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アタ (ミイラ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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横から見たアタと呼ばれる胎児のミイラ

アタ (Ata) は、身長15センチメートルのヒト胎児ミイラに与えられた通称である[1][2]アタカマ・ヒューマノイド英語: Atacama humanoid)とも呼ばれる[3][4]。このミイラは2003年チリアタカマ砂漠のラ・ノリア(La Noria)と呼ばれた捨てられた鉱山町で発見され[5][6]、そこから「アタ」という略称が付けられた。このミイラはスペインにて個人所有となってきた[7]。このミイラをチリ北部で発見したオースカー・ムーニョース(Oscar Munoz)は後にそれを売りに出し、2013年現在の所有者はスペイン人の実業家ラモン・ナビア=オソリオスペイン語: Ramon Navia-Osorioである[8]

アタはその風変わりな姿からエイリアンのミイラではないかと一部から言われてきたが[9]、その全ゲノム分析を行なった結果、これは骨形成に関する7個の遺伝子で64の変異を持つ、ヒトの女性の胎児であることが分かった。

分析結果

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当初このミイラは古いものと思われていたが、どんなに古くとも40年前より先には遡らないと考えられ[2]、また科学的分析が可能なほどDNAがよく残っていることが分かった。このミイラは、異常な形状の頭蓋骨を持ち、本来ならば12対あるはずの肋骨が10対しかなく[7]尖頭症英語版の兆候がある[10]。前頭縫合が大きく開き手足の骨化が不完全であることから、解剖学者かつ古人類学者のウィリアム・ジャンジャー(英語: William Jungersは、これは早産されたヒトの胎児であり、生まれる前もしくは直後に死亡したと論じた。スタンフォード大学の遺伝学者ギャリー・ノーラン(英語: Garry P. Nolanは、予定日より早く流産をさせるような遺伝子異常の組み合わせがあったとの仮説を示し、放射線学者のラルフ・ラークマーン(英語: Ralph Lachmanは、単なる小人症だけではこの胎児に見られる全ての特徴を説明できないと指摘した[10]

ノーランのDNA解析により、このミイラは B2 mtDNA ハプログループに属することが分かった。ハプログループは遺伝的集団を同定するものであり、それは地球上の特定の地域と明確な関係を持つことがある。このミイラのミトコンドリアDNAに見つかった対立遺伝子と考え合わせると、アタは南アメリカ西部の原住民だと思われる[10]。UFO研究家のスティーブン・グリアは、アタは地球外生命体だとの推測を出していたが、それはミイラのDNA分析とは矛盾する[1][7][4]

2018年にノーランは追加調査の結果を発表し、この胎児には骨の成長に関する珍しい病気があり、小人症、脊柱変形、筋肉と骨の異常に関する遺伝子変異もあると明らかにした[11][12][13]。研究チームは骨形成に関する7個の遺伝子で[12][14]64の変異を同定し[15]、骨の形成に顕著に影響を与えるこれほど多くの遺伝子変異は、これまで報告されたことがないと述べた[13][15][16]

脚注

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  1. ^ a b Reichard, Cara (2013年5月20日). “Professor debunks theories of skeleton’s alien origins”. Stanford Daily. 2016年9月22日閲覧。
  2. ^ a b Origin of 'six-inch mummy' confirmed” (英語). BBC News (2018年3月22日). 2018年4月12日閲覧。
  3. ^ チリの15センチミイラは人間だった! 全ゲノム解析結果にUFO研究家は…”. 東スポ (2018年3月24日). 2021年1月29日閲覧。
  4. ^ a b Barrabi, Thomas (2013年5月1日). “Tiny ‘Alien’ Skeleton: Tests Reveal ‘Atacama Humanoid’ From ‘Sirius’ Documentary Has Human DNA”. International Business Times. 2021年1月29日閲覧。
  5. ^ 「エイリアンのミイラ」ついに正体が判明、チリ”. ナショナルジオグラフィック (2018年3月23日). 2018年4月12日閲覧。
  6. ^ Estrella de Iquique "Hallazgo en La Noria: ¿Feto O Extraterrestre?" (2003年10月19日)
  7. ^ a b c Stone, Richard (2013年5月3日). “Bizarre 6-Inch Skeleton Shown to Be Human”. Science Now. American Association for the Advancement of Science. 2013年5月7日閲覧。
  8. ^ Spiegel, Lee (2013年4月16日). “Steven Greer 'Sirius' Documentary To Unveil Pictures Of Alleged Tiny Space Alien (PHOTOS)”. Huffington Post. https://www.huffpost.com/entry/tiny-chile-alien-backgrou_n_3071767 
  9. ^ チリの謎の小型ミイラ、骨疾患の人間と判明 エイリアン説に終止符”. CNN (2018年3月23日). 2018年4月12日閲覧。
  10. ^ a b c Bryner, Jeanna (2013年4月29日). “Alien-Looking Skeleton Poses Medical Mystery”. Livescience. 2013年5月7日閲覧。
  11. ^ Strickland, Ashley. “Mystery of 'alien' skeleton solved”. CNN. 2018年4月12日閲覧。
  12. ^ a b Bhattacharya, Sanchita; Li, Jian; Sockell, Alexandra et al. (2018-03-22). “Whole-genome sequencing of Atacama skeleton shows novel mutations linked with dysplasia”. Genome Research. doi:10.1101/gr.223693.117. https://genome.cshlp.org/content/early/2018/03/21/gr.223693.117. 
  13. ^ a b Mindy Weisberger (2018年3月22日). “No, It's Not an Alien — Here's What That Tiny, Pointy-Headed Skeleton Really Is” (英語). Life Science. 2018年4月12日閲覧。
  14. ^ Warren, Matt (2018年3月22日). “This strange 'alie' skeleton is actually a human fetus with genetic bone defects” (英語). Science. 2018年4月12日閲覧。
  15. ^ a b Guarino, Ben. “A tiny skeleton found in Chile might look like an alien, but her genes tell a different story” (英語). chicagotribune.com. http://www.chicagotribune.com/news/nationworld/science/ct-chile-skeleton-human-not-alien-20180322-story.html 2018年3月22日閲覧。 
  16. ^ “Tiny Mummy's 'Alie' Appearance Finally Explained”. (2018年3月22日). https://news.nationalgeographic.com/2018/03/chile-mummy-ata-alien-dna/ 2018年3月22日閲覧。 

外部リンク

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