ブラジル高速鉄道
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リオデジャネイロ - サンパウロ - カンピーナス 予定路線図 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
路線総延長 | 518 km | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
軌間 | 標準軌 (1435 mm) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ブラジル高速鉄道(ポルトガル語: Trem de Alta Velocidade、略称TAV)は、ブラジルの高速鉄道計画。現在では具体的な案がリオデジャネイロ - サンパウロ - カンピーナス間について出ている。
概要
ブラジル高速鉄道はサンパウロからリオデジャネイロを通り、カンピーナスを結ぶ鉄道路線として開業する予定。
当初は2014 FIFAワールドカップに合わせる予定で、サンパウロからリオデジャネイロまでを結ぶ鉄道として計画され、後にカンピーナスまでの約100kmを延長することがブラジル政府により決定された。延長後の総距離は518kmに及ぶ。
しかし計画は遅れ、2009年7月時点では施工を行う会社の入札まで終えている予定だったものが、2011年7月現在に至っても施工業者すら決められていない状態(後述)で、5年と見られていた建設期間を入れた場合2014年までの建設は実質的に不可能とされ、2016年に行われるリオデジャネイロオリンピックに合わせて開業する予定であるが、これについても難色が示されている。
2011年7月11日に入札が行われ、7月29日に落札企業が発表される[1]予定であったが、7月11日に応札する企業はなく[2]、実質3度目の延期が確定している[3]。入札する際は建設する技術を持っていることが前提。落札の基準は想定運賃の安い企業[4]。落札した企業には40年間の運営や運賃の上限設定が求められる。事業費は70%程度を政府が出資し、残り30%は民間から調達することになる。さらにその30%のうち80%はブラジル企業が、20%が落札企業が負担する。
車両にはエコノミークラスとエグゼクティブクラスが用意される。
特徴
- 距離 518km
- 総事業費 331億レアル(見積額、2010年11月時点のレートで約1兆6000億円)
- 所要時間
- リオデジャネイロ - サンパウロ間 急行タイプ80分 各駅停車タイプ101分
- サンパウロ - カンピーナス間 急行タイプ24分 各駅停車タイプ28分
- 運賃 リオデジャネイロ - サンパウロ間 199レアル(エコノミークラスの場合)[5]
- 軌間 1435mm[6]
- 最高速度 時速360km[6]
上記数値はメディアにより数値が多少違うことがある。
各国の動き
以下に最有力候補とされる国とその企業を示す。
韓国
韓国の企業連合は韓国鉄道公社、現代重工業、現代ロテム、サムスンSGS、LG CNSなど総22社から成る[7][8]。
特に2010年11月29日に予定されていた入札では、高いリスク(後述)を嫌い各国企業連合が入札を見送る中、唯一応札する意志を示していた。韓国も条件とされているサンパウロ - リオデジャネイロ間の運賃199レアルを下回る運賃で運行が可能[5]だとしており、当初は落札する見込みがもっとも高いとされていた。 この背景には韓国企業連合が韓国政府の支援を受けており、リスク度外視でも同国が保有する韓国高速鉄道(KTX)の技術の初海外輸出に結び付けたい意志があったとされる。 また地元資産家や建設会社と接触し、建設段階から協力する見込みもある[7]。
これらの理由からもっとも有力視されていた韓国企業連合だが、2010年11月26日になって入札は急遽2011年4月11日まで延期され、さらに4月7日になると7月11日まで再延期された。その理由としてブラジル政府は「政治的な判断」としていたが、実績の少ない韓国高速鉄道に不安を抱いているためとも、韓国企業連合の単独入札になるのを嫌い形式的にでも競争入札になることを狙ったものだとも言われている[9]。
また韓国企業連合内部でも、ブラジル企業が土木事業の80%以上を手がけることになる条件から採算性を危ぶみ、現代アムコなど建築企業4社が2011年4月1日に連合離脱を表明、残る建築企業も存続に懸念を示す。および、施工にかかる事業費を実際より低く見積もっていたことが発覚し、韓国事業団の団長であった漢陽大学校の教授が解任されるなど問題も生じた結果[10]、結局2011年7月の入札では韓国勢も入札を見送った[11]
さらに、KTXは2011年現在、韓国内で多数の事故を起こしていることから安全性に疑問が呈されており、入札に影響が及ぶ可能性が指摘されている[12]。
日本
日本の企業連合は三井物産・三菱重工業・東芝・日立製作所から成る。
技術については日本の新幹線技術を売り込む予定で、駅舎など地上施設を一手に受注し、さらに駅に接続するショッピングセンターやオフィスなども建設して利益を得、鉄道建設費の縮小に充てるのが日本の方針。[13]
しかし需要予測が甘く、リスクが大きいなどの理由で2010年11月29日の入札は見送る方針を示していた。
