デュロキセチン
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IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
ライセンス | EMA:リンク、US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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薬物動態データ | |
生物学的利用能 | ~ 50% (32% to 80%) |
血漿タンパク結合 | ~ 95% |
代謝 | Liver, two P450 isozymes, CYP2D6 and CYP1A2 |
半減期 | 12.1 hours |
排泄 | 尿中 72%, 糞中 18.5% |
データベースID | |
CAS番号 |
116539-59-4 (free base) 136434-34-9 (hydrochloride) |
ATCコード | N06AX21 (WHO) |
PubChem | CID: 60835 |
DrugBank | APRD00060 |
ChemSpider | 54822 |
化学的データ | |
化学式 | C18H19NOS |
分子量 | 297.41456 g/mol |
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デュロキセチン(Duloxetine)とは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる第三世代の抗うつ剤の一つである。
フルオキセチンの開発にも携わった、イーライリリー社のWongらによって1980年代後半に合成され、1988年に開発がスタートした。
しかし、1996年に第III相試験に入らないことを決定したイーライリリー社は開発から退き、日本での塩野義製薬の単独開発が始まり、その成果を見たイーライリリー社は1999年に再開発を始め、2001年にFDAに申請、2004年4月に承認された。
2010年現在、日本をはじめ95カ国で承認されている。
日本では2010年4月に、デュロキセチン塩酸塩(Duloxetine HCl)として、イーライリリー社及び塩野義製薬からサインバルタ®の商品名で薬価収載されている。
適応
うつ病・うつ状態
また、米国では、糖尿病性ニューロパチー、線維筋痛症、全般性不安障害に適応があり、
欧州では、腹圧性尿失禁、糖尿病性ニューロパチー、全般性不安障害に適応がある。
日本でも神経因性疼痛の治験が進められており、メキシレチン(メキシチール®)などと同様に糖尿病性神経症にも適応取得の予定である。
剤形及び規格
- カプセル: 20mg, 30mg
用法及び用量
通常、成人に対して20mgを初期用量とし、1週間以上の間隔を開けて、1日1回朝食後40mgまで漸増する。
効果が不十分な場合は最大60mgを限度として増減する。
薬理
既存のSNRI(ミルナシプラン、en:Venlafaxine)と比べ、セロトニン(5-HT)及びノルアドレナリン(NA)再取り込み阻害作用が強く、ドパミン(DA)再取り込み阻害作用は殆どない。
また、第三世代の特徴としても、各神経物質受容体に対する親和性が低く、抗コリン作用やα1拮抗作用が少ない。
これらと5-HT, NA再取り込み作用から副作用を抑えた三環系抗うつ薬と見ることができる。
また、前頭前皮質におけるドパミン(DA)の濃度が上昇する。
これは、前頭前皮質にDAトランスポーターの分布が少なく、そのためNAトランスポーターを介して前シナプス終末部に取り込まれる。
しかし、デュロキセチンはNAトランスポーターを阻害するため、DAの再取り込みも阻害し、細胞外の遊離DAの濃度が高まるとされる。
DA濃度が高まり、前頭前皮質の血流が増加すると認知、情動行動などの改善にもつながることが、統合失調症患者にDAアゴニストのアンフェタミンを投与した結果の報告から分かる[1]。
使用上の注意
禁忌
- 本剤に対し過敏症の既往歴がある患者
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤の投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者 #相互作用を参照。
- 高度の肝機能障害、腎機能障害がある患者
慎重投与
主なもののみ記述する。 詳細は添付文章の慎重投与を参照するように。
- 前立腺肥大症等排尿困難のある患者
- 高血圧又は心疾患のある患者
- 緑内障又は眼内圧亢進のある患者
これらはノルアドレナリンの再取り込み阻害作用により引き起こされる。
相互作用
デュロキセチンは主にCYP1A2とCYP2D6で代謝され、特に代謝物である5-hydroxy体と4-hydroxy体の生成にはCYP2D6が強く親和性を示す。
また、デュロキセチンは中程度にCYP2D6を阻害するが、CYP2D6は薬物により誘導されることがない。
また、CYP1A2の阻害能は最小限であり、誘導をすることもないとされる。
このことから、チトクロームP450に関与しないミルナシプランには劣るが、デュロキセチンの薬物相互作用は比較的少ないとされる。
併用禁忌
モノアミンの代謝が阻害されることにより、脳内のモノアミン濃度が高まった上でのモノアミン再取り込み阻害により、昏睡や全身痙攣などの症状が現れるおそれがある。
併用注意
主なもののみ記述する。 詳細は添付文章の併用注意を参照するように。
- ブチロフェノン系抗精神病薬のピモジド(商品名: オーラップ)
併用により、ピモジドの酸化的代謝が阻害されて血中薬物濃度とAUCが上昇した結果、心電図でQT延長をきたす可能性がある。
副作用
まれに重い副作用抗コリン作用・セロトニン症候群や悪性症候群、けいれんと言った症状を起こすことがある。
関連項目
参考文献
外部リンク
脚注
- ^ “The effect of amphetamine in regional cerebral blood flow during cognitive activation in schizophrenia”. J Neurosci 11: pp. 1907-1917. (1991).