コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「北海道・本州間連系設備」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
22行目: 22行目:
== 問題点と課題 ==
== 問題点と課題 ==
[[電力自由化]]後、託送可能空き容量が逼迫していることが問題視されており<ref>現状は北海道→本州のみ10万kwの容量があるが、本州→北海道の空き容量はないため、道内に拠点を持つ事業者が北海道電力以外からの振替供給による電力供給を受けることは不可能である。また、道外の事業者が道内に建設した自社発電所から電力供給を行う際にも制限がある。</ref>、さらなる設備増強が検討されている<ref>{{PDFlink|[http://www.meti.go.jp/committee/downloadfiles/g40422a41j.pdf 北海道・本州間連系設備におけるAFC機能の調整幅拡大に関する概略検討結果]}} 電源開発、2004年4月22日</ref>。
[[電力自由化]]後、託送可能空き容量が逼迫していることが問題視されており<ref>現状は北海道→本州のみ10万kwの容量があるが、本州→北海道の空き容量はないため、道内に拠点を持つ事業者が北海道電力以外からの振替供給による電力供給を受けることは不可能である。また、道外の事業者が道内に建設した自社発電所から電力供給を行う際にも制限がある。</ref>、さらなる設備増強が検討されている<ref>{{PDFlink|[http://www.meti.go.jp/committee/downloadfiles/g40422a41j.pdf 北海道・本州間連系設備におけるAFC機能の調整幅拡大に関する概略検討結果]}} 電源開発、2004年4月22日</ref>。
また、2011年4月7日に起こった[[東北地方太平洋沖地震]]の余震により、送電が停止した。その影響で[[泊原子力発電所]]などの道内の複数の発電所が出力を下げて運転した。<ref>[http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/284457.html 北電から本州への送電停止 泊原発、一時出力低下] 北海道新聞 2011年4月8日</ref>
また、2011年4月7日に起こった[[東北地方太平洋沖地震]]の余震により、送電が停止した。その影響で[[泊原子力発電所]]などの道内の複数の発電所が周波数上昇を防ぐため出力を下げて運転した。<ref>[http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/284457.html 北電から本州への送電停止 泊原発、一時出力低下] 北海道新聞 2011年4月8日</ref>


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2011年4月10日 (日) 04:37時点における版

北海道・本州間連系設備(ほっかいどう・ほんしゅうかんれんけいせつび)は、北海道本州の間を結ぶ一連の電力供給設備で、電源開発が運用している。北本連系(きたほんれんけい)と略されており、こちらのほうが一般的な名称となっている。

概要

日本全国には、連系線という電力会社相互の高電圧の送電線網が通じており、気温変動や予期せぬ発電所の停止などによる電力事情の逼迫を、電力の融通によって補う仕組み(会社間連系)ができ上がっている。

会社間連系は、発電所の建設が抑えられてコスト削減になる。特に北海道は冬に電力消費が多くなる傾向があるのに対し本州は夏に電力消費が多くなる傾向があり電力消費のピークとなる季節が一致しないため、この設備を利用する意味が生じる。一方、送電距離が長くなることや、交流と直流を変換(後述)するサイリスタによる電力ロスが発生する[1]

運用

北海道電力では、一次変電所である西当別変電所を起点に、西野変電所・西双葉開閉所を経由し大野変電所へと至る「道央北幹線・道央西幹線・道南幹線」を連系線としており、主に泊発電所原子力発電所)や知内発電所火力発電所)で発電された余剰電力を東北電力に供給できる態勢がとられている。なお、北海道電力から供給された電力を東北電力の送電網を通じて東京電力など他社へ供給する場合もあり、これを「振替供給」という[2]

津軽海峡をまたぐ区間については、条件が厳しい海底への敷設ということや、効率良く送電することが求められることから、直流送電を行っている。この直流送電を行うための一連の施設群が「北海道・本州間連系設備」であり、1979年(昭和54年)から運用が始まった。これにより、北海道のみ連系線から取り残されていたことによる電力供給の不安[3]が緩和されたほか、北海道の余剰電力を道外に供給できるようになったことで、本州側から見た場合は連系線の強化につながることになった。

設備

古川ケーブルヘッド(北海道函館市)

北海道側の七飯町に函館変換所、本州側の青森県東北町に上北変換所が設けられており、それぞれの施設にある世界最大級のサイリスタを使用して交流直流の変換が行われている。なお、電力品質を一定にするため、AFC(自動周波数制御)装置が設けられている。両変換所から陸上の架空送電線(計124km)を経て津軽海峡を結ぶ海底ケーブルは、送電容量が電圧250kV・電流1200A、敷設長43km、敷設する海底深度(水深)が300mで、世界有数の規模である。

供給能力は、1979年の運用開始時は15万kWだったが徐々に増強され、現在は60万kW[4]である。夏季に首都圏で発生する電力事情逼迫時には、60万kWフルでの送電が行われる。

問題点と課題

電力自由化後、託送可能空き容量が逼迫していることが問題視されており[5]、さらなる設備増強が検討されている[6]。 また、2011年4月7日に起こった東北地方太平洋沖地震の余震により、送電が停止した。その影響で泊原子力発電所などの道内の複数の発電所が周波数上昇を防ぐため出力を下げて運転した。[7]

脚注

  1. ^ 送電設備の電気抵抗を落とすために送電線や変電設備を変えることなどの方法で、電力ロスをある程度は軽減できる。
  2. ^ 北本連系に関するご質問への回答 (PDF) 東京電力、2003年11月20日
  3. ^ 道内発電所の運転停止時など。
  4. ^ 連系線設備(建設・増強)に関する勉強会とりまとめ報告書 資料編 (PDF) 図-11、電力系統利用協議会、2007年2月
  5. ^ 現状は北海道→本州のみ10万kwの容量があるが、本州→北海道の空き容量はないため、道内に拠点を持つ事業者が北海道電力以外からの振替供給による電力供給を受けることは不可能である。また、道外の事業者が道内に建設した自社発電所から電力供給を行う際にも制限がある。
  6. ^ 北海道・本州間連系設備におけるAFC機能の調整幅拡大に関する概略検討結果 (PDF) 電源開発、2004年4月22日
  7. ^ 北電から本州への送電停止 泊原発、一時出力低下 北海道新聞 2011年4月8日

参考文献

関連項目

外部リンク