山川菊栄賞
山川菊栄賞(やまかわきくえしょう)とは、山川菊栄を記念するため、山川菊栄逝去翌年の1981年より始められた学術賞である。発起人は、石井雪枝、菅谷直子、田中寿美子。正式名称は山川菊栄記念婦人問題研究奨励金といい、山川菊栄記念会が主宰する。基金の原資は、遺族から寄せられた寄付金。賞金20万円。対象は婦人問題の研究・調査などに実績を示した個人またはグループ。設立趣意書・山川菊栄記念会規約には受賞者の性別規定はないが、2007年度推薦・公募のお願いには「原則として女性・女性グループを対象とします」とあり、実際にも第24回を除き受賞者は個人・グループを問わずすべて女性である。山川菊栄記念会が選定した選考委員会が選考する。選考委員には男性もいる。
受賞者一覧
- 第1回(1981年度)=柴田博美、冨澤真理子、星野弓子、山田敬子
「山川菊栄の研究報告」(婦人問題懇話会会報」 No.34)
- 第2回(1981年度)=鈴木裕子
『山川菊栄集』全10巻(別巻1巻、岩波書店)の編集・解説
- 第3回(1983年度)=福井美津子
ポール・デザルマン原著『異文化の女性たち』(新評論)、ジセール・アリミ原著『女性が自由を選ぶとき』(青山館)の翻訳
- 第4回(1984年度)=亀山美知子『近代日本看護史ⅠⅡ』(ドメス出版)
- 第5回(1985年度)=女たちの現在を間う会
『銃後史ノート』第1号~第10号(JCA出版)
- 第6回(1986年度)=粟津キヨ『光に向かって咲け』(岩波新書)
グレゴリー・M・フルーグフェルダー『政治と台所』(ドメス出版)
- 第7回(1987年度)=李順愛、崔映淑、金静伊
李効再原著『分断時代の韓国女性運動』(御茶の水書房)の共同翻訳
- 第8回(1988年度)=金栄、梁澄子『海を渡った朝鮮人海女』(新宿書房)
- 第9回(1989年度)=大林道子『助産婦の戦後』(勁草書房)
- 第10回 (1990年度) ※該当作・該当者なし
- 第11回(1991年度)=浅倉むつ子『男女雇用平等法論』(ドメス出版)
- 第12回(1992年度)=働くことと性差別を考える三多摩の会編
『女6500人の証言 働く女の胸のうち』(学陽書房)
- 第14回(1994年度)=落合恵美子『21世紀家族へ』(有斐閣)
- 第15回(1995年度)=ウィメンズセンター大阪『女の月経、女のからだ 子宮内膜症とは』(ウィメンズセンター大阪)
- 第16回(1996年度)=浅野千恵『女はなぜやせようとするのか 摂食障害とジェンダー』(剄草書房) 森川万智子『文玉珠 ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私』(梨の木舎)
- 第17回(1997年度)=藤目ゆき『性の歴史学 公娼制度・堕胎罪体制から売春防止法・優生保護法体制へ』(不二出版)
- 第18回(1998年度)=春日キスヨ『介護とジェンダー男が看とる 女が看とる』(家族社)
- 第19回(1999年度)=田村雲供『近代ドイツ女性史 市民社会・女性・ナショナリズム』(阿吽社)
- 第20回(2000年度)=柘植あづみ『文化としての生殖技術』(松籟社)
- 第21回(2001年度)=天野寛子『戦後日本の女性農業者の地位』(ドメス出版)
特別賞「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク『日本軍性奴隷制を裁く‐2000年「女性国際戦犯法廷」の記録』全5巻 (緑風出版)
- 第22回(2002年度)=戒能民江『ドメスティック・バイオレンス』(不磨書房)
- 第23回(2003年度)=三宅義子『女性学の再創造』(ドメス出版)
- 第24回(2004年度)=「性暴力の視点からみた日中戦争の歴史的性格」研究会
対象作品 石田米子・内田行知編『黄土の村の性暴力-大娘(ダーニャン)たちの戦争は終わらない』(創土社)
- 第25回(2005年度)=森ます美『日本の性差別賃金』(有斐閣)
- 第26回(2006年度)=糠塚康江『パリテの論理:男女共同参画の技法』(信山社)
- 第27回(2007年度)=中村桃子『「女ことば」はつくられる』(ひつじ書房)
- 第28回(2008年度) ※該当作・該当者なし
- 第29回(2009年度)=西倉実季『顔にあざのある女性たちー「問題経験の語り」の社会学』(生活書院)
堀江節子『人間であって人間でなかったーハンセン病と玉城しげ』(桂書房)
参考文献
- 山川菊栄記念会編『たたかう女性学へ 山川菊栄賞の歩み 1981-2000』(インパクト出版会 2000年11月)