CMスキップ
CMスキップ(しーえむすきっぷ)もしくはCMカットとはテレビコマーシャルを飛ばす機能のこと。CMカットはCMを録画時に一時停止して録画しないようにする機能であり、CMスキップとは再生時にCMを早送りする機能である。
録画機器
初めに登場したのが1990年代前半に三菱電機がVHSビデオデッキに搭載したCMカット機能である。これは洋画などのを二ヵ国語(音声多重放送)のみ録画することでCMを録画しないようにしたものである。CM中は録画自体を一時停止させるため、フライングイレースヘッドがない機種でもレインボーノイズが発生しないようになっていた。
その後他社では上に挙げた方式の他に、モノラル番組でステレオ音声を早送りすることによるCMスキップ機能が搭載され始める。その後、三菱電機のCMカット機能がモノラル音声のみ録画することでCMを録画しないようにする機能となる。これでほとんどの番組がCMカットできるようになり、見たくないCMは見なくてすむ上、テープの残量の節約にもなる。しかし放送局も対抗策を取り、音楽番組以外でもステレオ放送を増やした(民放各局のCS放送のチャンネルではドラマ・バラエティーなどの再放送ではあらかじめCMをカットした状態で放送)。しかし、北海道の一部地域のように民放各局の音声多重放送の実施していない(すべてモノラル放送)地域では対応機器を持っていてもCMカットの機能はまったく発揮されない。
そしてステレオ番組の増加とともにCMカット・スキップ機能は次第に使用されなくなっていく。これに対処するため日立製作所のビデオにCMの切替えを自動的に識別することでステレオ番組でCMを早送りすることによるCMスキップ機能が搭載される。HDD・DVDレコーダーにもCMカット機能はほとんど装備されていないが、そのかわりCMスキップボタンが装備されていたり、CMの開始・終了時に自動的にチャプターを挿入し、視聴者自身の編集によりCMをカットをしやすくなるようにしている。
放送事業者
この機能の拡大とともに民放は危機的状態に陥るとの見方もある。海外でもこの問題はハードメーカーとテレビ局の対立を生みだした。そのためHDD録画機器のティーボは飛したCMの内容を自動的に表示する機能を付けた。
- 2005年4月22日に野村総合研究所がHDDレコーダの所有者にアンケートを行なった結果、CMを8割以上カットするのは56.4%であった。これをハードディスク録画機器普及率、録画消費率、で計算すると、2005年CM市場の約2.6%、金額にして約540億円の損失となる。[2]
- しかし大手広告代理店の電通は、CMスキップによる損失はまだ軽微であると反論する調査結果を発表している(出典:ITmediaニュース 2005年7月)。