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塚本勝巳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
うなぎ博士から転送)

塚本 勝巳(つかもと かつみ、1948年昭和23年)11月9日 - )は、日本の魚類学者ウナギ研究の第一人者。「うなぎ博士」の愛称で知られる。 岡山県玉野市出身。

経歴・人物

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ウナギの写真

独自の海山仮説、新月仮説、塩分フロント仮説に基づき、2008年に海洋でウナギの親魚を捕獲し[2]2009年には世界で初めて天然ウナギの卵をマリアナ諸島西方海域で採集することに成功した[3]

主義・主張

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2016年7月の日本経済新聞の記事で塚本は天然親ウナギの禁漁に全力を尽くすべきであると主張している。以下にその詳細を記す。

ニホンウナギは減少傾向だが、現状は効果的な対策がなされているとは言いがたい。ウナギは大型漁船や特別な道具がなくとも誰でも捕まえられ、漁の実態を示す正確な統計資料はない。そのため他の絶滅危惧種と比べても特に保護が難しい。密漁や不正な取引もおこなわれやすい。稚魚の池入れ数量の規制は枠が大きすぎて規制の意味をなしていない。また、養殖したウナギを放流したとしても、自然の環境で成長して産卵場へ戻れるのか疑問で、増加につながらない可能性がある。環境改善は河口で取り組むのが効果が高い。最近の研究で、河川の淡水域に遡上せず海や河口で一生を過ごすウナギが8割以上を占めることが分かったためだ。

現時点でもっとも効果的な資源保全策は、稚魚を産む可能性がある天然の親ウナギの禁漁に全力を注ぐことだ。産卵場の親ウナギには日本の太平洋岸から戻ったものが多い。現在、親ウナギの漁獲を規制しているのは鹿児島県静岡県など一部に限られる。国が中心となって全国で親ウナギを1匹でも多く産卵場へ帰せば、資源増の手応えが得られるだろう。持続可能な資源の管理のためには、同じ手法で長期間モニタリング調査を続け、資源状況を正確に把握することが求められる。予算、人員を考えると、こちらも国が中心になってシステムをつくる必要がある[4]

受賞歴

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主な著書

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  • 『爆笑問題のニッポンの教養 「脱出したい!」のココロ 海洋生命科学』新潮文庫 共著: 田中裕二、塚本勝巳、太田光、 発行:2008年7月31日、ISBN 9784062826198
  • 『魚類生態学の基礎』恒星社厚生閣 共著:桑村哲生ほか、発行:2010年9月6日、ISBN 9784769912293
  • 『ウナギ 大回遊の謎』 発行:PHPサイエンス・ワールド新書、発行:2012年6月16日、ISBN 9784569796703
  • 『調べてみよう!生きもののふしぎ ウナギのなぞを追って』「監修」金の星社、発行:2014年3月、ISBN 9784323057538
  • 『日本うなぎ検定 クイズで学ぶ、ウナギの教科書』小学館、共著:黒木真理、2014年2月26日、ISBN 9784093883511
  • 『大洋に一粒の卵を求めて: 東大研究船、ウナギ一億年の謎に挑む』新潮文庫、発行:2015年6月26日、ISBN 9784101260068
  • 『うなぎ 一億年の謎を追う 科学ノンフィクション』Kindle版、2015年6月4日、ISBN 9784052036125

主要論文

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共著

脚注

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  1. ^ 国立国会図書館. “博士論文『魚類の遊泳に関する運動生理学的研究』”. 2023年4月6日閲覧。
  2. ^ 黒木洋明、ウナギ親魚捕獲の現場 日本水産学会誌 Vol.76 (2010) No.3 P.446-448, doi:10.2331/suisan.76.446
  3. ^ 塚本勝巳、天然ウナギ卵発見の道 日本水産学会誌 Vol.78 (2012) No.2 P.316-319, doi:10.2331/suisan.78.316
  4. ^ 天然親ウナギの禁漁に全力を 塚本勝巳氏 2016/7/26 3:30日本経済新聞 電子版
  5. ^ 海洋生物資源科学科 塚本勝巳教授が「海洋立国推進功労者表彰」(内閣総理大臣賞)を受賞致しました
  6. ^ 『官報』号外第97号、令和4年5月2日
  7. ^ 令和4年春の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 13 (2022年4月). 2023年2月14日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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