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イギリス清教

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イギリス清教(イギリスせいきょう)は、鎌池和馬ライトノベルとある魔術の禁書目録』に登場する架空の宗教組織。

なお、所属する登場人物についてもこの項で解説する。

概要

作中世界最大の宗教団体十字教の教派。旧教(カトリック)に属し、十字教三大勢力の一つに数えられている。イギリスロンドンに拠点を置く。同国の国教でもあり[1]、英国三派閥の「清教派」と同義である。本拠は聖ジョージ大聖堂(建前上はカンタベリー寺院)。

イギリス清教も他の宗派や組織と同じく、表向きは何の変哲もない宗教団体として機能し一般信徒も獲得しているものの、裏では魔術的な部門を抱えており、魔術サイド内の有力な組織の一つに数えられている。

なお架空の宗教ではあるが、現実世界の英国国教会をモデルとしている(あくまでモデルであり差異も多い[注 1])。

解説

歴史

発祥としてはヘンリー8世の時代、ヨーロッパ世界を支配するローマ正教からの干渉を防ぐために、「ローマ正教に従わずとも十字教の教えに則っている」「イギリスは国王をトップとして他の外部勢力から不可侵である」という口実を作る目的で設立された教会であり[注 2]、つまりは政治上の道具として作り出された。

元々「王室派」や「騎士派」よりも下位に位置する組織だったのだが、その後勢力を拡大して逆に「王室派」に対して命令できるほどの実権を握るようになった。しかし、「騎士派」とは設立当初からの上下関係が続いており、これにより英国三派閥は三すくみの命令系統となっている。また、あくまでも「人間として十字教の力を振るう者」という扱いなので、三派閥の中で唯一カーテナの恩恵を受けられない。

魔術大国のイギリスにおいて、社会や人々に害を為す魔術師を討つために試行錯誤していった結果、イギリス清教はそういった分野に特化していき、その中で特に「必要悪の教会」が実績と権限を拡大させていった歴史を持つ(詳細は後述)。

特色

古来から魔術に対抗してきた十字教の中においても、魔女狩り異端審問宗教裁判といった「対魔術師分野」の文化や技術が特に発達している。他宗派と比べてその差は歴然と言われている[注 3]が、拷問の末に死んだ者の脳から情報を引きずり出す技術も存在するなど、あまりに極め過ぎたために「虐殺・処刑の文化」にまで発展したという負の側面も持つ。その最たる物として戦闘機関「必要悪の教会」が存在し、現在ではイギリス清教自体と同一視されるまでになっている(詳細は後述)。

魔術サイドにおけるイギリス清教は、対魔術専門の治安維持機関として魔術師を取り締まる役割を持つ。社会に悪影響を及ぼしたり危険思想を持つ敵性魔術師・敵性魔術結社を定め、そういった者達が引き起こす魔術的な事件を捜査し、「必要悪の教会」を派遣し魔術師を討伐する、また逮捕した場合は連行して裁判を行い、その後は処刑もしくは監獄への幽閉を実行するなど、ある種の警察軍事裁判所刑務所的な機能を併せ持ち、治安維持のための必要な措置を執行する組織である。その行動範囲はイギリス国内に留まらず世界各地にまで及び、魔術社会の国際機関という側面も持つ[注 4][注 5]

実力制の「必要悪の教会」を始めとして他宗派や異教徒も抵抗なく戦力として取り込むなど臨機応変な対応ができ、事件解決のために機動的な組織行動も可能で、他の十字教諸派と比べて自由主義現実主義的な風潮が強い。また、その犯罪者を取り締まるという役割や、主人公の上条の仲間が数多く在籍していることから、作中では味方側に描かれることがほとんどである。しかし、必ずしもイギリス清教が正義というわけではなく、前述のように拷問も躊躇なく行い、場合によっては敵と見なす者の虐殺を指示するなど、極めて冷酷な組織でもある(特に上層部にその傾向が顕著)。

シンボルとして聖ジョージの印である赤い十字架を使っている。

対外関係

魔術サイドでは珍しく学園都市と外交上のパイプを築いており、様々な思惑を抱えながらも一応協力関係を結んでいる。互いに治安を維持する立場にあることもあって、学園都市に侵入した魔術師の対処や、科学・魔術の境界を破った者に対する制裁措置などでは、解決すべく積極的に情報交換や支援を行っている。「0930」事件から第三次世界大戦に至るまでの一連の騒乱では同盟関係となり、共にローマ正教と敵対する陣営に立った。第三次世界大戦後、最大主教が学園都市統括理事長の暗殺を行ったために敵対関係へと変化するも、双方のトップが代替わりした事で再び協力関係となり、新たな脅威であるR&Cオカルティクスを倒すという目的で共同作戦「オペレーション・オーバーロードリベンジ」を実行した。

同じ十字教三大宗派であるローマ正教やロシア成教とは、かねてから勢力争いなどの問題でそれほど良好な問題とは言えなかったが、特にローマ正教とは物語の進展によって衝突の機会が増え、イギリス清教が戦力を拡大する一方でローマ正教が弱体化していったため、より険悪な関係となる。前述のように一連の騒乱では明確にローマ正教と敵対し、それに伴いローマ正教と同盟関係となったロシア成教とも敵対関係となる。しかし大戦終盤では、フィアンマを止めるという目的で一致して水面下で和解し、終戦後は正式に対立関係も解消した。

組織構成

トップ

名目上、イギリス清教のトップはイギリス国王であり、今代では女王エリザードが務めているのだが、本来側近の役職である最大主教アークビショップが実質的にイギリス清教及び清教派のトップとしての権限を有して指揮を執っており、1909年以降はローラ=スチュアートがその座に位置している。新約22巻でローラが死亡したため、リバースからは彼女の成果物であるダイアン=フォーチュンが後任に就いた。

必要悪の教会(ネセサリウス)

イギリス清教の内部機関。正式名称はイギリス清教第零聖堂区 必要悪の教会(イギリスせいきょうだいゼロせいどうく ネセサリウス)

イギリス清教の中でも特に対魔術に特化し、魔術師や魔術結社の殲滅・処分、事件捜査や逮捕を任務とする実働戦闘組織である。対魔術を司る部署だが、魔術に対抗するためには同じ魔術を使って戦う必要があるという「毒を以って毒を制する」理念の下に作られ、構成員は全員が魔術師である。その名の通り、魔術という穢れを一手に引き受ける必要悪として存在している。構成員の単体戦闘能力はロシア成教殲滅白書のそれを上回る。

設立当初は、教会の中にあって魔術を扱う汚れ役として忌み嫌われる窓際の一部署に過ぎなかったが、その後着実に実績を積み重ねていったことにより勢力を拡大したため、現在ではイギリス清教全体の実質的な権限を握っており、しばしばイギリス清教及び「清教派」自体と同一視される。現に、「必要悪の教会」のトップはイギリス清教のトップである最大主教が兼務しており、「必要悪の教会」の本拠である聖ジョージ大聖堂は現在のイギリス清教の頭脳部となっている。

他の十字教宗派の戦闘要員は、あくまで十字教の教義や伝承に由来する魔術を用い、その本分は聖職者や修道者であって魔術師ではない。しかし「必要悪の教会」の戦闘要員は完全な実力制であり、実力さえあれば他宗派はおろか十字教とは関係ない異教に属する魔術師でも在籍する。また、便宜上聖職者の肩書きを持ちながらも異教の術式を使用する魔術師や、そもそも全く聖職者とは無関係な本職の魔術師も在籍しており、さらに本分として魔術師であるがゆえに、魔術師の例にもれず構成員達は個人主義が強く組織を軽視しがちで、この点でも「必要悪の教会」が特異であることが窺える。理論としては「嘘や策、拷問や暴力、それら全てを使ってでも敵を討てればそれでよし」という事になっている。なお、ロンドン市内には、スカウトしてきた新人の実力を試すための魔術的な施設や設備が多く置かれている。「道を外れたクズは死んでも苦しめ」という論理から、死者を天国へ逃さないためにターゲットの死体は葬儀も供養も行えない状態まで損壊させる。

作中では時折「悪い魔術師をやっつける、絵本のような仕事」と表現されている。あり体に言えばその通りではあるが、実際は殺害・拷問などの血生臭い任務も含まれており、また公的な職務でもあるので、構成員は公務員と同等の安定収入が得られる(その給料は国民の血税から賄われている)。

