伸子
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(しんし張りから転送)
伸子、または籡(しんし、英語: temple)は、布・反物を洗張(洗い張り)あるいは染織する際に、布幅を一定に保つ道具である[1][2]。形状は、両端を尖らせた、あるいは針を植えた細い竹棒(木棒)である[1][2]。左右両端にぴんと張った布を固定、布を縮ませず、幅を保たせるように支える[1][2]。「しいし」とも呼ぶ[1]。「籡」は国字(和製漢字)である。
機張・機張り(はたばり)、絹張(きぬばり)とも呼ぶが、この場合は範囲が広く、「籡」だけではなく「張り板」(はいりいた)も含む[3][4]。日本ではおもに和服に使用するが、日本だけの道具ではなく、英語からの外来語でテンプルとも呼ぶ。
「伸子」(籡)を使用して、竹の弾力で布を伸ばすこと、伸ばして洗張することを伸子張・伸子張り(籡張、しんしばり)と呼ぶ[5][6]。
種類・構造
[編集]洗濯用
[編集]弧状にたわんだ細い棒で、両端だけで布と接する。ふつう1反当たり300本ほど用いられる。
両端の構造により2種類に分類される。
- 共爪(ともづめ)
- 細い竹串の末端をとがらせたもの。竹串の両端の皮の部分を残して削り、小角状の胯(また)を付けて尖らせる。側面に皮が残っているほうが保存や使用に便利である。
- 金爪(かなづめ)
- 竹ひごの両端に、鉄や真鍮、亜鉛などで作られた針を植え込む。使用前に、両端から2 - 3センチメートルほど、針の周囲を油焼しておくと針のすべりがよくなる。金爪のほうが多く用いられており、中でも真鍮製が錆びつかなくてよいとされる。
大きさは、曲尺1尺3寸 (約40センチメートル) くらいの並幅用と、曲尺2尺6寸 (約80センチメートル) くらいの大幅用がある。
布の素材によっても違いがあり、主な種類として木綿張と絹張がある。木綿張は張力が強い大きく、絹張はやや張力が弱く細い。この両用を兼ねた紬張もある。また厚地用と薄地用がある。
織物用
[編集]木または竹(西洋では金属製もある)でできた棒で、洗濯用より太くて丈夫である。両端には数本ずつの針が植わっている。たわんでいない真っ直ぐのものもあり、布幅全体を重みで緩やかに固定する。