聖女の魔力は万能です
このフィクションに関する記事は、全体として物語世界内の観点に立って記述されています。 |
聖女の魔力は万能です | |
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ジャンル | 異世界ファンタジー・恋愛 |
小説 | |
著者 | 橘由華 |
イラスト | 珠梨やすゆき |
出版社 | KADOKAWA |
レーベル | カドカワBOOKS |
巻数 | 既刊1巻 |
漫画 | |
原作・原案など | 橘由華(原作) 珠梨やすゆき(キャラクター原案) |
作画 | 藤小豆 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | ComicWalker (フロースコミック) |
発表号 | 2017年7月31日配信号 - |
発表期間 | 2017年7月31日 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル、漫画 |
ポータル | 文学、漫画 |
『聖女の魔力は万能です』(せいじょのまりょくはばんのうです)は、橘由華によるライトノベル。「小説家になろう」にて、「タチバナ」名義で連載されたWeb小説を元に、2017年2月10日、カドカワBOOKS(株式会社KADOKAWA)より単行本化された[1]。イラストは珠梨やすゆきが担当している。
2017年7月31日から藤小豆によるコミカライズが無料漫画雑誌がComicWalkerのフロースコミックにて連載開始している。
あらすじ
本作品は、魔法の存在する異世界に召喚された日本人女性が、聖女の魔力で無双する「恋愛ファンタジー物語」である。
HP・MP・レベル・魔法を含むスキルなどが、数値化されて確認できる異世界。スランタニア王国では数世代に一度の割で、国が瘴気に覆われ魔物が大量発生する時代がやって来る。これまではそのたびごとに、魔を祓う力を持つ「聖女」が国内に現れ、国を救ってきた。数百年前、一度だけ聖女が現れなかった時は、儀式により聖女を召喚した。今回、再び聖女が現れず、王と重臣たちはやむなく伝説の魔法「聖女召喚の儀」を行う。ところが、これまで常に一人だったはずの聖女が、なぜか二人召喚された。それが小鳥遊聖と御園愛良だったが、王国の第一王子は愛良しか目に入らず「貴女が聖女か?」と尋ねて彼女を聖女として扱った。
無視された聖は怒り、王宮を出て「セイ」と名乗り、薬用植物研究所の研究員として働き始めた。趣味のハーブ栽培を生かすつもりでの行動であった。研究所の薬草でHPを回復するポーションを作ることを学んだが、予想外のことが起こる。セイはMPが多いため、一般人と比べ桁違いの量を作ることができ、その上通常のポーションの5割増しの効果があった。
セイが召喚されて三ヶ月、王国の第三騎士団がサラマンダーにより大きな被害を受けたが、彼女の作った下級・中級ポーションで回復し、最も重症だった団長アルベルト・ホークも上級ポーションで全快した。その三ヶ月後、アルベルト・ホークより魔法が付与された髪飾りをプレゼントされたセイは、「魔法付与」に興味を持ち、所長を通じて頼み込む。本人は知らなかったが、この時彼女が行った魔法付与は、国内の誰も成し得ないレベルであった。
召喚後七ヶ月、セイは召喚直後に別れた愛良の噂を聞く。彼女は聖女として、第一王子に保護されながらレベル上げを行っていた。セイはステータスにより、自分が「聖女」だと自覚しており、自身の強大な魔力も承知しているが、召喚時のわだかまりから聖女であることを公言するつもりは無い。再度の魔物討伐で負傷した第二、第三騎士団の見舞いに行ったセイが、戦いで腕を失くした騎士のために回復魔法をかけると騎士の腕は元に戻った。同じく重傷を負った騎士すべてを全快させた結果、彼らから聖女として崇拝されることになる。
登場人物
- セイ・タカナシ (小鳥遊 聖)
- 主人公。「聖女召喚の儀」によりスランタニア王国に召喚された、日本のOL。物語中ではただ「セイ」とのみ呼ばれる[注 1]。
- ステータスによれば本物の聖女であるとされる[2]。そのため、召喚時から強大すぎる魔力と無限の聖属性魔法を持ち、常人には不可能なことが可能であった。
- 一方で、恋愛経験はまったくない。日本にいた頃からワーカホリックの傾向があった。
- アルベルト・ホーク
- 第三騎士団団長。28歳。冷たい印象を与える容姿と、氷属性の魔法を得意とすることから、異名は「氷の騎士」。
- 大貴族・ホーク辺境伯家の三男だが、家柄と美貌に群がる女性ばかり見てきたため、女性不信の傾向があった[3]。しかし、魔物討伐時に負った瀕死の重傷をセイに救われて以来、彼の知るいかなる女性とも違う、セイに惹かれてゆく。
- ヨハン・ヴァルデック
