麻雀の得点計算
麻雀は一局ごとの勝敗で点数をやりとりして勝者を決めるが、この点数の決定は麻雀のルールの変遷を反映して複雑な計算を必要としている。ベテランならば瞬時に計算することもできるが、初心者には正しく計算することさえ難しいことも多い。 こうした事情から、点数は計算間違いをした場合についてもルール化されており、一旦同意の上で点数が授受され次局が始まってしまったときには、計算間違いが発覚しても取り消しはできないこととなっている。このため、意図的に誤った点数を申請するというテクニックさえ存在する。
計算方法の概説
点数計算は
- 符の計算
- 符を翻数だけ倍々する
- 親だった場合の補正
- ツモあがりの場合の、各自の払い分の分配
- 本場数による補正
- (ワレメによる補正)※採用しない場合も多い
の流れで行う。あがり手に含まれる面子の種類・あがり方などによって符が決まり、さらについている役によってこれが倍々されていく(ただし、ある程度以上役が多いと点数が指数関数的に増大してしまうため、一定以上の翻数では満貫といい点数が固定される)。 これがさらに状況によって(親であったり本場が進んでいたりなど)補正を受けて点数が決まるということである。
以下、点数の決定手順に沿って詳細を解説する。
符
計算の基本となるのが、まず最初に和了形から計算される符である。符は、以下に挙げる項目を加算したもので1点(1符)単位のものだが、その後の計算では10符単位で考える。 そのため、以下の計算を全て行った後、切り上げで10符単位にする。ただし、切り上げではなく4捨6入(一般の4捨5入と同じように計算する)とするルールもある。
このほか、七対子であがった場合は以下の計算には当てはめられないため、25符(関西ルールでは50符)が符になる。25符として扱う場合には七対子の役高は2翻、50符なら1翻である(結果として同じ点数になるが、役が多く複合した場合の満貫の適用条件が異なる)。
- 副底(フーテイ)は、麻雀の得点計算において基本となる20符のことである。
- 加符(カフ)とは、面前かつロンあがりであった際に基本点に与えられる10符のボーナスのことである。
面子の構成による符
和了時の面子の構成により、各面子に対し以下の符が割り当てられる。
暗刻子 | 中張4符、幺九8符 |
明刻子 | 中張2符、幺九4符 |
暗槓子 | 中張16符、幺九32符 |
明槓子 | 中張8符、幺九16符 |
順子 | 0符 |
対子 | 数牌と客風牌は0符、他は2符。場風と門風が重複していれば4符となる |
待ちによる符
聴牌時の待ちにより、以下の符が加算される。
両面待ち | 0符 |
嵌張待ち | 2符 |
辺張待ち | |
単騎待ち | |
双碰待ち | 0符 ただし、アガるときに必ず刻子ができるため、ロンでは明刻子として中張2符、幺九4符。ツモの場合は暗刻子としてその倍がつくことになる |
あがり方による符
ツモあがりであった場合、2符が加算される。ただしツモ平和ありのルールにおいては平和であった場合は加算されない。したがってツモでありながら20符を基本として計算することになる。
飜数の計算
成立した役の高さ(翻数)の合計があがりの翻数となる。この際、一部の役は副露があった場合に飜数が1減ったり(1飜喰い下がり)役が成立しなかったりするので注意が必要である。
翻数1翻につき、符は倍になる。例えば、30符あって翻数が4翻あれば 30×2×2×2×2=480点である。ただし、この計算法では翻数が大きくなると点数が爆発的に大きくなってしまうため、飜数が一定以上になると得点が一定となることになった(満貫)。特に、難度の高い役では翻数さえ設定されずあがった時点で満貫というものがあり役満貫=役満と呼ばれるようになった。満貫・役満の点数については後述する
ドラ
ドラは、それを使用してアガると翻数が追加される牌のこと。どの牌がドラになるかは、局によって違う。(詳細はドラを参照)
リャンゾロ
現在の麻雀のルールでは、役による飜数の計算とは別にどんな和了でも2飜与えられることが多い。先に挙げた30符4翻の例でいうと、さらに2翻追加されることで480×2×2=1920点となる。この2飜をリャンゾロ(デンデン、バンバンとも)という。役の飜数とは別に扱うことが多く、以下においてもそう扱う。早見表における計算ではリャンゾロはすでに組み込まれてしまっており、あまり表には出てくることがない。
基本点の計算および最終的な得点の授受
青天井ルールを採用しておらず満貫以上にならなかった場合(それぞれについては後に示す)、以上までの手順で算出されたものが基本点となる。
- 基本点=符×2(飜数+2) (ここで+2はリャンゾロの分)