傘下宗派

天草式十字凄教(あまくさしきじゅうじせいきょう)
日本にある十字教の一派。現実の隠れキリシタンがモデルである。ザビエル耶蘇会が元になっているのでローマ正教の傍流ではあるが、東洋系の影響力が強すぎて、もはや匂いも残っていない。
江戸時代幕府による弾圧から逃れるため、十字教を仏教神道によって徹底的にカモフラージュする中で、他の十字教組織とは異なる方向へ進化を遂げて成立した。会話・食事・服装といった何気ない動作の宗教的意味を抽出し魔術の詠唱や儀式とするなど、「隠密性」に特化している。また、その魔術理論には仏教や神道の要素も組み込まれており、相互に欠点や不可能な部分を補完し合う「多角宗教融合型術式」という特徴がある。鎖国時にも諸外国の文化を積極的に取り入れており、直接的な戦闘においても、偶像のスペシャリストとして遠距離攻撃を用いるだけでなく、洋の東西を問わない剣術を融合させた独自の格闘術を用いるなどの近接戦闘に長け、集団戦闘も得意としており、「聖人崩し」などの独自の魔術も擁する。また、伊能忠敬の一派とも関係があったため「縮図巡礼」の「渦」を全て把握していて、「逃げる事」にも長けているので本拠地は不明とされていた。一方で、町民に紛れた幕府の監視役を早期発見するための技術が元になった、「不自然な者を捜し出す術」にも長けている。
神裂が一時的に抜けた間は建宮斎字が教皇代理を務めていた。オルソラの「法の書」事件でイギリス清教傘下となり、本拠地もロンドンの日本人街へ移る。その後、アックアとの戦いを経て、再び神裂が女教皇の地位に復帰した。
新約20巻の「クロウリーズ・ハザード」との決戦では外様部隊としてカンタベリーに配置されるが、カンタベリー陥落で消息不明となり、ロンドンでは一時壊滅説が流れる。前線崩壊後はロンドンへ帰投し再起を狙っていたが、復活した「黄金」の襲撃を受け撤退することになる。
アニェーゼ部隊(アニェーゼぶたい)
アニェーゼ=サンクティスをリーダーとした252名のシスターから成る実行部隊。ローマ正教の部隊だったが、後にイギリス清教に移る。
ローマ正教徒の中から魔術的資質がある者を選び抜いて構成され、アニェーゼやアンジェレネのようにローマ正教に保護された浮浪児や捨て子もいる。メンバーは全員同じローマ正教の修道服を着ており、聖人の伝承や「天使の力」を応用した十字教由来の霊装や魔術武器を用いている。数の強みを活かした統率のとれた戦術を得意とするが、直接的な格闘能力は低い。
第7巻での「法の書」を巡る事件で、オルソラ抹殺のため日本へ派遣され上条や天草式と戦うも敗れる。その後、第11巻での「アドリア海の女王」の事件後にローマ正教から離反しイギリス清教傘下に入ることになり、メンバーはロンドンの女子寮に住んでいる。ただし改宗はせず、本人たちはローマ正教の新しい分派(「イギリス清教同盟宗派・ローマ正教女子修道会ロンドン分派」と自称)としている。
新約10巻のオティヌス討伐作戦ではオールボーに派遣され、上条たちを迎え撃った。「クロウリーズ・ハザード」との決戦では外様部隊として、沿岸防衛やイングランド―ロンディニウム大要塞外縁部の守備に回される。

