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カバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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?カバ

カバの親子
分類
界 :動物界 Animalia
門 :脊索動物門 Chordata
亜門 :脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 :哺乳綱 Mammalia
 :鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
 :カバ科 Hippopotamidae
 :カバ属 Hippopotamus
 :カバ H.amphibius

学名 Hippopotamus amphibius 和名 カバ 英名 Hippopotamus

水中から目、鼻孔、耳だけを出して周囲の様子をうかがう

カバ河馬)は、哺乳類偶蹄目カバ科カバ属の動物である。

英語名の「Hippopotamus(ヒポポタマス)」は、ギリシャ語で馬を意味するhipposと、川を意味するpotamosを語源としている。日本語の「河馬」は明治期にこの語、またはドイツ語の「Flusspferd」から作られた訳語と考えられる。

特徴

カバの頭蓋骨

頭胴長3.5~4m、体重1.2~3.5トン。陸上動物としては、ゾウに次ぐ重さであると言われる。丸みをおび、脚の短いずんぐりとした体つきはブタに似ており、同じイノシシ亜目(Suiformes)に属しているとされていた。 しかしDNA分析の結果、カバは豚・イノシシよりもと近縁であることが証明され、且つ陸上動物の中ではクジラにもっとも近い遺伝的関係にあることが分かった[1]

頭部は非常に大きく、顔の側面上方に鼻孔が一直線に並んで突き出しているのが特徴であり、水中からこれらだけを出して周囲の様子をうかがっている様子がしばしば見られる。鼻孔は自由に開閉することができ、水中での水の流入を防ぐことができる。顎の筋肉が非常に発達しており、関節の構造と相まって、口を150度まで開くことができる。この巨大な口には、長く先のとがった門歯犬歯が生えている。中でも下顎の犬歯は長さ40~50cm程にも達し、持ち主の口腔を貫いてしまう場合さえある。闘争時には、この犬歯が強力な武器となる。主に水中で生活するが、陸上では時速40キロ以上で走る能力を持っている。

なわばりを示すため、糞をする際に尾でそれを撒き散らす。水中生活が主である彼らの皮膚は乾燥や紫外線に弱く、それらから保護するために、俗に『血の汗』などと呼ばれる赤みを帯びた粘液を体表から分泌する。また、最近の研究でよく縄張り争いをするオスの体は傷だらけになっているものの、赤みを帯びた粘液のおかげで体内に細菌が侵入することがなく、粘液に殺菌作用がある事が明らかとなった。

そのユーモラスな外見から、カバは“穏和で動きの鈍い草食動物”といった印象を持たれることが多い。しかし、野生のカバは獰猛な面も持っており、自分の縄張りに侵入したものは、同じカバのみならず、ワニや人であっても攻撃する事がある。オス同士の縄張り争いにおいては、命を落とす者や瀕死の重症を負う者も決して少なくない。また、新たに縄張りを乗っ取ったオスは、ライオンと同じように前ボスの子供を殺す『子殺し』を行うことも確認されている。

アフリカでの野生動物による人間の殺害は、カバによるものが最も多いといわれている。[2]

生態

水より比重が大きいため水底を歩くことが出来る

アフリカ大陸の赤道付近に生息している。1日のほとんどを水中で過ごしており、交尾出産も水中で行う。潜水が得意であり、4~5分程度水中に潜ることができる。その際は鼻孔や耳を閉じることが出来る。比重が水よりわずかに大きいため、体は水に沈み、水底を歩くことができる。また水面上で呼吸する際に、肺に空気を入れ膨らませることで、浮かぶこともできる。

草食性であり、夜間に陸上に上がり、草原などで採食している。 しかし、従来から死亡したカバの個体も含めて死んだ動物の肉を食べる事例が報告されているほか、1997年7月にはインパラを捕食し仲間と共に食べる現場が撮影され、ナショナルジオグラフィックチャンネルでも放映されたため世界的な反響を呼んだ。また死んだシマウマを食べていたという記録もある。 ただし、他の草食動物でも、キリンハトを食べた事例、トナカイレミングを捕食した事例、ヒヨコを食べた事例があり、また肉食動物が草を食べる習慣があることも広く知られている。カバの食性の中心はあくまで草であり、殆ど肉に依存していないため、分類上は草食動物である。

通常10~20頭程度の群れで生活している。

妊娠期間は210~240日程度で、1回に1子を産む。オスは5歳、メスは4歳程度で繁殖可能となる。寿命は約30年。

カバは汗腺を持たないが、皮膚の表面からピンク色の粘液を分泌する。「血の汗」とも呼ばれるこの粘液は、紫外線を遮断し、直射日光から皮膚を保護する役割をもっている。また、殺菌作用があり、汚れた淡水中でも感染症に罹ることなく生活することができる。カバの皮膚は乾燥に弱く、水や泥などで絶えず湿らせていないと、表面がひび割れを起こしてしまう。

クジラとカバの共通点

1994年以降、ミトコンドリアDNA法などにより、クジラ目の姉妹群はカバである可能性が示唆されていた。

従来は水生化などにともなう収斂進化と考えられていたが、新しい系統により、祖先を同じくすることによる共通派生形質であることが明らかになった。

日本で見られる動物園

カバをモチーフとした作品

全身の姿

文学作品

  • ぼちぼちいこか(作:マイク・セラー/絵:ロバート・グロスマン/訳:今江祥智
  • ちいさな ヒッポ (作:マーシャ・ブラウン/訳:うちだりさこ)
  • かばくん・くらしのえほん(ひろかわさえこ)
  • うしろにいるのだあれ(ふくだとしお)

テレビ番組

関連項目

脚注

  1. ^ 東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻進化・統御学講座岡田研究室 クジラとカバの系統解析 新聞掲載記事集 [1]
  2. ^ 2007年3月14日放送 NHK教育 地球ドラマチック『知られざるカバの世界』 [2]

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