- 薬用植物研究所所長。28歳。セイの現在の上司。有力な伯爵家の次男で、個人としても有能。政治力もある。アルベルト・ホークとは少年時代からの親友。
- ジュード
- 薬用植物研究所の研究員。20歳。セイにとって、スランタニア王国で初めてできた友人。国内有数の大商人の五男で、平民出身では珍しく、水属性の魔法が使える。
- エアハルト・ホーク
- 宮廷魔道師団・副師団長。アルベルト・ホークの次兄。クールな外見から、セイは内心で「インテリ眼鏡様」と呼ぶ。王国の貴族の間では、女嫌いで有名。
- アイラ・ミソノ (御園 愛良)
- 聖女召喚の儀でセイと一緒に召喚された、日本の女子高生。16歳。
- 異世界に召喚された心細さと、他に頼れる相手がいないことから、第一王子カイルとその取り巻きたちに依存しきっている[4]。セイについては、その存在すら知らない。魔法にかけては超一級の資質を持つが、それでもセイにははるかに及ばない。
- カイル・スランタニア
- 第一王子。15歳。自分より優秀な弟の存在が大きなプレッシャーになっており、聖女召喚の儀を自ら取り仕切ったのもそのためである[5]。
- しかしその際の失態が、さらに大きなプレッシャーとなり、アイラを聖女にしようと躍起になっている。
- ジークフリート・スランタニア
- スランタニア王国現国王。年齢不詳。親子の情よりも、多くの民を守るための政治的判断を優先させる。一方で息子の失態を気に病んでおり、セイに対し負い目を感じている。
- レイン・スランタニア
- 第二王子。14歳。兄より優れているが、本人は王座につく気は無い。
- エリザベス・アシュレイ
- 通称リズ。侯爵令嬢で金髪碧眼の美少女。14歳。王宮の図書室でセイと知り合い友人となる。実はカイルの婚約者(セイはそのことを知らない)で、カイルに大切にされるアイラのことを快く思っていない[4]。
- ユーリ・ドレヴェス
- 宮廷魔道師団・師団長。年齢不詳だが外見は20代。王国最高の魔道師で、国内で唯一「人物に対する鑑定」が可能。聖女召喚の儀で無理をし過ぎた反動で、それから半年以上も意識不明であった。
用語
- 瘴気[6]
- いわゆる「悪しき陰の気」。スランタニア王国では、どこででも発生する。森の奥や洞窟など、人の住まない暗い場所に溜まり易く、一定の濃度を超えると魔物へと変貌し、周囲に害をなす。
- 瘴気が濃いほど発生する魔物も強くなるが、魔物を倒せば周辺の瘴気は薄くなり、それゆえ魔物を倒し続ければ、周囲への害は防げる。
- しかし数世代に一度の割合で、魔物を倒す速度をはるかに超える勢いで、瘴気が濃くなることがある。そのような時代には、国内に聖女となる乙女が現れ、国を救ってきた。
- 聖女[6]
- 過去、スランタニア王国で魔物が大量発生するたびに、魔を祓い、国を救ってきた乙女たちのこと。彼女たちはそれゆえ崇められ、「聖女」と呼ばれた。
- 彼女ら特有の、極めて強力な魔法を使うことができ、あっという間に魔物が消滅するとされる。ただそこにいるだけでも、周辺の瘴気を浄化するとされる。
- 王国に伝わる記録によれば、これまでは一度に一人しか現れたことがない。しかし今回の「聖女召喚の儀」では、なぜか二人召喚されることになった。
- 聖女召喚の儀[6]
- はるか彼方から、聖女となる乙女を召喚する儀式。スランタニア王国で過去一度だけ有った、「どれだけ瘴気が濃くなろうとも聖女が現れなかった」時代に、当時の賢者たちが総力を結集して編み出したもの。
- 魔法としての難易度も非常に高く、必要な魔道師やアイテムも多く、通常なら行うこと自体困難、かつ割に合わない代物。しかし今回、そのようなことは言っていられなかった。
- 聖属性魔法[7]
- 「回復」や「浄化」、戦闘時の支援などを行う魔法。歴代の聖女たちは皆、この魔法に長けていたとされる。セイは当初から、この魔法のスキルを「無限大」のレベルで保持していた。
- 魔法付与[8]
- 宝石や鉱石などを素材に、様々な魔法の効果を付与すること。属性魔法のスキルがなければ行えず、付与できる効果も、行う者の能力次第。攻撃力や防御力を上げる、いわゆる支援系の効果を付与するには、聖属性魔法のスキルが必要。
- 魔法を付与した「核」は、通常は装身具などに埋め込んで用いられる。核にいかなる効果が付与されているのかは、鑑定魔法を使わねば判明しない。
- 鑑定魔法[9]
- マジックアイテムなどのステータスを「視る」魔法。使える者が極端に少なく、宮廷魔道師団にも数人しかいない。魔道師として最高レベルなら「人のステータス」も視られるが、それが出来る者は極めて希。
制作背景
