モサプリド
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
| |
データベースID | |
CAS番号 | 112885-41-3 |
PubChem | CID: 119584 |
KEGG | D08236 |
別名 | Mosapride |
化学的データ | |
化学式 | C21H25ClFN3O3 |
分子量 | 421.893 g/mol |
モサプリド (Mosapride) は、胃腸薬のひとつで、胃腸管神経に働いて胃腸の運動を活発にし、吐き気、嘔吐、食欲不振、膨満感、胸やけなどの症状を改善する。商品名ガスモチンで大日本製薬より1998年に発売され、現在では後発医薬品も複数発売されている[1]。消化管機能改善薬のひとつ。ごく一般的に処方される胃腸薬[2]。
作用機序
[編集]胃や十二指腸に存在するセロトニン5-HT4受容体を刺激して[3]、アセチルコリンの遊離を増大させ、アセチルコリンの作用により消化管運動促進作用および胃排出促進作用を示す。
開発
[編集]下に、ガスモチンのインタビューフォームから引用する。
1986 年にドパミン D2 受容体遮断作用がなく、消化管運動促進作用を示す化合物として
モサプリドクエン 酸塩水和物を見出すに至った。 1988 年より臨床試験を開始し、 「慢性
胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)」に対する有効性、 安全性が確認され、
1998 年 6 月に製造販売承認を取得、1998 年 10 月より販売を開始した。
ガスモチンという商品名は、Gastric Motility(胃の運動)が、由来である。
適用
[編集]- 慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心、嘔吐)
- 経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助
種類
[編集]- 錠剤:2.5mg、5mg
- 散剤:1%
有効性
[編集]機能性胃腸症を対象とするため、症状があるが内視鏡検査にて病変のない618人をモサプリドか胃粘膜保護薬テプレノンに割り当てたランダム化比較試験で、モサプリドでは91%が症状が良くなったと効果を認め、これに対しテプレノンでは52%であった[4]。
一般的注意・副作用
[編集]副作用は少ないが、人によっては、腹痛や下痢があらわれることがある。きわめてまれだが、重い副作用として肝機能障害の報告がある。高齢者へは慎重に投与。妊婦へは、投与しない。
関連項目
[編集]- トリメブチン(セレキノン)
脚注
[編集]- ^ エーザイが2006年4月に、ASEAN諸国を中心としたアジア10カ国を対象とした開発、製造、販売の権利を取得するライセンス契約を大日本住友製薬と締結した。
- ^ 消化管運動調整薬◇第3回調査:モサプリドが首位キープもシェア落とす、第2位はメトクロプラミド、第3位はドンペリドン、日経メディカル、2018年。
- ^ Kato S, Morie T, Yoshida N. Synthesis and biological activities of metabolites of mosapride, a new gastroprokinetic agent. Chemical and Pharmaceutical Bulletin (Tokyo). 1995 Apr;43(4):699-702.
- ^ Hongo M, Harasawa S, Mine T, Sasaki I, Matsueda K, Kusano M, Hanyu N, Nakada K, Shibata C (2012-1). “Large-scale randomized clinical study on functional dyspepsia treatment with mosapride or teprenone: Japan Mosapride Mega-Study (JMMS)”. J Gastroenterol Hepatol 27 (1): 62–8. doi:10.1111/j.1440-1746.2011.06949.x. PMID 22004457.