所属メンバー

インデックス(Index)
声 - 井口裕香
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔導図書館の少女。本作のメインヒロイン。
ステイル=マグヌス(Stiyl=Magnus)
声 - 谷山紀章
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。
神裂 火織(かんざき かおり)
声 - 伊藤静
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。天草式十字凄教の女教皇も務める。「聖人」。
土御門 元春(つちみかど もとはる)
声 - 勝杏里
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。学園都市の学生として科学サイドに潜入する多角スパイでもある。
ローラ=スチュアート(Laura=Stuart)/ コロンゾン
声 - 川澄綾子
イギリス清教の「最大主教アークビショップ)」、かつ「必要悪の教会」のトップ。
身長の約2.5倍という非常に長い金髪の持ち主の女性。若い容姿[注 6]をしているが、女王エリザードと軽口を叩き合えるほどの旧知の仲であるなど、実年齢は見た目通りではないらしく、記録上初めて最大教主として現れた1909年から美貌が変わっていない。土御門に教わったせいで、中途半端に古語が混ざったおかしな日本語を話す(ステイルやアレイスターによると「馬鹿口調」)。イギリス英語を話せるにもかかわらず、普段の執務でもそのおかしな日本語で会話する。本人は否定するが、口調のおかしさを指摘されると明らかな動揺を示す。風呂好きで、コスプレ好きだが、アークビショップの正装は嫌いで、自分で作った修道服が最近のお気に入りである。科学に興味があり、学園都市から様々な最新機器をもらってくるが、「必要悪の教会」のメンバーは科学音痴が多く、うまく扱えないため神裂らは迷惑している。
政治手腕は立場に相違ない実力を見せるが、普段はその地位や権力に似つかわしくない軽目の言動を取り、外見や口調も相まって能天気な性格に見える。しかし、インデックスに掛けた「首輪」やリドヴィアに対する制裁のように、人間心理を突く極めて冷酷で打算的な面も持つ。それだけなら確実に悪人の部類だが、同時に何の利益もない善行も行うため、それが部下離れを防ぐ打算という可能性も含め、評価の難しい人物。第三次世界大戦終戦間際にてロシアに現れたアレイスター=クロウリーの魔力を捕捉した際にはイギリス清教の伝統に倣い、魔女狩りにおける財産没収の観点からアレイスターを倒すことで学園都市を手に入れることを狙う。『新約』では魔神達が実存世界に現れアレイスターと敵対関係にあることを理解し、双方が疲弊したところでの横槍を画策、上里勢力に潜入させていた府蘭を利用して上里翔流を学園都市へ向かわせた。
その正体とは、1909年のアフリカでの実験で、アレイスターが「深淵(アビス)英語版」と同化する事でセフィラとセフィラの間を越えようとした際に接触したとされる異種高次生命で、既存の「邪悪の樹」にも収まらない333の数価を刻まれた大悪魔コロンゾン。アレイスターに召喚される以前にメイザースによって召喚され、アレイスターに初めて召喚されるふりをしてアレイスターを破滅に導けという命令を受けていた。アレイスターの肉体を乗っとるのに失敗したため、彼の第二子ローラの肉体を霊媒としていると語る。スチュアートの姓はメイザースが復権を目指していたスチュアート朝に由来する。魔術を用いた手段で自分に対抗する者を徹底的に排除するため、「悪しき魔術の使い手を処罰する」役回りを全世界レベルで独占しようとイギリス清教のトップに君臨していた。
エノクで語られる霊的領域に30ある天使のうち、10番目にいたZAX(ザクス)と同一視され、一見人に協力して「深淵」を超えさせる鍵のように見えて、実際には接触者を起点に全世界へあらゆる汚泥と悪逆を撒き散らす大悪魔。その本質は「拡散」であり、理の完全なる結合を妨げ無尽蔵の破壊と混乱をもたらす存在。つまりは「自然分解」の権化であり、あるべきものを、あるがままに還すことが目的で、固定・不動・永劫の勝者を認めず、不自然で非現実なモノが世界の循環を阻害していることを嫌悪し、世界を自然な形に戻そうとしている。「特別な誰か」を守ろうという願いは世界の循環に対する致命的な詰まりであり、次の世代を誕生させるためには自分が溶け込んでいる生命の樹すら無に帰さなければならないと考えている。そのため、破壊行為には一切の呵責を持たず、ババ抜きで「ペアを作る」ことでカードを捨てるような感覚で、歴史の表には出ずにこの上ない天敵同士で同等の力をかち合わせて奇麗に共倒れさせるようにセッティングしてきた。身内の中に毒を垂らして台無しにするような、「引き裂く」という手法を好む。邪悪の樹ではなく、生命の樹の隠された「知識(ダアト)」と共に「深淵」に潜み、上下の行き来を管理することで、愚かな人間がいとも簡単に叡智を摑み取る事を拒む役割を持った管理人であり、神が用意した善なるプロセスすら利用する。
前述のように悪行と善行が両立してるように見えていたのはメイザースの命令に縛られていたためで、本来は知的さゆえに残虐性を躊躇なく行使できる悪性であり、原始的な幸福の追求を捨てられず残虐性を萎ませる人類を見下している。盤面の見栄えが気になって、利害や効率とは別に、何の意味もないスコアに執着が生まれて、システマティックに処理できない点や、迷いなき統一された理論のように見えて、その全てが妄言で、一本の筋が通らない点が、神や大天使と呼ばれない所以。霊媒となる肉の器を持つためその力を存分に発揮できるが、力を維持するためには肉体の保護に気を配る必要がある。加えて、契約者メイザースの死体によって命令に横槍を入れられるという欠点を抱えているため、クロウリーキラーとして、悪魔クリファパズル545、ロンドンに秘蔵された「神威混淆」、タロットカードの「原典」で創った「黄金」メンバーなどの防衛装置を拠点のイギリスに用意していた。
「女の髪には魔が宿る」という古い伝承の通り、長い金髪の中にコロンゾンが潜んでおり、髪を利用した術を使う。知恵の実に手を伸ばしたアダムとイヴの罪が全世界を覆った際、生命の樹を構成する上位3セフィラを守るため、聖4文字と共に置かれた「分断し、繋がりを断つ事で、守る」象徴である「燃える剣」による、セフィロトの下降の原理を用いた「魔神」の槍に匹敵する一撃「Magick:FLAMING_SWORD (フレイミングソード)」、エノクの霊的領域を文字の形で総数30に区切り、月の光を蓄えた金髪で綴りをなぞる事で「化身」としての偽りの天使を扱う「アエティール・アバター」、創造世界の法則で力を練る事でこの世界の人間では到達不能な「純粋属性」すら操ることができる「18と秘されし1の召喚文」などを行使する。これらはどれもホルスの領域に到達した絶大なものだが、威力が高まるたびに肉体を動かす制約に縛られるため、大技を放った直後で反動制御に気を取られている間は、普通の魔術師と同じ隙が生じてしまう。さらに、長い髪は侵入用の制御端末にもなり、侵食した魔術の構成を瞬く間に解析できる。また、本来は王侯貴族が度胸試しのために使うとされる「ダモクレスの剣」を攻撃に転用している。
窓のないビル」の攻防に乗じてアレイスターの分化体の1つを討った際に大悪魔の本性を露わにし、さらにメイザースの命令から解放される。この交戦で予てより狙っていた学園都市を手中に収めるが、群体と化したアレイスターの反撃で大英帝国を除く全てのイギリス連邦影響圏を制圧されてしまう。直後に「窓のないビル」ごと宇宙空間へと放逐され、その内部でエイワスと激闘を繰り広げつつ、スレーブの霊媒に当たるA・O・フランキスカに指示して最先端科学の集積である「書庫」を探させる。エイワスを撃破したのもつかの間、A・O・フランキスカは任務に失敗し、自身も高速航行の影響で「新天地」へ迷い込んでしまい「魔神」達に喧嘩を売られる。なんとか元の位相へと帰還するも、学園都市はすでにアレイスターの策略でゴーストタウンと化しており、さらに都市の全機能を引き替えにした追儺の象徴武器「西旗」によって「暫定封印」されてしまう。アレイスターがメイザースへの対応で学園都市を再起動させた事で封印から脱出し、アレイスターの死体と「窓のないビル」を失いオモチャ箱としての価値が薄れた学園都市を放棄、A.A.Aを解析して作った翼でイギリスへと帰還。その際、アレイスターの第1子リリスが1904年生まれなのに1909年には現在の容姿だったという矛盾から、第2子ローラを霊媒とするという発言自体が虚偽であったこと、霊媒の肉体も自力で獲得していたことが判明する。
エディンバラ城でアレイスターに重傷を負わせ、上条の肉体を粉砕し、一方通行を退けると、世界各地を意図して傷つけ、カサブタを作った上で、イギリスからそれらを一斉に剥がし、世界をまとめて沸騰させる事で、互いが互いを滅ぼす狂騒状態を作り出し、70億人が天敵同士で自滅するように仕向け、最後にはグランストラエ伯爵への敬意からゲール語で「死後の人」を意味する「モ・アサイアの儀」と名付けた儀式によって、物理・科学の層である「底」を抜く事で、あらゆる神話や宗教の位相を破壊するために行動を開始。エディンバラ城地下でオナーズオブスコットランドを奪い、ダイアン=フォーチュンの復活を条件に捨て駒に志願した浜面を連れ、途中で娘々に襲撃されて負傷しつつも、儀式場として内海へ移動させていたクイーンブリタニア号を奪取する。同時に龍脈を介してエジプトプラハアテネなど世界各地へアエティール・アバターを送り込むことにより、魔術の秘匿に関する法則を壊していく。最初のイグニッションとして純粋な人間である浜面の魔力を利用して儀式を開始し、イギリスと手を結んだアレイスター達を神殿で迎え撃ち、血と肉の実体によって矮小化の術式さえ無効化してみせたが、クリファパズル545が構築した「人造の樹」による圧迫で実体から取り外されてしまい、不完全に発動した「モ・アサイアの儀」もダイアンに妨害されて不発となり、不意打ちで美琴のA.A.A.を操作して背後から上条の右腕を切断したが、中から現れた「何か」に撃破された。その後はローラとしての器を死に損なったアレイスターに乗っ取られ、彼と1つの肉体に同居するという苦痛を味わう羽目になる。
