「ゴルトベルク変奏曲」の版間の差分
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== 脚注 == |
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2009年9月9日 (水) 06:09時点における版
ゴルドベルク変奏曲( - へんそうきょく, ドイツ語: Goldberg-Variationen) は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによるアリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲 (BWV 988)。全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻で、1742年に出版された。バッハ自身による表題は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」 (ドイツ語: Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen) 。
概要
クラシック音楽 |
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作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 ルネサンス - バロック 古典派 - ロマン派 近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 木管楽器 - 金管楽器 打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 交響曲 - ピアノ協奏曲 ピアノソナタ ヴァイオリン協奏曲 ヴァイオリンソナタ チェロ協奏曲 フルート協奏曲 弦楽四重奏曲 - オペラ 指揮者 - 演奏家 オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 宗教音楽 |
イベント |
音楽祭 |
メタ |
ポータル - プロジェクト カテゴリ |
「アリアと種々の変奏」と題されているが、バッハが音楽を手ほどきしたヨハン・ゴットリープ・ゴルドベルクが不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から「ゴルドベルク変奏曲」の俗称で知られている。しかし演奏には高度な技術が必要で、当時ゴルトベルクは14歳の少年であったことなどから逸話については懐疑的な見方が多い。
もともとチェンバロの曲であったためピアノが主流となった時代から20世紀初頭まで演奏されることは少なかったが、チェンバロの演奏を20世紀の音楽として復活させたモダンチェンバロによるワンダ・ランドフスカの録音の評価が高く、長らく定番となっていた。20世紀後半になってグレン・グールドがデビューアルバムにこの曲を選択、レコード会社の反対を振り切ってピアノ演奏の録音盤を1955年に発売し、世界的なセンセーションとともに一躍著名な曲となった[1]。グールドは1981年にこの曲を再録音し、その翌年、50歳の若さで急逝したことで、再びこの曲に注目が集まった。
グールドのデビュー盤以来、変奏曲としては長大で、しかも高度な対位法技術を用いて作られた難解な「ゴルドベルク変奏曲」が脚光を浴び、チェンバロやピアノのみならず、編曲を施してギターや弦楽合奏などの種々の編成、さらにジャズでも演奏されるようになっている。
ト長調で作曲されたこの変奏曲は、古来より用いられた次の定旋律に基づいている。同じ定旋律による変奏曲はヘンデルやパーセルをはじめ多くの作曲家によって作られた。
楽曲の構成
主題となるアリアを最初と最後に配置し、30の変奏が展開されており、中でも注目されるのは3曲ごとに配された9つのカノンである。同度から9度までの9つの音程による各カノンを同じ定旋律上で作り上げた技術はまさに名人芸といえる。このカノンを区切りとして、変奏は3つずつのゆるやかなグループを成している。最終変奏のみ、カノンではなくクオドリベットが置かれている。また、第16変奏はとくに「序曲」と付され、全体が前半15変奏と後半15変奏に対比されていることもわかる。以下、明記されていない変奏は主題と同じくト長調である。
- アリア
- 3/4拍子 ト長調。出典はアンナ・マクダレーナ・バッハ曲集のフランス風サラバンドである。ただし旋律を用いた変奏ではなくバス声部と和声進行を用いた変奏であり、結果として統一感とバリエーションの豊かさが同居する作品となっている。
- 第1変奏
- 3/4拍子
- 第2変奏
- 2/4拍子
- 第3変奏
- 12/8拍子 1度のカノン
- 第4変奏
- 3/8拍子
- 第5変奏
- 3/4拍子
- 第6変奏
- 3/8拍子 2度のカノン
- 第7変奏
