「ハクビシン」の版間の差分
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日本では[[四国]]と[[本州]]の東半分に生息している。[[奥尻島]]に生息しているとの報告もある。日本の[[在来種]]なのか[[移入種]](外来種)なのかははっきりしない。国内に生息しているという最初の確実な報告は[[1945年]]、[[静岡県]]におけるものである。[[明治時代]]に毛皮用として[[中国]]などから持ち込まれた一部が野生化したとの説が有力であり、それ以前の古文書における生息の記載<ref>江戸時代に[[蒔絵]]に描かれた妖怪「[[雷獣]]」はハクビシンではないかという見解もある。[http://diamond.jp/series/sengoku/10009/?page=3 千石正一 十二支動物を食べる 世界の生態文化誌]。</ref>や、[[化石]]記録が存在しないことから、外来種とされてきた。しかし、日本列島に現在生息している個体群は、顔面の斑紋などが他の分布域のものと異なることから、日本に自然分布する固有の独立亜種である可能性を唱える説もある。[[環境省]]は、「移入時期がはっきりとしない」として、明治以降に移入した動植物を対象とする[[外来生物法]]に基づく[[特定外来種]]に指定していない。 |
日本では[[四国]]と[[本州]]の東半分に生息している。[[奥尻島]]に生息しているとの報告もある。日本の[[在来種]]なのか[[移入種]](外来種)なのかははっきりしない。国内に生息しているという最初の確実な報告は[[1945年]]、[[静岡県]]におけるものである。[[明治時代]]に毛皮用として[[中国]]などから持ち込まれた一部が野生化したとの説が有力であり、それ以前の古文書における生息の記載<ref>江戸時代に[[蒔絵]]に描かれた妖怪「[[雷獣]]」はハクビシンではないかという見解もある。[http://diamond.jp/series/sengoku/10009/?page=3 千石正一 十二支動物を食べる 世界の生態文化誌]。</ref>や、[[化石]]記録が存在しないことから、外来種とされてきた。しかし、日本列島に現在生息している個体群は、顔面の斑紋などが他の分布域のものと異なることから、日本に自然分布する固有の独立亜種である可能性を唱える説もある。[[環境省]]は、「移入時期がはっきりとしない」として、明治以降に移入した動植物を対象とする[[外来生物法]]に基づく[[特定外来種]]に指定していない。 |
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植物質の餌でも育ち、捕獲も容易でそれなりに人に馴れ、飼育もできる。そのため戦時中に軍需の毛皮・食肉を得るため、寒冷な気候の高地や[[東北地方]]に密かに占領地から持ち込まれ、各地で研究飼育された獣の一種で、個体が逃げ出したり放棄されたりして繁殖したともいわれている。同様な目的で持ち込まれた獣としては[[ヌートリア]]がある。人家近くに生息して屋根裏でも繁殖する。子どものうちはよく人に馴れて愛くるしい。[[リス]]や[[ネズミ]]に比べて、かなり大型の獣である。農作物の被害も報告されており、[[千葉県]]のある農家では、[[トラバサミ]]で年間20頭弱を捕獲するという。近年においては、[[神奈川県]]、[[埼玉県]]はおろか、[[東京]]23区内でも少数ではあるが生息が確認されている。小さな村落でも年間百数十頭の個体が駆除されているようであり、ハクビシンの駆除を掲げる業者も少なからず存在するように、繁殖力は懸念されるほど強く、一定数までは直ちに回復することが容易に想像できる。なお、ハクビシン(白鼻芯)とは[[台湾]]名であり、本来は暖地系の獣である。 |
植物質の餌でも育ち、捕獲も容易でそれなりに人に馴れ、飼育もできる。そのため戦時中に軍需の毛皮・食肉を得るため、寒冷な気候の高地や[[東北地方]]に密かに占領地から持ち込まれ、各地で研究飼育された獣の一種で、個体が逃げ出したり放棄されたりして繁殖したともいわれている。同様な目的で持ち込まれた獣としては[[ヌートリア]]がある。人家近くに生息して屋根裏でも繁殖する。子どものうちはよく人に馴れて愛くるしい。[[リス]]や[[ネズミ]]に比べて、かなり大型の獣である。農作物の被害も報告されており、[[千葉県]]のある農家では、[[トラバサミ]]で年間20頭弱を捕獲するという。近年においては、[[神奈川県]]、[[埼玉県]]はおろか、[[東京]]23区内でも少数ではあるが生息が確認されており(2010年8月11日には[[東京メトロ]][[霞ヶ関駅]]構内で駅員に発見された個体が警官により捕獲されている)、ペットの野生化したものだろうと言われている(他に[[タイワンリス]]、[[アライグマ]]も生息)。小さな村落でも年間百数十頭の個体が駆除されているようであり、ハクビシンの駆除を掲げる業者も少なからず存在するように、繁殖力は懸念されるほど強く、一定数までは直ちに回復することが容易に想像できる。なお、ハクビシン(白鼻芯)とは[[台湾]]名であり、本来は暖地系の獣である。 |