シェリー=クロムウェル(Sherry=Cromwell)
声 - 渡辺明乃
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する女性魔術師。魔法名はIntimus115(我が身の全ては亡き友のために)。
年齢は20代後半で金髪に褐色肌の女性。寓意画・紋章に隠された暗号などを得意とする、暗号解読専門官。また、王立芸術院で美術講師をしており、優れた彫刻家として有名であるようで、芸術に関しては造詣が深い。一方で身だしなみには全く気を使わず、髪はボサボサで(土御門によると「シルエットはライオン」)擦り切れたゴスロリという風体。丁寧な女言葉と乱暴な男言葉を交えて話す。
使用する魔術はカバラで、オイルパステルを用いてその場にある土石や金属から「ゴーレム」を形成・使役する。このゴーレムは、後述する友の名前から「エリス」と名付けられている。戦闘に使用する身長約4mの巨人は、イギリス清教術式を混合してユダヤの守護者から英国の守護天使に置き換え、不完全だが人より上の存在である天使を組み立てる事で、より戦闘能力を高めている。また、通常は一度に1体しか操れないゴーレムの機能を限定化する事で、偵察用の眼球を複数同時に操るなどの応用も行っている。
かつて、科学サイドと魔術サイドが協力した実験で科学サイドの友人のエリスを失って以来、科学と魔術は棲み分けなければならないという考えを持つ。そのためにイギリス清教と学園都市の関係破綻を目論み、単独で学園都市へ侵入する。「友を失いたくなかった」という根本の考え以外は行動指針がよく変わり、上条や風斬、さらには派閥違いのインデックスなど誰でも良いから狙うという行動に出るが、上条と風斬や「警備員」に撃退され、イギリスへ帰された。この事件の責任から謹慎同然の身になったが、貴重な人材であるために「寛大な処分」で済まされ、ロンドンの女子寮で普通に生活している。寮で暮らすようになってからはオルソラに手を焼いたり、神裂やアニェーゼ部隊の面々ともそれなりに仲良くしている。
親友の命を奪った騎士団を嫌悪しており、キャーリサのクーデターでは、我を忘れて騎士団に襲いかかった。
オルソラ=アクィナス(Orsola=Aquinas)
声 - 遠藤綾
本作のヒロインの1人。イギリス清教に所属するシスター。「法の書」を巡る事件でローマ正教から改宗する。
ミディアムヘアの金髪に巨乳の持ち主の美少女。普段は髪が全く見えないほど修道服のフードを深く被っている。魔術関連の暗号解読を得意とする情報解析のエキスパートで、魔道書による有害な知識から人々を守るために活動している。また、布教も精力的に行っており、3か国もの異教地で神の教えを広めた功績が認められ、自分の名を冠した日本最大級になるはずの教会を学園都市近くに建設中であった。その関係から、交渉や説得に長けている。暴力ではなく言葉によって、救いを知らず求めてもいない者へ「自分がやりたいから」という理由だけで救いの言葉を広め、口先だけではなく現実に武器を捨てて自分の意思を貫く姿勢は上条からも尊敬され、「最大最強にわがまま」と評される。
戦闘は苦手であるが、治療魔術なら使用できる。ローマ正教所属時はキオッジアに住んでいたが、改宗後は神裂らと同じロンドンの女子寮に住んでおり、暗号解読の関連部署でシェリーと共に働いている模様。料理の腕は、普段は空席だらけの食堂がオルソラが料理当番の日は満員になるほどの腕前。
性格はマイペースというより、他人の話をロクに聞かない。さらには、会話が進んだり戻ったりする(本人にとってはきちんとした手順に基づいて会話を展開させているらしい)。上条曰く「“おばーちゃん的思考回路”の持ち主」。日本語で話す際は、語尾に「 - でございます」と付ける。天然なのか大人なのか妙に色っぽい反応と所作を見せ、その行動に他人を巻き込むこともしばしば。何の見返りも求めず危険を冒してまで自分を救ってくれた上条に対しては憎からぬ思いがあるようで、彼が他の女性を相手にしている際には、何かと突っ掛かる。
誰にも解読できないとされていた「十字教の時代を終わらせる」魔道書「法の書」の正しい解読法を見つけ出したこと(後に解読方法は間違いと判明)から、当時所属していた十字教最大勢力のローマ正教を追われる羽目になり、天草式十字凄教へ保護を求める。しかし、天草式の善意を疑い逃亡してしまい、上条らを利用したアニェーゼ部隊に一時は捕まるが、真相を知った上条らによって救出された。その後、イギリス清教へ改宗し、ロンドンへの引っ越し準備中にキオッジアにやってきた上条らと再会し、その日の夜に起きた「アドリア海の女王」の一件ではアニェーゼ救出に協力した。ブリテン・ザ・ハロウィンでは上条から負傷したレッサーの治療を頼まれ、オリアナが匙を投げるほどの重傷だった彼女を救命した。
新約20巻での「クロウリーズ・ハザード」の際は、戦時下の異様な空気に当てられて、戦う力がない自分でも帰る場所である女子寮を守り、元アニェーゼ部隊の役に立つようにと、自ら「神威混淆」イシス=デメーテルを装着する。霊装に認識を歪められ、アレイスターに重傷を与えたが、霊装の本質を理解した上条が自分に歩み寄ったことで互いの齟齬が消えて解放され、自身を操った霊装にコンクリート片をぶつけてトドメを刺す。その後は大英博物館でアニェーゼ部隊と合流して衣服を整え直し、通信魔術の情報網を仮組みするため地脈に棕櫚の杖を刺す役目に志願して、神裂とスコットランド地方に向かう。メイザースとの交戦で傷ついたアレイスターを助けて近くの教会で治療を施し、彼女の相談を聞き1冊の聖書を渡す。
テオドシア=エレクトラ
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する女性魔術師。
40歳前後で四男八女の母親。金と銀が混じった髪に、だぶついた黒い上着と色を抜いて真っ白にしたジーンズという服装をしている。カタカナの「デス」「マス」を語尾に付けるやや片言の話し方が特徴。いい加減で非常にノリが軽くコミカルな性格をしており、ステイルからはたびたび苛烈なツッコミを受ける。子持ちゆえに子供の世話や対応に慣れている。
飽きっぽいせいか北欧神話をメインに用いる術式や霊装を頻繁に変えている。SPステイル編登場時には、求婚を拒み続け宝として莫大な炎に守られていたゲルドを強引に娶るために用意された、4つのルーンが刻まれた霊装「スキールニルの杖」を模したマッチ棒とマッチ箱を利用した術式を使った。宝の守護と解放を司るアイスランド系の術式で、ルーンの文字と配置を独自のパターンに最適して、本来のスキールニルの杖が示す「奪う」役割と、炎が宝を「守る」役割を兼任させている。空間の引き伸ばし、防衛用の爆炎や向かい風といった多様な防御術式を使用できる。発火することで映像データの幻影資料化も可能だが、データ量が多い場合はマッチの交換の手間や指先を火傷する危険などの欠点がある。
「背信者の処分」という任務を帯びるも、パトリシアの事情を知り彼女に味方し、後に戦闘を経てステイルとも協力した。
本編18巻やSS2巻でも名前が登場している。
リチャード=ブレイブ
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。
年齢は20歳くらい、黒いコートを着た長身の男性。主な活動は、大西洋にて北米大陸の魔術結社のイギリス侵攻を阻止し、多大な功績を立てている。
北欧神話最強の武具の一つで、世界を支える樹をまとめて焼き払う炎の巨人スルトの剣の名を冠した、西洋剣のような霊装「破滅の枝レーヴァテイン)」を扱う。剣には「sgkalu(魔術を使って太陽を得た松明)」のルーンが刻まれていて、あらゆる物質を焼き尽くす炎を発生させる効果があり、コンクリートのような不燃物はおろか、「別の炎」「水蒸気」といった通常あり得ない物まで燃やすことができる。
その正体は、対象となる物質に「極端に燃焼しやすくする」ルーンを刻印することで、燃えやすい材質に変換して燃やすという戦法。ルーンはビタミンB2を使った「見えない塗料」によって記され、予め周囲の物体にルーンを刻印し、そこに剣に刻んだルーンを利用して紫外線を浴びせてルーンを浮き上がらせ、任意の物だけを燃えやすく変換している。霊装本体の炎にも人一人焼き焦がす程度の火力はあるが、あくまで強い紫外線を放って術式を補助しているに過ぎない。
しかし、「ビタミンB2の紫外線による発色効果」という科学的な方法を使ったことで上層部から霊装の処分を命令され、これに反発しイギリス清教を離反。そして、北欧神話の種族「黒小人」の技術を入手し、神々の武器を製造してイギリス清教の殲滅を企む。「黒小人」の技術が記されたアラスカルーンの解析には、封印の解除権限を持つ「明け色の陽射し」のボスの家系(バードウェイ一族)の血縁者などが必要である事から、それらを狙って学園都市に侵入するも、ステイルらに敗北して失敗する。最終的には「然るべき報復を受けさせる」として「明け色の陽射し」に回収され、その後の消息は不明。
SPステイル編より1カ月ほど前の神裂編SSでは、「主神の槍」や「最後のルーン」を求めて、ブリュンヒルドとの交渉材料としてセイリエを人質に取ろうと画策する。最終話のエピローグで語られたので詳細や顛末は不明だが、その後の神裂達の活躍で阻止されたと思われる。
スマートヴェリー
声 - 浜崎奈々
イギリス清教に所属する魔女。語尾を伸ばしたり些か緊張感に欠ける甘ったるい口調で話す。
箒や魔法薬を用いて高速で空を飛ぶ。キャーリサによるクーデターに際して移動要塞「カヴン=コンパス」に搭乗し、キャーリサに呼応する「騎士派」と交戦した。通信によって指示を仰がれていたことから、要塞内の一定の指揮官であるらしい。
レイチェル
イギリス清教に所属するシスター。
かつてインデックスと一緒に遊んでいた彼女の友人。記憶を消されている為インデックスは覚えていないが、ロンドンで再会した際は、彼女をかわいがって彼女が拒否するほどの量の料理を仲間達と食べさせた。
