乗車カード
乗車カード(じょうしゃカード)とは、鉄道やバスなどの、公共交通機関を利用する際に運賃などとして利用できる、磁気カードやICカードなどによるプリペイドカードである(スルッとKANSAI系のPiTaPaのように後払い式のカードもある)。
概要
乗車カードのシステムは、カードに運賃を貯めておくストアードフェアシステムと乗車回数を貯めておくストアードライドシステムがあるが、現在運用されているカードのシステムはほとんどがストアードフェアシステムである。このシステムは改札より入場する時に自動改札機によって情報をカードに書き込み、出場する際に入場記録から該当運賃を算出してカードより引き落とすシステムである。入場記録が存在することが前提になるので、すべての改札に情報書き込みが可能な自動改札機かそれに準ずる装置が必要とされる。しかし、いったん自動改札機を揃えてしまえば入場記録を持たないカードを閉め出すことが可能になり、一般的な不正乗車をほぼ完全に防止することができる。
乗車カードは、自動改札機で直接使用する他に自動券売機での乗車券・料金券(特急券など)の購入や自動精算機での不足運賃の精算(乗り越し)などにも使用される。
複数の事業者でカードが共通化されていることも多い。
使用の際にカードを読み取り機に挿入する形式が多いが、近年では非接触型ICカードが登場し、これを用いたシステムでは読み取り機にかざすかまたはタッチして使用することが可能となり、装置への挿入を省く分、ユーザーの使い勝手が向上している。その反面、どうしても読み取り・書き込みのエラーが増加しがちであり、各事業者では読み取り機にはカードを財布等に入れたままでもかまわないが確実に接触させるよう求めている。
鉄道用乗車カードの歴史
- 乗車カードの登場
- 名古屋市交通局が1989年、地下鉄の自動改札機に直接投入することが出来る回数券カードを発行(現在はストアードフェア方式のユリカを発売したため発行終了)し、また東日本旅客鉄道(JR東日本)も1991年3月1日にストアードフェア方式のイオカードを山手線内の一部の駅で利用開始した。これ以前にも各交通事業者によってプリペイドカードが発行されていたが、いずれも券売機などでの乗車券購入に用いるためのカードであり、そのまま改札機に通すことはできなかった。
- 本格導入
- 1992年4月1日に阪急電鉄がラガールカードでのストアードフェアシステムを開始した。こちらは自社線全駅で使用可能となった日本初のシステムとして知られている。
- エリア内共通利用の開始
- 1996年3月20日に関西5社・局が共同でスルッとKANSAIを開始した。日本初の、広域の複数事業者での共通利用システムである[1]。
- 非接触ICカードの導入
- 2001年11月18日、東日本旅客鉄道が関東圏424駅で日本初の非接触ICカード乗車券Suicaの利用を開始[2]。
日本のICカード乗車券
太字のものはおサイフケータイ対応である。なお、複数の事業者にまたがって運用されているカードの事業者詳細については当該項目を参照されたい。
新幹線
北海道
東北
関東・甲信越
- Suica/モバイルSuica(東日本旅客鉄道〈首都圏・新潟地区〉・東京モノレール・東京臨海高速鉄道など)
- PASMO(パスモ加盟事業者)
- せたまる(東京急行電鉄世田谷線)
- ICバスカード(関東鉄道バス〈取手営業所管内〉)
- でんてつハイカード (日立電鉄交通サービス)
- バスICカード(山梨交通グループ各社)
東海・北陸
- TOICA(東海旅客鉄道〈名古屋地区・静岡地区〉)
- PiTaPa(スルッとKANSAI加盟事業者)
- LuLuCa(静岡鉄道・しずてつジャストライン)
- ナイスパス(遠州鉄道)
