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平成新局

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平成新局(へいせいしんきょく)は日本において元号が平成1989年1月8日-)になってから開局した放送局の通称を指す放送用語である。現在では「老舗局」が実質的な対義語として使われる場合が多い。

テレビは「民放TV全国四波化方針」に、ラジオは「全国二波(中波放送1波+超短波放送1波=2波)化方針」にそれぞれ基づき、キー局新聞社(全国紙・地方紙)などと協力して各地に設立された。

テレビはすべてUHF局、ラジオはすべて超短波放送で、コミュニティ放送もすべて平成新局である。

テレビは、1989年10月1日テレビ北海道テレビユー山形熊本朝日放送の開局を先頭に、とちぎテレビ1999年4月1日)まで開局。ラジオは1989年4月1日のエフエム山形を先頭に、岐阜エフエム放送2001年4月1日)まで開局させている(コミュニティ放送はそれ以降に開局した放送局も多くある)。

なお、平成新局には当面的にクロスネット局は存在していないが、多くはテレビ東京系列の放送局がないので、テレビ東京の番組を販売購入する局も多い。また、一部の局ではテレビ東京以外の番組を販売購入する局も存在する。

平成新局一覧

この言葉を指すのは主に地上系放送局であり、衛星系(BS・CS)は含まれないことが多い。

テレビジョン放送局

NNN・NNS(日本テレビ)系列局

KTKの開局で佐賀県沖縄県を除く全ての都道府県にNNN・NNS系列局が出揃った。また、手薄だった九州地方でNIBとKYTの2局が開局している。NIBとKYTの放送対象地域はいずれも第2局(テレビ長崎鹿児島テレビ放送)がNNN・NNSとFNN・FNSのクロスネット局として開局し、両局ともフジサンケイグループの出資比率が高いことを考慮したことで、第4局をNNN・NNS系列局として開局し、第2局はFNN・FNS系列のマストバイ局にネットチェンジした(第3局は両県ともANN系列)。ちなみに、上記3局の放送対象地域の第1局はJNN系列である。なお、NNN系列局が存在しない沖縄県クロスネット局で存在する宮崎県にNNN系列の新局を開局させる計画があったが、バブル崩壊などの経済不況の影響でいずれも廃案になった。なお、沖縄県はANN系列の琉球朝日放送(QAB)とともにチャンネルが割り当てられ、運営する会社まで作られていたことがある。また、宮崎県はNNN系列で開局出来ない場合はANN系列にする構想もあったが、キー局である日本テレビテレビ朝日が両局とも開局させない方針を決めたため、こちらも廃案となった。

ANN(テレビ朝日)系列局

元来メインネットとしないクロスネット局が多かった当系列は、平成に入り、多くのフルネット局を開局させた。なお、NCC以外はすべて局名に「朝日」を冠している[1]。また、東北地方では1993年4月1日にフジテレビ系列だった山形テレビがテレビ朝日系列ネットチェンジしたため、6県すべてでANN系列局が開局したことになる。

JNN(TBS)系列局

NNN・NNS系列局と同様老舗局が多く、上記3地域は1番目の局が同系列であり、2番目の局はFNN・FNS系列局として開局。JNN系列局が存在しない秋田県福井県徳島県佐賀県にもJNN系列の新局を開局させる計画があったが、バブル崩壊などの経済不況の影響でいずれも廃案になった。なお、秋田県の第3局はJNN系列局とする計画だったのが、地元マスコミの要望でANN系列のAABとして開局した経緯がある。これは同県の第2局の秋田テレビがかつてフジテレビ・テレビ朝日の両局のクロスネット局だった為である。また、福井県はJNN系列で開局出来ない場合はANN系列にする構想もあったが、キー局であるTBS・テレビ朝日が両局とも開局させない方針を決めたため、こちらも廃案となった。余談だが、TUYは1993年4月1日の山形テレビ(YTS)によるフジテレビ系列からテレビ朝日系列へのネットチェンジが行われた後、1997年4月のさくらんぼテレビジョン(SAY)開局まで、一部フジテレビ系列の番組を遅れネットで放送していた。

