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キャンデリラソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カンデリラソウから転送)
キャンデリラソウ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 維管束植物 Tracheophyta
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: キントラノオ目 Malpighiales
: トウダイグサ科 Euphorbiaceae
: トウダイグサ属 Euphorbia
: キャンデリラソウ E. antisyphilitica
学名
Euphorbia antisyphilitica Zucc.
シノニム
  • Euphorbia cerifera Alcocer[1]
和名
キャンデリラソウ、カンデリラソウ
(キャンデリラ草、カンデリラ草)
英名
Candelilla[注釈 1], Wax spurge[2][注釈 2]

キャンデリラソウ( -草)またはカンデリラソウ( -草) Euphorbia antisyphilitica Zucc. ユーフォルビア・アンティシフィリティカ[4]。 は、トウダイグサ科トウダイグサ属の植物である[5]。原産は、アメリカ合衆国テキサストランス・ペコス[6]、南部ニューメキシコ、および、メキシコ北部[5]チワワ州コアウイラ州イダルゴ州ケレタロ州である[1]。標準英名としては、candelilla[注釈 1]wax plant があるが、後者は系統的に関係のないサクララン(ホヤ)属の構成種に宛てられることのほうが多い。灌木性で、蒸散を防ぐためにに覆われ、本質的にがなく密に叢生する直立性の茎を持つ[7]

特徴

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キャンデリラソウ E. antisyphilitica は叢生する杖状の半多肉性の顕花植物である。地下茎から3フィートの高さに立ち上がる細い鉛筆状の茎の束を形成する[2]。花は小さく中央は桃色がかり、外周へ離れるにつれてクリーム色になっていく[2]。茎は高品質の蝋で覆われており、茹でて抽出され、蝋燭や石鹸、軟膏、床磨き剤、耐水剤その他の用途に用いられてきた[2]

チワワ砂漠の植生を代表する固有種で、排水性の良い浅い土壌をもつ地域で支配的な灌木である[8]

利用

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キャンデリラソウ E. antisyphilitica の白い樹液は、メキシコでは歴史的に性感染症の治療に用いられた[5][注釈 3]が、樹液には皮膚に対する刺激性がある[2]キャンデリラ蝋の商業的収穫は20世紀の初頭に始まり、第一次および第二次世界大戦中における需要の大幅な拡大を伴った[5]。第二次世界大戦の終結後、キャンデリラ草は過剰採集により[2] 個体数が減少しており、なおかつ、より安価な石油ベースの蝋が入手可能になったため、この産業は大部分が消失した[5][7]。しかしその後、主に化粧品および食品産業でキャンデリラ蝋の新しい用途が見出され、依然としてメキシコ北部で生産され、他の国に輸出されている[5]キャンデリラソウ E. antisyphilitica は、その蝋の派生品における多大な国際的取引を考慮し、ワシントン条約(CITES)附属書II[9]脆弱(危急)[1] の適用を受けている。ただし本種に関しては、

  • 試験管で得られた実生か組織培養体で、固体あるいは液体の培養基中にあり、無菌状態のコンテナで輸出入されるもの
  • 人工的に繁殖させた植物の切り花
  • 完成品を包装し、小売りできるようにしたもの

以上の条件を満たす場合であれば、ワシントン条約の条項の対象とならない[9]

栽培

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キャンデリラソウは、乾燥したアメリカ合衆国南西部の一部で景観植物として人気が高まっている。以下の理由で人気がある[10]

  • 一度根付くと、フェニックスやツーソンなどの都市でも降雨以外の水をほとんど必要とせず、中央分離帯の植栽に適している。
  • 反射光のある場所でも生きられる。
  • 排水性の良い土壌で最もよく育つが、粘土性土壌や石灰土壌にも耐えられる。
  • 一般的には蝶の来る植物と考えられていないが蝶が訪れる。
  • 華氏15度(摂氏約-9度)までの耐寒性がある。
  • 顕著な害虫が見られない。
  • コンテナで栽培できる。

脚注

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注釈

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  1. ^ a b “Candelilla”とは「小蝋燭」の意味である[2](ラテン語またはスペイン語で「蝋燭」を意味する candela カンデラ指小形)。また candelilla の採集販売者のことを、現地ではスペイン語で candelillero カンデリイェーロ と呼ぶ[3](“カンデリリェーロ”とも読めるがここではイェイスモで表記)。
  2. ^ “Wax”は蝋、“Spurge”はトウダイグサ(トウダイグサ属の総称、園芸分野では特に多肉性のものを指す)のことである。cf. Spurge
  3. ^ 種小名 antisyphilitica はこれにちなんでおり[2]、「抗梅毒性のある」の意味である。i.e. anti- 反する + syphili- (syphilis) 梅毒 + -tica 英語の -tic にあたるラテン語の接尾辞 -ticus女性形。

出典

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  1. ^ a b c "Euphorbia antisyphilitica Zucc". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2010年10月14日閲覧
  2. ^ a b c d e f g h Wax Spurge or Candelilla” (pdf). ARIZONA-SONORA DESERT MUSEUM. PLANT CARE INFORMATION (n.d.). 2021年8月6日閲覧。
  3. ^ Wax Camps Main”. TEXAS BEYOND HISTORY. Wax Camps. Texas Archeological Research Laboratory at the University of Texas at Austin, Department of Anthropology at Texas State University, et al. (2004年4月20日). 2021年8月8日閲覧。
  4. ^ 湯浅, 浩史多肉植物」『世界大百科事典』(第2版)平凡社、2000年https://kotobank.jp/word/ユーフォルビア・アンティシフィリティカ-1431873 
  5. ^ a b c d e f キャンデリラロウとは…成分効果と毒性を解説”. 化粧品成分オンライン. 化粧品成分ジャーナル (2019年2月24日). 2021年8月6日閲覧。
  6. ^ Euphorbia antisyphilitica Zucc.”. Native Plant Database. Lady Bird Johnson Wildflower Center. 2010年10月14日閲覧。
  7. ^ a b Turner, Matt Warnock (2009). Remarkable Plants of Texas. University of Texas Press. pp. 125–127. ISBN 978-0-292-71851-7. https://books.google.com/books?id=pIXpf4RRA1IC 
  8. ^ "Chihuahuan desert". Terrestrial Ecoregions. World Wildlife Fund. 2010年10月22日閲覧
  9. ^ a b Appendices (CITES). 2021年8月6日閲覧。
  10. ^ Soule, Jacqueline A. 2013. Success With Succulents. Tierra del Sol Press

外部リンク

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