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うごかし屋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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うごかし屋』は、芳崎せいむによる日本漫画作品。小学館漫画雑誌『ビッグコミックオリジナル増刊号』にて連載を開始したが、2008年5月から『ビッグコミックオリジナル』に移行して連載を続けている。 2009年6月現在、2巻が発売中。

概要

引越しや輸送を請け負う『うごかし屋』の面々と依頼者が織りなすヒューマンドラマ。引越しと言う一大イベントにつきまとう様々な事情に、読書好きの社長・蘇芳鉄が向き合い、時に実在の小説にヒントを得ながら、荷物のみならず依頼者の心をも動かしてゆく。

作者は『テレキネシス 山手テレビキネマ室』で実在の映画を、『金魚屋古書店』で実在の漫画をプロットの主軸に使っているが、今作では『草枕』や『山椒魚』、『三匹の子豚』など「住」にまつわる実在の小説、童話を題材に取っている。

登場人物

蘇芳鉄(すおうてつ)
うごかし屋社長。父親が急死し、その跡を継いで銀行員から引越し屋になった。
まだ若く、飄々とした印象があるが、独自の引越しの理念と依頼者の心を動かす力を持っており、社員の信頼も篤い。また、高価な仏像を傷をつけることが少ない和紙で包んだり、車の移動で物品を倒さないよう木枠の台座を急ごしらえで作るなど、輸送の際の細やかな気配りも併せ持っている。
趣味は読書であり、『金魚屋古書店』単行本に収録された書店用POPでは「活字中毒」と紹介されている。
花田(はなだ)
うごかし屋社員。16年前からうごかし屋で働いている。
今でこそ肥満体型だが前職はレーシングドライバーで、24時間耐久レースとも呼ばれるル・マン24時間レースにも参加したことがある。その腕は未だにぶらず、普段の業務では運転役を受け持っている。
一方で色を好み、4回の結婚経験がある他、街中でも美女を見れば浮き足立つ軟派な面もある。
東雲(しののめ)
うごかし屋社員。花田と同時期に入社し、憎まれ口を叩き合いながらも互いに「花」「東(しの)」と呼び合っている。
花田とは対照的に寡黙で硬派な性格であり、依頼者の注文に食って掛かる彼を諌めるシーンが度々ある。また独身であり、花田とともに、真朱の母・千草を恋い慕っていた。
前職は「鬼教官」と恐れられた白バイ教官で、その時の経歴がドラマの契機になるエピソードもあるほか、日本全国の主要道路を暗記していると言う頭脳を活かして助手席でのナビゲーターを務める。
真朱(まそほ)
うごかし屋の番頭の孫娘にあたる女子高生。可憐な容姿ながら桐たんすを頭上に持ち上げて運ぶほどの怪力の持ち主で、両親が他界した現在ではうごかし屋の業務を臨時で手伝っている。
その怪力と美貌は母・千草から受け継いだものだが、普段から形見である絹風呂敷も持ち歩いており、絹の手触りを語る場面では女友達から「(趣味が)17歳にしては、絶対渋すぎる」とツッコミを受けている。

用語

カラフルな箱
  • うごかしの際、中身によって箱の色を変える。
珊瑚色の箱 - 洋服用
浅葱色の箱 - 食器用
鳥の子色の箱 - 本棚用
山吹色の箱 - 見られたくないもの、隠しておきたいもの

各話タイトル

1巻
  • 錫(すず)色の国
  • 瑠璃(るり)色の館 -前編
  • 瑠璃(るり)色の館 -後編
  • 山吹(やまぶき)色の箱
  • 赤紅(あかべに)色の車
  • 若苗(わかなえ)色の風呂敷
  • 浅葱(あさぎ)色の風景
  • 胡粉(ごふん)色の嘘
2巻
  • 香染(こうぞめ)色の仏
  • 柿渋(かきしぶ)色の傷
  • 朽葉(くちば)色の川
  • 薄紫(うすむらさき)色の魚
  • 真朱(しんしゅ)色の列車 -前編
  • 真朱(しんしゅ)色の列車 -後編
  • 勿忘草(わすれなぐさ)色の炎
  • 橡(つるばみ)色の狼

登場する小説

1巻
2巻

単行本

  1. 2008年11月28日発売 ISBN 978-4-09-182298-7
    ビッグコミックオリジナル 2007年23号/24号/2008年12号/15号/17号/増刊号2007年11月号/2008年1月号/5月号掲載
  2. 2009年5月29日発売 ISBN 978-4-09-182498-1
    ビッグコミックオリジナル 2008年11号/19号/21号/23号/2009年1号/3号/5号/7号掲載