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シマトネリコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タイワンシオジから転送)
シマトネリコ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: ゴマノハグサ目 Scrophulariales
: モクセイ科 Oleaceae
: トネリコ属 Fraxinus
: シマトネリコ F. griffithii
学名
Fraxinus griffithii C.B.Clarke (1882)[1]
シノニム

シマトネリコ (島梣[5]学名: Fraxinus griffithii) はモクセイ科トネリコ属の植物の一種。別名タイワンシオジ[1][6]、タイワントネリコ[1]、タイトウシオジ[1]、ケタイトウシオジ[1]ともよばれる。

特徴

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トネリコ属では数少ない常緑樹。日本では沖縄県[6]、また中国台湾フィリピンからインドに分布する。本土では1990年代までは珍しかった[7]が、気候変動に伴い庭などにも植えられる[5]ようになった。 常緑広葉樹高木または半常緑高木[5]。株立ちと1本立ちがある[6]。樹皮は灰褐色で滑らか、小さな皮目が多い[5]

は奇数羽状複葉対生し、濃い緑色でつやがある[5]小葉の葉身は3 - 10センチメートル対生し、革質で表面は無毛で光沢がある[6]葉脈が目立つ[5]。葉色は明るい緑色をしている[8]。常緑樹としては、葉の付き方はやや粗い方である[6]

雌雄別株。花期は5 - 6月ごろで[5]、枝先や葉腋から円錐花序を出して、緑色を帯びた白い小さなを多数つける[6]。花序のまとまりは大きく、枝先を覆う[6]果実翼果で、長さ2.5 - 3 cmのへら形をした倒披針形で、夏に樹冠が白く見えるほど多数つく[6]。翼果の中に、細長くて赤褐色の種子が入る[6]

冬芽は裸芽で芽鱗がなく、細かい毛が生えたフェルト質で、幼い小さな葉が向き合ってつく[5]

利用

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庭木、公園木、鉢植にされるが、亜熱帯の植物であるため関東以南でないと露地での越冬は困難である[6]。低温以外には気を使う必要が無く、病害虫も少なく強健であるが成長すると10メートルを越す高木となる。植栽適期は、3月中旬 - 下旬、9月下旬 - 10月中旬とされる[6]。庭木として植える際、放任すると塀などを破壊する勢いで育つため頻繁な剪定が必要である。

シマトネリコについたカブトムシ

カブトムシが集まる木としても知られる[9]が、シマトネリコを育成する業者からは、カブトムシによる食害が報告されている。本来は樹液を主食とするカブトムシが樹皮をかじるため、自然界では生息域が異なっていた生物が人為的に出会ったことで特異な行動を生じた可能性がある[10]。他には主に8月頃、ハマキムシ、シマケンモンの糞被害がある[11]

2021年、従来夜行性とされていた日本国内のカブトムシが、シマトネリコについた個体に限ってはそのまま昼間も活動を続ける、という調査結果が論文誌に報告された[12]

熱帯地方では家具材として使われる。

外来種問題

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栽培株から飛散した種子が植え込みや道路際の隙間などで芽吹き、国内外来種としてしばしば自生する[10]。東京都環境局は本種を緑地における除去対象[13]としており、緑化推進に適さない種に指定した区もある[14][15]

脚注

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  1. ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fraxinus griffithii C.B.Clarke シマトネリコ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月16日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fraxinus griffithii C.B.Clarke var. kosyunensis (K.Mori) T.Yamaz. シマトネリコ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月16日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fraxinus formosana Hayata シマトネリコ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月16日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fraxinus eedenii Boerl. et Kooord. シマトネリコ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月16日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 50
  6. ^ a b c d e f g h i j k 山﨑誠子 2019, p. 56.
  7. ^ 長尾達雄 1999, p. 61.
  8. ^ 山﨑誠子 2019, p. 57.
  9. ^ Journal of Ethology Vol. 24, No. 3
  10. ^ a b 中野敬一 2015, p. 15.
  11. ^ “失敗したくない!シマトネリコの剪定方法16ステップ” (日本語). タスクル | 暮らしのお悩み解決サイト. https://taskle.jp/media/articles/303 2018年9月26日閲覧。 
  12. ^ カブトムシの常識、埼玉の小6が覆す 世界的雑誌に論文:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年5月24日閲覧。
  13. ^ 東京都環境局 2022, p. 15.
  14. ^ 東京都渋谷区環境政策部 2014, p. 12.
  15. ^ 東京都板橋区 2014, p. 5.

参考文献

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  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、51頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 山﨑誠子『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、56 - 57頁。ISBN 978-4-7678-2625-7 
  • 長尾達雄「うるおいのあるまちづくり(高知市)高知城から日曜市を抜けてはりまや橋へ」『新都市』都市計画協会、1999年9月、61頁。NDLJP:2737346/34 
  • 中野敬一 (2015). “緑化樹シマトネリコの生態影響について”. 都市有害生物管理 (都市有害生物管理学会) 5 (1): 15-16. doi:10.34348/urbanpest.5.1_15. 
  • 生物多様性に配慮したみどりの質の向上のための手引”. 東京都環境局. p. 15 (2022年). 2024年3月18日閲覧。
  • みどりのヒント集”. 東京都板橋区. p. 5 (2014年). 2024年3月18日閲覧。
  • 緑化計画作成の手引き”. 東京都渋谷区環境政策部. p. 12 (2022年). 2024年3月18日閲覧。

外部リンク

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ウィキメディア・コモンズには、シマトネリコに関するメディアがあります。