コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

カントリーハム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カントリー・ハムから転送)
熟成中のカントリーハム

カントリーハム: Country ham)は塩蔵および燻製によって製造されるハムの一種[1]ノースカロライナ州サウスカロライナ州テネシー州バージニア州ジョージア州ケンタッキー州メリーランド州ほか近隣州で生産される[1]

バージニアハム(より正確にはスミスフィールド・ハム英語版)はバージニア州で生産されるカントリーハムである[2]。「バージニアスタイル」とは生産地ではなく、塩蔵方法を指している[3]

製造方法

[編集]

カントリーハムは亜硝酸塩の有無にかかわらず1~3ヶ月間塩蔵される。一般的にヒッコリーレッドオークなどの堅木によって燻製されるが、ノースカロライナ州の「ソルト・アンド・ペッパーハム」のように、燻製されないものも存在する。燻製後、数ヶ月から3年ほど熟成する。熟成の期間は肉に含まれる脂肪の量によって変化する[4]。カントリーハムはすぐに食せる状態ではないが保存には適している。店舗では、一般的に骨付きのまま冷蔵されず、刻印のついた布袋に入れた状態で販売される。また、あらかじめスライスされ、真空包装されたものも販売されている。

調理方法

[編集]
丸焼にしたカントリーハム

カントリーハムには、スライスしてフライパンで炒める、丸焼きにする、水を何度か変えながら数時間ゆでる、といった調理方法がある。丸ごとのハムを食するには、表面の塩分やカビなどを取り除くために数時間にわたって水につけたり、表面をこすり洗いしたりする必要があるが、そのようにしてもなお非常に塩辛い。カントリーハムの魅力はこの塩辛さにあるとする人たちもいる。カントリーハムは表面を削る、こすり洗いをするなどしてはがし、スライスして炒めたものをそのまま食することもある。また、表面を残したまま炒めることもある。伝統的には、ハムの両面に軽く焼き色がつく程度に少しだけ炒める方法もある。片面30秒程度しか焼かない、ということも珍しくない[要出典]

炒めたカントリーハムは、大腿骨の断面を残したまま全体をスライスしたものが、前菜として提供されることも多い。ハムを炒めた後に残った肉汁でレッド・アイ・グレービーが作られることも多く、その場合水、またはコーヒーをフライパンに追加して調理する。一般的にハムステーキは3/8インチの厚さにスライスされる。

炒めた、またはゆでたカントリーハムは薄切りにされ、バターミルクビスケット(または類似のビスケット)やbeaten biscuit、イーストロールと共に、時には溶かしバターとブラウンシュガーのソースを添えて供される。カントリーハムの生産地域では、教会の夕食や結婚式のレセプションで「ハムビスケット」(いわゆるビスケットまたはロールパン)がよく見受けられる。

切れ端や調理された骨、切り落とされた踵の部分は、野菜や豆果を調理する際に味付けとして使用される。

カントリーハムはイタリアの非加熱のプロシュットプロシュット・クルード)に似ているが、プロシュットは燻製にせず、一般的にはカントリーハムよりも水分を含んでいる。また、プロッシュットは伝統的なカントリーハム「ステーキ」やサンドイッチ用のスライスよりもかなり薄くスライスされる。

米国では金華ハムUSDAの輸入規制によって入手できないため、それを使用するレシピではカントリーハムが代替としてよく利用される。

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b Nosowitz, Dan (December 24, 2016). “Check Out These Sick Hams From Around The World”. Modern Farmer. May 22, 2017閲覧。
  2. ^ USDA Labeling Policy Book, p. 63
  3. ^ Country Ham Recipe Archived 2010-07-19 at the Wayback Machine. at 123recipes.com
  4. ^ Kaminsky, Peter. (2005). Pig Perfect: Encounters with Remarkable Swine and Some Great Ways to Cook Them. Hyperion. 304 p. ISBN 1-4013-0036-7

参考文献

[編集]
  • Megan E. Edwards. "Virginia Ham: The Local and Global of Colonial Foodways". Food and Foodways 19 (Jan. 2011). pp. 56-73.