アドミラル・マカロフ (フリゲート艦)
アドミラル・マカロフ | |
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2018年 | |
基本情報 | |
建造所 | ヤンター造船所 |
運用者 | ロシア海軍 |
級名 | アドミラル・グリゴロヴィチ級 |
艦歴 | |
起工 | 2012年2月29日 |
進水 | 2015年9月2日 |
就役 | 2017年12月27日 |
要目 | |
基準排水量 | 3,620トン |
満載排水量 | 4,035トン |
全長 | 124.8m |
吃水 | 4.2m |
最大速力 | 30ノット |
航続距離 | 14ノットで4,850海里 |
アドミラル・マカロフ(ロシア語: Адмира́л Мака́ров)は、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦、アドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲートの3番艦。日露戦争でロシア太平洋艦隊司令長官を務めたマカロフ提督の名を持つ。母港はセヴァストポリ。
2012年2月よりカリーニングラードのヤンター造船所で製造され、2017年12月25日に就役した[1]。
艦歴
[編集]2018年7月にサンクトペテルブルクで開催されたロシア海軍のパレードに参加[2]。2018年8月18日にはバルト海から黒海に向けて出航し、8月21日にイギリス海峡を通過[3][4]、10月初旬にセヴァストポリの基地に到着した[5]。その処女航海中、航行の申請にて事前許可を得た航路を遺脱し、英ポーツマスから米フロリダ州に向けてやはり処女航海開始直後の英航空母艦・HMSクイーン・エリザベスにイギリス海峡で目視される距離にまで接近した[6][7][8]。11月5日、ロシア海軍の黒海艦隊の報道官はアドミラル・マカロフがセヴァストポリを離れ、ロシア海軍の地中海東岸グループに加わるとを発表した[9]。
2022年、アドミラル・グリゴロヴィチ、アドミラル・エッセンとともにウクライナ侵攻に参加した[10][11]。同年5月5日、ウクライナのR-360ネプチューン対艦巡航ミサイルによって損傷または沈没したという情報がウクライナメディアから報じられたが[12]、のちに否定されている(後述)。
なお、ミサイル巡洋艦モスクワを喪失したロシアの黒海艦隊の新しい旗艦にはアドミラル・マカロフが就役したとみられている[13]。
火災の報道
[編集]2022年5月6日、黒海でアドミラル・マカロフが火災を起こしたと報道されたが、一部では撃沈したとしている[14]。複数のメディアによって、オデーサのニュースサイト「ドゥムスカヤ」(Dumskaya, Думская)が、ウクライナ軍のネプチューン対艦ミサイルで同艦が攻撃され、ロシア軍が船の乗組員を救助するためにヘリコプターを送ったと主張していると報じていた[14][15][16]。
しかしウクライナ大統領府のオレクシー・アレストビッチ顧問は、「ウクライナ軍によって同艦が撃破されたのか否かの信頼できる情報が今のところない」と述べており[14]、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官も「我々はそのような情報は持ち合わせていない」としている[16][17]。5月9日にはアドミラル・マカロフが海上を航行している姿が目撃されている[18]。
その後の黒海での行動
[編集]同年10月29日、セヴァストポリ沖を掃海艇と共に航行中、USV(無人艇)9機から攻撃を受けた。艦載ヘリコプターや主砲などを用いてこれを迎撃した[19]。この戦闘での損害は不明。
2023年9月15日に、アドミラル マカロフが前後をタグボートで曳航されている衛星写真がTelegramに掲載されており、現時点では自力航海が不能とみられる[20]。
脚注
[編集]- ^ “Фрегат "Адмирал Макаров" передали заказчику” (ロシア語). TASS (25 December 2017). 2022年5月6日閲覧。
- ^ Savelov, Alexey (7 July 2018). “«Адмирал Макаров» прибыл в Кронштадт для участия в Главном военно-морском параде” (ロシア語). Zvezda TV. 2022年5月6日閲覧。
- ^ “Фрегат "Адмирал Макаров" отправился к месту базирования на Черноморский флот” (ロシア語). TASS (18 August 2018). 2022年5月6日閲覧。
- ^ “Ракетный фрегат "Адмирал Макаров" прошел Ла-Манш под присмотром британского тральщика” (ロシア語). Interfax (21 August 2018). 2022年5月6日閲覧。
- ^ “Russia’s cutting-edge frigate arrives in Sevastopol” (英語). TASS (5 October 2018). 2022年5月6日閲覧。
- ^ Smithsonian Channel. “A Russian Warship Causes Concern on the HMS Queen Elizabeth” (英語). YouTube. 2021年1月13日閲覧。
- ^ “HMS Queen Elizabeth sets off for F-35B fighter jet trials” (英語). Royal Navy (18 August 2018). 2021年1月13日閲覧。
- ^ Terrill, Chris (2022年2月16日). “Why Russia is so worried about Britain's £3bn warship” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235 2022年5月13日閲覧。
- ^ “Russia sends new frigate with cruise missiles onboard to Mediterranean” (英語). Reuters (5 November 2018). 2022年5月6日閲覧。
- ^ Axe, David (2 May 2022). “The Russians Are Losing The Naval War Off Ukraine—To An Enemy With No Warships” (英語). Forbes. オリジナルの5 May 2022時点におけるアーカイブ。 5 May 2022閲覧。
- ^ Grylls, George (4 April 2022). “Russian ships bombard Odesa with cruise missiles” (英語). The Times. オリジナルの4 April 2022時点におけるアーカイブ。 5 May 2022閲覧。
- ^ Axe, David (6 May 2022). “The Russian Frigate ‘Admiral Makarov’ Might Be The Juiciest Target In The Black Sea” (英語). Forbes. オリジナルの6 May 2022時点におけるアーカイブ。 6 May 2022閲覧。
- ^ “Admiral Makarov to assume the new flagship of Russian Black Sea fleet” (英語). Naval News (2022年5月19日). 2022年5月19日閲覧。
- ^ a b c "Russian Navy warship Admiral Makarov reportedly sunk by Ukrainian missiles" (英語). EuroWeekly, 6 May 2022.
- ^ “Russian frigate hit by missile in Black Sea - Ukrainian report” (英語). BBC News. 2022年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月7日閲覧。
- ^ a b “ロシア軍艦にミサイル命中か、黒海上で火災 ロシア側は「情報ない」”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞 (2022年5月6日). 2022年5月7日閲覧。
- ^ "Russian warship Admiral Makarov ‘on fire after being hit by Ukrainian missile’" (英語). UK Independent, 6 May 2022.
- ^ Axe, David (9 May 2022). “A Journalist Just Spotted Russia’s ‘Admiral Makarov’ Frigate, Intact And At Sea”. Forbes. 2022年5月26日閲覧。
- ^ “巨大空母やイージス艦はもうオワコン!? 小型無人艇・USVが巻き起こす"海戦パラダイムシフト"とは? - 政治・国際 - ニュース”. 週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト] (2022年11月25日). 2023年9月7日閲覧。
- ^ "‘Towing the frigate "Admiral Makarov" in the harbor of Sevastopol’" (ロシア語). Telegram, 16 Sept 2023.
関連項目
[編集]アドミラル・マカロフ(装甲巡洋艦):ロシア帝国海軍時代1906年進水の装甲巡洋艦