アー・ユー・エクスペリエンスト?
『アー・ユー・エクスペリエンスト?』 | ||||
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ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1966年-1967年 ロンドン | |||
ジャンル |
ロック サイケデリック・ロック ブルースロック ハードロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
オリジナル盤 トラック リプリーズ リイシュー盤 エクスペリエンス・ヘンドリックス MCA(初盤) レガシー/コロムビア(再発) | |||
プロデュース | チャス・チャンドラー | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス アルバム 年表 | ||||
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アー・ユー・エクスペリエンスト?(Are You Experienced)は、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが1967年に発表したデビュー・アルバム。
『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌では、2003年の大規模なアンケート「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」と「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」に於いて、それぞれ15位(前者は2020年版の改定で30位)。
解説
[編集]イギリスで発売されたオリジナル盤は、既発のシングル3曲(「ヘイ・ジョー」「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」「ザ・ウィンド・クライズ・メアリー(風の中のメアリー)」は含まず、全て新曲で構成された。ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスはデビューシングル「ヘイ・ジョー」が全英4位のヒットとなり、本作発売日の5日前にロンドンでヘッドライナーとしての初公演を行うなど[1]、イギリス(およびヨーロッパ圏)での人気を確立しつつあった。
本作は、全英2位の大ヒットとなるが、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に阻まれ、1位獲得はならなかった。
ギターのフィードバック奏法で始まる「フォクシー・レディ」、テープの逆回転を取り入れた「アー・ユー・エクスペリエンスト?」等、当時としては最先端の音作りを駆使しているが、その一方で、伝統的な12小節形式のブルース・ソング「レッド・ハウス」もある。
オリジナル盤(アナログLP)はモノラル盤とステレオ盤が作られたが、CDではほとんどの楽曲がステレオで収録されている。
収録曲の変遷
[編集]1967年6月18日、モンタレー・ポップ・フェスティバルでの伝説的なパフォーマンスにより、ヘンドリックスは母国アメリカでも名声を高める。それを受けて、8月には本作がアメリカでも発売されるが、ジャケットや収録曲はオリジナル版と異なっていた(オリジナル盤から3曲を外し、シングルA面の3曲を追加した内容)。カナダ版もアメリカ版と同様の仕様だった。
1993年に本作がCD用としてリマスターされた際、シングルA面・B面の6曲(後述)が、オリジナル盤11曲の前に位置する曲順で追加された。(この版の日本発売は無し)
1997年にエクスペリエンス・ヘンドリックス(ヘンドリックスの遺族や関係者による財団)が監修したリマスターCD以降は、オリジナル版11曲の後にシングル曲6曲を収録するインターナショナル版と、北米発売向けにアメリカ版収録曲の後にシングル・カップリング曲とアメリカ版LP未収録曲が収録された2種類の形に統一されている。
2010年のソニー/レガシー・リイシューではインターナショナル版収録の「Red House(モノ・ミックス)」が、ヴィニール盤起しからアルバム「Blues」収録のマスターテープ版に差し替えられた。
収録曲
[編集]オリジナル盤は全曲ジミ・ヘンドリックスが作詞と作曲を行った。シングルA面曲「ヘイ・ジョー」のみビリー・ロバーツ作。
オリジナル盤
[編集]A面
- フォクシー・レディ - Foxy Lady
- マニック・デプレッション - Manic Depression
- レッド・ハウス - Red House
- キャン・ユー・シー・ミー? - Can You See Me
- ラヴ・オア・コンフュージョン - Love Or Confusion
- 今日を生きられない - I Don't Live Today
B面
- メイ・ディス・ビー・ラヴ - May This Be Love
- ファイア - Fire
- サード・ストーン・フロム・ザ・サン - Third Stone From the Sun
- リメンバー - Remember
- アー・ユー・エクスペリエンスト? - Are You Experienced?
アメリカ・カナダ盤
[編集]A面
- Purple Haze
- Manic Depression
- Hey Joe (Billy Roberts)
- Love Or Confusion
- May This Be Love
- I Don't Live Today
B面
ボーナス・トラック
[編集]- ヘイ・ジョー - Hey Joe(デビューシングルA面)
- ストーン・フリー - Stone Free(デビューシングルB面)
- 紫のけむり - Purple Haze(2ndシングルA面)
- 第51回記念祭 - 51st Anniversary(2ndシングルB面)
- 風の中のメアリー - The Wind Cries Mary(3rdシングルA面)
- ハイウェイ・チャイル - Highway Chile(3rdシングルB面)
DVD
[編集]- 紫のけむり
- メイ・ディス・ビー・ラヴ
- 風の中のメアリー
- アー・ユー・エクスペリエンスト?
参加ミュージシャン
[編集]収録曲の主なカヴァー例
[編集]- ポール・ロジャースのライブ・アルバム『シングズ・ジミ・ヘンドリックス・ライヴ』(1993年)に、「フォクシー・レディ」「マニック・デプレッション」、「ストーン・フリー」「紫のけむり」のカヴァー収録。
- 「フォクシー・レディ」は、ギル・エヴァンス『プレイズ・ジミ・ヘンドリックス』(1974年)、ザ・キュアー『スリー・イマジナリー・ボーイズ』(1979年)等にカヴァー収録。また、ミック・ジャガーもソロ・ライブで採り上げている。ZZトップも、DVD『ライヴ・フロム・テキサス』にて採り上げており、2009年にマディソン・スクエア・ガーデンにて行われた、「ロックの殿堂 25周年アニバーサリーコンサート」では、メンバーのビリー・ギボンズとジェフ・ベックによるセッションを披露。
- 「マニック・デプレッション」は、イングヴェイ・マルムスティーンのカヴァー・アルバム『インスピレーション』(1996年)等で取り上げられた(ボーカルもイングヴェイ自身が担当)。
- 「レッド・ハウス」は、アルバート・キング『レッド・ハウス』(1991年)、矢野沙織『SAKURA STAMP』(2005年)等で取り上げられた。
- 「ファイア」は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『母乳』(1989年)等で採り上げられた。また、ウッドストック 1999のアンコールでも歌っている。
- 「アー・ユー・エクスペリエンスト?」は、ディーヴォ『シャウト』(表記は「A U Experienced?」)(1984年)、パティ・スミス『トゥウェルヴ』(2007年)等で取り上げられた。ディーヴォの同曲のPVでは、ライヴステージ上に置かれた棺から出てきたジミ・ヘンドリクスに酷似した人物がギターを演奏する(歯で弾くなど)して棺に戻っていくシーンが存在する。
- HISは、「紫のけむり」を「パープル・ヘイズ音頭」としてカヴァーした。
その他
[編集]- 「紫のけむり」はAppleのPower Mac G4 CubeのテレビCMで使用されたほか、多数の使用例がある。
- 「アー・ユー・エクスペリエンスト?」はマイクロソフトのWindows XPのテレビCMで使用された。
- 2002年、「キャン・ユー・シー・ミー?」が日本のテレビ番組『堂本剛の正直しんどい』(テレビ朝日系)のオープニングテーマに起用された[2]。
脚注
[編集]- ^ 『KAWADE夢ムック 文藝別冊[総特集]ジミ・ヘンドリックス』(河出書房新社、2004年 ISBN 4-309-97686-7)p.179
- ^ CDjournal.com-リサーチ