- ayuca(岐阜乗合自動車)
- ICa(アイカ)(北陸鉄道)
- passca(パスカ)(富山ライトレール)
近畿
中国・四国
- ICOCA(西日本旅客鉄道〈岡山・広島地区〉)
- PASPY(広島地区 路面電車・バス共通)
- Hareca(岡山電気軌道・両備ホールディングス・下津井電鉄・中鉄バス〈一部路線〉)
- スカイレールICカード(スカイレールサービス)
- IruCa(高松琴平電気鉄道・ことでんバス・徳島西部交通)
- ICい〜カード(伊予鉄道)
- ですか (高知県交通・土佐電気鉄道など)
- PiTaPa(スルッとKANSAI加盟事業者)
九州・沖縄
- ひまわりバスカード(北九州市交通局)
- 長崎スマートカード(長崎県内の路面電車・バスの一部)
- 宮交バスカ(宮崎交通)
- RapiCa(鹿児島市交通局・南国交通・ジェイアール九州バス〈鹿児島地区〉)
- いわさきICカード(鹿児島交通・いわさきバスネットワークなど)
- nimoca(西日本鉄道)
- SUGOCA(九州旅客鉄道(福岡県とその周辺地区のJR線の主要路線))
- はやかけん(福岡市営地下鉄)
発行予定のカード
エラー: {{予定}}は廃止されましたので使用しないでください。
日本の磁気カード
北海道
- 共通ウィズユーカード(札幌市交通局)
- 中央バスカード(北海道中央バス)
- じょうてつバスカード(じょうてつ)
- ジェイ・アールバスカード(ジェイ・アール北海道バス)
- 札樽間高速バス共通カード(北海道中央バス、ジェイ・アール北海道バス)
- バスカード(道南バス)
- トマッピーカード(苫小牧市交通部)
- バス・市電共通乗車カード(函館バス)
- イカすカード(函館市交通局)
- マイカード(道北バス)
東北
- バスカード(青森市営バス)
- バスカード(一関市営バス〈旧:大東町営バス〉)
- バスカード(岩手県交通・岩手県北自動車・岩泉自動車運輸)
- スキップカード(仙台市交通局・宮城交通)
- ジョイカード(同上)
- バスカード(仙台市交通局)
- メルシーカード(宮城交通)
- バスカード(福島交通〈福島市内の特定路線のみ〉)
- バスカード(新常磐交通)
関東・甲信越
- バス共通カード
- 京王バスカード(京王電鉄バス・京王バス東・京王バス中央・京王バス南・京王バス小金井)
- 代官山循環線専用バスカード(東急トランセ〈代官山循環線〉)
- 3社共通バスカード (栃木県)(関東自動車・東野交通・ジェイアールバス関東〈宇都宮地区〉)
- ぐんネット(関越交通・群馬バス・群馬中央バス・日本中央バス・永井運輸・上信電鉄バス)
- 尾瀬カード(関越交通〈利根・沼田地区のみ〉)
- バスカード(新潟交通)
- バスカード(糸魚川バス)
- 新潟県内高速バス共通カード(新潟交通・越後交通・頸城自動車の新潟県内発着路線と会津若松 - 新潟線)
東海・北陸
- バスカード(富士急行グループ各社)発売終了/2009年9月30日サービス終了
- パサールカード(静岡鉄道・しずてつジャストライン)
- ユーバスカード(磐田市豊田町営バス)
- トランパス
- リニモカード(愛知高速交通)
- バスカード(名鉄バス)
- バスカード(知多バス)
- ゆとりーとカード(名古屋ガイドウェイバス)
- 三交バスカード(三重交通)
- トラムカード(富山地方鉄道富山市内軌道線)
近畿
- スルッとKANSAI
- パールカード11(近畿日本鉄道)
- NEW Uラインカード(神戸市交通局)
- トラフィカ京カード(京都市交通局)
- 回数カード(大阪市交通局)
- バスカード(近鉄バス)
- なんかいバスカード(南海バス・南海ウイングバス金岡・南海ウイングバス南部)
