デモナータ
文学 |
---|
ポータル |
各国の文学 記事総覧 出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
『デモナータ』は、ダレン・シャン著の子供向けダーク・ファンタジー小説。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
あらすじ
デモナータ1幕 ロードロス(原題:Lord Loss)
主人公グルービッチ・グレイディ(グラブス)は、チェス好きの両親と姉をもち、かっこよく見せるために煙草を吸うどこにでもいるような少年である。 ところがある日、悪魔ロード・ロスによって家族が殺されてしまう。その際、ロード・ロスに仕える悪魔、べインとアーテリーに追われたグラブスは、初めて魔術の力に目覚め犬用の出入り口から逃げ助かる。悲惨な形で家族を失い精神に深い傷を負ったグラブスは精神病院へ入院後に叔父のダービッシュの指導により回復し、彼の家に引き取られる。そこでビルE・スプリーンという少年と出会ったことをきっかけに、自身の家系にまつわる事実と、ロード・ロスの正体を知ることになる。 グレイディ一族には、時として狼人間が生まれる。それに規則性はなく、はっきりわかっているのは、10代の内に発病する事と、発病した狼人間を元に戻せるのは悪魔のロード・ロスだけという事である。 狼人間を元に戻すためには、2人1組になって、ロード・ロスとのある戦いに勝たなくてはならない。それは、1人はロードロスとチェスを5つ同時進行で進め、3つを勝ち取らなければならず、もう1人はロードロスの手下と戦いパートナーに攻撃させないようにするというものだった。ロードロスの手下にパートナーがやられてしまえば、手下はチェスをやっている者を攻撃してもよい。つまり、手下との戦いに1人が闘っているうちに、もう1人がチェス5つを同時進行ですすめ、3つとらなければならない。たとえ勝ったとしても、狼人間と手下と戦った人は助かりもとの世界へ戻れるが、チェスを行なった者はデモナータへ行き、ロード・ロスと戦い勝たなければその者はかえってこれない。 実は、グラブスの姉グレットはこの人狼病を発病し、両親はロード・ロスとの戦いに負けたため、命を奪われたのだった。そして、ビルEもまた、人狼病を発病してしまう。彼は、グラブスの異母兄弟だったのだ。
ビルEを助けるため、ダービッシュはグラブスをパートナーに、ロード・ロスに戦いを挑む。
デモナータ2幕 悪魔の盗人(原題:Demon Thief)
主人公コーネリアス・フレック(カーネル)は不思議な光が見える少年で、周囲から「頭のいかれた変人」と敬遠されている。 ある夜、光を弄んでいるうちに思いがけず"まど"ができあがり、不思議な声に導かれるまま足を踏み入れ、行方不明になってしまう。数日後、その間の記憶を無くしながらも、いつのまにか一緒になった弟のアートと共に戻ってくるが、一家は、より安心できる環境を求め、田舎の村へ引っ越すことになる。 平穏な日々が1年ほど続いた後、再び"まど"がひらき、アートが魔物に連れ去られてしまう。 後を追って"まど"に飛び込むと、そこには世界を破壊するという伝説の武器カーガッシュと、その手がかり悪魔の盗人と思われる魔物・カダバーを追う魔術師・ベラナバスと魔術使いたち(魔術同盟)がおり、そこがデモナータだと教えられる。カダバーにアートを連れ去られたカーネルは、魔術同盟に迎え入れられ戦いに参加するが、"まど"を作る能力には目覚めるものの力が及ばず、魔術同盟のナディアと共に仲間を見捨てて人間界へ逃げ帰る。 罪悪感にさいなまれるカーネルは、これを同盟から抜ける好機と考えるナディアと別れさまようが、点滅する光に導かれた先で、魔術同盟のメンバー・シャークと若いダービッシュに出会い、再度デモナータの元へ行き、ベラナバスたちと再会する。ナディアを連れ戻しカダバーを追って、ロードロスの城に行き着き、本当の悪魔の盗人が誰なのかを知り、アートを取り返せないまま人間界へと帰ることになる。
両親のもとで新しい生活を送るカーネルだったが、その生活は思い描いたような幸せなものではなかった。後に自分の本当の運命に気付き、再び両親のもとを離れるのだった。
デモナータ3幕 スローター(原題:Slawter)
