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エーゲ海

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アイガイア海から転送)
エーゲ海
位置 地中海
座標 北緯39度 東経25度 / 北緯39度 東経25度 / 39; 25座標: 北緯39度 東経25度 / 北緯39度 東経25度 / 39; 25
ギリシャの旗 ギリシャ
トルコの旗 トルコ
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エーゲ海(エーゲかい、: Aegean Sea)は、地中海の一部を構成する海域バルカン半島アナトリア半島に囲まれた入り江状の海域で、面積は21.5万平方キロメートルにおよぶ[1]。北はダーダネルス海峡を経てマルマラ海に、さらにボスポラス海峡を通じて黒海に接続する。域内にはクレタ島ロドス島など、エーゲ海諸島と総称される島々がある。最大水深は2,639メートル(カルパトス島の西の沖)。副海域として、トラキア海やクレタ海がある。

エーゲ海諸島はドデカネス諸島キクラデス諸島スポラデス諸島、北エーゲ海諸島、クレタ島とその付属島嶼などに分類できる。エーゲ海南東のドデカネス諸島にはロドス島やコス島パトモス島、キクラデス諸島にはデロス島ナクソス島、北エーゲ諸島にはレスヴォス島などが含まれる。ギリシャの島で二番目に大きいエウボイア島もエーゲ海に所在するが、行政上は中央ギリシャ地方に所属する。ギリシャの12の地方のうち、9つがエーゲ海に面しているほか、東岸にはトルコエディルネ県チャナッカレ県バルケシル県イズミル県アイドゥン県ムーラ県がある。トルコ領の島としてはギョクチェアダ島(インブロス島)、ボズジャ島(テネドス島)、ジュンダ島(アリベイ島)、フォチャ諸島が挙げられる。

歴史的には古代ギリシア文明の時代から重要な海域で、沿岸部やエーゲ海諸島の各地から当時の遺跡が発見されている。エーゲ海が多島海であることが、域内やヨーロッパとアジアのあいだの人々の往来を容易にした。ギリシア人に加えて、北部にはトラキア人が定住していた。その後、ローマ人に征服されてローマ帝国の支配下に入り、のちビザンティン帝国領となった。ビザンティン帝国は第一次ブルガリア帝国の侵略は防いだが、第四回十字軍の結果弱体化し、最終的にオスマン帝国に滅ぼされた。1669年には、例外的にヴェネツィア共和国領に留まっていたクレタ島もオスマン帝国の前に陥落した。ギリシャ独立戦争後の1829年にギリシャが建国されて以降も、今日のトルコが成立するまでの500年にわたりオスマン帝国はエーゲ海地域に対する影響力を持ち続けた。

地質は主に石灰岩からなるが、時折この一帯を揺るがす火山活動によって一変することがある。とりわけ、サントリーニ島ミロス島の石灰岩は、その美しい色合いから人気が高い。沿岸の都市としては、ギリシャのアテネテッサロニキヴォロスカヴァライラクリオン、トルコのイズミルボドルムがある。

トルコとギリシャのあいだではエーゲ海における領海領空排他的経済水域飛行情報区の画定をめぐって争いがあり、1970年代以降、エーゲ海紛争として両国間の大きな係争案件となっている[2]

名称

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エーゲ海は以下の名称でも呼ばれる。

エーゲは古代ギリシャ語で波を意味した。エーゲ海は、ギリシャ語でアルキペラゴス(アルヒペラゴス、Αρχιπέλαγος / Arkhipélagos)とも呼ばれた。この言葉は「主要な海」( ἄρχι- / arkhi-「主要な」 と πέλαγος / pelagos「海」)を意味する。この語はのちに一般名詞化し「多島海」や「諸島・群島」を意味する「アーキペラゴ」(: archipelago)の由来となった。英語で語頭を大文字とし定冠詞を付した the Archipelago は、エーゲ海のことを指す。 the Archipelago に対して日本語で「多島海」という訳が宛てられることがあるが、上述の通りもともとの Αρχιπέλαγος 自体には「島が多い」という意味は含まれない。

神話によれば、テーセウスが生贄の一人としてクレータ島へ向かう際に無事脱出した場合には船に白い帆を掲げて帰還すると父王アイゲウスに約束していた。しかし約束を忘れて出航時の黒い帆のまま帰還したため、アイゲウスはテーセウスが死んだものと勘違いして絶望のあまり海へ身を投げて死んだ。この故事より彼の名に因んで「エーゲ海」(エポニムという)となったとされる。

地理

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範囲

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エーゲ海(表示はフランス語)

国際水路機関(IHO)は、地中海の下位に8つの海域を定義しており、エーゲ海はそのひとつである。国際水路機関の定義によれば、その境界は以下の各地点を結んだものである[3]

以下の各地点を結んだ線
ダーダネルス海峡
アナトリア半島の Kum Kale から、ガリポリ半島ヘレス岬英語版に至る線

エーゲ海の南ではその他の地中海(国際水路機関は名称を定義していない)と、ダーダネルス海峡ではマルマラ海と接する。

定義によっては、南西にイオニア海と、南東にレバント海と接するとされることもある。

下位の海域

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エーゲ海の一部を、以下のような「海」の名で呼ぶことがある。

このほか、以下のような湾がある。

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エーゲ海は大小合わせておよそ 2,500 の島々が浮かぶ多島海である。大半はギリシャに属しているが、ボズジャアダ(ボズジャ島、Bozcaada)とギョクチェアダ(ギョクチェ島、Gökçeada)についてはトルコ領となっている。

エーゲ海の島々はいくつかの諸島に分類される。北エーゲ諸島エヴィア島スポラデス諸島キクラデス諸島サロニカ諸島ドデカネス諸島それにクレタ島である。

エーゲ海沿岸はリアス式海岸が多く、天然の良港になっている。しかし、古代・中世にはエーゲ海の航海は決して安全なものではなかった。

歴史

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周辺はエーゲ文明の発祥地。

古代には、クレタ島ミノス文明ペロポネソス半島ミケーネ文明が誕生した。さらに時代を下ると、アテナイスパルタに代表される多くの都市国家により形成された古代ギリシャ文明が生じた。他にもペルシャローマ帝国東ローマ帝国ヴェネツィア共和国ヴェネツィア領クレタおよびナクソス公国を参照)、そしてオスマン帝国がエーゲ海周辺に国家を形成した。ヨーロッパアジアを結ぶ中継地として中世以降も繁栄した。

産業

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火山島が多く、大理石や鉄の産地でもある。クレタ島のような比較的面積の大きな島には肥沃な耕地が広がるが、多くの島は農業に適していない。しかし、地中海性気候のため、まばゆい太陽が輝く夏季には、太陽に恵まれない地域から多くの観光客が訪れる。

脚注

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出典

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  1. ^ Aegean Sea | Mediterranean Sea”. Encyclopedia Britannica. 28 May 2023時点のオリジナルよりアーカイブ14 June 2019閲覧。
  2. ^ The Greco -Turkish dispute over the Aegean Sea”. Indian Council of World Affairs (Government of India). 28 February 2024時点のオリジナルよりアーカイブ14 January 2024閲覧。
  3. ^ "Limits of Oceans and Seas, 3rd edition" (PDF) (英語). International Hydrographic Organization. 1953. p. 18. 2011年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)。2021年10月20日閲覧(h) Aegean Sea (The Archipelago).

関連項目

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