ラミー (企業)
ラミー(LAMY)は1930年にカール・ヨセフ・ラミー(初代社長)によって設立された、ドイツのハイデルベルグにある筆記具メーカー。ドイツの万年筆の老舗。現在の社長は初代社長の息子であるマンフレッド・ラミー(二代目社長)がつとめる。
初代社長の時代
LAMY社の創業者であるC.J.Lamyはドイツにてパーカー社の営業担当をしていた。 1930年に、Orthos社を買収して、LAMY社の礎石を築いた。初代社長時代のLAMY製品は、パーカー製品の影響を色濃く残している。LAMY社の正式名称はC.Josef Lamy GmbHである。
二代目社長の時代
二代目社長のマンフレッド・ラミーが就任してから、それまでのLAMY社の製品群とは異なったアプローチをするようになる。すなわち、デザイン重視である。一般的に、こんにち、LAMY製品をさす場合、この二代目社長が手がけた製品群を指すことが多い。
二代目社長による製品
1966年に、西暦2000年になっても腐らないデザインをコンセプトに、ブラウン社の電気ひげそりなどのデザインを手がけたゲルト・アルト・ミュラーによって発表されたLamy 2000シリーズ(万年筆、ボールペン、シャープペンシル、4色ボールペン、ローラーボール)が有名。同製品は40年以上スタイルを変えずに販売されている。この製品が、今日のラミー社の方向性を位置づけた。つまり、機能とデザインの融合である。誤解を受けやすいのだが、LAMY社製品は前述の「機能とデザインの融合」という点においてバウハウスのデザイン思想の影響を受けているが、LAMY社の外部デザイナーで、グロピウスのバウハウスを卒業した者はいない。
先進的なスタイルを取り入れた筆記具を製造・販売しており、限定版高級品を作らないという点においても、このスタンスはモンブランやペリカンとは対照的であると言えよう。(例外的に、LAMY社にとって記念すべき年などに限定生産品が作られる。例:30周年記念LAMY 2000ボールペン、40周年記念LAMY 2000ボールペン)
代表的な商品として、前述のLAMY 2000のほか、ドイツの児童の習字目的も兼ねてウォルフガング・ファビアンらのデザインによって1980年に発売された、ABS樹脂で出来ている、Safari サファリシリーズ(万年筆、ボールペン、シャープペンシル、ローラーボール、ボールペンとシャープペンシルのツインペン(現在廃番))が、今日でもヒット商品である。万年筆にしては比較的安価(日本の定価は税抜き3800円)な割には、インクカートリッジ・コンバーター両対応の本格的なものであるからだ。 発売当初はテラコッタオレンジとサバンナグリーンの2色(現在廃番)。後に白(Alpin 現在廃番)、黄色(Safari)、黒(Charcoal)、青(Sky)、赤(Hot)、灰色(Gray 現在廃番)、スケルトン(Vista)、ブラック(Black)、ホワイト(White)がカラーバリエーションとして加わった。2004年にオレンジ(Flame)、2006年にロイヤルブルー(Blue+Red)の限定色万年筆が発売された。注:()内は海外での呼称。
また、サファリの上位商品といえる、AL-star アルスターはサファリを元に、素材にアルミを使用したものである。
デザイン重視の成果として、2年おきに発表される、外部有名デザイナーとのコラボレーションによる商品、Lamy dialog ラミーダイアログがあげられるだろう。第一作目(ダイアログ1)はリチャード・サッパーとの共作によるボールペンである。第二作目(ダイアログ2)はナッド・ホルシャーによるローラーボールである。
外部デザイナーとの共同作業は常に行われており、ハンネス・ヴェットシュタインによる、Lamy scribble スクリブルシリーズ(シャープペンシル、芯ホルダー、ボールペン)、LAMY社作品では最新作のうちに入るLamy studio ステュディオシリーズ(万年筆、ローラーボール、ボールペン)や、フェニックス・デザインによる、グリップが交換できる斬新なデザインのLamy accent アクセントシリーズ(万年筆、ボールペン、ローラーボール、シャープペンシル)があるが、アクセントは現在日本では販売されていない。このアクセントのデザインを採用したLamy 4 pen フォーペン(3色ボールペン+シャープペンシル)が現在発売されている。
先に述べたダイアログシリーズの他にデザイナーの名前を前面に出したものとしては、イタリア人デザイナーマリオ・ベリーニによるLamy persona ペルソナシリーズ(万年筆、ボールペン、ローラーボール)があげられよう。このペルソナは、LAMY社製品の中では最高級のものであった(現在廃番)。
LAMY社製品の細部にまでわたるこだわりは随所に見られ、LAMY 2000シリーズでは、ボディのつなぎ目が一見してわからないようになっており、またクリップは発売当時は斬新であったステンレス無垢材を使用。サファリ万年筆ではインクの残量確認窓が、インクカートリッジを充填した時に、楕円形に見えるように工夫されている。Lamy swift スイフト(ノック式ローラーボール)では、ノックして芯を出した時、クリップが本体に格納されると同時にころがり防止の突起が現われ、芯が出たままポケットなどにさせないようになっている。
なお、ボールペンのリフィル(替え芯)や万年筆のカートリッジは独自規格で、他社のものと互換性がない。例外的に、LAMY2000 4色ボールペンの替え芯が4C規格にのっとっており、他社製品と互換性がある。
日本における過去の正規代理店
- ラミージャパン株式会社
- ワコー・コーポレーション株式会社
2006年現在の日本の正規代理店は、日本シイベルヘグナー株式会社
外部リンク
参考文献
- 「ラミーのすべて」製作プロジェクト編 『ラミーのすべて デザインプロダクトとしての筆記具』 ISBN 4-86212-026-1 (株)ロコモーションパブリッシング 2005年
- 石川光則「ラミーにくびったけ!」(『机上空間』エイムック979;pp.8-19) ISBN 4-7779-0265-X 枻出版社 2005年