土御門 美秋(つちみかど びしゅ)、土御門 冬頭(つちみかど とうず)
イギリス清教に所属する魔術師。旧姓「卜部」と「芦屋」。
土御門元春が学園都市へと潜入する際、登記上の家族として設定された人物。美秋は、土御門とはそれ以前からの仲であったらしく、親しげに会話を交わしている。
ツアーガイドの少女
イギリス清教に所属するメッセンジャー兼ガイドの少女。本名は不明。神裂編SSに登場。
金髪で年齢は15歳ほど、タイトスカートスーツスカーフというツアーガイドらしい服装の少女。捜査の依頼内容を伝え、魔術師を現地に案内するという仕事をしている。世界各地の文化や歴史に精通し、さらに現地での事件捜査に必要な情報を引き出すメモ帳型の霊装を持っており案内自体は優秀だが、魔術的な知識に関しては素人なのでたびたび初歩的な質問をしては神裂やジーンズ店主にあきれられている。教えられれば簡単な解析魔術程度は使えるが、本職の魔術師ではないので戦闘能力は皆無。
聖ジュリアン大聖堂の司教
イギリス清教の司教。本名不明。神裂編SSに登場。
ロンドンにある聖ジュリアン大聖堂の司教を務める初老の男性。「必要悪の教会」が人員不足に陥りがちなことに着目して、自ら作り上げた人身売買ルートで用意した身寄りのない子供達を魔術師に仕立て上げ「必要悪の教会」に人員供給するシステムを密かに構築し、その功績により今の地位を得ている。セアチェルがその子供の一人であったことや、以前から司教の計画を知っていたことからエーラソーンと因縁が深い。
エーラソーンの失踪の際には最も懸念を示し、ツアーガイドの少女に状況を頻繁に報告させていた。エーラソーンに粛清される寸前で神裂の妨害により一命を取り留める。その後、不当な人材確保の容疑で正式に裁かれる。
スラッパール
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。神裂編SSに登場。
青ざめた肌をした病弱そうな青年。海外の魔術勢力のイギリス侵攻を防ぐスコットランド北部の要衝「レンガ埠頭」の管理人を務めている。先天的な体質として一定以上の複雑な術式が構築できず、高度な魔術が扱えないという欠点を持つ[注 7]。そこで、補佐役として作り出したアルファルに迎撃術式の代行をさせレンガ埠頭の防衛任務に就いている。しかし、アルファルの本当の用途は進化のための研究素材であり、彼女の力を利用して自分の先天的欠点を克服することが真の目的である。その過程で自然界の生態系に悪影響が出る可能性も全く気に懸けず、自分の目的のためには手段を選ばない。また、成功例のアルファルは非常に貴重で、全く同じ効力を持つ個体を作り直すことはできない。
任意の形の微粒子を予め散布し、そこに過冷却水を撒いてルーン文字型の結晶を形作り、極小のルーンを大量に作り出す戦法を用いる。たった一種類のルーンながら、タンクローリーを使って何万何億も生産することによって、圧倒的な物量で先天的欠点を補っており、ハンデを持ってるにも関わらず、まともに喰らえば「聖人」の神裂でも「数の暴力」で削り取られかねないというほどの力量を持つ。扱う「製錬(Uruz)」のルーンからの連想で、鉄を溶かすほどの強酸を発生させる効果を持つ。
アルファルのレンガ埠頭占拠に際し、アルファルが私欲で反乱を起こし武装占拠したと虚偽報告し、彼女に敗れて追放された振りをして「必要悪の教会」に応援を求める。初めは真相を伏せつつも神裂達に協力していたが、頃合いを見計らって本性を現す。しかし、神裂がアルファルを斬り伏せ、出血量から彼女が死亡したと思い込み、自分の目的を果たすための貴重な素材を失った事で絶望し、戦意喪失して神裂に捕縛された。
「ヴィーダルの靴」の女
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する女性魔術師。本名不明。神裂編SSに登場。
髪は茶髪で歳は神裂と同程度、Tシャツとミニスカートを着たラフな格好に、霊装が入ったリュックを左右の肩に1つずつ背負っている。性格は非常に好戦的。上からの指令にそのまま従って事務的に仕事を片付ければいいという考えを持つ。同僚ではあるが、神裂達とは面識がなかった。
北欧神話に登場するフェンリルの体を真っ二つに引き裂く怪力の神ヴィーダルが履いていた、特殊な靴の伝承を利用した霊装「ヴィーダルの靴」を扱う。一辺が数cmの三角形の革を大量にばら撒き、それによって自身の膂力と周囲の様々な自然現象の力を強化する。「靴」として明確に完成した霊装ではない単なる「大量の材料」なのだが、これが逆に足技以外の力を全般的に高める汎用性を与えており、身体強化単体はさほどでもないが、風や重力といった周囲の自然の力も倍増させ、それらを組み合わせることで聖人にも匹敵する力を発揮する。ただし、それら以外の面(術者の技量など)では変わらないので、総合力では聖人に及ばない。神話においても人間が革靴を作る際に余った切れ端で作られるとされるため、「神々の武器」がモデルの霊装としては材料調達と製造が非常に簡単。三角形は多角形の基本であるため、引き裂かれるほどに霊装の数が増えて右肩上がりに力が増幅されるが、革を曲線的に切り裂くなどして三角形を崩すように破壊されると効力を無くす。
海洋牢獄暴走に際し、穏便な事件解決を図る神裂達を見かね、上からの指令通り囚人を怠慢な看守ごと虐殺して手早く事件を終わらせようと動き、それを阻もうとする神裂と交戦する。戦ううちに、神裂が霊装を破壊し彼女が再び三角形に切り直すという勝負へと移行し、霊装が増えすぎて次第に力を制御できなくなり、最終的には神裂が恐るべき集中力による精密作業で霊装を全て破壊し尽くしたことで力を失い敗北する。
フリーディア=ストライカーズ
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場。少女[2]
両親は第一級の実力と即断即決の行動力を持つ魔術師で、魔術をもってしか自己の有用性を証明できないほどどっぷり浸かっておきながら、魔術を心底嫌悪していたという人物であり、魔術サイドからの離反を試み野に下ろうとしたため、自身の幼少期にイギリス清教の手でどこかの監獄へ投獄されている。魔術は本来誇るべき素晴らしいものだと信じており、魔術が日陰者でなくなる未来を実現するため、勝手気ままに被害を拡大させる「凶悪な魔術師」を倒す仕事に就いた。
扱う術式は宗教的基盤を持たない民間伝承に登場する「宝石の呪い」の作為的な誤解釈を利用したもので、宝石を「核」とする鉱石ラジオの霊装を用いて魔術に組み込んでいる。「宝石の呪い」は法則性があやふやであることから、応用・増幅・管理が難しい反面、明確な理論によって起こせる現象の上限を突破できる。また、後述のソード聖堂で借りた「生命力に介入して魔力の限界値を倍増させる」性能が備わる施術鎧の特別応用試験機は、肉体から一度鎧を通し、もう一度肉体へと生命力を戻す事で、装備者が「聖人」のような特殊体質を持っていると「錯覚」させるというピーキーな逸品で、これによって増幅された「宝石の呪い」の「爪」は防護の魔術を強引に貫くほどに強力だが、誤魔化しが通用しなくなった瞬間に絶命するというリスクがある。
天草式の「必要悪の教会」編入試験の試験官を務めたが、「必要悪の教会」が管理している魔術的なロックを正規要員として素通りさせる「フリーパス」を「目覚め待つ宵闇」に奪われ、向かった市民図書館で増援を装うフラックに昏倒させられる。状況を打破するべくソード聖堂で敢えて捕縛した五和を逃す事で起爆剤とし、霊装の鎧を装備してストーンヘンジへ向かい天草式ごと「目覚め待つ宵闇」を打ち倒す。だが、ポンド圏首脳会議の警備計画立案者である自身の命を狙っていたエミリエに襲撃を受け、彼女を倒すためにヴェイズから奪ったトラペゾヘドロンを利用して相討ちに持ち込む。呪いで右半身が動かなくなるほどのダメージを負って戦線離脱するが、事件解決後には車椅子に乗りながらも解呪に成功した姿で天草式の前に現れ、彼らに試験の合格を通知した。
トーキー=シャドウミント
イギリス清教「必要悪の教会」に所属する魔術師。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場。青年[3]
「宗教による民衆の統治」を象徴する教会のの音を魔術に転化し、複数の鐘を組み合わせ、順番通りに鳴らす事で、本来は独立した鐘に刻まれた銘文を繋げて全く違う効果を生み出すという、子供の文言遊びを応用した術式を操る。所有する先端に小さな鐘をいくつも取り付けた真鍮の杖は、「偶像崇拝の理論」で各々の教会の鐘とリンクして遠隔地から打ち鳴らす効果がある。この事から「鐘楼斉唱」とも揶揄される[3]
「フリーパス」を奪った容疑がかかる天草式の捜索を行っていたが、相手が燃料満載のタンクローリーで人口密集地を通り抜けるという反則技に出たため、止むを得ず精密爆撃を中止する。
メルヴィナ=ベイリー、グレンシア=ベイリー
イギリス清教に所属するシスター。
ニクス=エヴァーブラインド
「必要悪の教会」所属の幼い修道士。技術や学問の名を冠する魔術師。殺しを生業とするためか清貧や純潔とはかけ離れた印象を与える。
クロウリーズ・ハザードとの戦いの後、スコットランドに避難する「王室派」の護衛につくが、「黄金」襲撃によって落車し戦線離脱する。
「サイン」を重視し、己の手足で示せる限界を超えた術式を扱う手段として、生身で使えば目が潰れるような塗料で先鋭化したガラスの義眼などをアタッチメント化した己の肉体に埋め込み機能させている。
アンジュ=カタコンベ
金髪のメイドさん。
スーツケースのような「」を積み上げ持ち上げるパワフルな人物。色々と崖っぷちで、まともな出会いに飢えており、ミスと呼んだ相手を腕力でぶっ飛ばす。
キュティア=バージンロード
メガネを掛けた若奥様風の女性。
罪人の体液の穢れを適切に転化させて特別な力を宿す伝承に由来する「刀の錆」をかき集めた集積体を、赤錆び色の回転刃に変えてリードにつないでいる。
ダイアン=フォーチュン
「黄金夜明」メンバーの人格をモデルに、ローラ=コロンゾンがタロットの「原典」で製造した存在。コロンゾンの次の最大主教となる。

