鼓膜
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鼓膜(こまく)は空気中の音を捉えるための器官。陸上脊椎動物のうち、鼓膜は、哺乳類、爬虫類、鳥類に見られるが、理化学研究所と東京大学大学院医学系研究科の共同研究グループの研究により、これらの共通祖先で獲得された器官ではなく、哺乳類系統と爬虫類・鳥類系統とでそれぞれ別の進化過程を経て独立して獲得されたものとみられている[1]。
ヒトの鼓膜
中耳と外耳の境目にある、直径8 - 10mm、厚さ0.1mmの膜で、耳小骨に音を伝える。正常時には光沢のある灰白色をしている。外耳側から順に、皮膚層、固有層、粘膜層の3層からなる[2]。
慢性中耳炎では一般に鼓膜の穿孔が起こる。
また、鼓膜が中耳側に陥入して嚢胞を形成し、内部で上皮が増殖して真珠腫を生じることがあり、これを真珠腫性中耳炎と呼ぶ。真珠腫は進行すると、耳小骨を融解させて難聴を引き起したり、顔面神経を障害したりすることがある。
鼓膜も、皮膚と同じく再生することが可能である。大体1週間 - 10日程で再生する。
小さな子供が鼻水をすすった際に耳の奥へ溜まってしまう場合がある。この際は鼓膜に穴を開け吸い出すのだが、親が同意を求められた際に過剰に反応する場合がある。鼓膜が再生することが認知されていなかったり、聴覚は鼓膜だけによるものではないこと(鼓膜を損傷してもある程度は聴こえる)が理解されていなかった場合などがある。実際は上記の通り、再生するので過剰に反応する必要はない。
脚注
- ^ “哺乳類と爬虫類-鳥類は、独自に鼓膜を獲得”. 理化学研究所. 2015年11月11日閲覧。
- ^ 藤田郁代 (2010), 聴覚障害学, 医学書院, p. 48, ISBN 9784260021173