トナンである。聖導師は政治にも深く関わる重要な役職で国の闇の部分にも深くかかわっている。
帝直属の暗殺者を、狩人という。それらは世襲制で、いずれ劣らぬ武術の達人であり、また暗殺もこなす凄腕の武人たちからなる。その他の兵力は、あまり強力ではないらしく、屈強な軍という表現はされていない。建国以来戦を経験しておらず、数百年前にヨゴ皇国で著された「戦法百覧」という兵法書が現在でもそのまま重んじられている。
カンバル王国
新ヨゴ皇国の北、青霧山脈を越えていった向こうにある国。十の氏族があり、それぞれを氏族長が治め、それを束ねるのがカンバル王である。王都に住む。氏族長筋の男たち(氏族長の息子あるいは弟。カンバルでは武人の血は父から息子に流れるとされる)から選ばれた槍の使い手が、〈カンバル王の槍〉として、王を補佐する。貧しい国で、自給できる食糧は痩せた土地でも栽培できるガシャ(芋)と、カンバル・ヤギの乳くらいしかないため、唯一の財源、ルイシャ(青光石)によって近隣国から穀物を買い入れている。この宝石は《山の王》からの贈りもので、およそ二十年ごとに《山の底への扉》が開き、〈王の槍〉とその従者が山の底の闇へ下って持ち帰るものだが、《ルイシャ贈りの儀式》の内容は固く秘されており、余人が知ることはない。兵数は決して多くはないが、短槍を操る騎兵の屈強さは近隣諸国に知れ渡っている。
ロタ王国
新ヨゴ皇国の隣国である。北部の氏族は貧しく、南部は豊かなため格差が激しく、たびたび衝突が起きる。ヨーサム王が統治し、その弟イーハンが兄を助ける。また、ロタ人のほかに、タルの民という、おそろしい神を招く力のある〈異能者〉がうまれ、ロタを支配する、という言い伝えがある民がいて、彼らは陰に隠れて生きている。ロタは騎馬民族で、強力な軍隊を持っている。モデルの明言はないが、インド風である。
タルシュ帝国
南の大陸にある超大国。帝国主義で、ヨゴ皇国をはじめとする他の国々を次々と併呑し北へ迫る。サンガルはおとされ、新ヨゴ、ロタ、カンバルと狙いをさだめている。身分は関係せず、能力しだいで出世できる。圧倒的な軍事力を誇る。兵役があり、国獲りにより豊かになった国である。タルシュ人は赤銅色の肌をし、銀色の目をもち、大柄である。しかし民族による差別はなく、枝国(属国)の様々な肌の色の者が重要な官職に就いている。二人の王子、長男のハザールと次男のラウルがおり、手柄を競っている。帝都はラハーン。モデルの明言は無いが、オスマン・トルコ風である。
サンガル王国
新ヨゴ皇国の南に位置し海に面している国。大陸と多くの島からなる。海洋国家で、貿易や漁業が盛ん。王はカルナン。国風は自由だが、みな計算高い。

用語

短槍
武術に用いる槍で、バルサやジグロなどが使用する。北のカンバル王国で盛んであり、同国の王の護衛である「王の槍」は最強の短槍使いとして名高い。
ヤクー
現在新ヨゴであるナヨロ半島に昔から住んでいた人種。ヨゴ人が海を渡って来た際には戦いを避け、山間部へ退いたが次第にヨゴ人と交わるようになっていった。トロガイはヤクーであり、タンダは混血である。ヨゴ人との混血を繰り返しているため、純粋なヤクーは現在ではそれほど多くない。サグやナユグという独自の世界観を持つ。
サグ
ヤクー達の世界観で言う「こっちの世界」で、人々が普通に生活している世界。ナユグと重なって存在しており、場所によってナユグとの重なりが大きい場所がある。
ナユグ
ヤクー達の世界観で言う「あっちの世界」で、精霊などがいる世界。サグと重なって存在する。カンバルなどにも、似たような呼び名がある。呪術を用いて見ることができるが、普通に見ることができる者もたまにいる(アスラやチャグムなど)。季節のサイクルが非常に長い。
ルイシャ(青光石)
カンバル原産の青く発光する宝石。非常に高価で、カンバルの国庫を担う重要な輸出品である。どのように産出するかは秘密にされ、ごく一部の者しか知らない。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


ラジオドラマ

青春アドベンチャー」(NHK-FM)でラジオドラマ化。各回15分、全10話。

放送日
  • 2006年8月7日 - 18日「精霊の守り人」全10話、2007年4月2日 - 13日再放送
  • 2007年4月16日 - 27日「闇の守り人」全10話
スタッフ
声の出演