天草式十字凄教(メンバー)

神裂 火織(かんざき かおり)
建宮 斎字(たてみや さいじ)
声 - 鳥海浩輔
天草式十字凄教の教皇代理。
クワガタのように光沢があるツンツンに固めた黒髪が特徴的で、イギリス清教の象徴である赤十字が入った白Tシャツを着用し、首からは小型の扇風機を幾つも下げ、靴紐は1m以上もあるなど、隠密に特化した天草式にしては奇抜な服装をしている。日常的な仕草に含まれる儀式的動作を組み合わせて術式を練り上げる、偶像のスペシャリスト。武器の扱いにも精通しており、180cmほどの両手持ちの長剣「フランベルジェ」を片手で軽々と扱うが、できる限り殺さずに事を収めるため、両刃の内、片側をなまくらになるよう研いでいる。「 - よな」という語尾が特徴。
戦いの局面に置いては非常に理知的で頭の回転も速く、常に仲間に対しての気遣いを忘れず、上条同様、かつて敵対した者でも助けを求める者には手を差し伸べる優しさを持つ。実力はかなり高く、ステイルと上条の2人を相手にほぼ互角の戦いを繰り広げたほど。
一方で、プライベートでは五和の恋を裏から手助けしたり(それを利用して「堕天使エロメイド」と「大精霊チラメイド」が戦う姿を拝もうとしたり、からかうようなイタズラもする)、五和が本気で怒る姿にとても怖がったり、神裂の恋愛について余計な噂を流したりするなど、お節介でユーモラスな一面も持つ。また、第16巻での言動から、教皇代理という立場であることから、天草式十字凄教メンバーの個人データを事細かに把握しているようである。ただし、このデータには「五和隠れ巨乳説」「対馬脚線美説」などの明らかに余計な情報も含まれている。拠点のひとつであるアパートは五和にお仕着せするためのコスプレ基地と化している[4]
神裂が天草式を離脱してからも、あえて教皇「代理」として天草式を率い、ローマ正教から逃亡したオルソラが助けを求めた際も、天草式の「救われぬ者に救いの手を」の理念に従い、オルソラを保護する。アニェーゼ部隊の策略で一時上条らと対立するも、誤解が解けると上条らと共にアニェーゼ部隊と交戦した。そのことでローマ正教と対立し、天草式共々イギリス清教の傘下に入ることになる。その後、キオッジアで起きた「アドリア海の女王」の一件ではアニェーゼ救出に協力した。
後方のアックアによる上条襲撃の際には、アックアから上条を守れず戦意喪失した五和に檄を飛ばして奮い立たせ、自身も圧倒的戦力差がありながら、恩人である上条を守るため、天草式の先頭に立ちアックアと交戦した。
クロウリーズ・ハザードの際はドーバーの沿岸部に配置され、戦線の崩壊と共にロンドンに戻り反撃の機を狙っていたが、突如現れたウェストコットに圧倒された挙句、「幸運の象徴」として見逃される。
五和(いつわ)
声 - 茅野愛衣
本作のヒロインの1人。天草式十字凄教に所属する女性魔術師。フルネームは不明。『必要悪の教会』特別編入試験編SSでは事実上の主人公。
二重まぶたが印象的なショートヘアの少女。建宮によると「隠れ巨乳」。普段は控えめかつ温厚な性格で、オルソラほどではないがやや天然な面もある。しかし、怒らせると別人のように性格が豹変し、実際にアックアとの戦いで建宮に檄を入れられた時はアックアへの怒気を露わにし、会話を無視して問答無用で攻撃したり暴力的発言を浴びせるなど、焚き付けた側の建宮達すら戦慄させた。料理の腕はプロレベルの舞夏を唸らせるほどで、バイク・自動車・小型船舶・ヘリコプターなどを操縦できる[注 8]など、科学方面に疎い魔術師の中では比較的常識人である。
「法の書」事件で上条に好意を抱く。建宮ら天草式メンバーのたびたびの応援を受け果敢にアプローチを試みるも、当初は奥手な性格からおしぼりを渡すのが精一杯だった。アックア戦で護衛として上条宅を訪れた際は圧倒的家事スキルで彼を感激させ、インデックスの居候としての立場を脅かした。天草式がイギリス清教傘下に入った現在は、ロンドンの日本人街に住んでおり、尊敬する神裂との距離が縮まり嬉しい反面、上条との距離が遠くなり寂しく思っているが、織姫彦星のような関係と前向きに捉えている。伊達や酔狂ではなく、上条のためなら死んでもいいとまで思うほど慕っている。
神裂を敬意と共に慕う一方で上条を巡る恋敵とも捉えており、神裂の「堕天使エロメイド」姿に衝撃を受け、対抗すべく「大精霊チラメイド」のコスプレに心揺らぐなど、誤解も交えて苦悩している。なお、この「大精霊チラメイド」はクーデター中であるにもかかわらず、ロンドンのデザイナーから調達した建宮より手渡された。
戦闘では主に刃の先端が長く、根本の両側が外に大きく反っているコルセスカの一種「海軍用船上槍(フリウリスピア)」及び、神裂同様に天草式特有の鋼糸を用いた攻撃「七教七刃」や肉体強化魔術を使った近距離戦を駆使する。そのため、一般人以上の身体能力があり、さらに天草式の治療魔術も使える。
C文書の調査としてアビニョンに訪れた際、土御門に超音速旅客機から突き落とされて上空から川へ転落した上条と偶然遭遇し、C文書を破壊するため共に左方のテッラと交戦。アックア襲撃の際は上条のボディーガードとして派遣されたが、アックアの圧倒的な力から上条を守れず、逆に護衛対象である上条が自分を庇って重傷を負ってしまったことに自分の無力感を痛感し戦意喪失する。それでも、再戦の際は「槍を持つ者」として「聖人崩し」の要となり、アックア撃破に貢献した。後の英国のクーデター鎮圧、クロウリーズ・ハザード戦にも参加している。
原作での初登場は第11巻の「アドリア海の女王」編だが、アニメ・漫画版では建宮と同じ「法の書」編で初登場している。
上条は「彼女だけは変人に染まりませんように」と望んでいるが、作者は第16巻あとがきで「なんか、五和も普通の女の子じゃなくなっていく」と述べている。
浦上(うらがみ)
声 - 渕上舞
天草式十字凄教メンバー。上条と同年代の少女。武器はドレスソード。「法の書」事件で上条を襲うが、敗北した。
牛深(うしぶか)
声 - 中西正樹
天草式十字凄教メンバー。大男。武器は戦斧。
イギリス進出記念ではしゃぎすぎ、わずか数日で隠れ家の貸事務所を埋め尽くすほどの洋物グラビア雑誌を購入してしまい、対馬に叱られる[4]
香焼(こうやぎ)
声 - 菊池勇成
天草式十字凄教メンバー。小柄な少年。武器は短剣。「〜っす」という語尾が特徴。
諫早(いさはや)
声 - 相馬康一
天草式十字凄教メンバー。初老の男。武器は刀、メイス。
イギリス進出時には、セントアンドリュースを夢見てトレーラーハウスを埋めるほどの大量のゴルフセットを買い込み、対馬に呆れられる[4]
野母崎(のもざき)
声 - 田所陽向
天草式十字凄教メンバー。既婚者の男。武器は西洋剣。
対馬(つしま)
声 - 幸村恵理
天草式十字凄教メンバー。ふわふわ金髪の女性。武器はレイピア。
長身に反比例して胸は控えめだが、建宮曰く「脚線美(の持ち主)」。残念な言動を繰り返す天草式男衆を叱り、苦言を呈する役目が多い。

アニェーゼ部隊(メンバー)

