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リツヤ湾大津波

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リツヤ湾大津波(リツヤわんおおつなみ)とは、1958年7月9日アメリカ合衆国アラスカ州リツヤ湾(Lituya Bay)で発生した津波である。フィヨルドであるリツヤ湾の斜面が地震によって崩落し、海中になだれ込んだ土砂や氷塊で大波が発生した。遡上高での波高はその対岸で524メートル[1]、波高は最大約300メートルに達し、これは観測史上最高とされる。

リツヤ湾大津波のシェーマ
津波の翌週のリツヤ湾の航空写真。沿岸の明るい地帯は、津波で樹木を剥がされた森林の跡である。
津波の力で倒された樹木。

リツヤ湾と大津波

リツヤ湾(Lituya Bay)はアメリカ合衆国のアラスカ州の州都ジュノーの西方約200kmに位置する。岩盤が氷河に削られることで形成された急峻なフィヨルドで、奥行き約12km、幅約3kmと細長く、湾の奥でT字型に曲がった両側から氷河が流れ込んでいる。

1958年7月9日、現地でM7.7の地震が発生し、湾の奥で大規模な山体崩落が起こった。それによって海中になだれ込んだ大量の土砂や氷塊により、湾内で巨大な水しぶきが発生、沿岸は高さ500m以上に及ぶ津波に見舞われた。波によって押し倒された樹木の痕跡から推量した遡上高での波高は524mに及び、それはエンパイア・ステート・ビルディングより143m高い、観測史上最高の高さである。

津波発生当時、周辺には3隻の漁船が停泊していたが、そのうち1隻が沈没し、2人の船員が死亡した。他の2隻は無事であった。人跡未踏の地ゆえ、この2名以外の人的被害はない。

なお、リツヤ湾は過去120年間に5回の巨大津波が発生している[2]

波高

最大波高が記録された場所は、極めて限定されていた。なお、報告者により波高値には差異が生じている。尚、波高値は全て遡上高での波高。

日本語論文
  • 518m 羽鳥(1998)[3]
  • 524m 相田(1975)[4] 、MILLERD(1960)[1]を引用
  • 約525m 三好ら(1972)[5]

脚注

  1. ^ a b MILLERD. J. (1960). “Giant waves in Lituya BayAlaska”. Bull. Seism. Soc. Am. 50: 253-266. NAID 10003848422. 
  2. ^ 宇野木早苗、久保田雅久『海洋の波と流れの科学』p103。
  3. ^ 羽鳥徳太郎「アラスカ南東部~米国西岸における津波の規模スケール」『地震 第2輯』第51巻第2号、日本地震学会、1998年10月、203-210頁、doi:10.4294/zisin1948.51.2_203ISSN 00371114NAID 10002502230 
  4. ^ 相田勇「1792年島原眉山崩壊に伴つた津波の数値実験」『地震 第2輯』第28巻第4号、日本地震学会、1975年、449-460頁、doi:10.4294/zisin1948.28.4_449ISSN 0037-1114NAID 130006785631 
  5. ^ 三好寿, 牧野清「1771年4月24日の大津波について (II)」『地震 第2輯』第25巻第1号、日本地震学会、1972年、33-43頁、doi:10.4294/zisin1948.25.1_33ISSN 0037-1114NAID 130006785779 

参考文献

関連項目

外部リンク