スモール・スイス・ハウンド
シュヴィーツ・ハウンド | ||||||||||
原産地 | スイス | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ||||||||||
| ||||||||||
補足 | 4バラエティ | |||||||||
イヌ (Canis lupus familiaris) |
スモール・スイス・ハウンド(英: Small Swiss Hound)は、スイス原産の短足のセントハウンド犬種である。ドイツ語(現地語)ではシュヴァイツェリシャー・ニーダーラウフフント(独: Schweizerischer Niederlaufhund)という。ニーダーラウフフントとは、「小さい嗅覚ハウンド」という意味である。毛色や被毛のタイプによって、4種類に分けられている[1][2]。
歴史
[編集]スモール・スイス・ハウンドはスイス・ハウンドの脚を短くした犬種である[1]。19世紀末から20世紀初頭のスイスでは、狩猟区画を細かく分割する新しい制度が導入されたが、狭い狩猟区域で狩りをするには、従来のスイス・ハウンドは脚が早過ぎた[2]。また、当時ノロジカの生息数が増えていたため、俊足のイヌに追わせるとシカがパニックを起こすとして、アールガウ州、グラウビュンデン州、トゥールガウ州では体高40cm以上の猟犬の使用が禁じられた[1]。このような事情により、足の短いハウンド(ダックスブラッケ)をスイス・ハウンドに交配することで、足が遅めの猟犬が作出された[1]。1905年にスイス・ダックスブラッケ・クラブ(Schweizerischer Dachsbracken-Club、後にスイス・スモールハウンド・クラブ Schweizerische Niederlaufhund-Club)が発足した[1][2][3]。1954年に国際畜犬連盟に公認された[4]。
地域限定の希少種で[3]、ほぼ全ての犬が原産地で実猟犬として使われている。
特徴
[編集]オスは体高35〜43cm、メスは33〜40cmを理想とする小型の猟犬である(前後2センチは許容される)[1]。スイス・ハウンドより小型ながら、山岳地帯での猟に適した身体能力として、強靭でスタミナがあり、大きく歌うような吠え声を持つ[1]。耳は長めの垂れ耳、尾は飾り毛のない垂れ尾。性格は忠実で従順、勇敢である。
スモール・スイス・ハウンドは、スイス・ハウンドと同じく、毛色と被毛のタイプによって以下の4種に分けられている[1]。これらはすべてスイスの地方の名前を冠したもので、もともとの出身地を示している[1]。なお、デズモンド・モリスはこれらを、バーニーズ・バセット、ジュラ・バセット、ルツェルン・バセット、シュヴィーツ・バセットと紹介している[3]。
- スモール・バーニーズ・ハウンド
- スモール・バーニーズ・ハウンド(英: Small Bernese Hound, 独: Berner Niederlaufhund)は、ベルン州を原産とするバーニーズ・ハウンドと同じく、トライカラーの毛色を持つ[1][3]。また、スモール・スイス・ハウンドのなかで唯一、スムースヘアとワイアーヘアの2つのコートタイプが存在する[1][3]。ワイアーコートのものは眉毛や口髭があり、スムースコートのものとは違った顔立ちである。
- スモール・ジュラ・ハウンド
- スモール・ジュラ・ハウンド(英: Small Jura Hound, 独: Jura Niederlaufhund)は、ジュラ州を原産とするジュラ・ハウンドと同じ毛色を持つ。すなわち、ブラックの地色に目の上、頬、胸にタンのマーク(時には足にも)か、タンの地色にブラックのマントルかサドルバックである[2]。毛質はスムースコートが標準だが、稀に固いダブルコートのものもある[2]。
- スモール・ルツェルン・ハウンド
- スモール・ルツェルン・ハウンド(英: Small Lucerne Hound, 独: Luzerner Niederlaufhund)は、ルツェルン州を原産とするルツェルン・ハウンドと同じ毛色を持つ[1]。すなわち、白地にグレーもしくはブラックの細かい斑が多く入り、更に黒の大きめの斑がある毛色である。この地色はブルーの印象を与える。また、目の上や頬、肛門の周囲などにタンマーキングがある[1][2]。毛質はスムースコートである[1][2][5]。
- スモール・シュヴィーツ・ハウンド
- スモール・シュヴィーツ・ハウンド(英: Small Schwyz Hound, 独: Schwyzer Niederlaufhund)は、シュヴィーツ州を原産とするシュヴィーツ・ハウンドと同じく、白地にイエローがかったレッド、もしくはオレンジ・レッドの斑の入った毛色を持つ[1][2]。毛質はスムースコートである[1][2]。
運動量は普通で、かかりやすい病気は椎間板ヘルニアや関節疾患などがある。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 藤田りか子『最新 世界の犬種大図鑑』誠文堂新光社、2015年、273ページ。
- ^ a b c d e f g h i “FCI-Standard N° 60: SMALL SWISS HOUND” (2002年6月28日). 2015年9月18日閲覧。(国際畜犬連盟犬種標準)
- ^ a b c d e デズモンド・モリス著、福山英也監修『デズモンド・モリスの犬種事典』誠文堂新光社、2007年、127−8ページ。
- ^ Fédération Cynologique Internationale, "SCHWEIZERISCHER NIEDERLAUFHUND (60)"、2015年9月18日閲覧。
- ^ ただし、『デズモンド・モリスの犬種事典』では「重く固いワイアーコート」とする(128ページ)。