サキシマスオウノキ
サキシマスオウノキ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
保全状況評価[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Heritiera littoralis Dryand. (1789)[3] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
サキシマスオウノキ(先島蘇芳木) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
looking-glass tree silver leaved mangrove |
サキシマスオウノキ(先島蘇芳木[4]、学名: Heritiera littoralis)は、アオイ科[注 1]サキシマスオウノキ属の常緑高木。日本では特によく板根を発達させる木として有名である。
名称
[編集]和名の「サキシマスオウノキ」(先島蘇芳木) の「スオウ」は、染料として利用されるスオウ(蘇芳木、マメ科の落葉小高木)に由来する。また、「サキシマ」は先島諸島(宮古列島と八重山列島の総称)のことである[5]。
別名、サキシマスオウ、サキシマスオウギ、ハマグルミ、スオウギともよばれる[3]。中国名は銀葉樹[3]。
諸言語における呼称
[編集]アジア地域のマレーシアにおいて
分布・生育地
[編集]熱帯アジア(東南アジア)、台湾、ポリネシア(南洋諸島)、オーストラリア、熱帯アフリカに分布[8][5]。マングローブ林のある湿地の内陸側に多く生育し、まれに海岸に生える[8]。
日本での生育地は、九州、奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島、小笠原諸島が知られる[5]。このうち石垣島(沖縄県石垣市)の桴海於茂登岳山麓の「ンタナーラのサキシマスオウノキ群落」[9]、及び、西表島(沖縄県八重山郡竹富町)古見の「古見のサキシマスオウノキ群落」[10]は国の天然記念物に指定されている[8]。また、西表島の仲間川上流には樹齢400年と推定されるサキシマスオウノキの巨木があり、森の巨人たち百選に選定されている[1]。
形態・生態
[編集]常緑性高木で5 - 25メートル (m) になる[8]。幹は太くて直径が大きくなり[5]、地中より突き出した板根とよばれる板状の根が特徴[8]。板根は四方に広がり、独特の樹形をつくり、老木では板根の長さ3 m、高さが2 - 3 mに達するものもある[8][11]。板根の厚さも、上幅で5センチメートル (cm) 、下幅で20 cmほどになる[11]。この板根によって、地盤が緩くて不安定なマングローブなどの湿地で、大きな樹木を支えている[4]。板根は幹から離れるにしたがって低くなっていき、大きな板根になると、主となる板根に対して直角に板根がつく[11]。
葉は互生し[5]、長さ10 - 20 cmで、長楕円状卵形から楕円状卵形。先端はとがっている場合も丸まる場合もあるが、基部は円脚(丸っこい形)をしている。葉質は硬く、表は濃い緑色でつやがあって無毛、裏面は銀色や多少色づく円形の鱗状の毛が密生する[5]。
日本における開花期は5 - 7月[8]。円錐花序は7 - 15 cmになり、多数の花をつける。花は小さくてあまり目立たない[5]。茶褐色の果実は海水に浮き、海流で運ばれる[8]。
-
樹冠
-
板根
-
樹皮
-
葉
-
花序
-
未熟果
-
果実
-
果実は水に浮き運ばれる
利用
[編集]沖縄県では、かつてこの板根を切り出してそのまま船(サバニ)の舵として使用した[11][1]。樹皮のタンニンは染料[6]、薬用として利用される。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “沖縄の名木百選 仲間川のサキシマスオウノキ”. おきなわ 緑と花のひろば. 沖縄県環境部環境再生課. 2018年3月21日閲覧。
- ^ Duke, N., Kathiresan, K., Salmo III, S.G., Fernando, E.S., Peras, J.R., Sukardjo, S. & Miyagi, T. (2010). Heritiera littoralis. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178852A7627492. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178852A7627492.en. Downloaded on 13 April 2020.
- ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Heritiera littoralis Dryand. サキシマスオウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月24日閲覧。
- ^ a b 辻井達一 2006, p. 131.
- ^ a b c d e f g 辻井達一 2006, p. 134.
- ^ a b c 熱帯植物研究会 編『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、304頁。ISBN 4-924395-03-X。
- ^ a b Dharani, Najma (2011). Field Guide to Common Trees & Shrubs of East Africa. Struik Nature
- ^ a b c d e f g h 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 217.
- ^ ンタナーラのサキシマスオウノキ群落 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 古見のサキシマスオウノキ群落 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b c d 辻井達一 2006, p. 132.
参考文献
[編集]- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、131 - 134頁。ISBN 4-12-101834-6。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、217頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 初島住彦『琉球植物誌』(追加・訂正版)沖縄生物教育研究会、1975年。