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スモール・スイス・ハウンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スモール・スイス・ハウンド
シュヴィーツ・ハウンド
原産地 スイス
特徴
補足 4バラエティ
イヌ (Canis lupus familiaris)

スモール・スイス・ハウンド: Small Swiss Hound)は、スイス原産の短足のセントハウンド犬種である。ドイツ語(現地語)ではシュヴァイツェリシャー・ニーダーラウフフント: Schweizerischer Niederlaufhund)という。ニーダーラウフフントとは、「小さい嗅覚ハウンド」という意味である。毛色や被毛のタイプによって、4種類に分けられている[1][2]

歴史

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スモール・スイス・ハウンドはスイス・ハウンドの脚を短くした犬種である[1]19世紀末から20世紀初頭のスイスでは、狩猟区画を細かく分割する新しい制度が導入されたが、狭い狩猟区域で狩りをするには、従来のスイス・ハウンドは脚が早過ぎた[2]。また、当時ノロジカの生息数が増えていたため、俊足のイヌに追わせるとシカがパニックを起こすとして、アールガウ州グラウビュンデン州トゥールガウ州では体高40cm以上の猟犬の使用が禁じられた[1]。このような事情により、足の短いハウンド(ダックスブラッケ)をスイス・ハウンドに交配することで、足が遅めの猟犬が作出された[1]1905年にスイス・ダックスブラッケ・クラブ(Schweizerischer Dachsbracken-Club、後にスイス・スモールハウンド・クラブ Schweizerische Niederlaufhund-Club)が発足した[1][2][3]1954年国際畜犬連盟に公認された[4]

地域限定の希少種で[3]、ほぼ全ての犬が原産地で実猟犬として使われている。

特徴

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オスは体高35〜43cm、メスは33〜40cmを理想とする小型の猟犬である(前後2センチは許容される)[1]スイス・ハウンドより小型ながら、山岳地帯での猟に適した身体能力として、強靭でスタミナがあり、大きく歌うような吠え声を持つ[1]。耳は長めの垂れ耳、尾は飾り毛のない垂れ尾。性格は忠実で従順、勇敢である。

スモール・スイス・ハウンドは、スイス・ハウンドと同じく、毛色と被毛のタイプによって以下の4種に分けられている[1]。これらはすべてスイスの地方の名前を冠したもので、もともとの出身地を示している[1]。なお、デズモンド・モリスはこれらを、バーニーズ・バセット、ジュラ・バセット、ルツェルン・バセット、シュヴィーツ・バセットと紹介している[3]

スモール・バーニーズ・ハウンド
スモール・バーニーズ・ハウンド(: Small Bernese Hound, : Berner Niederlaufhund)は、ベルン州を原産とするバーニーズ・ハウンドと同じく、トライカラーの毛色を持つ[1][3]。また、スモール・スイス・ハウンドのなかで唯一、スムースヘアとワイアーヘアの2つのコートタイプが存在する[1][3]。ワイアーコートのものは眉毛口髭があり、スムースコートのものとは違った顔立ちである。
スモール・ジュラ・ハウンド
スモール・ジュラ・ハウンド(: Small Jura Hound, : Jura Niederlaufhund)は、ジュラ州を原産とするジュラ・ハウンドと同じ毛色を持つ。すなわち、ブラックの地色に目の上、頬、胸にタンのマーク(時には足にも)か、タンの地色にブラックのマントルかサドルバックである[2]。毛質はスムースコートが標準だが、稀に固いダブルコートのものもある[2]
スモール・ルツェルン・ハウンド
スモール・ルツェルン・ハウンド(: Small Lucerne Hound, : Luzerner Niederlaufhund)は、ルツェルン州を原産とするルツェルン・ハウンドと同じ毛色を持つ[1]。すなわち、白地にグレーもしくはブラックの細かい斑が多く入り、更に黒の大きめの斑がある毛色である。この地色はブルーの印象を与える。また、目の上や頬、肛門の周囲などにタンマーキングがある[1][2]。毛質はスムースコートである[1][2][5]
スモール・シュヴィーツ・ハウンド
スモール・シュヴィーツ・ハウンド(: Small Schwyz Hound, : Schwyzer Niederlaufhund)は、シュヴィーツ州を原産とするシュヴィーツ・ハウンドと同じく、白地にイエローがかったレッド、もしくはオレンジ・レッドの斑の入った毛色を持つ[1][2]。毛質はスムースコートである[1][2]

運動量は普通で、かかりやすい病気は椎間板ヘルニア関節疾患などがある。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 藤田りか子『最新 世界の犬種大図鑑』誠文堂新光社、2015年、273ページ。
  2. ^ a b c d e f g h i FCI-Standard N° 60: SMALL SWISS HOUND” (2002年6月28日). 2015年9月18日閲覧。国際畜犬連盟犬種標準)
  3. ^ a b c d e デズモンド・モリス著、福山英也監修『デズモンド・モリスの犬種事典』誠文堂新光社、2007年、127−8ページ。
  4. ^ Fédération Cynologique Internationale, "SCHWEIZERISCHER NIEDERLAUFHUND (60)"、2015年9月18日閲覧。
  5. ^ ただし、『デズモンド・モリスの犬種事典』では「重く固いワイアーコート」とする(128ページ)。