主人公グラブスは、デモナータから帰ってきたダービッシュの異常行動に頭を抱えていた。そんななか、彼らとビルEは映画作成の協力を依頼され、撮影現場へ向かい、エメットという少年と知り合う。しかし、そのエメットが突然、姿をくらました。 グラブスは不審に思い、調査するがどうもしっくりしない。そんなとき、子役俳優の双子のうち、1人がいなくなった。 そしてグラブス達は進入を許されていないD工房へ足を踏み入れる。
そこでグラブスは真実を知る。
デモナータ4幕 ベック(原題:Bec)
主人公ベックは、5世紀のアイルランドに住む、自分が生まれた時から完璧な記憶力を持った少女。生みの母はベックに名をつける前に死に、近くにいた部族マッコン族の老戦士ゴールに拾われた。そしてこの子をどうするか論議をし、バンバという女魔術師(プリーステス)が、ベックから魔力を感じ、弟子にする事にした。 ベックは成長し平穏な日々を過ごしていたが、悪魔が襲ってくるようになった。マッコン族はこの悪魔のフォモール族と毎晩戦い、ベックは負傷者の手当てをする日が続いた。
ある日異常に足が速く、頭のふれた少年がきて、わけの分からないことを言って少年の部族のある方角へ連れて行きたがるので、老戦士ゴール、長の子コンラー、ふたごの戦士、ローナンとローカン、鍛冶屋フィークナー、他部族の女戦士オルナーとベックとで少年の部族へ命がけの旅に出た。
デモナータ5幕 血の呪い(原題:Blood Beast)
スローター事件から数ヶ月、グラブスことグルービッチ・グレイディは自分が狼人間に変身するという悪夢にうなされていた。そして魔力をもてあまし、水の流れを逆にしたり自分を宙に浮かしたり出来るようになり、グラブスは精神的に不安定になっていた。そんな時、家でパーティーを開くことになり、喜び有頂天になるが、そこでの瓶回しの最中瓶を回転・浮遊・破壊し、その破片を蝶や花などに変えてしまうなどの魔力を見せてしまう(ビルE以外には手品と思われた)。そして、とうとうとんでもない事態が発生する。
その夜からグラブスに狼人間の兆しが……。
この作品は他の作品とは違いクライマックスで終わるなど、シリーズ中でも異色を放つ作品である。
主な登場人物
デモナータ1幕 ロード・ロス
- グラブス・グレイディ(本名:グルービッチ・グレイディ)
- どこにでもいる普通の男の子だったが、家族をロード・ロスに殺され、自身もロード・ロスの手下であるベインとアーテリーに殺されそうになったところ、魔術の才能に目覚めた。その後、叔父のダービッシュに引き取られ、実は腹違いの弟であるビリーを救うためにダービッシュと共にロード・ロスに戦いを挑む
- ダービッシュ・グレイディ
- グラブスの叔父さん。チェスには目がなく、魔術を使える。ビルEはダービッシュ・グレイディを狼人間と思っている
- ビルE・スプリーン(本名:ビリー・スプリーン)
- ダービッシュの知り合いで、グラブスと友達になる。左まぶたが垂れ下がっている事を気にしている。グラブスとは異母兄弟だが、本人はダービッシュ・グレイディの事を父親と思っている。本人は気づいていないが狼人間である。
- ミーラ・フレーム
- 謎の美女。ダービッシュの友人。男を誘惑するのが趣味
- カル・グレイディ
- グラブスの父。チェスには目がなく、グラブスやグレットにチェスを教え込む
- シャロン・グレイディ
- グラブスの母。グレテルダやグラブスにチェスを教え込む
- グレット・グレイディ(本名:グレテルダ・グレイディ)
- グラブスの姉。シャワー魔。狼人間である
- ロード・ロス
- 別世界、デモナータの魔将。人間の悲しみや恐怖といった負の感情を好んで喰らう。チェスに目がない。狼人間となってしまった者を元に戻す力を持つ。背丈は2メートル以上、腕は八本、鼻は無い。赤黒い目が非常に不気味
- ベイン
- ロードロスの手下。ワニの頭をした犬
- アーテリー
- ロード・ロスの手下。見た目は3歳ぐらいの子供。頭にはうじ虫、ゴキブリなどが這っている。手には口があり、目はなく、炎のようなものが変わりにある
デモナータ2幕 悪魔の盗人
- カーネル・フレック(本名:コーネリアス・フレック)
- 2幕の主人公。普通の人には見えない<光のかけら>を見ることが出来る。生まれつき、髪の毛が無い
- アート
