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ウェンドルアンドラング

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ウェンドルアンドラングWendl & Lung)は、オーストリアウィーンに本拠を置く、ピアノ製造会社である。ピアノの製造は中国の協力工場で行われており、彼らの製品として広く認識されている。

沿革

ウェンドルアンドラングのブランドは、1910年に、二人のオーストリア人、Stefan LungとJohann Wendlの協力で、オーストリアのウィーンで始まった。 1926年には、生産台数が初めて1000台に達した。ウェンドルラングのピアノは、欧州全域に供給された。

1930年頃から、この会社はピアノの製造から、修復や修理に重点を移したようである。 3代目のAlexander Veletzky は、1956年に会社を継ぎ、楽器生産者共同組合の会長もつとめた。各地の博物館にある歴史的に貴重なピアノの修復など、生涯をかけたその業績が認められ、ウィーン市から「ゴールデンメリット勲章(Golden merit of order)」を授与された。

Stefun Lungから4代目にあたるPeter Veletzkyは、22歳のときにオーストリアの史上最年少のピアノマイスターになり、1994年に家業を継いだ。1999年に、彼は中国の様々なピアノメーカーの技術アドバイザーになった。この関係は、2000年に彼の事業パートナーとなったErnest Bitterの中国生まれの妻Bai Linを通して築かれた。

上海から近い寧波(Ningbo)にある寧波海倫楽器(Ningbo Hailun Musical Instruments Co.Ltd.)は、はじめは楽器部品の製造をしていたが、2000年ごろからピアノの製造を開始していた。社長のHailun Chenは、Peter Veletzkyと出会い、特別な友人となった。Veletzkyはピアノ製造のノウハウと技術を提供した。 2003年には、ウェンドルアンドラングのブランドをもったピアノの製造が、寧波で開始された。これはVeletzkyとBitter、そしてChen夫妻のパートナーシップによるものである。 最初のモデルは、Veletzkyが製作したプロトタイプをベースとしたは115cmのアップライトピアノと、Hailunの既存のアップライトモデルをベースとした122cmのアップライトピアノであった。これは、2003年の8月に、ウェンドルアンドラングの122cmのモデルとして商品化された。Veletzkyが注力した正確な技術レベルは不明だが、彼が寧波海倫楽器に技術革新と品質管理の改善をもたらしたのは確かと思われる。 2004年には、2つのグランドピアノモデルが導入された。161cmのプロフェッショナルIと、178cmのプロフェッショナルIIである。 2007年暮れには、218cmのグランドピアノモデルも生産を開始した。

現在の年間製作台数は約2400台で、オーストリア本社に20名、寧波海倫楽器には800名の従業員がいる[1]とのことである。寧波海倫楽器は、現在では中国でも最も近代化されたピアノ製造工場の一つとなっている。

なお、2010年には、ドイツ・ライプチッヒで1851年に創業された歴史あるピアノメーカー、フォイリッヒ(FEURICH)と協力関係に入った。今後、ウェンドルラングのブランド名はなくなり、フォイリッヒブランドに置き換えられていく予定[2]であるという。

ピアノの特徴

アップライトピアノのラインナップとして、122cm、115cm、110cmの3モデルがあり、グランドピアノのラインナップとしては、Stephen Paulelloの設計による218cmモデルの他、178cm、161cmの合計3モデルが公式サイトには掲載されている。 外部のピアノ技術者の協力も得て、アップライトピアノのReal double Repetition Action for upright pianos、グランドピアノのThe harmonic pedal、また磁W&L-Dotzek High Speed Piano Actionなど、新技術を積極的に導入しているのが興味深い。

市場への供給

ウェンドルラングは、ディーラー網を通して、主として欧州、そしてアジアにピアノを供給している。 寧波海倫楽器は、いくつかの異なるブランド名のピアノを製造している。Hailunの他、Steigerman Premium、そしてWendl & Lungである。このことが、市場でのHailunピアノにある種の混乱を生じている。ブランド間の差異は、技術的なもの、そして材料や部品の供給元の違いであるとするが、Hailunブランドで"Vienna Series"と呼ぶ新しいアップライトとグランドのシリーズを出すなど、曖昧になってきている。

日本では、2001年創立のアサヒピアノ(本社・浜松市)が総代理店となって、2004年から輸入している。アサヒピアノでは、基礎組み立てを終えた状態のピアノを輸入し、先ず日本の環境に慣らすためのシーズニングを行ったあと、15名の技術者が最終調整して出荷している[3]という。アサヒピアノの公式サイトに掲載されているラインナップは、アップライトで5サイズ、グランドで6サイズと、前述のウェンドルラングの公式サイト掲載のラインナップより多くなっている。

その他

中国メーカーと、欧州ブランドの組合わせは、今日のピアノ業界では普通のことである。なじみある欧米のブランド名のピアノを、低価格で供給することができるのがその理由である。しかし、実際にはそれらのブランドは、しばしば中国の製造会社によって買い取られ所有されている。ウェンドルラングの場合は、欧州企業と中国企業(工場)との確かな協業であるという点で、珍しい例と言える。

脚注

  1. ^ ピアノ音楽雑誌「ショパン」2010 JULY NO.318,P31参照
  2. ^ Larry Fine,"Acoustic & Digital PIANO BUYER(FALL 2011)", P165のFEURICHの解説参照
  3. ^ ピアノ音楽雑誌「ショパン」2011 MAY NO.328,P15参照

外部リンク

  • Wendl & Lung (公式ページ)
  • ウェンドルアンドラング (日本総代理店の製品紹介ページ)
  • Hailun Piano(中国の協力工場の公式ページ。P.Veletzky氏が社長夫妻の特別なパートナーとして、また8名の外国人技術者の一人として紹介されている)
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