天空の蜂
天空の蜂 | ||
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著者 | 東野圭吾 | |
発行日 | 1995年11月7日 | |
発行元 | 講談社 | |
ジャンル | クライシスサスペンス | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判 | |
ページ数 | 498 | |
公式サイト | bookclub.kodansha.co.jp | |
コード |
ISBN 978-4-06-207704-0 ISBN 978-4-06-263914-9(A6判) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『天空の蜂』(てんくうのはち)は、東野圭吾の書き下ろし長編クライシスサスペンス小説。1995年11月7日に講談社から単行本が刊行され、1997年11月6日には講談社ノベルス版が発刊された。第17回吉川英治文学新人賞候補作であった。
1998年11月13日に、本作が候補となった吉川英治文学新人賞受賞者の真保裕一の解説を収録して講談社文庫版が発売された[注 1]。2015年6月23日には単行本新装版が刊行された。
あらすじ
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
錦重工業小牧工場試験飛行場の第三格納庫から、軍用の巨大ヘリコプター「ビッグB」が「天空の蜂」を名乗るテロリストに制御を奪取された。その日は、航空自衛隊への正式納入を間近に控えた領収飛行が行われる予定だったが、「ビッグB」は大量の爆薬を満載したまま、テロリストの遠隔操縦によって、福井県の高速増殖炉「新陽」の上空へ飛び去った。
日本政府へ届いた脅迫状は、現在稼動中や建設中の原発の発電タービンを全て破壊せよ、さもなくば巨大ヘリを「新陽」に墜落させる、という驚くべきものであった。「ビッグB」が上空にホバリングしていることの出来る時間は8時間ほどしかなかった。その上、機内には、見学に来ていた子供が取り残されているという、テロリストにとっても予想外の事態が判明する。
燃料切れによる墜落というタイムリミットが迫る中、自衛隊は原子炉の真上でホバリングしたままのヘリから子供を救うという難しい任務に挑む。一方、原発の安全神話を掲げてきた政府は、テロリストの要求にどう対応するか逡巡するのだった。
登場人物
- 湯原 一彰(ゆはら かずあき)
- 錦重工業航空機事業本部。奪取された新型ヘリコプターの開発責任者。
- 山下(やました)
- 錦重工業航空機事業本部。湯原の同僚。
- 山下 恵太(やました けいた)
- 山下の息子で9歳。巨大ヘリコプター「ビッグB」に忍び込んで遊んでいるうちに奪取事件が起こり、1人機内に取り残されてしまう。
- 赤嶺 淳子(あかみね じゅんこ)
- 錦重工業航空機事業第一開発部エンジン開発一課。入社10年目。
- 中塚 一実(なかつか かずみ)
- 高速増殖炉「新陽」発電所所長。
- 金山 滋(かなやま しげる)
- 福井県知事。70歳。
- 佐久間(さくま)
- 福井県消防本部特殊災害課長。
- 今枝(いまえだ)
- 福井県警警備部長。
- 室伏 周吉(むろぶし しゅうきち)
- 福井県警刑事。
- 上条 孝正(かみじょう たかまさ)
- 航空自衛隊救難員2等空曹。
- 三島 幸一(みしま こういち)
- 湯原と同じ会社・錦重工業の原子力技術者。犯人グループの一人。
- 雑賀 勲(さいか いさお)
- 元自衛隊員。本名であるかは不明。犯人グループの一人。
書籍情報
- 単行本:講談社、1995年11月7日、ISBN 978-4-06-207704-0
- ノベルス:講談社ノベルス、1997年11月6日、ISBN 978-4-06-181989-4
- 文庫本:講談社文庫、1998年11月13日、ISBN 978-4-06-263914-9
- 単行本新装版:講談社、2015年6月23日、ISBN 978-4-06-219407-5
漫画
『イブニング』(講談社)2015年5号より同年19号まで、猫田ゆかりの作画によるコミカライズ版が連載された[2](電子書籍版には未収録)。2015年9月8日に上・下巻が同時発売された単行本は、連載内容に加筆修正がなされている。
- 書籍情報
-
- 猫田ゆかり(著)・東野圭吾(原作) 『天空の蜂』 講談社〈イブニングKC〉、全2巻
- 上巻 - 2015年9月8日発売、ISBN 978-4-06-354587-6
- 下巻 - 2015年9月8日発売、ISBN 978-4-06-354588-3
- 猫田ゆかり(著)・東野圭吾(原作) 『天空の蜂』 講談社〈イブニングKC〉、全2巻
映画
天空の蜂 | |
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監督 | 堤幸彦 |
脚本 | 楠野一郎 |
原作 | 東野圭吾 |
製作 |
大角正 木下直哉 古川公平 坂本健 宮本直人 |
製作総指揮 | 迫本淳一 |
出演者 |
江口洋介 本木雅弘 仲間由紀恵 綾野剛 向井理 竹中直人 石橋蓮司 柄本明 國村隼 |