- カーネルの弟。カダバーにさらわれる。2歳くらいで、まだ言葉をしゃべることは出来ない
- ベラナバス
- デモナータで悪魔と戦う魔術師。魔術同盟設立者
- 汚れた上着のボタンの穴に一輪の花をさしているが、かれんすぎてあまりにもちぐはぐ
- ダービッシュ・グレイディ
- 若い頃のダービッシュ。魔術同盟のメンバー
- シャーク
- 軍服を着ていて、手にサメの刺青がある。魔術同盟のメンバー
- ナディア・ムーア
- 短い金髪の20代くらいの女性。特別な力があるようで、べラナバスに無理やり連れ回されている
- シャーミラ・ムーカジ
- サリーを着たインド人の女性。50代くらい。魔術同盟のメンバー
- ロード・ロス
- 1幕に登場したデモナータの魔将。ベラナバスと何らかの因縁があるようだが……
- ベイン
- ロードロスの手下。ワニの頭、犬の体、女性の手を持つ
- アーテリー
- ロード・ロスの手下。両手に口があり、目には炎がゆらめいている。頭には常に何か虫がいる
- カダバー
- デモナータから来た悪魔。カーネルの弟、アートをさらう。顔は人間と犬の中間で、腕は4本ある
- ミセス・イギン
- カーネルの住むパンキンストンの村で暮らしている謎の多い魔女。カーネル同様<光のかけら>を見ることが出来るようだ
- カリン
- 巨大な蛆虫に強力な顎が合わさった生物。集団で襲い来る
- 巨大な悪魔
- デモナータを飛ぶ巨大な悪魔を指す。星ぐらいの大きさがあり、常に虐げる相手を探している。体内に小さな悪魔(といっても標準サイズ)がたくさんいる
デモナータ3幕 スローター
- グラブス・グレイディ
- 3幕の主人公。1幕でロード・ロスと戦った
- ダービッシュ・グレイディ
- 1幕でロード・ロスと戦った。デモナータから戻ったばかり
- ビルE・スプリーン
- 狼人間だったが、グラブス達によりすっかり完治
- プレイ・アティーム
- グレイディ一族専門の殺し屋『子羊』のメンバー。狼人間だったビルEを実験したいと思っている
- ダビーダ・ヘイム
- 有名なホラー映画プロデューサー。実は女性。よく聞く名前はダビッド・A・ヘイム
- ジューニー・スワン
- ホラー映画を制作する際に、心が乱れてしまった子供達を心療をする女性。。白い髪のポニーテールに薄いピンクの目が特徴的。実は、ダービッシュが密かに想いを寄せている。彼女自身も、少し気になっている
- エメット・イージット
- 映画の子役。よくセリフを間違えてしまう
- ノーラ・イージット
- エメットの母親。タンプに腹を立てている
- サリット・スミット
- 映画の主人公を演じる子役。グラブス達より少し年上
- ボウ・クーニアート
- 映画の子役。グラブス達と仲が悪い
- エイブ・クーニアート
- ボウの弟。子役ではないが、エメットの役を狙っている
- タンプ・クーニアート
- ボウとエイブの父親。ダビーダでも口ごたえできないほどの権力の持ち主
- チューダ・スール
- 映画のチーフ助監督。タンプと仲が良い
- バナリー・メトカーフ
- 映画の子役。大富豪の娘。グラブス達と仲が悪い
- クック・ケーン
- 映画の子役。「不気味な霊能者のふたご」という役をやる
- キック・ケーン
- 映画の子役。「不気味な霊能者のふたご」という役をやる
- スパトラ・ジョーン
- 映画撮影の合間に勉強する為、グラブス達に勉強を教える先生
- チャイ
- 役になりきるパントマイム芸人
- ロック・ゴッセル
- グラブスの友達。グラブスほどではないが、体が大きい
- レニー・ゴッセル
- ロックの妹。かぎ鼻で有名なゴンゾの様な鼻をしているが、可愛い。グラブスが想いを寄せている少女
- チャーリー・ロール
- グラブスの友達
- ロビー・マッカーシー
- グラブスの友達
- メアリー・ヘイズ
- グラブスの友達
- モーチ先生
- スクールカウンセラー。いつも悲しい顔をしているので「不幸なモーチ」というあだ名をつけられている
- アーテリー
- 1幕や2幕にも登場したロード・ロスの手下の悪魔。3幕では頭の上にゴキブリがいる
- マリス
- ロード・ロスの手下の悪魔。たくさん足がある
- グレゴール
- ロード・ロスの手下の悪魔。ゴキブリの風貌をしている
デモナータ4幕 ベック
- ベック・マッコン
