イヌノフグリ
イヌノフグリ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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Veronica polita var. lilacina
(2010年4月3日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
標準: Veronica polita Fr. var. lilacina (T.Yamaz.) T.Yamaz. (1983)[1]
広義: Veronica polita Fr. (1817)[2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Grey Field-speedwell |
イヌノフグリ(犬の陰嚢、学名: Veronica polita var. lilacina)は、オオバコ科[注 1]クワガタソウ属の越年草。
和名の由来は、果実の形状が雄犬の「フグリ」、つまり陰嚢に見立てたことから名付けられている[7]。江戸時代の『草木図説』にイヌノフグリの図の記載がある[7][8]。別名でヒョウタングサともよばれ、語源は果実の形を瓢箪にみたてて名付けられたものである[7]。
形態・生態
[編集]越年草。茎は這って先だけが立ち、長さ7 - 15センチメートル (cm) になる[7][9]。茎にはごく短い毛が生える[7]。
葉は短い柄がついてほとんどが互生し[7]、卵円形[10][11]。葉縁には2 - 3対の鋸歯ついて短毛が生え、葉の上面はほぼ無毛である[7]。
花期は3 - 5月。葉の腋に、1個ずつ淡いピンク色をした3 - 5ミリメートル (mm) の花をつける[7]。花柄は葉とほぼ同じ長さ[7]。花冠には紅紫色のスジが入り、深く4裂して平らに開く[7]。雄蕊は2本、雌蕊は1本で、花の中央に立つ[7]。萼は長さ3 - 4 mmで、花後も残って果実を抱く[7]。
果実は、2個の球が接した形で両面が膨れ、全体に細かい軟毛が生える[7]。果実の中には10個前後の種子が入り、種子の長さは1.5 mmほどである[7]。
分布
[編集]東アジアの亜熱帯から暖帯に広く分布する[7]。日本では本州中部以南に見られる在来種であり、かつては路傍や畑の畦道などで普通に見られた雑草であった[7]。しかし、近年は近縁種の帰化植物であるオオイヌノフグリ(Veronica persica)やフラサバソウ(Veronica hederifolia)にその生育地を奪われ、その数を大幅に減らしている[7]。
保全状況評価
[編集]環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)に指定されている。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではオオバコ科(Plantaginaceae)に分類されるが、古いクロンキスト体系や新エングラー体系ではゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)に分類される[1]。
出典
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica polita Fr. var. lilacina (T.Yamaz.) T.Yamaz. イヌノフグリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica polita Fr. イヌノフグリ(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica polita Fr. subsp. lilacina (T.Yamaz.) T.Yamaz. イヌノフグリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica caninotesticulata Makino, nom. nud. イヌノフグリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica didyma Ten. var. lilacina T.Yamaz. イヌノフグリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica didyma auct. non Ten. イヌノフグリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 長田武正 1976, p. 111.
- ^ 飯沼慾斎. “『草木図説』前編 巻一”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 2023年4月7日閲覧。
- ^ 『野草見分けのポイント図鑑』 27頁。
- ^ 『野に咲く花』 480頁。
- ^ 『野草見分けのポイント図鑑』 26頁。
- ^ 環境省自然環境局生物多様性センター. “絶滅危惧種情報”. 生物多様性情報システム. 2014年4月10日閲覧。
参考文献
[編集]- 長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。
- 『野草見分けのポイント図鑑』林弥栄総監修、講談社、2003年、26-27頁。ISBN 4-06-211599-9。
- 平野隆久写真『野に咲く花:写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、480-481頁。ISBN 978-4-635-07019-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Veronica polita Fr". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2014年4月10日閲覧。
- "Veronica polita Fr" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2014年4月10日閲覧。
- "Veronica polita". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Veronica polita" - Encyclopedia of Life
- 波田善夫. “イヌノフグリ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2014年4月10日閲覧。
- 福原達人. “オオイヌノフグリと類似種”. 植物形態学. 福岡教育大学教育学部. 2014年4月10日閲覧。