TXN(テレビ東京)系列局

両局の設立で五大都市圏、そして北海道・九州に当系列を開局させた。大都市圏以外で唯一の系列局で、1985年10月1日の開局と同時に四国進出を果たしたテレビせとうち岡山県・香川県、昭和最後の局として開局。本社所在地の岡山市は2009年4月1日に政令指定都市に移行。)を含めて、テレビ東京にとって長年の悲願だった「列島縦貫ネットワーク」が完成した。

FNN・FNS(フジテレビ)系列局

ユニークな局名を付与する傾向がある。山形県のSAYは当初開局する予定がなかったが、県民や東北地区の系列局の強い要望により開局が決まった。開局までの4年間はFNN・FNS系列局がなかったため、フジテレビが山形支局を設置。さらに、JNN系列のTUYが一部番組をローカル枠で放送したほか、近隣県の系列局を視聴する県民も多かったりした。

独立UHF放送局

とちぎテレビが地上波民放テレビ局では最後の開局となった。これで茨城県を除く関東全都県に独立UHF局を開局した。

ラジオ放送局

昭和末期にいっせいに電波が割り当てられた局がほとんどであり、テレビの平成新局とは意味合いが違うが、ここでは平成に入ってから開局した局を挙げた。なお、中波ラジオは1963年(昭和38年)で開局を完了している。

JFN(TOKYO FM)系列局

出資希望者の乱立などで放送局の設立が遅れた地域が少なくない。岐阜エフエム放送が地上波民放局では最後の開局となった。

JFL系列局

事実上の幹事局の役割を持つ東京都J-WAVE昭和63年である1988年に開局している(当系列局はキー局を置いていない)。

MegaNet(InterFM)系列局

このネットワークの基本である外国語FM放送局は1994年に新たに周波数が割当てられた。

独立FM放送局

このほか、和歌山県も上記各局と同時割り当てだが、昭和末期の1984年から割り当てられている奈良県とともに未開局(割り当てが削除される可能性もある。茨城県には割り当てなし)。和歌山県・茨城県は県域民放中波放送があるので、県域民放ラジオ放送がないのは奈良県のみ。

  • 茨城県と奈良県は大半の地域で県外民放FM局を受信可能なため、開局する必要がないという意見が少なくない。これは、テレビにおける山梨県徳島県佐賀県も同様である。[誰?]

平成新局の主な特徴

平成新局は当時の時代背景にあるバブル経済崩壊などの影響を受けているため、資本金が乏しく、営業収入も他局と比べ少なめ[5]で、中継局も少なく[6]放送対象地域内の全世帯を放送区域におさめていない放送局が多い[7]

さらに、上記の理由から、会社の規模自体が小さく、先行して開局したテレビ局に比べて番組制作力や営業力が弱い傾向にある。また、1990年代後半に開業した局は平成不況の影響を受けてより規模が小さく、コンパクトに設立されており、「従業員が少ない」・「本社社屋が小さいもしくは簡素な造り(琉球朝日放送は琉球放送社屋内にある)」・「支社・支局網が少ない(さくらんぼテレビジョンと高知さんさんテレビは東京支社と大阪支社をフジクリエイティブコーポレーションに業務委託)」などの特徴がある。

なお、ほとんどの平成新局の大株主にはキー局や主要系列局が上位3位以内に入っている、わるくいえば、キー局や主要系列局の支局・地方送信所とすら言える放送局も少なくない。また、他系列番組のネットも少なく、自社制作番組の割合も少ない方である。自系列の番組や、再放送の方が持ち金に負担がかからないためといわれている(そのせいか、老舗局はかなり他系列の番組や自社制作番組に負担をかける)。

数は少ないが、平成新局と関連が深い地方紙も存在する(北國新聞長崎新聞など)。

北海道の場合

北海道ではテレビ北海道(TVh)とエフエム・ノースウェーブ(NORTHWAVE)が平成新局であるが、バブル経済崩壊の影響を道外より強く受けているため、老舗の在札民放テレビ4局やラジオ2局に比べて収益が伸び悩み、中継局の設置がままならない。さらに1982年(昭和57年)に開局したエフエム北海道(AIR-G')も、主要都市と洞爺湖町にしか開局していない[8]