- 6/6拍子 シチリアーノ
- 第8変奏
- 3/4拍子
- 第9変奏
- 4/4拍子 3度のカノン
- 第10変奏
- 2/2拍子 フゲッタ
- 第11変奏
- 12/16拍子
- 第12変奏
- 3/4拍子 4度の反行カノン
- 第13変奏
- 3/4拍子
- 第14変奏
- 3/4拍子
- 第15変奏
- 2/4拍子 ト短調 5度の反行カノン
- 第16変奏
- 2/2拍子 - 3/8拍子 序曲
- 前半部がゆったりした付点リズム、後半部で速度を増すフランス風序曲の形式で書かれている。
- 第17変奏
- 3/4拍子
- 第18変奏
- 2/2拍子 6度のカノン
- 第19変奏
- 3/8拍子
- 第20変奏
- 3/4拍子
- 第21変奏
- 4/4拍子 ト短調 7度のカノン
- 第22変奏
- Alla Breve(2/2拍子)
- 第23変奏
- 3/4拍子
- 第24変奏
- 9/8拍子 8度のカノン
- 第25変奏
- 3/4拍子 ト短調
- 第26変奏
- 3/4(18/16)拍子(右手が18/16拍子、左手が3/4拍子という特殊な書法である)
- 第27変奏
- 6/8拍子 9度のカノン(唯一、自由声部のない純粋な2声カノン)
- 第28変奏
- 3/4拍子
- 第29変奏
- 3/4拍子
- 第30変奏
- 4/4拍子 クオドリベット。quod libet(ラテン語で「好きなように」を意味する)は、宴会などで行う、複数人がそれぞれちがう歌を同時に歌う遊びであった。バッハは当時の流行歌二つを組み合わせつつ主題とも重ね合わせて終曲としている。使われたのは、"Ich bin solang nicht bei dir g'west, ruck her, ruck her"(「長いこと御無沙汰だ、さあおいで、おいで」)と"Kraut und Rüben haben mich vertrieben, hätt mein' Mutter Fleisch gekocht, wär ich länger blieben"(「キャベツとカブが俺を追い出した、母さんが肉を料理すれば出て行かずにすんだのに」である。
- アリア
- 3/4拍子 ダ・カーポで、初めのアリアが再現されて全曲を締めくくる。
演奏時間
約1時間15分(すべてに繰り返しがありそれを含む。全く繰り返さない場合は丁度その半分で約37,5分)
関連項目
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧
- ディートリヒ・ブクステフーデ-彼の作曲した「ラ・カプリツィオーザ」(創作アリアに基づく32の変奏曲、BuxWV 250) は、主題がト長調で32曲から成るなどゴルドベルク変奏曲との共通点が多い。バッハはゴルドベルク変奏曲を作曲する際、この曲を参考にしたと考えられている。
- ジャスコ-配布されている紙袋に第18変奏の楽譜がデザインされている(ただし、デザイン的観点から若干変更されており、楽譜通りに弾いても原曲そのものにはならない)
- 羊たちの沈黙 - レクターが警官を惨殺するシーンで、レクターの愛聴曲として使われた
- フォーカス - 第2曲がラジオCMのBGMとして使われた
- 地球が静止する日 - ノーベル賞受賞学者と高度知的生命体が邂逅する場面で使われる
- 時をかける少女 (アニメ映画) - 細田監督のアニメ映画で第2曲が使われた
脚注
- ^ Bach - Goldberg Variations: Aria (Glenn Gould) - YouTube(投稿日: 2007年11月14日)
文献
- デイヴィッド・シューレンバーグ『バッハの鍵盤音楽』、佐藤望/木村左千子訳、小学館、2001。ISBN-13 978-4093860307.
- Williams, Peter (2001). Bach: The Goldberg Variations. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN-13 978-0521001939.
外部リンク
- a+30+a' Goldberg Variations(英語・日本語)
- The Goldberg Variations(英語。TheGoldbergVariations.com)
- 知の音楽ゴールドベルク変奏曲と熊本マリ
- 演奏(音源: 藤田伊織MIDI)
- 富田庸のパーソナル・ウェブスペース: ゴルドベルク変奏曲
- 後藤文彦の頁: ゴルドベルク変奏曲
- Rich Geib's Universe: The Glenn Gould liner notes to the 1956 Bach Goldberg Variations (英語)
- PASSACAGLIA PROJECT: バッハ: ゴルドベルク変奏曲(音源)
- ゴルトベルク変奏曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト