「ドウモイ酸」の版間の差分
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単体は融点213-217℃で、無色の結晶性粉末。[[水]]によく溶け、[[有機溶媒]]に不溶。 |
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[[1958年]]、[[徳之島]]で駆虫薬として用いられていた[[海藻|紅藻]]ハナヤナギ(''Chondria armata''、現地名'''ドウモイ''')から分離・命名された。発見者は醍醐皓ニ博士。[[カイニン酸]]と似た性質を示し、[[グルタミン酸]]の[[アゴニスト]]としてグルタミン酸[[受容体]]と強く結合して駆虫作用を示す。煮沸消毒を行っても毒性がなくならない特性を持つ。 |
[[1958年]]、[[徳之島]]で駆虫薬として用いられていた[[海藻|紅藻]]ハナヤナギ(''Chondria armata''、現地名'''ドウモイ''')から分離・命名された。発見者は[[醍醐皓ニ]]博士。[[カイニン酸]]と似た性質を示し、[[グルタミン酸]]の[[アゴニスト]]としてグルタミン酸[[受容体]]と強く結合して駆虫作用を示す。煮沸消毒を行っても毒性がなくならない特性を持つ。 |
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[[1987年]]の11月から12月にかけて、[[カナダ]]の[[プリンスエドワード島]]で養殖の[[ムラサキイガイ]]による食中毒が発生した。被害者107人中4人が死亡、12人が重度の記憶障害に陥った。中毒を起こしたムラサキイガイを調べたところ、貝100g当たり31mg~128mgのドウモイ酸が検出され、中毒者の摂取量は60mg~290mgと推定された(駆虫薬として用いられる量は30mg程度である)。検死解剖などから、[[海馬]]に大量のドウモイ酸が取り込まれてグルタミン酸受容体と結合したために[[脳細胞]]が興奮・死滅し、[[中枢神経]]が侵されたことが分かった。その後、人の致死量は300mg/60kgと割り出された。特に子供や高齢者は注意が必要。赤潮からも検出。 |
[[1987年]]の11月から12月にかけて、[[カナダ]]の[[プリンスエドワード島]]で養殖の[[ムラサキイガイ]]による食中毒が発生した。被害者107人中4人が死亡、12人が重度の記憶障害に陥った。中毒を起こしたムラサキイガイを調べたところ、貝100g当たり31mg~128mgのドウモイ酸が検出され、中毒者の摂取量は60mg~290mgと推定された(駆虫薬として用いられる量は30mg程度である)。検死解剖などから、[[海馬]]に大量のドウモイ酸が取り込まれてグルタミン酸受容体と結合したために[[脳細胞]]が興奮・死滅し、[[中枢神経]]が侵されたことが分かった。その後、人の致死量は300mg/60kgと割り出された。特に子供や高齢者は注意が必要。赤潮からも検出。 |
2006年9月18日 (月) 15:48時点における版
ドウモイ酸 (ドーモイ酸、Domoic acid、略称DA) は、天然由来のアミノ酸(正確にはイミノ酸)の一種で記憶喪失性貝毒の原因物質。
分子式はC15H21NO6、分子量は311。化学名[2S-[2a,3b,4b(1Z,3E,5R)]]-2-カルボキシ-4-(5-カルボキシ-1-メチル-1,3-ヘキサジエニル)-3-ピロロリジン酢酸。CAS登録番号は14277-97-5。プロリンの誘導体でもある。
単体は融点213-217℃で、無色の結晶性粉末。水によく溶け、有機溶媒に不溶。
1958年、徳之島で駆虫薬として用いられていた紅藻ハナヤナギ(Chondria armata、現地名ドウモイ)から分離・命名された。発見者は醍醐皓ニ博士。カイニン酸と似た性質を示し、グルタミン酸のアゴニストとしてグルタミン酸受容体と強く結合して駆虫作用を示す。煮沸消毒を行っても毒性がなくならない特性を持つ。
1987年の11月から12月にかけて、カナダのプリンスエドワード島で養殖のムラサキイガイによる食中毒が発生した。被害者107人中4人が死亡、12人が重度の記憶障害に陥った。中毒を起こしたムラサキイガイを調べたところ、貝100g当たり31mg~128mgのドウモイ酸が検出され、中毒者の摂取量は60mg~290mgと推定された(駆虫薬として用いられる量は30mg程度である)。検死解剖などから、海馬に大量のドウモイ酸が取り込まれてグルタミン酸受容体と結合したために脳細胞が興奮・死滅し、中枢神経が侵されたことが分かった。その後、人の致死量は300mg/60kgと割り出された。特に子供や高齢者は注意が必要。赤潮からも検出。
ドウモイ酸は、異常繁殖した珪藻が活動を停止する際に作り出される。生物濃縮によって貝類やカニ、アンチョビなどに取り込まれるため、現在では魚介類の輸出入において検査が行われるようになって来ている。ちなみに、カナダのドウモイ酸規制値は20ppmである。