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スコップ三味線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スコップ三味線(スコップじゃみせん)は、青森県津軽地方発祥の日本の宴会芸。スコップ栓抜きを用いて、音楽に合わせて津軽三味線の演奏をまねた「あてぶり」をするものである(スコップを叩くので音は出る)[1]

楽器演奏の技術を必要とせず、誰でも行うことができるが、青森県出身の伊奈かっぺいによると「本当に弾いているように見せるには、熟練のワザが必要」という[1]。「すこっぷ三味線」と表記される場合もある[2]

歴史

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1985年頃、青森県五所川原市在住の舘岡屏風山(本名:高橋弘行)が考案したものが最初である[1][3][2]

1985年頃から、岸千恵子(青森県南津軽郡碇ヶ関村、現在の平川市出身)の歌った「千恵っこよされ」がヒットし、たまたまあった「スコップ」と「栓抜き」で、三味線の弾き真似をしたのが始まりとされる[1]。舘岡が「スナック銀河」で「三味線が無理だから」という理由でこの芸を披露したとする見解もある[4]。また舘岡が初めて披露した店について、後述の世界大会ウェブサイトでは「自身の経営する飲食店『ラブポーション』」としている[5]

誰でもできる手軽さから、忘年会などの出し物で取り上げられるなど、同店の来客者を中心に広まった[要出典]。一般にも認知されるようになり、全国的にも広がった[6]

2007年12月2日には、「第1回スコップ三味線世界大会」が五所川原市ELMの街ショッピングセンターエルムホールで開催され、その技が競われた[7][8]。第2回大会には芸人山崎邦正が出場し、個人の部第3位に入賞している[9]。2018年の第12回大会個人の部で優勝した秋田県湯沢市の人物は、「非公認ご当地ヒーロー」の「スコップ戦士ジャミセリオン」を名乗って活動している[10]

楽器

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スコップは雪かきのためのシャベルで、雪が硬く凍る津軽地方では冬の必需品であり、シャベルではなくスコップと呼ばれる。スコップ三味線には、音の良さと弾きやすさから、鉄製で先が丸みを帯びたスコップが用いられる。しかし、現在のシャベルの多くは、鉄製であれば四角形、丸形であればアルミ製となっており、鉄製で丸みを帯びた物は、非常に手に入りにくいものとなっている。[要出典]

撥には大きめの栓抜きが使われる。館岡が使用した栓抜きは、京都の土産物品と言われ、三味線のバチと同程度の大きさ・形を持つ物で、演奏には、必ずこの栓抜きが使われていた。[要出典]

楽器(スコップ)、撥(栓抜き)ともに、演奏に適した物は手に入りにくい状態にあり、舘岡はオリジナルの製作を検討している[要出典]

舘岡には、この他に、鉄製スコップの木製部分に津軽塗を施した特注品が存在する。津軽塗り仕様品の一つに「知事専用スコップ三味線」がある[11]。また、テレビ番組出演の際には、スコップ三味線用のケースも作られた[要出典]

奏法

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構えは三味線と同様である。

左手は、棹(スコップの柄の部分)をつかみ、曲の高低に合わせて上下させる。特に、津軽三味線独特の音程を下から上に上げる(ポルタメント)奏法(手の位置は逆に、上から下への動きになる)を取り入れることにより、よりリアルな奏法になる。また、時々、糸巻き(実際には無い)を調節する動作を入れるのが、ポイントとなっている。

右手は撥(栓抜き)を持ち、音に合わせてスコップ(胴)を叩く。普通に叩く1つ打ちのほか、スコップの凹み部分を使うことにより2つ打ちを行うことができる。これらを混ぜることにより、より津軽三味線らしさを演出することができる。さらに、大きめの栓抜きを使うことにより、柄の部分でも叩くことができ、この場合には、より複雑なリズムを演奏することができる。

脚注

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  1. ^ a b c d 伊奈かっぺい青森共和国のオキテ100ヵ条 ~「利きリンゴ」で品種をあてるべし!~』メイツ出版、2015年12月25日、35頁https://books.google.co.jp/books?id=WNF1EAAAQBAJ&pg=PA35&lpg=PA35&dq=%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97%E4%B8%89%E5%91%B3%E7%B7%9A+%E5%8D%83%E6%81%B5%E3%81%A3%E5%AD%90%E3%82%88%E3%81%95%E3%82%8C&source=bl&ots=DNaXdHBDt3&sig=ACfU3U28m56gDnXUoZJGjaYrV5COZOqrrQ&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiFgOzop5j5AhVUmlYBHd24BVMQ6AF6BAgvEAM#v=onepage&q=%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97%E4%B8%89%E5%91%B3%E7%B7%9A%20%E5%8D%83%E6%81%B5%E3%81%A3%E5%AD%90%E3%82%88%E3%81%95%E3%82%8C&f=false 
  2. ^ a b “すこっぷ三味線 リズム感に魅せられて 笹下の舘岡円海山さん”. タウンニュース 横浜. (2016年4月21日). https://www.townnews.co.jp/0112/2016/04/21/329105.html 2022年7月27日閲覧。 
  3. ^ 青森生まれの「スコップ三味線」祖父と孫共演 息ぴったり”. とうほく未来GENKIプロジェクト(東奥日報からの転載). 2022年7月27日閲覧。
  4. ^ 津軽すこっぷ三味線世界大会|五所川原市|2019 - ニッポン旅マガジン(2019年)2022年7月27日閲覧。
  5. ^ 津軽名物すこっぷ三味線 - 津軽すこっぷ三味線世界大会実行委員会(2022年7月27日閲覧)
  6. ^ “スコップ三味線からニンニクみそに活路 青森市の「鐵の響 サフロ」代表”. 産経新聞. (2020年8月8日). https://www.sankei.com/article/20200808-ZJLGVXWGPNIXFHZHPYPODHXPD4/ 2022年7月27日閲覧。 
  7. ^ 第1回スコップ三味線世界大会 - まるごと青森(2007年10月29日)2022年7月27日閲覧。
  8. ^ 「スコップ三味線」初の世界大会 - 東奥日報・2007年12月2日付け掲載記事《2015年9月2日閲覧;現在はインターネットアーカイブ内に残存》
  9. ^ スコップ三味線世界大会、盛り上がりました♪ - まるごと青森(2008年12月24日)2022年7月27日閲覧。
  10. ^ “秋田)スコップ戦士ジャミセリオン”. 朝日新聞. (2019年2月4日). https://www.asahi.com/articles/ASM1Y663QM1YUBUB00R.html 2022年7月27日閲覧。 
  11. ^ まるごと青森 [@marugotoaomori] (2019年3月27日). "スコップを三味線に、栓抜きを撥(ばち)に見立てて音を奏でる「#スコップ三味線」。これが、「知事専用スコップ三味線」です!". X(旧Twitter)より2022年7月27日閲覧

関連項目

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外部リンク

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