これは、「子が和了した場合に子一人から受け取る点数」を意味するため、実際に授受される点数は その上で、和了者が親か子か、及びツモであったかロンであったかにより、以下のいずれかの形で得点の授受が行われる。なお、得点の授受に当たって100点以下の端数は100点に切り上げる。
- 親のツモあがり:基本点×2を子3人からそれぞれ受け取る。
- 親のロンあがり:基本点×6を振り込んだ者から受け取る。
- 子のツモあがり:基本点×2を親から、基本点を他の子2名からそれぞれ受け取る。
- 子のロン上がり:基本点×4を振り込んだ者から受け取る。
上記の30符4翻の例では、子が自模であがったのならば子からは2000点(1920を切り上げ)ずつ、親からは3900点(1920×2=3840を切り上げ)を受け取ることになる。子のロンあがりなら7700点(1920×4=7680を切り上げ)である。
基本点の計算における特殊な場合
一定以上の飜数であがった場合、一般的なルールでは以下に示すように得点が一定になる(この打ち切りなしで計算を行うルールについては次節「青天井」参照)。なお、この場合も積み符によるボーナスは加算される。
満貫
4~5飜で点数が8000点(親なら12000点)を超える場合を満貫と呼び、基本点2000点。よって積み符によるボーナスを除いた合計は親12000点、子8000点となる。
20符4翻(親7700点、子5200点)、30符4翻(親11,600点、子7,700点)は本来満貫とはならないが、30符4飜を満貫に切り上げるケースが増えてきている。
跳満
6~7飜の場合、合計点数は満貫の1.5倍(基本点3000点。合計点数は親18,000点、子12,000点)。これを跳満という。
倍満
8~10飜の場合、合計点数は満貫の2倍(基本点4000点。合計点数は親24,000点、子16,000点)。これを倍満という。
三倍満
11~12飜の場合(数え役満なしの場合は13飜以上も)、合計点数は満貫の3倍(基本点6000点。合計点数は親36,000点、子24,000点)。これを三倍満という。
数え役満
13飜以上の場合、合計点数は満貫の4倍(基本点8000点。合計点数は親48,000点、子32,000点)。これを数え役満という。ただしこれを採用しないルールもある。
役満
通常、役の価値は翻数で表されるが、難度の高い一部の役は役満として点数で表される。基本点は8000点で、合計点数は親48,000点、子32,000点(ここから、13翻以上の4倍満貫が「数え役満」と呼ばれる)。
役満の中でも特に難度の高い一部の役は、ルールによってはダブル役満と称してさらに倍の点数がつく。このほか、役満が複合した場合には点数を合算することを許す場合がある。無論、そのような場面は目撃することさえ困難であるが。
例:
南南南 西西西 北北北 白 白
字一色+四暗刻+大四喜
積み符
連荘があった場合及び流局した時に親が不聴で親が変わった場合、親はその目印としてその回数分100点棒を場に出しておく。これを積み符(または場棒)といい、1本につき和了時の得点が300点加算される。自模あがりなら全員に100点ずつ加算となる。積み符の得点計算はこの標準ルールのほかにその5倍とするルールも存在する。
包(パオ)
点数を支払うのは、自模あがりであれば全員が、ロンあがりであれば振り込んだ者の責任払いとなるが、役満をあがった場合には包というルールが適用されることがある。包とは役満の成立を決定づけた者のことで、明らかな危険行為のためアガリに対する責任が大きいとして自摸の場合は点数の全て、ロンの場合は点数のうち半分ずつを放銃者と支払うことになる。
例として、白と中を副露している者がいるときに發を捨ててポンさせ、大三元を確定させてしまったなど。このように特定の面子を集めることで成立する役満が対象のルールであり、大三元の他には四喜和、四槓子で採用されることが多いが、字一色、清老頭でも包とすることがある。
ワレメ
標準的なルールではないが、点数授受をさらに引き上げるルールとして知られているのがワレメである。 これは、局の開始時に牌を取り始めた山(ワレメ)の位置のプレーヤーは授受する点数が自動的に倍になるというものである。倍になるという点で親と似ているが、ワレメは積み符計算まで済んであとで機械的に点数を倍にするものである。ワレメが親であれば容易に高得点が実現され、リスキーなルールである。
点数の表
一般的には、上記の基本点の計算は煩雑であるため計算結果は早見表となっている。ある程度以上の上級者はこれをほぼ暗記して計算に役立てている。
- 平和でない20符(門前でなく全て順子で頭の符もなくロンあがり)の形は30符とするので、20符1飜は存在しない。
- 120符以上の形は必ず少なくとも3飜付くので最低でも満貫である。
