コララインとボタンの魔女
表示
(コララインから転送)
『コララインとボタンの魔女』(コララインとボタンのまじょ、Coraline)は、2002年出版のニール・ゲイマンの児童文学作品。ヒューゴー賞受賞。
日本では2003年に角川書店より刊行され(訳:金原瑞人、中村浩美)、2010年に文庫化。2009年に3Dストップ・モーション・アニメとして映画化。同年5月にはミュージカル化されオフ・ブロードウェイで公演された。
あらすじ
[編集]ピンクパレスアパートに引っ越してきた少女コラライン。しかし、両親は多忙な仕事で、構ってもらえず、友人も出来ない退屈で孤独な日々を送っていた。そんなある日コララインは、壁に封印された小さなドアを見つけた。ドアを開けて中に入ると、そこは目がボタンの"別の両親"が住むどんな願いも叶う夢の世界だった。コララインは、この世界をすっかり気に入るが、この世界で暮らすには、目をボタンにしなければならないのだった。
登場人物
[編集]- コラライン
- 本作の主人公。11歳。築150年のピンクパレスアパートに引越してきたお転婆な少女。勇敢で、想像力に富み、好奇心がとても強い。面白そうなものを見つければ、それが何なのか確かめなければ気が済まない性格。新しい町には友達もおらず、忙しい両親は仕事に明け暮れ全然構ってもらえない為、常に不満を抱えている。新しい家を探検していた時に封印された小さなドアを見つけ、開けたことで“現実の世界”によく似た“別の世界”へと迷い込んでいく。
- ママ
- コララインの母親。園芸雑誌のライターだが、泥が嫌い。家族のリーダーで、いつもピリピリしていて料理も苦手。締め切り間近で仕事が忙しい為に、コララインの世話にはあまり時間が割けないことも多い。
- パパ
- コララインの父親。ママと同じく園芸雑誌のライターだが、庭いじりが嫌い。いつも締め切りに追われ青白い顔をしている。ママが料理を作れない時は自慢の料理を作る。が、出てくるのはスライム状のものばかり。
- 黒ネコ
- 本作のもう一人の主人公。気まぐれなノラネコ。“ドアの向こうの世界”では人語を話す不思議な存在。コララインに助言をすることもある。
- ワイビー(ワイボーン)
- ピンクパレスの大家の孫。コララインと同じく11歳。コララインを脅かしたり怖い話をしたり、意地と口が悪い少年。コララインが外に出れば、いつも生意気な黒ネコと一緒に後をつけてくる。コララインには“村のストーカー”と呼ばれている。映画版のオリジナルキャラで、原作には一切登場しない。
- エイプリル・スピンク
- ピンクパレスアパートの半地下に住む、元女優のイギリス人。ミス・フォーシブルとコンビを組んでおり、現在は占い師。太っていて、おっとりしている。死んだ飼い犬に天使の服を着せ、剥製にして飾っている。お茶の葉占いが得意。
- ミリアム・フォーシブル
- ミス・スピンクとコンビを組む、元女優のイギリス人。ミス・スピンクと同じく占い師。胸がかなり大きく、カツラを着用している。ミス・スピンクとは反対のことを言う。数百年前のタフィーを保管している。
- ボビンスキー
- ピンクパレスアパートの2階(屋根裏部屋)に住む風変わりなロシア人。トビネズミのサーカスを訓練中だというが、なかなかうまくいかないらしい。腕と足が異常な程長いが、体がとても柔軟である。原作のミスター・ボボ(とハツカネズミ)に相当する人物。
- ボタンの魔女
- 封印されていた小さなドアの中に存在する“別の世界”の住人。ゲームが好き。コララインの目をボタンに変えさせるために“別のママ”に姿を変え、欲しがっているものを全て与え、誘惑する。自分の思い通りにならないと凶暴になる一面も。
- “別のパパ”
- “別の世界”の住人。コララインのために美しい庭を造り上げる。コララインに好意的だが魔女には逆らえない。
- “別のワイビー”
- “別の世界”の住人。コララインに対し親しげであり、話すことはできない。
- “別のボビンスキー”
- “別の世界”の住人。トビネズミのサーカスを率いる団長。
- “別のミス・スピンク&ミス・フォーシブル”
- “別の世界”の住人。老婆の着ぐるみを脱ぎ捨てて女優に戻り、劇場と化した半地下でテリア犬たちを相手に曲芸を行う。
- 幽霊の子供たち
- かつてボタンの魔女にだまされ、目と魂を奪われてしまった子供たち(背の高い少女、小さな少年、ワイビーの祖母の双子の姉)の幽霊。目を“現実の世界”へ戻さなければ解放されない。
映画
[編集]コララインとボタンの魔女 3D | |
---|---|
Coraline | |
監督 | ヘンリー・セリック |
脚本 | ヘンリー・セリック |
出演者 |
ダコタ・ファニング テリー・ハッチャー |
音楽 | ブリュノ・クーレ |
撮影 | ピート・コザチク |
製作会社 | ライカ |
配給 |
フォーカス・フィーチャーズ ギャガ |
公開 |
2009年2月6日 2010年2月19日 |
上映時間 | 100分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $60,000,000 |
興行収入 | $124,596,398[1] |
2009年にアメリカ合衆国でアニメ映画として、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督により映像化。日本でも『コララインとボタンの魔女 3D』のタイトルで2010年2月に劇場公開された。また、2Dバージョンも7月に恵比寿ガーデンシネマで公開された。アニー賞では作品賞を含む8部門にノミネートされ、ゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされた。
キャスト
- コラライン・ジョーンズ:ダコタ・ファニング(日本語吹き替え:榮倉奈々)
- メル・ジョーンズ(コララインの母親)/ボタンの魔女:テリー・ハッチャー(戸田恵子)
- チャーリー・ジョーンズ(コララインの父親)/別のパパ:ジョン・ホッジマン(山路和弘)
- 黒猫:キース・デイヴィッド(劇団ひとり)
- ワイボーン・“ワイビー”・ラヴァート:ロバート・ベイリー・Jr(浪川大輔)
- ミス・スピンク:ジェニファー・ソーンダース(小宮和枝)
- ミス・フォーシブル:ドーン・フレンチ(宮寺智子)
- ワイビーの祖母:キャロリン・クロフォード(定岡小百合)
- ボビンスキー:イアン・マクシェーン(斉藤志郎)
スタッフ
- 原作:ニール・ゲイマン
- 監督・脚本・プロダクションデザイン:ヘンリー・セリック
- 製作:ビル・メカニック、クレア・ジェニングス、ヘンリー・セリック、メアリー・サンデル
- 撮影:ピート・コザチク
- 編集:クリストファー・マーリー、ロナルド・サンダース
- 音楽:ブリュノ・クーレ
- コンセプトアート:上杉忠弘