クレメント・ゴットワルト

クレメント・ゴットワルト（Klement Gottwald, 1896年11月23日 - 1953年3月14日）は、チェコスロバキア共産党の指導者。チェコスロバキア共和国首相（1946-1948年）、チェコスロバキア大統領（1948-1953年）を務めた。

経歴

1921年のチェコスロバキア共産党の創設に関わった。1925年より同党中央委員会委員。1926年より同党の様々な要職を務めた。 1945年-53年チェコスロバキア共産党委員長、1945-46年 副首相、1946-48年 首相、1948-1953年 大統領を務めた。

1945年、チェコスロバキア元大統領で、ロンドンのチェコスロバキア亡命政府の代表であったエドヴァルド・ベネシュが、ゴットワルトと首班を組むことに同意する。1946年の選挙で共産党が勝利し、同党党首だったゴットワルトはチェコスロバキアの首相に就任した。1948年6月7日にベネシュが大統領を辞任し、これを受けて6月14日にゴットワルトが大統領に就任する。ゴットワルトの政府は、工業や農業の国有化を積極的に進めた。

ゴットワルトはスターリン主義者であった。このため、政府内からソ連に反対する勢力を排除するために、まず非共産主義者を排除し、続いて共産主義者の粛清も行うようになった。ゴットワルトにより粛清された人物は、元共産党書記長のルドルフ・スラーンスキー（Rudolf Slánský）や元外務大臣のヴラジミール・クレメンティス（Vladimír Clementis）、グスターフ・フサークにまで及んだ。 スラーンスキーとクレメンティスは絞首刑に処された。フサークは終身刑ですんだが、後に名誉回復され、第一書記をつとめた。

1953年3月9日のスターリンの葬儀から戻った5日後に亡くなった。心臓病に加え、深酒と梅毒が原因だという。遺体は防腐処理されてそれを納める霊廟が建てられたが、1962年に撤去され、遺体は荼毘に付された。

エピソード

• 1946年の選挙で、ゴットワルト率いるチェコスロバキア共産党は総票数の38%の信任を得て勝利した。この数字は、現在にいたるまで、世界の共産党が民主的な選挙で得た最高の数字である。

• 1948年2月21日に撮られた写真で、ゴットワルトとクレメンティスが並んで写り、ゴットワルトがクレメンチスから帽子をかぶらせてもらう有名な写真があった。クレメンティス粛清後は、写真は修正されてクレメンティスの姿は消され、彼の帽子だけが写真に残された。この写真を撮影した写真家も処刑された。

• 晩年は、健康上の理由から酒を控えねばならなかったが、スターリンが勧める酒を断わるのは勇気が必要だった。ゴットワルトの妻は「夫の代わりに飲むことをお許しください同志スターリン。2人分飲みますわ」と言って、二人分のコップを飲み干した。

• 没後50年以上も経って、2005年にチェコ国内で行われた「最悪なチェコ人」投票で、ゴットワルトは投票総数の26%を得て一位に選ばれた。