親
括弧内はツモの場合の子1人あたりの払い分。
20符 | 25符 | 30符 | 40符 | 50符 | 60符 | 70符 | 80符 | 90符 | 100符 | 110符 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1飜 | - | - | 1500 (500) | 2000 (700) | 2400 (800) | 2900 (1000) | 3400 (1200) | 3900 (1300) | 4400 (1500) | 4800 (1600) | 5300 (1800) |
2飜 | 2000 (700) | 2400 (800) | 2900 (1000) | 3900 (1300) | 4800 (1600) | 5800 (2000) | 6800 (2300) | 7700 (2600) | 8700 (2900) | 9600 (3200) | 10600 (3600) |
3飜 | 3900 (1300) | 4800 (1600) | 5800 (2000) | 7700 (2600) | 9600 (3200) | 11600 (3900) | 満貫 12000 (4000) | ||||
4飜 | 7700 (2600) | 9600 (3200) | 11600 (3900) | 満貫 12000 (4000) | |||||||
5飜 | 満貫 12000 (4000) | ||||||||||
6-7飜 | ハネ満 18000 (6000) | ||||||||||
8-10飜 | 倍満 24000 (8000) | ||||||||||
11-12飜 | 三倍満 36000 (12000) | ||||||||||
13-飜 | 数え役満 48000 (16000) |
子
括弧内はツモの場合の親・子1人あたりの払い分。
20符 | 25符 | 30符 | 40符 | 50符 | 60符 | 70符 | 80符 | 90符 | 100符 | 110符 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1飜 | - | - | 1000 (500,300) | 1300 (700,400) | 1600 (800,400) | 2000 (1000,500) | 2300 (1200,600) | 2600 (1300,700) | 2900 (1500,800) | 3200 (1600,800) | 3600 (1800,900) |
2飜 | 1300 (700,400) | 1600 (800,400) | 2000 (1000,500) | 2600 (1300,700) | 3200 (1600,800) | 3900 (2000,1000) | 4500 (2300,1200) | 5200 (2600,1300) | 5800 (2900,1500) | 6400 (3200,1600) | 7100 (3600,1800) |
3飜 | 2600 (1300,700) | 3200 (1600,800) | 3900 (2000,1000) | 5200 (2600,1300) | 6400 (3200,1600) | 7700 (3900,2000) | 満貫 8000 (4000,2000) | ||||
4飜 | 5200 (2600,1300) | 6400 (3200,1600) | 7700 (3900,2000) | 満貫 8000 (4000,2000) | |||||||
5飜 | 満貫 8000 (4000,2000) | ||||||||||
6-7飜 | ハネ満 12000 (6000,3000) | ||||||||||
8-10飜 | 倍満 16000 (8000,4000) | ||||||||||
11-12飜 | 三倍満 24000 (12000,6000) | ||||||||||
13-飜 | 数え役満 32000 (16000,8000) |
青天井
特殊ルールとして、青天井と呼ばれる以下のような点数計算法が採用される場合がある。通常は前節の通り飜数に応じて、満貫、跳満、倍満、三倍満(、数え役満)の点数が適用されるが、青天井ルールではこの満貫以上の打ち切りをせず、本節の計算式に基本点および飜数を厳密にあてはめて計算する。すなわち、1飜上がるごとに得点は倍になっていく。変哲のない手でも通常の役満以上の点数が続出する超インフレルールであり、普通はこのルールが採用されることはまずない。
(例)子の40符8飜で163,900点。立直タンヤオ平和三色一発自摸ドラドラ裏裏で655,400点。