アニェーゼ=サンクティス(Agnese=Sanctis)
声 - 釘宮理恵
イギリス清教に所属するシスター。アニェーゼ部隊の隊長。年齢は12-14歳。
背はインデックスよりも低く、赤毛の髪を鉛筆ぐらいの太さの大量の三つ編みにしている。着ている修道服はミニスカート並みに短く、チョピンという厚底サンダルを履いている。語学に堪能で、イタリア語、英語(クイーンズ)、日本語などを話すことができ、お互いに言葉遣いが変ならケンカにならないという持論から、共通の外国語を使って会話する主義。日本語の場合は江戸弁のような少々蓮っ葉な言葉遣いになる。サド気質な面があり、オルソラや「騎士派」にボロボロになるまで尋問をする反面、自分へのスカートめくりのようなセクハラ行為には慣れていない。
元々はミラノに住んでいたが、幼い頃に事件で両親を殺されて路上生活者となっていた。その後はローマ正教に拾われ、知り合った女の子達とアニェーゼ部隊を作り上げる。ルチアに「寒気を感じさせたほどの信仰心を持つ」と言わしめ、仕事の報酬を聖書の印刷代に当てた上、それを古びた教会に手渡しで配り回っていたほどの敬虔なローマ正教徒である。十字教至上主義者で、ローマ正教以外は旧派でも異端だと考えており、十字教の矛盾や抜け穴を探して利用する近代西洋魔術師を嫌い、神に祈らないのに神の恩恵を受けている者にも嫌悪感を持つ。
戦闘では第5元素・エーテル象徴武器蓮の杖(ロータスワンド)」を使用する。この武器はエーテルを扱うと同時に、他の四大元素全ての武器としても使用できる特性を持ち、「何にでもその法則を適用できる」ことから空間そのものに作用させる座標攻撃の魔術を発動できる。床などを叩くことで金槌で殴ったような打撃を、側面をナイフで切れば空気を切り裂く斬撃を発生させる事が可能であり、その攻撃は目視が困難な上、距離と空間を無視して生身に直接衝撃を叩き込めるので分厚い鎧でも防げない。命令から発動までに1秒未満のタイムラグがあり、戦闘では回避位置を計算して機雷のように空間に「設置」する。ただ、急所に当てない限り相手を一撃で戦闘不能にできるほどの威力はない。
オルソラを探すために来日し、天草式を「法の書」を狙ったオルソラ誘拐犯と仕立て上げ、上条らを騙してオルソラを取り戻し、オルソラを異端審問にかけて処刑しようとしたが、真相を知った上条や天草式の抵抗に遭い、最後は上条に敗れた。帰国後、任務失敗として部隊全員「アドリア海の女王」での強制労働を科せられ、彼女自身もビアージオに「アドリア海の女王」の照準を変える術式「刻限のロザリオ」の発動に利用されかけたが、上条や天草式らによって救出される。その後、ローマ正教から追われてオルソラの元へ部隊全員で身を寄せ、ロンドンの女子寮で暮らしている。イギリス清教の傘下に入ったがイギリス清教に改宗する気はなく、イギリス清教に新しいローマ正教分派を作ろうと考えている。
オティヌス討伐作戦時には「晩餐の魚」の仲介役としてオールボーに向かい、上条だけを脱落させようとしていたが、彼の説明でオティヌスが改心したことを告げられ、自分のパンツを覗いた意趣返しで右肩を脱臼させたものの提案に乗ってわざと見逃すことにした。
ルチア(Lucia)
声 - 伊瀬茉莉也
イギリス清教に所属するシスター。アニェーゼ部隊の一員。
背が高く、やや猫目な顔つきでアニェーゼやアンジェレネより一回りほど年上である。アニェーゼ部隊の中では巨乳でスタイルがいいため、スカートめくりの被害に頻繁にあっているらしい。アンジェレネと違い、食事は主に野菜中心であるなど必要以上の栄養摂取をしない禁欲的な生活を送り、仕事のないときでも教会の鐘楼に登って非常時に備えるほど仕事熱心で、敬虔な信徒である。修行中のアンジェレネの指導役のような立場にある。アニェーゼに対しては年下であるが、その高い信仰心に尊敬の念を抱いている。
アレクサンドラ王家の聖カテリナが触れた処刑・拷問用の車輪が爆発し、その破片で処刑場に集まった見物客4000人が死亡したという「車輪伝説」に基づいて、大きな馬車の車輪を爆発させて数百の破片を散弾銃のように撃ち出す攻撃術式を使う。攻撃後、敵に刺さった木片は磁石に吸い寄せられるように修復される。
「クロウリーズ・ハザード」当初は沿岸部隊として配置されるが、戦略撤退でロンドンの大英博物館へ帰投する。
アンジェレネ(Angelene)
声 - 片岡あづさ
イギリス清教に所属するシスター。アニェーゼ部隊の一員。
フランス出身だが、両親にミラノまで連れてこられて捨てられた過去を持つ。背は低く、三つ編みの金髪にそばかすが特徴で、若干どもりながら話す癖がある。「アドリア海の女王」の一件ではルチアと共にアニェーゼの救出を試みるなど仲間思いな性格。非常に食欲旺盛な上、好きな飲み物は激甘のチョコラータ・コン・パンナという大の甘党の上に野菜などは大嫌いであるなど、シスターにあるまじき生活を送っているため、たびたびルチアに注意を受けている。
十二使徒マタイの象徴である金貨袋に「天使の力(テレズマ)」を通し、追尾型の飛び道具として操る。金貨袋は砲丸投げ鉄球に匹敵する威力を持つほか、袋の口紐を使って相手を拘束する事もできる。ただし、まだ修行中の身であり、術式も大雑把でインデックスには酷評されている。
「クロウリーズ・ハザード」当初は沿岸部隊として配置されるが、戦略撤退でロンドンの大英博物館へ帰投する。
アガター
声 - 渕上舞
イギリス清教に所属するシスター。アニェーゼ部隊の一員。
メガネを掛けている。主に通信や連絡係を務める。
クロウリーズ・ハザードとの交戦では最結界が閉鎖されたときに第二城塞に取り残されたが、盗難車でロンドンへ向かう浜面に救助され、大英博物館で仲間たちと合流する。
カテリナ
イギリス清教に所属するシスター。アニェーゼ部隊の一員。

