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「ウミウシ」の版間の差分

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==参考資料==
==参考資料==
東海大学出版「ウミウシ学」平野義明著~
東海大学出版「ウミウシ学」平野義明著


ラトル「沖縄のウミウシ」小野篤司著~
ラトル「沖縄のウミウシ」小野篤司著

ラトルズ「本州のウミウシ」中野理恵著~
ラトルズ「本州のウミウシ」中野理恵著


[[Category:貝類|うみうし]]
[[Category:貝類|うみうし]]

2006年7月29日 (土) 10:14時点における版

?ウミウシ

分類
 :動物界 Animalia
 :軟体動物門 Mollusca
 :腹足綱 Gastropoda
 :後鰓目 Opisthobranchia
亜目 :裸鰓亜目 Nudibranchia

ウミウシ海牛)とは、腹足綱 後鰓目 裸鰓亜目(ウミウシ亜目、無腔亜目)(旧分類 腹足綱 後鰓亜綱 裸鰓目)に属する軟体動物の総称である。小笠原諸島では触角の形状をネコの耳に見立てて、ウミネコと呼ぶことがある。また地方によっては、同じく後鰓目に属するアメフラシも含め近縁のいくつかの目にまたがる殻が退化傾向を持つものを、ウミウシと呼ぶことがある。

ウシの角の様な一対の触角を頭部にもつことからウミウシという呼称がついたとされる。

形態

主に浅い海の海底に生息し、世界中に3000種余りが存在している。体長は数mmから20-30cm程度まで。青、赤、緑、黄色、ピンクなど、鮮やかな原色系の体色を持つ種が多い。いわゆる巻貝と同じ腹足綱に属するが、一部の種を除き、殻を失っている。ナメクジと似ており、頭部の先端に1-2対の触角を備える。 ドーリス亜目では(えら)が退化して失われている代わりに、背面後部に花びら状の二次鰓(鰓突起)を有する。二次鰓の中心には肛門がある。体の後端部は狭まり尖っている。普通の巻貝は螺旋状の貝殻の中に入るために体軸がねじれているが、ウミウシは貝殻の喪失に伴い体軸のねじれが元に戻っている。後鰓類という呼び名は、サザエなどの巻貝では、鰓が心臓の前側についているのに対し、心臓の後ろ側に鰓がついているからである。

生態

後鰓目は、無楯亜目や嚢舌亜目が基本的に草食であり、他に頭楯目の一部に草食の種もいるが、ほとんどが肉食。裸鰓亜目のものには刺胞動物海綿コケムシ、群体性のホヤといった群体性の動物を餌にするものが多いが、中には魚の卵や他のウミウシを襲って食べるものも知られており、メリベ類は小型のエビのような、活動的な甲殻類を巧みに捕食する。

有毒な付着生物を食べることで、体内にを蓄積している種も多く、多くは食用には適さない。派手な色合いをしているものは、そのような点で警戒色ではないかと考えられている。また、熱帯のサンゴ礁などでは、隠蔽色としてはたらくのかもしれない。コノハウミウシやヒカリウミウシは点滅する蛍光を放つ生物発光の能力がある。

特殊な性質として、刺胞動物を捕食する種の中に、餌の刺胞を体内に取り込み、それを背面に保存して、自分が敵から身を守るために使うものがある。これを盗刺胞という。なお、同じ後鰓目の嚢舌亜目には、やや類似の現象であるが、海藻を餌とし、餌の葉緑体を自分の細胞内に取り込み、しばらく光合成をおこなわせるものがある。

ウミウシは雌雄同体であるが、受精は異個体間で交尾することで行われる。卵塊は渦巻き状。孵化した幼生はヴェリジャー幼生と呼ばれ、巻貝のような殻を持っている。ヴェリジャー幼生は浮遊生活をおくるが、やがて変態し、殻を失った底生の成体となる。

ミノウミウシやムカデメリベなど、背中に突起を持つものの中には、刺激を受けるとそれを切り離してしまう、自切をするものがある。体には再生能力がある。

分類

ウミウシが属する腹足綱の分類は、1980年代以降、分岐分類学の考え方を取り入れた新しい分類体系に再編成されつつある。新しい分類体系では、後鰓亜綱が後鰓目(Opisthobranchia)に、裸鰓目が裸鰓亜目に、アメフラシが属する無楯目が無楯亜目にというように再編成されている(Ponder, 1998)。

ここに示すのは、日本産の代表的なもので、古い分類体系に基づくものである。ウミウシの範囲は、広く取ってある。

頭楯目 Cephalaspidea

  • オオシイノミガイ科 Acteonidae
  • ベニシボリガイ科 Bullinidae
  • ミスガイ科 Hydatinidae:ミスガイ
  • キセワタ科 Philinidae:キセワタ
  • カノコキセワタ科 Aglajidae:ニシキツバメガイ・カノコキセワタ
  • ウミコチョウ科 Gastropteridae:ムラサキウミコチョウ
  • ブドウガイ科 Haminoeidae:ブドウガイ
  • ミドリガイ科 Haminoeidae
  • ナツメガイ科 Bullidae
  • ウズムシウミウシ科 Runcinidae