- 京阪グループ共通バスカード(京阪バス・京阪シティバス・京阪宇治バス・京阪京都交通)
- 回数カード(阪急バス・阪急田園バス)
- バスカード(阪神電気鉄道)
- 山陽バスカード(山陽電気鉄道)
- バスカード(和歌山バス・和歌山バス那賀)
- バスカード(南海りんかんバス)
- 回数カード(高槻市交通部)
- 回数カード(尼崎市交通局)
- 市バスカード(伊丹市交通局)
- 市バスカード(神戸市交通局)
- 市バス専用カード(京都市交通局)
- のり鯛カード(明石市交通部)
中国・四国
- 広島地区共通カード
- 山口県共通バスカード(サンデン交通・船木鉄道・防長交通・中国ジェイアールバス・宇部市交通局・岩国市交通局・ブルーライン交通)
- 共通バスカード (島根県)(日ノ丸自動車・松江市交通局・一畑バス・石見交通)
- いさりびカード(広島電鉄・中国ジェイアールバス・石見交通)
- 中鉄バス専用バスカード(中鉄バス〈一部路線を除く〉・中鉄北部バス)
- 宇野バス専用バスカード(宇野自動車)
- 備北バス専用バスカード(備北バス)
- 井笠バス専用バスカード(井笠鉄道)
九州・沖縄
- バスカード(西日本鉄道及びその分離子会社の路線バス)
- ワイワイカード(九州旅客鉄道〈福岡地区〉・福岡市交通局)
- よかネットカード(西日本鉄道・福岡市交通局)
- えふカード(福岡市交通局)
- TO熊カード(熊本市交通局・九州産交バス・熊本電気鉄道・熊本都市バス・熊本バス)
- 大分共通バスカード(大分バス・大分交通・亀の井バス)
- ゆいカード(沖縄都市モノレール)
過去に発行されていたカード
発行終了後の取り扱いなどの詳細は、項目があるものは該当項目を参照。
- イオカード(東日本旅客鉄道〈首都圏地区〉)
- ETカード(遠州鉄道)
- い〜カード(伊予鉄道)
- トランセカード(東急トランセ)
- パスネット
- パールカード(近畿日本鉄道)
- Jスルーカード(西日本旅客鉄道〈大阪地区〉・近畿日本鉄道(大阪地区)・明石市交通部・近鉄バス)
- ハープカード(阪神電気鉄道)
- 神奈中バスカード(神奈川中央交通)
- バスカード(奈良交通)
- バスカード(長崎自動車)
- マリンカード(横浜市交通局)
- Yカード(横浜市交通局)
- 岡山県共通バスカード(両備ホールディングス・岡山電気軌道・下津井電鉄・中鉄バス・宇野自動車・備北バス・井笠鉄道・中国ジェイアールバス)
- 広島県・島根県共通バスカード(中国ジェイアールバス)
- バスカード(岐阜乗合自動車)
- バスカード・にこにこカード<65>(日立電鉄交通サービス)
- 京急バスカード(京浜急行バス・羽田京急バス・横浜京急バス・湘南京急バス)
日本以外のICカード乗車券
供託金
金券(前払式証票)を発行した場合、通常は供託金の供託義務が課されるが、乗車カードの場合は(乗車券と解釈されるので)供託は不要である。カードに金券的性格がある場合は、供託金の供託義務が発生する。
その他
自動券売機にて乗車券等と引き換える、単なるプリペイドカードタイプとしては、JRグループ各社が取り扱うオレンジカードがある。プリペイドカードタイプはかつて大手私鉄など各所で発行されたが、近年はSF機能カードへの移行が進んでおり、発行する会社は少なくなっている。SF機能付きの乗車カードにおいても、残高不足や複数人乗車等に対応するため、プリペイドカード同様に自動券売機で乗車券等と引き換えることができる。
脚注
- ^ 2社間のみの共通利用であれば、これ以前にも阪急電鉄と能勢電鉄などの例がある(1994年4月1日より実施)。
- ^ 実験導入としては、2001年8月1日から開始された札幌市交通局でのS.M.A.P.カード実証実験がある。