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くす玉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
くす球から転送)

くす玉(薬玉、久寿玉、くすだま)は、原義ではや薬草香草香料を錦の袋に詰めて、その袋に造花などで飾り付けし、五色の糸でたらした入れ物で延命長寿、無病息災の願いが込められている[1]。現在ではイベント用の装飾、特に割り玉を指す。また、紙で作られた同形の花を球体に貼り合せた立体の折り紙を指すこともある。

七夕で使われるくす玉(吹流し)2004年7月 東大阪市布施で撮影
速水春暁斎「諸国図会年中行事大成」より『薬玉全図』 1806年
割り玉(2004年3月 大阪市千林商店街アーケード完成記念)
ブルーリボン賞の授賞式
(第49回受賞車小田急50000形

中国ではこれを魔除けに使用する道具として端午の節句などに使用されていた。日本でも端午の節句に魔よけなどのために身に着けて用いたとされる大きな糸巻「百索縷軸」が正倉院に所蔵されている[2]。このような百索(長命縷または続命縷ともいう)が後世になってショウブヨモギなどを飾った華やかなものに変化しそれが薬玉となった[2]。日本でくす玉が使われる事例としては、はらあ毎年7月仙台など旧暦の7月に当たる8月に行われる地域もある)の七夕の飾りつけや祝い事に使用される割り玉ともいわれるものが挙げられる。七夕のくす玉飾りは前述した中国の方式と同じような形で、造花で飾ったくす玉の下に紙テープ(短冊)を垂れ下げたもので、吹流しともいわれる。

割り玉

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割り玉といわれる祝い事に使われるくす玉は、球形になっているものを半分に割って、その中に紙テープを貼ったり、紙吹雪風船などを敷き詰める。割れたときくす玉の紙テープは垂れ下がる状態となる。また真ん中に垂れ幕(そのお祝い事に関連するメッセージが添えられる)を一緒に添える場合もある。

くす玉
くす玉の閉まっている状態から開いた状態

使用例

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新幹線などの開業式、高速道路国道などの開通式、学校の入学・卒業式、学校・企業の創立記念日、店舗・施設のオープン記念式典、造船の進水式、スポーツ大会や各種コンテストでの優勝や入賞祝い、選挙による候補者の当選祝い、結婚式祝い、運動会のくす玉割り競争(玉入れ競争で使うスポンジ製の玉をくす玉に当てあうもの)などがある。

またテレビ番組でも、特にクイズ番組ゲーム番組旅行や高額賞を獲得した参加者や、音楽番組コンテストオーディション)番組の優勝者などを称えたり、テレビドラマのクランクアップ(全収録終了)の時にも出演者・スタッフを労ってくす玉を割って祝うこともある。

なお、祝い事に用いるため久寿玉の字が用いられることが多い。

最近ではくす玉に代えて、天井から降らせたり、「カノン(キャノン)砲」といわれる機械式クラッカー(紙テープや紙吹雪が詰め込まれている)を使うこともある。

構造

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  • 本体は球形が一般的。二つ割れのものが一般的だが、最近市販されているものでは三つ割れのもの、あるいは結婚式専用・ベル型のくす玉もある。更に2003年阪神タイガース優勝したとき、キャンプ会場の高知県安芸市ナスの生産地として知られることから優勝決定の瞬間にはナスをかたどった巨大なくす玉を割って祝ったという。
  • 素材はを編みこんだ「竹かご」や、プラスチック発泡スチロールが多い。
  • 表面は特定の1つの色紙(いろがみ 一般には金色が多い)で貼ったものと、造花で貼り合わせたもの(写真)とがある。
  • 吊り紐で上部を天井等に取り付ける。下部の引き紐を引くと留めゴムが外れて球体が開き、中の垂れ幕(「祝○○○○○」など)・紙テープが垂れ下がり、風船や紙ふぶき等が舞うようになっている。

その他

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折り紙

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折り紙のくす玉の2つのバリエーション

くす玉は折り紙で作られたものを指すこともある。紙を花の形状に立体的に折り、これを多数組み合わせて形作る。

脚注

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  1. ^ 「年中行事事典」p270 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
  2. ^ a b つがわみお 著 『誰でもかんたんにできる くす玉ユニット折り紙』p.4、日本文芸社、2013年

関連項目

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