入札が延期されたのを受け、ブラジル政府に条件の改善を求めていたが、実現には至っていない(後述)。
フランス
フランスの企業連合はアルストムを中心に成っている。
アルストムはフランスでTGVの車両を開発・製造しており、TGV輸出版も担当した。ブラジル国内においても同社はサンパウロ地下鉄に車両納入や信号システムの構築を担当した実績がある。
今回もTGVの技術を売り込む予定であったが、日本と同じ理由で入札は見送る方針だった。
入札延期後の予定については明らかではない。
問題
ブラジル高速鉄道は様々な要因により遅れが見込まれており、また興味を示している各国の企業連合も、参加には慎重な構えである。
地理的条件
現行案でリオデジャネロ - サンパウロ間に鉄道を敷く場合、リオデジャネイロを出てすぐに高低差800mの急斜面を登り、2つの山脈の間を川に沿って走る形を余儀なくされている。その区間に必要とされているトンネルや高架は合わせて200kmにも上り、建設費用の増大が考えられる。また沿線の半分程度の区間は工場地帯を走るため、地価が高く用地買収の困難さも予想される[13]。
40年間の運営
ブラジル政府が提示した条件には、落札した企業が40年間の事業運営を求められる。また運賃上限は1kmあたり0.49レアルと定められている。
しかしブラジル政府の需要予測が甘く、さらに用地買収には困難が予想され工事延期で追加負担が発生する恐れがあるなどリスクが大きく、収益が見込めないとし、日本やフランスの企業連合は応札を見送る方針を示していた [14]。 この甘い需要予測や高いリスクを是正するよう、日本の企業連合がブラジル政府に働きかけたこともあったが、ブラジル政府は2011年1月時点で「需要予測に誤りは無い」として変更するつもりはないことを告げた[9]。
入札の遅れ
ブラジル政府の予算調達の遅れや、上記の困難さから各国企業連合は参加に難色を示していることなどから、入札は大幅に遅れている。
2010年11月29日に予定していた入札も、直前の26日になって2011年4月11日まで延期すると発表し、さらに4月7日になって7月11日まで延期すると発表され、さらに7月11日になっても応札する企業はなかった。各国企業の懸念材料である40年間の運営や出資割合についてもブラジル政府は譲歩を示さず、リオデジャネイロオリンピックにすら開通が間に合うのかと懸念されている。
競合交通機関
今後高速鉄道が開業した際にライバルとなりうる交通機関を挙げる。
航空機
航空機は、現在のリオデジャネイロ - サンパウロ間の主な交通手段であり、開通後の大きなライバルと見られている。
両都市共に中心部に空港がありアクセスが良く、シャトル便で年330万人が行き来している(2008年時)。片道の所要時間はシャトル便でおよそ50分で、高速鉄道に比べ短時間で済む。
しかし完全に競合するわけでもなく、高速鉄道はグアルーリョス国際空港、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港、ヴィラコッポス国際空港という主要空港を結ぶ交通機関としての役割も担うことになる。
長距離バス
リオデジャネイロ - サンパウロ間にはバスも走っている。時間は6時間ほどとかなりかかるものの、運賃は片道100レアルと、高速鉄道が想定している運賃の半額である。
出典
- ^ “ブラジル高速鉄道入札、7月に再延期 五輪開通困難か”. 日本経済新聞. 2011年4月16日閲覧。
- ^ ブラジルの高速鉄道建設の入札に応札企業なし、計画実現に赤信号 - ロイター 2011年7月12日
- ^ “ブラジル高速鉄道の入札 3回目の延期へ”. 日本経済新聞. 2011年6月30日閲覧。
- ^ “Financiamento e tarifa definirão vencedor do trem-bala”. Abril.com. 2010年1月12日閲覧。
- ^ a b “韓国企業連合がブラジル高速鉄道計画に応札へ-大使が指摘”. Bloomberg.co.jp. 2010年1月12日閲覧。
- ^ a b “TAV Traçado”. TAV. 2010年1月12日閲覧。
- ^ a b “ブラジルの資産家バチスタ氏、高速鉄道建入札への参加を検討”. ロイター. 2010年1月12日閲覧。
- ^ “ブラジル高速鉄道事業、韓国が受注か、日本とフランスは入札を断念―韓国”. サーチナ. 2010年1月12日閲覧。
- ^ a b “ブラジル高速鉄道争奪戦 入札延期に望みつなぐ日本”. Diamond.jp. 2010年1月12日閲覧。
- ^ “ブラジル高速鉄道受注に暗雲”. 朝鮮日報. 2011年4月16日閲覧。
- ^ “韓国がブラジル高速鉄道の入札を回避、理由は「収益が見込めない」”. サーチナ. 2011年7月12日閲覧。
- ^ リコールを受けKTX、運行数を調整して整備 - 中央日報 2011年5月13日
- ^ a b “ブラジル初の高速鉄道、遅れる準備 W杯前の完成、地形と地価が壁 2009/7/7”. business-i.jp. 2010年1月12日閲覧。
- ^ “日本企業連合、条件変更要請へ ブラジル高速鉄道の入札延期で”. 産経新聞. 2010年1月12日閲覧。