音楽 | リチャード・プリン |
主題歌 | 秦基博「Q & A」 |
撮影 | 唐沢悟 |
編集 | 伊藤伸行 |
製作会社 | 「天空の蜂」製作委員会 |
配給 | 松竹 |
公開 | 2015年9月12日 |
上映時間 | 138分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 10.8億円[3] |
堤幸彦の監督のもと映画化され、松竹配給により2015年9月12日に全国公開された[4]。主演は江口洋介[1]。2014年6月14日にクランクインし、8月上旬まで撮影された[5]。東野圭吾は原作発表から20年経っての映画化に「映像化など絶対に不可能だと思っていた」とコメントした[6]。
本作で堤は自身初の主要映画賞における監督賞を受賞し、本木は同年公開の『日本のいちばん長い日』と合わせて多数の助演男優賞を受賞した。
キャスト
- 湯原一彰 - 江口洋介[4]
- 赤嶺淳子 - 仲間由紀恵[7][4]
- 雑賀勲 - 綾野剛[7][4]
- 佐久間福井県消防課長 - 光石研[7]
- 今枝福井県警警備課長 - 佐藤二朗[7]
- 山下 綿重工技術本部員 - カゴシマジロー
- 根上三等空佐 - やべきょうすけ[7]
- 上条二等空曹 - 永瀬匡
- 植草一等空曹 - 松田悟志
- 湯原篤子 - 石橋けい
- 高坂愛知県警特捜班長 - 手塚とおる
- 関根福井県警捜査一課刑事 - 落合モトキ[7]
- 野村愛知県警特捜班刑事 - 松島花
- 湯原高彦 - 田口翔大[8]
- 山下恵太 - 池澤巧貢
- 三島智弘 - 木村聖哉
- 西岡新陽当直長 - 前川泰之
- 小寺新陽技術主任 - 森岡豊
- 田辺泰子 - 山口いづみ
- 島岡科学技術庁原子力局長 - 半海一晃
- 笠松綿重工技術本部長 - 藤井尚之
- 前田律子 - 林田麻里
- 綿重工技術本部守衛 - 岡田浩暉
- 農家の男 - 野添義弘
- アナウンサー - 小倉淳
- アマチ清掃社員 - 吉永秀平
- 警務官 - 小山田将
- 警務官 - 下園愛弓
- 警務官 - 六本木康弘
- 警務官 - 菅原健志
- 福井県警刑事 - 多田木亮佑
- 綿重工総務課社員 - 伊藤みづめ
- 福井県警警官 - 大須賀隼人
- 田辺佳之 - 橋本まつり
- 愛知県警警官 - 大和田健介
- 福井県警機動隊隊長 - 稲垣雅之
- 新陽運転員 - 竹森千人
- 記者会見司会者 - 山田百貴
- 三島の妻 - 竹中友紀子
- 小学校教師 - 広山詞葉
- 関根の妻 - 佐藤真子
- 記者 - 藤田秀世
- 記者 - 内村遥
- 記者 - 小野孝弘
- 記者 - 森谷ふみ
- 記者 - 福井晋
- 記者 - 安田裕
- 反対闘争リーダー - 渡辺慎一郎
- 関根の長男 - 外川燎
- 湯原高彦(乳児) - 竹野谷岳
- 室伏周吉 - 柄本明[7]
- 中塚一実 - 國村隼[7]
- TV解説員 - 岩尾万太郎
- コメンテーター - 瀬戸将哉
- 新陽レポーター - 鈴木早百合
- アナウンサー - 横地純爾
- アナウンサー - 長田新
- アナウンサー - 佐藤千晶
- 新陽レポーター - 北川義隆
- 美花原発レポーター - 波多野健
- 柏木原発レポーター - 藤田真奈美
- 湯原高彦(成人) - 向井理[7]
- 芦田警察庁長官 - 竹中直人[7]
- 筒井炉燃理事長 - 石橋蓮司[7]
- 三島幸一 - 本木雅弘[4]
スタッフ
- 原作 - 東野圭吾『天空の蜂』(講談社文庫)
- 監督 - 堤幸彦
- 脚本 - 楠野一郎
- 音楽 - リチャード・プリン
- 主題歌 - 秦基博「Q & A」(Ariora Japan / AUGUSTA RECORDS)
- 製作総指揮 - 迫本淳一
- 製作 - 大角正、木下直哉、古川公平、坂本健、宮本直人
- エグゼクティブ・プロデューサー - 武田功
- 企画・プロデュース - 吉田繁暁
- プロデューサー - 福島大輔、市山竜次
- VFXスーパーバイザー - 野崎宏二
- 音楽プロデューサー - 茂木英興
- 監督補 - 多胡由章
- 撮影 - 唐沢悟
- 照明 - 木村匡博
- 美術 - 相馬直樹
- 録音 - 田中靖志
- 編集 - 伊藤伸行
- 記録 - 井手希美
- 美術プロデューサー - 福田宣
- 美術デザイナー - 平井亘
- 装飾 - 田中宏
- 衣装 - 宮本まさ江
- ヘアメイクディレクション - 池田真希
- VFXディレクター - 阪上和也
- アクションコーディネーター - 諸鍛冶裕太
- イメージボード - 相馬宏充
- 音響効果 - 北田雅也
- 現場編集 - 似内千晶
- アソシエイトプロデューサー - 石田聡子、池田史嗣、住田節子
- 宣伝プロデューサー - 村松瑛里子、諸冨謙治
- ラインプロデューサー - 小林誠一郎
- 助監督 - 白石達也
- 制作担当 - 高瀬大樹
- 制作プロダクション - オフィスクレッシェンド
- 企画・配給 - 松竹
- 製作 - 「天空の蜂」製作委員会(松竹、木下グループ、講談社、ローソンHMVエンタテイメント、GYAO)
受賞
- 第7回TAMA映画賞(2015年)
- 第40回報知映画賞(2015年)
