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トリニトロトリアジドベンゼン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トリニトロトリアジドベンゼン
Skeletal formula of TATNB
Space-filling model of the TATNB molecule{{{画像alt1}}}
識別情報
略称 TATNB
CAS登録番号 29306-57-8 チェック
PubChem 62844
ChemSpider 56578 チェック
UNII 25NHL6Y97G チェック
MeSH C043826
特性
化学式 C6N12O6
モル質量 336.14 g mol−1
外観 黄色の結晶[1]
融点

131 °C[2]

構造
結晶構造 単斜晶系
空間群 P21/c, No. 14
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

トリニトロトリアジドベンゼン(trinitrotriazidobenzene、略称:TNTA、別名: トリアジドトリニトロベンゼン、triazidotrinitrobenzene、TATNB)は爆薬として用いられる有機化合物で、ベンゼンの環上に3個ずつのアジド基 (-N3) とニトロ基 (-NO2) が交互に置換した構造を持つ。IUPAC名1,3,5-トリアジド-2,4,6-トリニトロベンゼン (1,3,5-triazido-2,4,6-trinitrobenzene) 。

合成

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この化合物は1924年にOldřich Turekによって初めて合成された[3]。1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリニトロベンゼンとアジ化ナトリウムの反応で合成できる。1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリニトロベンゼンは硝酸硫酸で1,3,5-トリクロロベンゼンをニトロ化することによって得られる[3]

1,3,5-トリクロロベンゼンから1,3,5-トリアジド-2,4,6-トリニトロベンゼンの合成。
1,3,5-トリクロロベンゼンから1,3,5-トリアジド-2,4,6-トリニトロベンゼンの合成。

別の方法では、1,3,5-トリアジド-2,4-ジニトロベンゼンのニトロ化を用いる[1]

性質

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低温でも窒素ガスを発生させながらゆっくり分解し、ベンゾトリフロキサンドイツ語版に変化する。この反応は100℃で14時間以内に定量的に進行する[3]m-キシレン溶液において、分解には一次速度論が観察され、半減期は70 ℃で340分、80℃で89分、100℃で900秒であった[4]

1,3,5-トリアジド-2,4,6-トリニトロベンゼンの分解
1,3,5-トリアジド-2,4,6-トリニトロベンゼンの分解

168℃以上に急速に加熱すると爆発する[1]

参考文献

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  1. ^ a b c Adam, David; Karaghiosoff, Konstantin; Klapötke, Thomas M.; Holl, Gerhard; Kaiser, Manfred (2002). “Triazidotrinitro Benzene: 1,3,5-(N3)3-2,4,6-(NO2)3C6”. Propellants Explos. Pyrotech. 27 (1): 7–11. doi:10.1002/1521-4087(200203)27:1<7::AID-PREP7>3.0.CO;2-J. 
  2. ^ Burov, Yu. M.; Nazin, G. M.; Manelis, G. B. (1999). “Retardation of Monomolecular Reactions in the Solid Phase”. Russian Chemical Bulletin 48 (7): 1250–1254. doi:10.1007/BF02495284. 
  3. ^ a b c Matyáš, Robert; Pachman, Jiří (2013). Primary Explosives. Springer Science & Business Media. pp. 118–121. ISBN 9783642284366 
  4. ^ Korsunskii, B. L.; Apina, T. A. (1971). “Kinetics of the Thermal Decomposition of 1,3,5-Triazido-2,4,6-trinitrobenzene in Solution”. Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR, Division of Chemical Science 20 (9): 1971–1973. doi:10.1007/BF00854439.