偽装離婚
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偽装離婚(ぎそうりこん)とは事実上は夫婦であるにもかかわらず離婚を装うこと。不当な経済的な利益を目的とするものが多い。なおペーパー離婚とは書類上の離婚のみに主眼が置かれたもの。
概要
目的の多くは生活保護や児童扶養手当の不正受給、あるいは財産分与による資産隠しなど何からの不当利得である。
ただし結婚の場合には実質的意思(夫婦としての共同生活を営む意思)が要求されているのに対し、離婚の場合には形式的意思(法律上の婚姻関係を解消する意思)のみで足りるとされていることから、離婚届を提出した以上法的にも離婚したことになるので[1]、仮に偽装離婚中に配偶者が死亡して相続が発生した場合、「配偶者」に対する法定相続分や遺留分は無いことになる(遺贈や特別縁故者としての財産の取得は可能)。
ペーパー離婚
偽装離婚と混同されがちなのがペーパー離婚である。こちらは離婚を装うことはなく対外的な結婚生活は継続するため、離婚に伴う利得を求めることはない。法律婚から事実婚へ移行するだけである。
なお法律婚夫婦の一方(改姓した配偶者)が公的書類において旧姓を使用したい時に、一時的に離婚して旧姓に戻り目的の手続きを完了した後に再婚するというように、何らかの目的を持って同じ相手と離婚と再婚を繰り返すことをペーパー離再婚と呼ぶ。この場合、再婚相手が同じ人物なので民法第733条が定める女性の六ヶ月間の再婚禁止期間(待婚期間)は適用されない。
脚注
- ^ 最高裁判例 昭和38年11月28日 (pdf)