コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ウィリアム・テル序曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウイリアムテル序曲から転送)

ウィリアム・テル序曲: Ouverture de Guillaume Tell, : Guglielmo Tell Introduzione, : William Tell Overture)は、1829年ジョアキーノ・ロッシーニが作曲したオペラギヨーム・テル(ウィリアム・テル)』のための序曲。日本でも広く知られるクラシック音楽作品の1つであり、中でも第4部の「スイス軍隊の行進」が特に有名である。

概要

[編集]
オペラ「ウィリアム・テル」の楽譜

フリードリヒ・フォン・シラー1804年に書いた戯曲『ヴィルヘルム・テル』(: Wilhelm Tell)を元に、1829年にロッシーニがオペラ『ギヨーム・テル』(: Guillaume Tell)を作曲した。その序曲が日本で一般に『ウィリアム・テル』序曲と呼ばれている。特に第4部はコンサートやレコーディングの際の演奏曲目としてよく取り上げられているほか、ラジオやテレビなどさまざまな場面で使用されている。映画『時計じかけのオレンジ』や『大英雄』では、序曲の一部が重要な場面で使われている。

ショスタコーヴィチ交響曲第15番の第1楽章に引用したり、ヨハン・シュトラウス1世がアレンジして『ヴィルヘルム・テル・ギャロップ』(作品29b)として発表したりと、以後の多くの楽曲にも形を変えて登場している。

構成

[編集]

ロッシーニは『セビリアの理髪師』に見られるように、オペラの序曲については、それまでに作曲した他の作品から転用したりすることも決して少なくなかった。しかし、この曲は新しく作っただけではなく、ソナタ形式を使わずに4つの部分が続けて演奏されるという独創的な構成を与えている。

第1部 アンダンテ(夜明け)
ホ短調チェロコントラバスティンパニだけで演奏される序奏。チェロには5人の独奏が指定されている。
第2部 アレグロ(嵐)
ホ短調。ここからトゥッティ(全合奏)となり、強風から暴風雨に至る様子が描写される。
第3部 アンダンテ(静寂)
ト長調。嵐の後の静けさのなかからコーラングレフルートによる牧童の笛が聞こえてくる。「静けさ」や「牧歌」とも呼ばれる。
第4部 アレグロ・ヴィヴァーチェ(スイス軍隊の行進)
ホ長調トランペットホルン、ティンパニによるファンファーレに導かれてギャロップ調の行進曲が始まる。曲は繰り返しを経て次第に高揚し、盛大なクライマックスで締めくくられる。「終曲」や「スイス独立軍の行進」、「スイス軍の行進」とも呼ばれる。アメリカのテレビドラマ『ローン・レンジャー』のオープニング・テーマとしても知られ、日本では運動会の定番曲やフジテレビバラエティ番組オレたちひょうきん族』のオープニングテーマ曲として有名。また、2000年代中期あたりまでは阪神甲子園球場において阪神の相手チームの選手がホームランを打った時のファンファーレとしても有名であった(現在は異なるファンファーレが使用されている)。

ピアノ編曲版

[編集]

ピアノの魔術師と呼ばれた作曲家フランツ・リストは、この曲をピアノ独奏用に編曲している(S. 552[1]。原曲に忠実な編曲であるため難易度も高く、高度な技術が要求される。リストのピアノ曲全曲を録音したピアニストのレスリー・ハワードがこの編曲版を録音している。

「リストの再来」と呼ばれたピアニストのジョルジュ・シフラも『ウィリアム・テル幻想曲』としてピアノ独奏用に編曲しているが、リスト編曲よりもさらに難易度が高く、素早く大きな跳躍などのパッセージが含まれており、正確に演奏するのも至難の業である。

楽曲の使用

[編集]

この楽曲の『スイス軍隊の行進』は現在でも多くの作品で引用される有名な部分である。

映画

[編集]

テレビ

[編集]

アニメ

[編集]
  • タイムボカンシリーズヤッターマン - ヤッターキングによるゾロメカ(ビックリドッキリメカ)を出動する際のファンファーレにも使用されている(ヤッターキングの胸部分にある巨大樽から、犬型ミニオーケストラが飛び出して演奏する)。また、この曲が初使用された回はウィリアム・テルをモチーフにした話(第46話「アイアムテルは勇者だコロン」)だった。またヤッタードジラやヤッターパンダがゾロメカを発信する際には、短縮版のファンファーレが使用。更に後番組『ゼンダマン』第21話では、ゼンダライオンが敵の罠にかかってファンファーレメカ(ライオンの胴体に居る。ファンファーレは別曲)が全滅状態だったため、ゼンダマン1号&2号がこの曲を口三味線で歌って、ファンファーレ代わりとした。
  • おそ松くん - 1988年から1989年に放送された第2作で、番組用にアレンジされたものがBGMとして使用されていた。
  • おれは直角 - 照正がそりを引いて出現するときのシーンで、番組用にアレンジされたものがBGMとして使用されていた。
  • 丸出だめ夫 - 柔道大会で金持との決戦でだめ夫が着ていた柔道スーツの制御が出来なくなって観客全員が逃げ回るオチのシーンで、番組用にアレンジされたものがBGMとして使用されていた。
  • みりたり! - 第3話において、対コタⅡ決戦兵器・コタⅡ改が登場したシーンでBGMとして使用されていた。

ゲーム

[編集]

その他

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ Hamilton, Kenneth (2005). The Cambridge Companion to Liszt. Cambridge University Press, p. 82. ISBN 0-521-62204-2
  2. ^ Studwell, William Emmett (1997). The Americana Song Reader. Routledge, pp. 90–91. ISBN 0-7890-0150-0

外部リンク

[編集]