- 第4幕の主人公。マッコン族の少女でプリーステスとよばれる女性の魔術師。記憶力が格段に優れていて、自分が生まれた時の記憶もある。他の子よりもはやく女性の印が現れている
- ゴール
- ベックを荒野で拾った元マッコン族の長で、片目を失った気さくな男
- コン
- マッコン族の長で、自分の息子コンラーとゴールの関係をあまりよく思っていない
- コンラー
- マッコン族長コンの息子。美少年だがナルシストな傾向がある。ゴールとは度々もめている。長の息子であるがため、自分が次の長だと確信している
- フィークナー
- ベックが密かに思いを寄せているやせた鍛冶屋の職人
- ローナンとローカン
- マッコン族最強といわれる、赤毛の双子の戦士
- オルナー
- マッコン族の砦に逃げてきた、マッカダン族の女戦士
- かけ足(ブラン)
- ある日突然マッコン族のもとにやってきた、魔力で頭をやられた少年。足がとてつもなく速く、いきなり「かけ足!」や、「花!」と叫ぶ。でも場を和ませる雰囲気を持っている。悪魔を飼いならすなど、かなりの魔力の才能を秘めている
- ドラスト
- ブランの部族のもとで出会ったドルイド(男性の魔術師)。双子の弟ブルードがきっかけでできてしまったデモナータに通じるトンネルを閉じるために旅をしている。ベックをプリーステスと見抜き、魔術を教える
- ロード・ロス
- 1幕から登場しているおなじみの魔将。この話の中でチェスを知ったようだ……
デモナータ5幕 血の呪い
- グラブス・グレイディ
- 第5幕の主人公。人狼病と悪魔と自らの魔力に怯えている。ちなみに過去の因縁からロードロスを頼れない(デモナータ1幕参照)
- ダービッシュ・グレイディ
- 第3幕でデモナータの後遺症をほぼ完治。グラブスの叔父
- ベラナバスから洞窟を監視するという任務を受けている
- ビルE・スプリーン
- 第5幕ではグラブスとの関係に変化が……
- ロック・ゴッセル
- グラブスの親友。レスリングでグラブスをパートナーにしている。洞窟の崖から落ちて死んでしまう。
- レニー・ゴッセル
- ロックの妹。グラブスのガールフレンド
- チャーリー・ロール
- グラブスの友達
- ロビー・マッカーシー
- グラブスの友達
- メアリー・ヘイズ
- グラブスの友達
- ミーラ・フレーム
- ダービッシュの友人。酒にとても強いうえに二日酔いしない。美人
- ジューニー・スワン
- 第3幕の終わりで精神的に混乱していたが、カウンセリングの仕事を続けるうちに回復。グラブスの学校にカウンセラーとして来る。ダービッシュとは相思相愛の中。しかし第5幕の最後、飛行機の機内に部下と共に現れたロードロスに対して「ご主人様」発言があった。(5幕はここで終了)
- 不幸なモーチ(先生)
- ジューニーの前任のカウンセラー
- 謎の少女
- グラブス達が見つけた洞窟に現れるグラブスの姉に僅かに似ている少女の正体は????
- 浮浪者
- グラブスをつけて回る
- 汚れた上着のボタンの穴に花をさしている
- グラブスは子羊の一員だと思っているが・・・・
用語
この節の加筆が望まれています。 |
- デモナータ
- 悪魔が住む別世界。様々な世界で構成されている。人間界とは時間の流れ方がちがうため、デモナータでの一年が人間界では10年、100年だったりする。(世界ごとに流れ方が違う)
- 魔将
- 強大な力を持つ悪魔。この世界とトンネルをつなげたり、人語を話したりもする(かなりの練習はいる)
- 子羊
- ガラデックス、グレイディ、ベル、ムーア家の専属研究機関。人狼病にかかった人を殺したり、治す研究をしている
- カーガッシュ
- 悪魔の世界の武器。数十億年前にばらばらに砕けて、それ以来行方不明。いくつに砕けたのか、どんな形をしているのかも不明。ただの伝説か、本当にあるのかは謎であるが、一部の魔将たちがずっと探しているのはたしか。伝説によると、世界(デモナータか人間界)を破壊する力があるらしい
- ゲッシュ
- 死の呪い。かけられた者はどんなことがあっても死んでしまう。呪いというより絶対に殺してやるという決意のようなものかもしれない
- 洞窟
- 16世紀前にトンネルがあけられたが、完全に開く前にベックたちに閉じられた。現在はグラブスが住むカーシェリーベールにある。この洞窟を監視するためにダービッシュがベラナバスから命を受けている