- 助演男優賞(本木雅弘)※『日本のいちばん長い日』と合わせて受賞[10]。
- 監督賞(堤幸彦)※『イニシエーション・ラブ』と合わせて受賞[11]。
- 第28回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(2015年)
- 助演男優賞(本木雅弘)※ 『日本のいちばん長い日』と合わせて受賞[12]。
- 第89回キネマ旬報ベスト・テン[13][14]
- 助演男優賞(本木雅弘)※『日本のいちばん長い日』と合わせて受賞。
- 第39回日本アカデミー賞
- 優秀助演男優賞(本木雅弘)※『日本のいちばん長い日』と合わせて受賞[15]。
- 第58回ブルーリボン賞[16]
- 助演男優賞(本木雅弘) ※『日本のいちばん長い日』と合わせて受賞。
- VFX-JAPANアワード 2016
- 劇場公開実写映画部門 優秀賞[17]
- 第25回日本映画批評家大賞(2016年)
- 編集賞(浦岡敬一賞)(伊藤伸行)[18]
脚注
注釈
- ^ 文庫版の帯に、東野圭吾自身が「今まで書いた作品の中で一番思い入れが強いのはどれかと訊かれれば、これだと答えるだろう」と述べたことが書かれている。
出典
- ^ a b “江口洋介、原発を題材にした「天空の蜂」映画化に主演!本木雅弘と初共演”. 映画ニュース (映画.com). (2014年6月7日) 2014年6月8日閲覧。
- ^ “東野圭吾のサスペンス「天空の蜂」イブニングでマンガ化、映画化決定の話題作”. コミックナタリー (株式会社ナターシャ). (2015年2月10日) 2015年2月10日閲覧。
- ^ 2015年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ a b c d e “「標的は原発。」衝撃的メッセージが踊る「天空の蜂」ビジュアル第1弾が完成”. 映画ニュース (映画.com). (2015年4月10日) 2015年7月1日閲覧。
- ^ “原発テロを描く東野圭吾氏『天空の蜂』実写映画化 江口洋介&本木雅弘、堤幸彦監督”. エンタメニュース (ORICON STYLE). (2014年6月8日) 2014年6月8日閲覧。
- ^ “東野圭吾が告白していた"原発タブー"体験! 原発テロを扱った公開間近の東野原作映画『天空の蜂』は...”. エキサイトニュース. エキサイト (2015年8月31日). 2017年12月19日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 小松芙未 (2015年2月23日). “仲間由紀恵が本木雅弘の恋人 原発テロ『天空の蜂』で鍵を握る女に”. 映画ニュース (シネマトゥデイ) 2015年2月23日閲覧。
- ^ “田口 翔大 - アミューズ オフィシャル ウェブサイト”. アミューズ. 2018年5月31日閲覧。 “「天空の蜂」 2015年9月12日公開 ※湯原高彦役”
- ^ “第7回TAMA映画賞”. 第25回映画祭TAMA CINEMA FORUM. TAMA CINEMA FORUM (2015年). 2015年11月21日閲覧。
- ^ “【報知映画賞】本木雅弘「40代最後のご褒美」樹木は人生の助言者”. 報知映画賞. スポーツ報知 (2015年11月26日). 2015年11月26日閲覧。
- ^ “【報知映画賞】堤幸彦監督、意外!?主要賞で初受賞「心が乱れた」”. 報知映画賞. スポーツ報知 (2015年11月26日). 2015年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月26日閲覧。
- ^ “日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞決定”. 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞. 日刊スポーツ (2015年12月8日). 2015年12月8日閲覧。
- ^ “キネマ旬報ベスト・テン発表、「恋人たち」「マッドマックス」が1位に輝く”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2016年1月7日) 2016年1月8日閲覧。
- ^ “個人賞|第89回キネマ旬報ベストテン”. KINENOTE. キネマ旬報社. 2016年1月8日閲覧。
- ^ “第39回日本アカデミー賞優秀賞決定!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 日本アカデミー賞協会. 2016年1月21日閲覧。
- ^ “【ブルーリボン賞】助演男優賞・本木雅弘、スカイプで登場”. スポーツ報知 (2016年1月27日). 2016年1月27日閲覧。
- ^ “CGとVFXの祭典、VFX-JAPANアワードで「バクマン。」が実写映画部門の頂点に”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2016年3月4日) 2016年3月7日閲覧。
- ^ “日本映画批評家大賞 2016公式サイト”. 日本映画批評家大賞. 2016年5月26日閲覧。