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(2010年8月14日午前1時45分ごろ、新宿区戸山町にある大きな病院の地下駐車場の非常階段で目撃しました。) |
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== 特徴 == |
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=== 利用 === |
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中国南部では、[[広東料理]]や[[安徽料理]]などの食材として煮込み料理などに用いられてきた。独特の臭みがあるため、[[ニンニク]]、[[醤油]]などを用い、濃厚な味にするのが普通。しかし、[[重症急性呼吸器症候群|SARS]]伝染の媒体になりうるとして、流通が禁止された。2006年の報告によれば、SARSとハクビシンの持つウイルスの遺伝子の一部に違いが見られたこともあり、SARSはハクビシンの持つウイルスが突然変異を起こしたものではないかとの見解も生まれている。そして、これらの要因を調査した結果、SARSが発生した直接的な原因は野生動物取り扱い業者のずさんな衛生管理だったのではないかと今では考えられている。 |
中国南部では、[[広東料理]]や[[安徽料理]]などの食材として煮込み料理などに用いられてきた。独特の臭みがあるため、[[ニンニク]]、[[醤油]]などを用い、濃厚な味にするのが普通。しかし、[[重症急性呼吸器症候群|SARS]]伝染の媒体になりうるとして、流通が禁止された。 |
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2006年の報告によれば、SARSとハクビシンの持つウイルスの遺伝子の一部に違いが見られたこともあり、SARSはハクビシンの持つウイルスが突然変異を起こしたものではないかとの見解も生まれている。 |
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そして、これらの要因を調査した結果、SARSが発生した直接的な原因は野生動物取り扱い業者のずさんな衛生管理だったのではないかと今では考えられている。 |
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== 脚注 == |
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2010年8月14日 (土) 04:50時点における版
ハクビシン | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ファイル:Paguma larvata.jpg | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Paguma larvata (C.E.H. Smith, 1827) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Masked Palm Civet |
ハクビシン(白鼻芯、 中国語名 果子狸:クオツリー、guǒzilǐ)は、ネコ目(食肉目)ジャコウネコ科に属する動物である。学名はPaguma larvata。その名の通り、額から鼻にかけて白い線があることが特徴である。東南アジアから中国を中心に分布している。日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物である。
日本のハクビシン
日本では四国と本州の東半分に生息している。奥尻島に生息しているとの報告もある。日本の在来種なのか移入種(外来種)なのかははっきりしない。国内に生息しているという最初の確実な報告は1945年、静岡県におけるものである。明治時代に毛皮用として中国などから持ち込まれた一部が野生化したとの説が有力であり、それ以前の古文書における生息の記載[1]や、化石記録が存在しないことから、外来種とされてきた。しかし、日本列島に現在生息している個体群は、顔面の斑紋などが他の分布域のものと異なることから、日本に自然分布する固有の独立亜種である可能性を唱える説もある。環境省は、「移入時期がはっきりとしない」として、明治以降に移入した動植物を対象とする外来生物法に基づく特定外来種に指定していない。