その他の協力者・関係者

上条 当麻(かみじょう とうま)
本作の主人公。学園都市に住む少年。インデックスの管理人という関係上、たびたびイギリス清教に協力している。
ジーンズショップの店主
ロンドンでジーンズショップを営む男性魔術師。無給で半ば強制的に協力させられている。
チャールズ=コンダー
声 - 中西俊彦
考古学の権威であり、大英博物館に所蔵される物品の管理と修復を任される「保管員」。
30代後半の男性。自身は魔術に関係ない一般人だが、ローラに謁見できる地位にあり、「使徒十字」の事件やブリテン・ザ・ハロウィンでの「連合の意義」の発動などに関与している。
エーラソーン
イギリス清教と契約を結ぶ魔術師にして、魔術的な拘束具の専門家である拘束職人。神裂編SSに登場。
安物のコートを着た大柄の男性。大聖堂の魔術セキュリティや牢獄の拘束具を開発・製造するプロ。様々な道具・霊装を駆使する戦い方をし、宗教裁判用の拷問具を用いる。銀色の蛇や蛸、蝙蝠のような形をした拘束用自律型霊装「グレイプニル」は、北欧の主神オーディンを喰い殺す獣フェンリルを縛るための不可思議な紐を模したもので、「この世には存在しない素材で作られている」という暗喩を、独自の推測で「複雑な熱処理を施した」であると仮定し、2mを超える巨大な斧を媒体として制御している。
数年前にセアチェルを人身売買から救い施設に預けるが、脱走癖があり危なっかしい彼女を引き取る。初めはセアチェルに魔術の存在と拘束具の仕事を隠し遠ざけようとしていたが、「生きがい」を切望する彼女の要求を已むなく受け入れる。セアチェルが「生きがい」として自分に依存するようになってしまったことや、司教の計画について知っていたことなどから強い自責の念に駆られ苦悩し、やがて、自分の存在という「生きがい」に縛られた彼女を救うために、司教を粛清した後に自ら命を断つ決意をする。
聖ジュリアン大聖堂のセキュリティを解析し、大聖堂攻略計画を入念に練り後に失踪する。大聖堂攻略を実行し司教を粛清しかけるが、あと一歩の所で神裂に阻まれる。その後は司教の疑惑が判明したことや神裂達の配慮によって重罪を免れる。
セアチェル
エーラソーンの拘束具の実験台を務めていた少女。神裂編SSに登場。
年齢は16、7歳で華奢な印象の少女。金と茶色が混じったような色の強い金髪と静脈の色が浮かぶ白い肌に、ペンギンのような歩き方が特徴。「捕まえる」専門家のエーラソーンとは対照に、あらゆる物から「抜け出す」資質が備わっている。
10歳くらいの頃、両親に捨てられ人身売買されかけた際にエーラソーンに助けられ、それ以来彼に懐く。施設に預けられた後も彼に会いたい一心で脱走を繰り返し、引き取られてからは彼に依存して生きるようになる。「生きがい」を与えてもらおうとエーラソーンの手伝いを申し出て、素人ゆえ手伝える分野が限られる問題と、自らの資質が拘束具の耐久テストに最適なことから、進んで実験台に志願する。
エーラソーンとの関係はどこか歪んでいて、彼の話題には喜怒哀楽や好悪がなく他人事のように話す。しかし、エーラソーンの失踪に最も早く気付き、彼の身を案じてイギリス清教に通報する。
アルファル
スラッパールが作り上げた人工魔術生命体。神裂編SSに登場。
アルファル」らしき化石から人工的に復元し作られた少女。外見年齢は10代前半で体格は小柄、長い金髪に色白な肌と尖った長い耳を持つエルフらしい容姿をしている。ドグェルグの対極として調整されたので金属や地下空間を嫌い、木綿の布地と木製のボタンでできた衣服を着ている。魔術生命体ではあるが、外見も精神面もほとんど人間と同じ。
彼女自身の肉体という「地球上に存在しない特殊環境」が、周囲のあらゆる動植物を歪んだ形に進化させてしまうという「進化体質」を持つ。これは極端な条件による突然変異に近く、数時間彼女の近くにいるだけで、身体の形状や機能が大きく変異してキメラのような異形の生物と化す。さらに歪められた動植物の99%以上は、別の動植物を同じように歪める効力を持ち始める。しかも、自らが命を絶って死体になったとしても、ある程度は「劣化した形」で特性が持続される。一度進化してしまうと二度と元には戻れないが、専用の容器で隔離すれば進化の進行を抑えることはできる。なお、本来の(元となった化石の)アルファルにはこのような極端な性質はなく、製造段階でスラッパールによって意図的に植え付けられたものである。
表向きは先天的に複雑な術式を構築できないスラッパールの仕事を助けるDNAコンピュータの代用品であるが、実際はスラッパールが自身の体質を「進化」で克服するために作られた存在。作り出された時からレンガ埠頭内の一部の区画に隔離されて過ごす。本人は自分の出生や環境にもスラッパールにも不満を抱かず満ち足りていたが、ある日スラッパールの飼い猫に興味を持ったのをきっかけに隔離区画の外に出てしまい、自分の異常な性質と作られた目的を知り絶望する。その後、スラッパールを含む全ての生物を自分の脅威から遠ざけるべく、レンガ埠頭を占拠し立て篭もる。
量的にはスラッパールに遠く及ばないものの、彼同様に過冷却水と氷の結晶を使ったルーン魔術を使う。使っている種類はスラッパールと違い火炎を発生させるルーン。また、レンガ埠頭内の魔術設備や霊装も扱える。
レンガ埠頭を奪還しに来た神裂と交戦した後、事情を知った彼女に保護される。その後は、神裂達の手配によりイギリス清教の研究施設を紹介され、そこで進化体質を完全に抑制する霊装の開発を待つ。
烏丸 府蘭(からすま ふらん)
ローラ=スチュアート直属の「黄金」系魔術師。上里勢力に諜報員として潜入していた。
クリファパズル545
異種高次生命の構造を簡略化し、コロンゾンの指向性と合致する形で調整された人工的な悪魔。本質としては生命というより器物に近く、生命の樹の逆位置にある「邪悪の樹」を正しくなぞって「命に似た何か」を製造する助けにしている。ローラ=コロンゾンが世界状況を掌握できなくなった際、クロウリーキラーとして起動するようインプットされており、存在意義はクロウリーを殺すことだけ。
額には禍々しい穴を開け、小柄な体躯に反して半透明の肉体はグラマラスで肉感的、背には薄膜の翼、腰の後ろに触腕を想わせる邪悪な尾があり、人間ではあり得ぬ七色の髪は内側に丸まっていて大きな傘のようにも見える。単体で表層世界へ出て来るためには、疑似的な出産の儀礼を経て「扉」を設け、辺り一面にあるゴミをかき集めて、そこから半透明の体を押し出す事で無理矢理に顕現する。そのため、英字新聞やダクトテープなどのゴミ屑を寄せ集めた「貧者のドレス」で、美しい「だけ」の肉体を彩っている。
一国家を丸ごと「戦争の狂気」に突き落とす怪物で、絶望的な戦時下での余計な悲壮感や形のないデマといった物を象徴する、「人をおかしくさせる空気そのもの」であり、そこにいるだけで秩序を壊す存在[注 9]。危険な叡智を本質とし、覚悟なく覗き込んだ者を惑乱して破滅に突き落とし、人を操ることができるが、誠一のセフィロトを学び十分な研鑽を身につけた者であれば対処可能。また、天使と対をなす本物の悪魔を部分的に切り取って手頃にまとめた廉価版と言える存在だけあってかなり頑丈で、超音速の物体と衝突しても痛いだけで済む。さらに、破壊不可の「原典」に類する修復能力を持ち、10の球体が破壊されても22の径が残っていれば再生できる。憑依が専門で、破壊を撒き散らし、すでに団結している人の集団の内側へ毒を垂らし、不和と瓦解を促す。世界を茶化して不謹慎な空気を作るためなら自らの犠牲すら厭わない。一方でコロンゾンからの命令と「混線」している状態ながら予想され得る思惑を書き残したり、一方通行からの命令に従い「回復」を待つ彼の側で無期限警戒を続けるなど律儀な面も持つ。
ローラの手で急遽神裂に埋め込まれ、インプットされた命令に従い「クロウリーズ・ハザード」に対処することになる。神裂がアレイスターに撃破されたことで体外へ這い出し、騎士団長ら「騎士派」の面々を制御下において襲いかかる。邪悪の樹の情報を不意打ちで広げてアレイスターをも制御しようとするが、近代西洋魔術を網羅した彼女には通用せず、右手で握りつぶされ敗北。径が残っていたことで死を免れ、穴埋めによる「復元作業」に取りかかろうとしたところを発見した一方通行と、命を守って貰う代わりに魔術使用の代行と知識提供を行うという契約を結び、「黄金」に対する調査活動を任される。アレイスターが「黄金」を倒すために空間に莫大な力を満たした際、その余波で死にかけるが、一方通行のベクトル操作で誤作動を起こした部分だけを取り除かれたことで生き延びる。自分の命が脅かされる恐怖から逃れられた安堵と、一方通行と結んだ契約の強固さを実感したことで隠すこともなく泣き崩れ、自分が壊したイギリスを救い、創造主の打倒に協力することを決意する。二度目のネフテュス戦で力を暴走させられた時にミサカネットワークの「総体」と接触を果たし、自らを真なる11、11番目の球体に居座る管理者、「邪悪という踏み台は善行を支えられる」と定義し、第3の樹「人造の樹」全体を掌握する超越生命として一方通行に力を与える。

脚注

注釈

  1. ^ 英国国教会(聖公会)はおおむねプロテスタントに分類されるが、イギリス清教は前述のようにカトリックである。
  2. ^ 現実と違い離婚問題ではない。
  3. ^ アニェーゼは「ウチの方(ローマ正教)はごっこ遊びのオママゴトみてえなもん」と評し、ステイルはビアージオとリドヴィアに対し「君達の言う『拷問』と僕達の言う『拷問』は種類が違う」と豪語している。
  4. ^ ただし、他の公的な魔術組織に対しては内政干渉と見なされるので深く介入できない。
  5. ^ あくまで魔術社会で国際的に活動可能というだけで、一般的にはイギリス国内にのみ存在する国家宗教に過ぎない。日本にはイギリス清教の教会施設は一軒もない。
  6. ^ 本文での描写は18歳ぐらい、灰村によると「大学生くらいになったインデックスのイメージ」。
  7. ^ 当人は「思考がほどける」と形容し、複雑な事を考えようとすると、その複雑な事を忘れてしまうとしている。
  8. ^ これら全ての免許を取得するには18歳以上でなければならないが、上条と同世代と描写されているので、無免許でスキルだけ身につけたか、年齢を偽装して取得したものと思われる。
  9. ^ 「クロウリーズ・ハザード」襲撃下のイギリス全土が異様な雰囲気に包まれていたのも、この性質の影響だった。

出典

  1. ^ SS1巻 137ページ
  2. ^ 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第1章 6-8ページ
  3. ^ a b 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第2章 14-17ページ
  4. ^ a b c 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第2話 6-8ページ