ハート円
幾何学において、ハート円(ハートえん、英: Hart circle)は、8つの円弧三角形をなすような(一般の位置で交わるような)3つの円に生成される円の一つである。 ハルト円とも[1]。8つの円弧三角形の任意の1つと隣接する3つの円弧三角形(関連三角形[1], Associated Triangles)について、4つの円弧三角形の内接円(3円のアポロニウスの問題の解円)に接するような円が存在する。これをハート円という。3円から生成されるハート円は8つ存在する。この定理をハートの定理(Hart's theorem)という[2]。3円を3直線に退化させれば、4つの内接円は三角形の内接円と傍接円、ハート円の一つは九点円となって、フォイエルバッハの定理が導かれる[3][4]。
ハート円の名は、1862年[5]にケイシーの定理を用いてこの円を発見したアンドリュー・サール・ハートに由来する。
ハートの定理に幾何学的変換を施すと、1892年にアレクサンダー・ラーモア(Alexander Larmor)が示した定理となる。
- 円弧三角形とその3つ関連三角形の、外接円は共通の円に接する。
またこの定理は、実質的にサーモンの定理と等価である。
一般化
[編集]- 3つの楕円、 または3つ双曲線の各々の一枝が、2点ずつで交わるとき、これらの円錐曲線に接する円錐曲線が8つあって、また8つの円錐曲線のうちから適切に4つを取ったとき、この4つの円錐曲線に接するような円錐曲線が存在するような組が8つ存在する。
応用
[編集]最初に与えた3円がそれぞれ交わらない場合、ハート円は14つ存在することがある[7]。
三角形の3つの傍接円はその例である。3つの傍接円のアポロニウスの問題の解円は3辺、九点円、アポロニウス円、3つのジェンキンス円である。
内接円は、3辺と九点円に接するのでハート円の一つとなる。他に、3つのジェンキンス円とアポロニウス円と接する Moses hull 円などがある。
辺BCとB,C側のジェンキンス円に外接する、円をKaとする。同様にKb, Kcを定義する。Ka, Kb, Kcに各辺接しかつKa, Kb, Kcを包含する三角形と、元の三角形は配景である。この配景の中心を Miyamoto-Lozada perspectorという[8]。
脚注
[編集]- ^ a b るーしえ、こんふるーす 著、小倉金之助 訳『初等幾何学 第1巻 平面之部』山海堂書店、1913年、508頁。NDLJP:930885。
- ^ Weisstein, Eric W. "Hart's Theorem". mathworld.wolfram.com (英語).
- ^ Coolidge, Julian Lowell『A treatise on the circle and sphere』Clarendon Press、Oxford、1916年。ISBN 0-8284-0236-1。OCLC 1017317 。
- ^ Weisstein, Eric W. "Hart Circle". mathworld.wolfram.com (英語).
- ^ 窪田忠彦『初等幾何学特選問題』共立社書店、1932年、112頁。NDLJP:1211458。
- ^ 森本清吾『沢山勇三郎全集』岩波書店、1938年、186,287頁。NDLJP:1239383。
- ^ “ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS Part26 X(50032) = 1st MIYAMOTO-LOZADA CENTER preamble.”. Encyclopedia of Triangle Centers. 2024年11月26日閲覧。
- ^ “ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS Part27 X53004= MIYAMOTO-LOZADA PERSPECTOR”. faculty.evansville.edu. 2024年11月26日閲覧。