植物質の餌でも育ち、捕獲も容易でそれなりに人に馴れ、飼育もできる。そのため戦時中に軍需の毛皮・食肉を得るため、寒冷な気候の高地や東北地方に密かに占領地から持ち込まれ、各地で研究飼育された獣の一種で、個体が逃げ出したり放棄されたりして繁殖したともいわれている。同様な目的で持ち込まれた獣としてはヌートリアがある。人家近くに生息して屋根裏でも繁殖する。子どものうちはよく人に馴れて愛くるしい。リスやネズミに比べて、かなり大型の獣である。農作物の被害も報告されており、千葉県のある農家では、トラバサミで年間20頭弱を捕獲するという。近年においては、神奈川県、埼玉県はおろか、東京23区内でも少数ではあるが生息が確認されており(2010年8月11日には東京メトロ霞ヶ関駅構内で駅員に発見された個体が警官により捕獲されている)、ペットの野生化したものだろうと言われている(他にタイワンリス、アライグマも生息)。小さな村落でも年間百数十頭の個体が駆除されているようであり、ハクビシンの駆除を掲げる業者も少なからず存在するように、繁殖力は懸念されるほど強く、一定数までは直ちに回復することが容易に想像できる。なお、ハクビシン(白鼻芯)とは台湾名であり、本来は暖地系の獣である。 (2010年8月14日午前1時45分ごろ、新宿区戸山町にある大きな病院の地下駐車場の非常階段で目撃しました。)
特徴
頭胴長約50cm、尾長約40cm、体重2~3kg程度。オスのほうがメスよりひと回り大きい。ネコのような体つきで鼻すじが長い。体は暗い灰褐色で頭、手足、尾が黒い。額から鼻にかけて白い線があり、頬も白い。オス、メス共に性器のそばにウズラの卵よりひと回り大きな「会陰腺」を持っている。足指の数は前後共に5本である。これによって、足指の数が4本のタヌキなどと足跡を見分けることが出来る。
生態
植物食中心の雑食性で、果実、種子、小動物、鳥、鳥の卵などをたべる。なかでも果実を好む。熟した果実や野菜など見つけると毎夜同じ路をたどって侵入するので獣道が形成される。木登りが得意である。樹洞、タヌキなどの使い古しなどの巣穴などを棲みかにする。民家の軒下・屋根裏などに住みつくこともある。夜行性で、昼間は住処に潜んでいる。
年間を通して発情・出産をする。ただし、同じメスが年に2回以上の出産するかは明らかになっていない。妊娠期間は2ヶ月で、1~4子を出産する。母子を中心とした家族で生活しており、10~20頭程度の群れをつくることもある。この群れは複数の家族による共同体と考えられる。
保全状態評価
- LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
人間とのかかわり
被害
果樹園に入り込み、ミカン、モモ、ナシ、カキなどを食べ荒らすことで、深刻な農業被害を与えることがある。「鳥獣保護法」により、狩猟獣に指定されている。トマト、ウリ類のビニールハウスに侵入することもある。糖度の高い果樹・野菜を好み、ネット等頭部が潜れば侵入するので小さな穴も補修する必要がある。一方で熟した果実や野菜を見つけると同じ路を辿って毎夜訪れるので畑の隅などの草むらに獣道状の隙間ができる。
このほか、前述通り民家の屋根裏に住み着き、足音による騒音や糞尿による悪臭で、生活被害をもたらす事もある。
日本では同様の被害をもたらす動物にアライグマがいるが、前述の移入時期の不確定からハクビシンはアライグマと違い外来生物法で特定外来生物指定を受けておらず、駆除対象となっていない。住宅被害などのために、川崎市では2009年度に市民からの相談を受け46頭を捕獲するなどの例があるが、捕獲には民家に巣を作ったり果樹園を荒らすなどの実害を理由とした鳥獣保護法に基づく都道府県などの許可(「有害鳥獣」認定)が必要で、「住宅街をうろついている」など民間人の予防的捕獲は許されていない。[2]
利用
中国南部では、広東料理や安徽料理などの食材として煮込み料理などに用いられてきた。独特の臭みがあるため、ニンニク、醤油などを用い、濃厚な味にするのが普通。しかし、SARS伝染の媒体になりうるとして、流通が禁止された。 2006年の報告によれば、SARSとハクビシンの持つウイルスの遺伝子の一部に違いが見られたこともあり、SARSはハクビシンの持つウイルスが突然変異を起こしたものではないかとの見解も生まれている。 そして、これらの要因を調査した結果、SARSが発生した直接的な原因は野生動物取り扱い業者のずさんな衛生管理だったのではないかと今では考えられている。
脚注
- ^ 江戸時代に蒔絵に描かれた妖怪「雷獣」はハクビシンではないかという見解もある。千石正一 十二支動物を食べる 世界の生態文化誌。
- ^ 日本経済新聞 2010年4月30日 夕刊3版17面