嚢舌目 Sacoglossa

  • ユリヤガイ科 Juliidae:ユリヤガイ・タマノミドリガイ
  • ナギサノツユ科 Oxynoidae:ナギサノツユ
  • チドリミドリガイ科 Plakobranchidae:チドリミドリガイ
  • ゴクラクミドリガイ科 Elysoidea:コノハミドリガイ・ゴクラクミドリガイ
  • カンランウミウシ科 Caliphyllidae:カンランウミウシ
  • ハダカモウミウシ科 Limapontiidae:アリモウミウシ・ミドリアマモウミウシ

無楯目 Anspidea

背楯目 Notaspidea

  • ヒトエガイ科 Umbraculidae:ヒトエガイ
  • カメノコフシエラガイ科 Pleurobranchidae:ウミフクロウ・ホウズキフシエラガイ・カメノコフシエラガイ

裸鰓目 Undibranchia

  • ドーリス亜目 Doridina
    • ネコジタウミウシ科 Goniodorididae:ネコジタウミウシ・ヒロウミウシ・イバラウミウシ
    • ラメリウミウシ科 Goniodorididae
    • フジタウミウシ科 Polyceridae:フジタウミウシ・ツノザヤウミウシ・エダウミウシ・ヒカリウミウシ・リュウグウウミウシ
    • キヌハダウミウシ科 Gymnodorididae:キヌハダウミウシ
    • センヒメウミウシ科 egretidae
    • オカダウミウシ科 ウミウシ分類ayssiereidae:オカダウミウシ
    • ミカドウミウシ科 :exabranchidae:ミカドウミウシ
    • アマクサウミウシ科 Actinocyclidae:アマクサウミウシ
    • ドーリス科 Dorididae:カイメンウミウシ・ヤマトウミウシ・クモガタウミウシ
    • イロウミウシ科 Chromodorididae:ニシキウミウシ・コモンウミウシ・サラサウミウシ・アオウミウシ
    • クロシタナシウミウシ科 Dendrodorididae:ミヤコウミウシ・クロシタナシウミウシ・ダイダイウミウシ
    • イボウミウシ科 hyllididae:イボウミウシ
  • スギノハウミウシ亜目 Dendronotina
    • ホクヨウウミウシ科 Tritoniidae:ホクヨウウミウシ・シロハナガサウミウシ
    • ユビウミウシ科 Bornellidae:ユビウミウシ・イトヒキウミウシ
    • スギノハウミウシ科 Dendronotidae:スギノハウミウシ
    • マツカサウミウシ科 Dotidae :マツカサウミウシ
    • オキウミウシ科 Scyllaeidae:オキウミウシ・ユメウミウシ
    • メリベウミウシ科 Tethydidae:ヤマトメリベ・ムカデメリベ
    • コノハウミウシ科 Phylliroidae:コノハウミウシ
  • タテジマウミウシ亜目 Arminina
    • タテジマウミウシ科 Arminidae:タテジマウミウシ・オトメウミウシ
    • アケボノウミウシ科 Dironidae:アケボノウミウシ
    • ショウジョウウミウシ科 adrellidae:ショウジョウウミウシ
    • コヤナギウミウシ科 Zephyrunidae:コヤナギウミウシ
  • ミノウミウシ亜目 Aeolidina
    • サキシマミノウミウシ科 Flabellinidae:サキシマミノウミウシ・セスジミノウミウシ
    • ホリミノウミウシ科 Eubranchidae:アカボシミノウミウシ・イナバミノウミウシ
    • オオミノウミウシ科 Aeolidiidae:オオミノウミウシ・ミノウミウシ・カスミミノウミウシ・イロミノウミウシ
    • アオミノウミウシ科 Glaucidae:アオミノウミウシ・ムラサキミノウミウシ・ヨツスジミノウミウシ・チゴミノウミウシ・サガミミノウミウシ・ムカデミノウミウシ・アカエラミノウミウシ
    • オショロミノウミウシ科 Tergipedidae:ツクモミノウミウシ・ゴシキミノウミウシ

ダイバーとウミウシ

近年一部のダイバーの間で、ウミウシを観察することが流行し、種々の図鑑などが発刊され~ いままであまり顧みられることがなかったウミウシが脚光を浴びることとなった。 体色が鮮やかであることや、形が珍奇であること、また移動速度が非常に遅く、魚のように 人から逃げたりせず、じっくり観察や写真撮影を行うことができることが、ブームの原因 になったと思われる。 また、ポケットモンスターのキャラクターピカチュウににたウミウシがおり、 ポケットモンスターのブームも、ウミウシの一般への周知を広める一因となった。

ウミウシの飼育

ウミウシは採集が容易であるが、飼育は困難であることが多い。 ウミウシはコケムシやホヤなどを食べるが、えさとする種はそれぞれの種で限られている。 えさ種を野外で区別し見つけ出すことは困難であり、えさの調達が難しいことが第一にあげられる。 例外的にメリベウミウシは、アルテミアによって飼育することが可能である。 また、ほとんどのウミウシは、卵からプランクトン幼生の形でふ化するが、 流れのない水槽では多くが死滅してしまい、二世を得ることは困難である。


関連リンク

参考資料

東海大学出版「ウミウシ学」平野義明著

ラトルズ「沖縄のウミウシ」小野篤司著

ラトルズ「本州のウミウシ」中野理恵著

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