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092型原子力潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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夏級原子力潜水艦(しあきゅうげんしりょくせんすいかん)は、中国海軍初で、かつ唯一の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)である。ただし1987年に就役して以降、漢級原子力潜水艦と同様の放射能漏れ事故を起こし、故障のため10年近くドック入りしていた。最近も、短期間港から出ることがあるものの、本格的に稼働してはいない模様である。「シア(Xia、夏)」と言うのは西側が付けたコード名であり、中国海軍での正式名称は「092型」と言う。中国海軍の国産潜水艦に対し、西側は中国の歴代王朝の名をコード名として付けており、本型は、伝説の中国最古の王朝である「夏(シア)」の名をとって命名された。次世代の弾道ミサイル潜水艦に094型(晋級)がある。

本型は、全長98メートルの漢級原子力潜水艦をベースに、弾道ミサイル発射筒12基をセイル後方に装備して全長120メートルとした艦である。就役したのは「406号艦」1隻だけであるが、2番艦も建造され、1980年代後半に海中から弾道ミサイルの発射実験の最中に爆発事故を起こして沈没した、という説も有る。いずれにせよ本型は、戦略原潜の試験艦ないし国威発揚のための艦と見られ、実質的な海洋核抑止力としては機能していない(よく言われる事だが、戦略原潜を常時1隻オンステージ状態にするのならば、ローテーションのため、最低3、4隻を建造する必要がある)。

本型が装備する弾道ミサイル「巨浪一型」(JL-2)(発射重量14,700kg、最大射程2,150km)は、陸上発射用中距離弾道ミサイル「東風二一型」(DF-21)とほぼ同一であり、あらかじめ、陸海共用弾道ミサイルとして開発されたものである。しかし、これでは海洋核抑止戦力としては不充分であるため、後継の「巨浪二型」(JL-2)が開発中である。これは、先駆けて人民解放軍パレードで公開された陸上発射用弾道ミサイル「東風三一型」(DF-31)との共用ミサイルであり、射程は8,000km以上に延びている。

本型は、先に就役した漢型原潜同様、装備機器の信頼性に問題があり、1990年代には長期間ドック入りしており、行動は不活発だった。90年代末に長期修理を終えて現役復帰した後は、海上を行動中の写真が中国側から発表されており、いちおうは健在と見られる。中国海軍では現在、ロシアの技術を導入した後継艦「094型」原潜を計画中であり、搭載ミサイルは、上記の「巨浪二型」となる。

要目

  • 水中排水量(水中):7,000t
  • 全長:120m
  • 全幅:10.0m
  • 吃水:8.0m
  • 主機関:加圧水炉型原子炉1基/蒸気タービン2基
  • 主軸数:1軸
  • 最大速力:22kt
  • 最大潜行深度:300m前後
  • 乗員:100名
  • 武装:533mm魚雷発射管6門、JL-1(巨浪)弾道ミサイル発射筒12基
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