テレビアニメ

2007年4月7日 - 9月29日に、NHK-BS2衛星アニメ劇場枠で放送された。全26話。また、2008年4月5日に、NHK教育テレビが土曜日午前9時からの枠で、再放送を開始した。なお、電通三菱商事グループが設立したアニメ製作共同投資ファンドが出資している[2]

バルサの年齢は物語開始時に30歳であるが、不美人というわけではなく、アニメの出来には満足している、と作者は発言している。また、放送に先立ち、2007年1月19日放送のNHK総合テレビにんげんドキュメント」に、監督の神山健治が出演している。

第1話の川の風景は、神山監督の故郷である秩父の風景がモデルである。

声の出演

スタッフ

  • 原作:上橋菜穂子
  • 監督・脚本:神山健治
  • 助監督:吉原正行
  • キャラクターデザイン:麻生我等
  • 美術監督:竹田悠介
  • 色彩設計:片山由美子
  • 撮影監督:田中宏侍
  • 音響監督:若林和弘
  • 音楽:川井憲次
  • プロデューサー:横山真二郎、松田章男、松本寿子→南部奈保子、西村知恭
  • アニメーション制作:Production I.G
  • 製作:「精霊の守り人」製作委員会(電通、ジェネオンエンタテインメント、NHKエンタープライズ、Production I.G)

主題歌

オープニングテーマ

SHINE
歌:L'Arc〜en〜CielKi/oon Records)、作詞:hyde、作曲:tetsu、編曲:L'Arc〜en〜Ciel・西平彰

エンディングテーマ

愛しい人へ
歌:タイナカサチSISTUS RECORDS)、作詞・作曲:タイナカサチ、編曲:安部潤

サブタイトル

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 女用心棒バルサ 神山健治 河野利幸 後藤隆幸
2 逃げる者 追う者 岡田俊平
神山健治
別所誠人 佐山聖子 杉光登
3 死闘 櫻井圭記
神山健治
橘正紀 新留俊哉 中村悟
4 トロガイの文 檜垣亮
神山健治
吉原正行 高橋幸雄 山中正博
5 秘策、青い手 岡田俊平
神山健治
別所誠人 上田繁 近藤圭一
6 青霧に死す 菅正太郎
神山健治
河野利幸 杉光登
7 チャグムの決意 檜垣亮
神山健治
増井壮一 佐山聖子 熊谷哲矢
8 刀鍛冶 櫻井圭記
神山健治
新留俊哉 後藤隆幸
9 渇きのシュガ 岡田俊平
神山健治
橘正紀 ながはまのりひこ 中村悟
10 土と英雄 菅正太郎
神山健治
増井壮一 上田繁 大久保徹
11 花酒をタンダに 檜垣亮
神山健治
河野利幸 近藤圭一
12 夏至祭 櫻井圭記
神山健治
佐山聖子 馬越嘉彦
13 人でなく虎でなく 岡田俊平
神山健治
橘正紀 石川健介、中村悟
飯島弘也、後藤隆幸
近藤圭一、下村一
14 結び目 菅正太郎
神山健治
増井壮一 丸山宏一
15 夭折 檜垣亮
神山健治
新留俊哉 後藤隆幸
16 ただひたすらに 櫻井圭記
神山健治
橘正紀 初見浩一 井川麗奈
17 水車燃ゆ 岡田俊平
神山健治
佐山聖子 杉光登
小谷杏子
18 いにしえの村 菅正太郎
神山健治
横山彰利 鹿島典夫 後藤隆幸
19 逃亡 檜垣亮
神山健治
増井壮一 山崎浩司 中村悟
20 狩穴へ 櫻井圭記
神山健治
笹木信作 柿本広大 大久保徹
21 ジグロ・ムサ 岡田俊平
神山健治
新留俊哉 近藤圭一
22 目覚めの季(とき) 菅正太郎
神山健治
増井壮一 初見浩一 山中正博
飯野利明
23 シグ・サルアを追って 檜垣亮
神山健治
横山彰利 河野利幸 杉光登
小谷杏子
24 最後の希望 櫻井圭記
神山健治
河野利幸 佐山聖子 窪田康高
25 岡田俊平
神山健治
錦織博 橘正紀 中村悟
26 旅立ち 菅正太郎
神山健治
石山タカ明 吉原正行 後藤隆幸
近藤圭一

参考

  1. ^ 精霊の守り人 コミュニケーションボード 過去ログ 48 上橋菜穂子: 「新ヨゴ皇国では、昔の日本と同じように、年を越す度に、ひとつ年をとるという感覚です。ですので、「誕生日」のような意識はないと思っています。」
  2. ^ dentsu.co.jp
  • 上橋菜穂子「守り人がひらく世界」(青土社、2007年5月)「ユリイカ 詩と批評」2007年6月号 ISBN 9784791701629

外部リンク