本作品は橘由華が「タチバナ」名義で、2016年4月29日より小説家になろうに連載している[10]。掲載開始10日後の5月9日には小説家になろうの日間ランキング1位[11]、1ヶ月後の5月29日にはジャンル別ランキングにおいて日間・週間・月間で同時に1位となった[12]。累計では2017年6月時点で、14,288,206回(ページビュー)・3,684,023人(ユニークアクセス)に読まれている[13]。 掲載開始8ヶ月後の2016年12月28日には作者の橘由華より書籍として翌年2月に出版することが告知された[14]。書籍の内容は、小説家になろうの連載よりも「20%くらい増量しています」とし、「Web版を書くときに削った部分が追加されています」と大筋での差異は無いことが予告された[14]。書籍は2017年2月10日にカドカワBOOKS(株式会社KADOKAWA)より第1巻が刊行された[1]。
社会的評価
第1巻発売の二日後に集計された書泉ブックタワーによるライトノベル週間ランキングで10位となり[15]、翌週には重版が決まった[16]。出版物流通大手の日販が運営するサイト「ほんのひきだし」では2017年1月24日から2月20日の新文芸ランキングで13位となった[17]。
既刊一覧
橘由華(著)、株式会社KADOKAWA〈カドカワBOOKS〉、既刊1冊(2017年8月1日現在)
- 『聖女の魔力は万能です』、2017年2月10日発行、ISBN 978-4040721859
漫画版
2017年7月31日、無料Web漫画雑誌であるComicWalkerのフロースコミックとして藤小豆による漫画版の連載が開始された[18]。原作書籍版1巻の冒頭からコミカライズしている。
脚注
注釈
- ^ 単行本第1巻・P070。スランタニア王国では、平民は姓を持たないため。なおかつ、国内で馴染みの無さ過ぎる姓で、名乗ると無用の詮索をされるおそれがあるため。
出典
- ^ a b “書籍情報|聖女の魔力は万能です|カドカワBOOKS”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ 単行本第1巻、45ページの図。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:ポーション
- ^ 小説家になろう:聖女の魔力は万能です:小話03 団長
- ^ a b 小説家になろう:聖女の魔力は万能です:舞台裏04-02 Another Side(後編)
- ^ 単行本第1巻、103~105ページ。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:舞台裏02 フラグ
- ^ a b c 単行本第1巻、9~14ページ、88~94ページ。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:ポーション小説家になろう:聖女の魔力は万能です:舞台裏01 聖女召喚の儀
- ^ 単行本第1巻、45ページの図、181ページ。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:ポーション小説家になろう:聖女の魔力は万能です:魔法付与
- ^ 単行本第1巻、175~190ページ。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:魔法付与小説家になろう:聖女の魔力は万能です:付与職人
- ^ 単行本第1巻、175~176ページ。小説家になろう:聖女の魔力は万能です:魔法付与
- ^ “聖女の魔力は万能です[小説情報]”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ “ありがとうございます!!!|タチバナ/橘由華の活動報告”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ “【聖女の魔力は万能です】「本編11話」更新しました|タチバナ/橘由華の活動報告”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ “『聖女の魔力は万能です』アクセス解析”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ a b “【聖女の魔力は万能です】書籍化のご連絡|タチバナ/橘由華の活動報告”. 2017年6月17日閲覧。
- ^ “週間ライトノベル売上ランキング 2017/2/6~2/12”. 2017年3月17日閲覧。
- ^ “先週の重版:2月12日~2月18日”. 2017年3月17日閲覧。
- ^ “今売れている新文芸ランキング(2017年1月24日~2月20日)”. 2017年3月17日閲覧。
- ^ “聖女の魔力は万能です 無料漫画詳細”. ComicWalker. 2017年8月3日閲覧。
外部リンク
- 聖女の魔力は万能です - 小説家になろう
- 聖女の魔力は万能です(漫画版配信サイト) - ComicWalker