そのため、

  1. AIR-G'は、空知[9]後志[9]檜山日高[9]留萌宗谷根室全域が、
  2. NORTHWAVEでは1.に加えて胆振[10]オホーツク全域が、
  3. TVhは、1.、2.に加えて、釧路十勝全域[11]がエリア外。エリア外地域の一部では遠距離受信やケーブルテレビによる再送信も行われているが、特にTVhとNORTHWAVEのないオホーツク・根室管内[12]では、遠距離受信さえ困難あるいは不可で電波事情が非常に悪く、オホーツク管内ではケーブルテレビ(遠軽町白滝ふるさとテレビ)があってもTVhの再送信は行ってこなかった。
  4. そんな中、2010年12月21日、TVhが2010年度補正予算に入っている「地デジ移行に伴う中継局整備支援事業」を使って、地上デジタル放送完全移行直後の2011年8月から10月にかけて、網走送信所帯広送信所釧路送信所北見中継局を開局させることを発表した。このため、唯一全域で見られなかった北海道東部(すなわち、道東)での開局が現実のものとなる[13][14]

4.の影響から、今後宗谷管内と根室管内が「放送環境の非常に悪い地域」になると思われる[15]

なお、この「電波格差」が大きな事件を引き起こす問題に至っている。それが2008年3月に発覚した中標津町での在札民放FM2局の「違法中継事件」である。これは釧路送信所から出されている在札民放FM2局(AIR-G'、NORTHWAVE)を法定の出力を超える高出力で中継。中標津町の住民にとっては好評を得てはいたものの、ほかの無線への障害が発生、北海道総合通信局の告発を受けて中標津警察署が調べていたところ、中標津町の電気店でFMアンテナが向けられていたことから電波法違反で事情聴取。そして、電気店主が逮捕される事態に発展した。開局以来このようなことが行われたのは初めてである。

また、中標津町はAM2局(HBCラジオSTVラジオ)を聴くことも難しく、何度も両局への陳情が行われたが、両局の諸事情から開局は実現しなかった[16]。この一件と先述の違法中継事件がきっかけで、2008年4月にコミュニティ放送局FMなかしべつ放送(FMはな)が設立、8月に開局した。

平成新局の今後

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今後、平成新局のテレビ局の大きな課題は2011年7月24日までに完全移行される予定である「地上デジタル放送」に向けた設備投資である。

平成新局のうち、特に経営状況が苦しい放送局にとっては、この設備投資は局の存亡にも関わる莫大で巨額な費用が掛かるため、デジタル化に向けた動きは資金の面で懸念されている局もある。

そのため、依然として厳しい経済情勢の中で地方における多局化を再び推進するなどの理由から、総務省ではキー局を中心とした放送持株会社制や一局二波(1つの放送局で複数の放送ネットワークの放送を流すこと。実際、沖縄県の琉球朝日放送の場合は一部を除く放送業務を親会社の琉球放送に委託し、同局の社屋から2局のテレビ放送波を出しているため、形式としてはこれに相当する)制度の解禁などの規制緩和を検討している。

以上のような設備投資の増大や視聴率競争激化の理由により、とちぎテレビ以降、新規開局(2000年新局)は行われていないが、2011年以降をめどに、宮城県静岡県広島県のテレビ東京系列の新局開局の計画がある。なお、テレビ大阪では京都府と兵庫県への放送エリア拡大が模索されており、また、宮城県では新局が、静岡県、広島県では新局(静岡県は静岡浜松の2本社制)か隣県系列局(静岡県はテレビ愛知、広島県がテレビせとうち)の放送エリア拡大が模索されている。しかしながら、これらはテレビ東京が2007年に発表したものの、正式な公認事業ではないので流動的要素が多い。さらに、昨今の不況などの影響から、発表後は全く音沙汰がない状態である。

