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ステッピングモーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ステッピングモータから転送)
VR型ステッピングモーターのアニメ
PM型ステッピングモーターの駆動回路の模式図
ステッピングモーター

ステッピングモーター(Stepper motor)は、ドライバを介して直流のパルス電圧を印加して駆動するモーターである。したがってパルスモーター(Pulse motor)ともいわれる。簡単な回路構成で、正確な位置決め制御を実現できるので、装置の位置決めを行う場合などによく使われる。

特徴

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  • 運動量が駆動パルスの数に比例する。
  • デジタル制御回路との相性が良い。
  • フィードバック回路の必要性がない(開ループ制御)。
  • エネルギー効率が低い。
  • 負荷が大きすぎたり、パルス周波数が高すぎると同期外れで誤動作につながる。この状態を「脱調」と呼び、加減速シーケンスを用いると改善することがある。

回転子の種類

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Permanent Magnet Type (PM型:永久磁石形)
回転子として、円周上にNSNS…と交互に着磁した磁性体を使用する。安価であるが、着磁間隔を細かくすることに限界があるので、ステップ角度は小さくできない。
Variable Reluctance Type (VR型:歯車状鉄心形)
回転子として、歯車状の鉄心を使用する。ステップ角度を小さくできるが、トルクがやや低い。
Hybrid Type (HB型:複合形)
PM型とVR型の特徴を併せ持った構造である。PM型の場合は円周方向に着磁するが、HB型では軸方向に着磁した磁石を使用し、磁極側を二枚の歯車状鉄心で挟み込む。この時、N極側とS極側の歯の凸凹が逆になるようにする。

固定子の巻線構成

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ステッピングモーターは、固定子に複数の巻線を用意しておき、電流を流す巻線を切り替えることによって動作させる。巻線構成としては二相(二組の巻線)のものが一般的であるが、三相、五相といったものもある。

ステッピングモーターの動作原理

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PM型の簡略化したモデルを例にとって、動作原理を説明する。

  1. 巻線Aに電流を流すと、固定子と回転子のN・Sが引き合った状態になる。
  2. 巻線Bにも電流を流すと、両方の固定子が磁化して回転子を引きつけるので、力が釣り合うように45°回転する。
  3. 巻線Aの電流を切ると、さらに45°回転する。
  4. 巻線Aに先程と逆方向の電流を流すと、さらに45°回転する。
  5. 巻線Bの電流を切ると、さらに45°回転する。
  6. 巻線Bに先程と逆方向の電流を流すと、さらに45°回転する。
  7. 巻線Aの電流を切ると、さらに45°回転する。
  8. 巻線Aに最初と同じ方向の電流を流すと、さらに45°回転する。

以上のように、ステップ1から8を繰り返すことによって、一定の方向に回転する。

励磁モード

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各駆動方式の波形

ステッピングモーターは、巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる。二相型のモーターについて以下に述べる。

一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良いが、減衰運動が残りやすい。
二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。
一-二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。前のセクションの説明図では、一-二相励磁を使っている。
マイクロステップ駆動(バーニア駆動)
巻線への電流を単純なON/OFFではなく、二つの巻線の電流比率を細かく変えていくことで、より細かいステップ角度を得る手法。

運動形態

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一般的な回転形のモーターの他に、直進形のモーター(リニアステッピング)も存在する。

用途例

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産業用途
コンピューター用途
古い磁気ディスク装置等のヘッド移動用トラッキングモーター
現在の製品はリニアモーターを埋め込みサーボで制御している。
一般家庭用途
航空機用途
自動車用途
自動車用計器
自動車二輪車計器に使用されることがあるが、これは正確さよりも演出を狙ったものである。
デジタルカメラ
レンズの移動に主にステッピングモーターが使用されている。ただし、携帯電話内蔵カメラのような小型のカメラモジュールではサイズの関係からリニアモーターが採用されていることも多い。
パチンコ、パチスロ・スロット
回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、パチンコパチスロ機やスロットマシンのリールに使用されている。

関連項目

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外部リンク

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