アロハ・オエ
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アロハ・オエ(ハワイ語: Aloha ʻOe)は、ハワイ王国第8代女王リリウオカラニによって作られた歌[1]。
ハワイを代表する曲として世界中で広く親しまれている[1]。「アロハ・オエ」は「我が愛をあなたに」[2]または「さようなら」を意味する[3]。
製作年次と歌詞の意味について
[編集]この曲の譜面は1895年に発売されミリオンセラーとなったが、製作された時期に関しては1883年にサンフランシスコで初演されたという説と、ハワイ王国が白人勢力の圧力により崩壊する前後に作られたとする2つの説が存在する。また、リリウオカラニが獄中でハワイ王国との別れを惜しんで1890年代に作った、という俗説もあるがこれは疑わしいとされる[4]。少なくとも、リリウオカラニによる1877年付の自筆メモによって女王作であることは裏付けられている[4]。
世界大百科事典(平凡社)では「ハワイ王国最後の女王リリウオカラニ女王自身の作詞」「リリウオカラニ女王が(女王就任前、王女時代の)1878年に作った」「アロハ・オエによりハワイアンの古典様式が完成し(中略)1930年代ハワイ音楽ポピュラー化が進行した」と断定されている[3]。
ハワイ州立公文書館は、アロハオエの楽譜と歌詞が収録されたリリウオカラニ本人所有だった「A Book of Hawaiian Songs」という名の歌集原本を保管している[5]。同州会計・総合サービス部がその歌集の電子版を公表しており、歌詞自体はタイプされたものだが、手書きによる推敲の跡や注釈が見られる他、多くの曲に署名と制作年がやはり手書きで添えられている[6]。アロハオエについてはリリウオカラニの愛称リリウという署名と直筆で「マウナヴィリ、1877」と書き添えられている[6]。
また、アロハ・オエのメロディーは後に、イエス・キリストの再臨による平和の回復を待望するという内容の歌詞が新たに付けられ、讃美歌[注釈 1]としても使用されている。
歌詞については、作詞者である女王は単なる恋歌として考えていたにも関わらず、葬儀の場で別離の歌として用いられた事実そのものに女王自身が驚いたというエピソードが伝わる[4]。
ハワイ語と英語の歌詞
[編集]Haʻaheo ka ua i nā pali | Proudly swept the rain by the cliffs |
Ke nihi aʻe la kanahele | As on it glided through the trees |
E hahai ana paha i ka liko | Still following ever the "liko"[注釈 2] |
Pua ʻāhihi lehua[注釈 3] o uka | The ʻāhihi lehua of the vale |
〈Hoʻōho〉[注釈 4] | (Chorus) |
Aloha ʻoe, aloha ʻoe | Farewell to thee, farewell to thee |
E ke onaona noho i ka lipo | Thou charming one who dwells in the shaded bowers |
A fond embrace a hoʻi aʻe au | One fond embrace ere I depart |
Until we meet again | Until we meet again |
ʻO ka haliʻa ʻloha i hiki mai | Thus sweet memories come back to me |
Ke hone ae nei ku ʻu manawa | Bringing fresh remembrances of the past |
ʻO ʻoe nō kaʻu ipo aloha | Dearest one, yes, thou art mine own |
A loko e hana nei | From thee, true love shall ne'er depart |
〈Hoʻōho〉 | (Chorus) |
Aloha ʻoe, aloha ʻoe, & c.[注釈 5] | Farewell to thee, etc. |
Maopopo kuʻu ʻike i ka nani | I have seen and watched thy loveliness |
Nā pua rose o Maunawili | Thou sweet rose of Maunawili |
I laila hiaʻai nā manu | And 'tis there the birds oft love to dwell |
Mikiʻala i ka nani o ka lipo | And sip the honey from thy lips |
〈Hoʻōho〉 | (Chorus) |
Aloha ʻoe, aloha ʻoe, & c.[6] | Farewell to thee, etc.[6] |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 聖歌621番(新聖歌464、聖歌 (総合版)667番)「けがれとあらそいは (Until Thou comest again)」
- ^ ハワイ語で花の蕾の意味。身分の高い人の子供や若い人の比喩にも使われる[1]。
- ^ ʻĀhihi lehua(アーヒヒレフア、学名: Metrosideros tremuloides)はハワイのオアフ島だけに分布する固有種の樹木。Pua(プア)は花の意味で、pua ʻāhihi lehuaで「アーヒヒレフアの花」を表す。
- ^ ハワイ語で多数で声を一緒にして強調すると意味で、この場合コーラスの意味。現代ではフイ(hui)というハワイ語が良く使われる。
- ^ "c."はコーラス(chorus)の略。
出典
[編集]- ^ a b 中嶋p.107
- ^ 「アロハオエ」『精選版 日本国語大辞典』 。コトバンクより2021年12月21日閲覧。
- ^ a b 「《アロハ・オエ》」『世界大百科事典第2版』 。コトバンクより2021年12月21日閲覧。
- ^ a b c 「アロハ・オエ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』 。コトバンクより2021年12月21日閲覧。
- ^ “Music from Queen Lili‘uokalani Manuscript Collections” (英語). ags.hawaii.gov. 2021年12月19日閲覧。
- ^ a b c d “The personal hand-written songbook of Liliʻuokalani” (ハワイ語). State of Hawaii - Department of Accounting and General Services. pp. 4-5. 2021年12月20日閲覧。
参考文献
[編集]- 中嶋弓子『ハワイ・さまよえる楽園』東京書籍、1993年。ISBN 4-487-75396-1。
関連項目
[編集]- ベニー・アグバヤニ - 応援歌として使用されていた