脚注

  1. ^ 1993年10月1日に静岡県民放送(SKT・通称:けんみんテレビ。1978年7月1日開局)から社名変更した静岡朝日テレビ(SATV・通称:あさひテレビ)も同様。
  2. ^ 2008年7月1日にエフエム九州の債務超過による経営破綻により、新旧分離により設立された新法人「株式会社CROSS FM」に放送免許を承継、旧法人の「株式会社エフエム九州」は清算手続き移行。
  3. ^ 開局当初は大手部品メーカーニフコの関連会社だったが、不況による経営不振から、2006年7月以降はテレビ東京の完全子会社として継続中。
  4. ^ 愛知県全域と静岡県西部(浜松地区)を公式放送区域としていた。しかし、開局当初から不況の影響を大きく受けていたため、CM収入が伸び悩み、赤字が膨らんだことにより、一度も単年度黒字を達成出来なかった。2008年8月には大手商社興和が完全子会社化して再建を試みたが、リーマン・ショックにより、さらなる不況が訪れる。その結果、経営は悪化する一方で、親会社だった興和の事業再編との関係もあり、日本の県域地上波民放としては史上初の「廃業(閉局・廃局)」に追い込まれた(免許は2010年10月7日付で総務省東海総合通信局へ返上され、法人としての「愛知国際放送」は清算手続きを経て消滅)。
  5. ^ 例外としては、大阪府のFM802、愛知県のZIP-FMは同地区老舗局のエフエム大阪エフエム愛知を上回っている。また、石川県のように、平成新局2局(テレビ金沢〈地元紙北國新聞が大株主〉、北陸朝日放送北陸3県唯一のANNフルネット局〉)の売上高が先発2局(北陸放送石川テレビ放送)の85-95%と遜色がない地区もある。
  6. ^ 1980年代(昭和末期)に開局した局でも一部同様(テレビせとうちなど)の傾向がみられるが、秋田朝日放送やチューリップテレビのように同地区の先発UHF局に比べ数局少ないだけの局もある。
  7. ^ ほとんどの平成新局は放送対象地域内の重要地域の一部に中継局を整備していることが多いが、特に、テレビ北海道(TVh)といくつかのラジオ放送局などは平成の大合併以前からの市の重要部をカバーしきれていない例や、逆に、老舗民放でもNHKほど中継局を有していない例もある。なお、琉球朝日放送も、開局以来、宮古八重山地域(先島諸島)をカバーしていなかったが、沖縄地区のデジタル放送が先島で開始されたことにともない、デジタルのみ2009年10月に開局、これで県内全市の主要部で視聴可能に(2011年開局予定の南大東・北大東中継局の開局を以って県内全域カバーを果たすことになる)。そのほかの平成新局でもアナログ放送では少なかった中継局もデジタル放送では先発局とほぼ同数の数で設置され、エリア内全域カバーを事実上果たしたところもあるが、先述のテレビ北海道やあいテレビ、愛媛朝日テレビ、大分朝日放送のようにデジタル放送でも未だにカバーしきれていないところも多数ある。
  8. ^ 送信所・中継局数は11か所。それでも民放FM局の送信所・中継局数としては広島エフエム放送の13か所に次いで2番目に多い。
  9. ^ a b c 本来エリア外であるが、札幌送信所から放送されている電波を受信出来るエリアあり。
  10. ^ 本来エリア外であるが、札幌送信所から放送されている電波を受信出来るエリアあり。但し、室蘭市内はFMびゅーで一部番組を聴取可能。
  11. ^ 但し、空知・後志・檜山・胆振・日高・留萌はエリア内となっている。
  12. ^ 根室管内はAIR-G'もなし。
  13. ^ テレビ北海道が道東へ拡大計画-釧路新聞~釧路と根室地域のニュースをお届けするウェブサイト!~(2010年11月20日本紙にも掲載あり。)
  14. ^ 来夏から釧路で放送/テレビ北海道-釧路新聞~釧路と根室地域のニュースをお届けするウェブサイト!~(2010年12月22日本紙にも掲載あり。)
  15. ^ 但し、宗谷管内は日本海側に限られるものの、遠距離受信できる地域がある。また、根室管内でもTVhが釧路送信所を開局させると、釧路送信所からの電波を直接受信している別海町、中標津町の一部地域ではTVhが見られる可能性がある。
  16. ^ HBCラジオ・STVラジオ・AIR-G'・NORTHWAVEに関しては北海道でも2011年春までにサービス開始が予定されているradikoにより解消される予定。

関連項目